ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 偽りの中の輪舞曲
- 日時: 2011/05/22 01:16
- 名前: 遮犬 (ID: KnqGOOT/)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=L0gYBduknLI&feature=player_embedded
クリックありがとうございまするw遮犬ですw
またお前かとか言わないで、どうかw
毎回完結出さずに何ボンボン作品出してやがるという感じで申し訳ございません;
どんどん物語書いていきますぜw連続投稿とかしちゃいますぜw出来る限り、ですがw
それと、グロ描写もありますのでお気をつけて><;無理な方は読まれないほうがよろしいかと…。
なので普通にコンビニにある雑誌のように適当に手で取って読んでみてくださいという感じで作りました!
もち、他作品の方にも力を入れますので!応援宜しくお願いいたします!
〜立ち読みお客様一同〜
Nekopanchiさん
狂音さんこと夜坂さん
樹梨さん
月兎さん
紅蓮の流星さん
夜兎さん
イメージソング「ワールドエンド・ダンスホール」(参照にて)
〜目次〜
プロローグ…>>1
第1話:存在してはならない人種
♯1…>>11 ♯2…>>12 ♯3…>>13 ♯4…>>14
第2話:望む日常、怪しき依頼
♯1…>>15 ♯2…>>16 ♯3…>>20 ♯4…>>24
第3話:神の子、罪の子、禍神の子
♯1…>>25 ♯2…>>26 ♯3…>>27 ♯4…>>28
第4話:不完全な神、禍々しき神
♯1…>>29 ♯2…>>30 ♯3…>>33
- Re: 偽りの中の輪舞曲 ( No.14 )
- 日時: 2010/11/12 16:34
- 名前: 遮犬 (ID: pD1ETejM)
「…よし、ここの角を右に曲がって」
目の前を行く二人に告げる流都。
既にビル内に潜入し、目的の"人物"を探す。
探すといっても、もうどこにいるかなどとっくにわかっているのだが。
小奇麗な外見を似合わない格好で三人は行く。
——誰もいない。警官も何も。
流都は安易にこの違和感を想像し、どういう事態が待ち受けているのか"分かっていた"。
そして目的の人物のいるであろう大きな部屋の扉の前まで来たとき、
「さぁて…姉さん達、ちょっといいかな?」
流都の目にあるのは上に見える人がギリギリ通れるぐらいの換気口だった。
部屋の中で待っていたのは、このビルの主たる人物。その人物こそが、流都たちの目的の人物。
ただ広いだけの部屋に、壁紙は豪華に彩られ、その他の置物は何もない。
まるで、何事の"後始末が楽なような"、そんな違和感の感じる部屋。
その真ん中で腕を組み、立っており、このビルの主である人物こそが——クローンであった。
クローン技術は完璧かと思われた。同じ人間を創り出すことはたやすい。
だが、所詮は"同じ"なのだ。人類は同じではなく、超越を求めた。
その結果、クローンはオリジナルの潜在能力等をも発揮し、他の遺伝子を組み合わせることも可能。
ゆえに、超越に成功するのだった。だが、オリジナルの方は普段と同じではなく、
確実に死に至る。それを承知で学者たちは最強のクローンを作っている。
そしてそのクローンが新たな能力を発揮するために人を喰らうということも、どこの政府も認めているのだ
殺人事件やらなにやら警察が絶対に犯人を捕まえてみせるとほざき、
真実とは違う何もしていない人から証拠をでっちあげ、政府はそれをスルーし、通す。
真実の無い、世界。腐った世の中。
つまり、この世の中を勝つためには、力が必要なのだ。絶対的な力が。
自分はそれを手に入れた。ネズミがいくら騒ごうと、自分の相手ではない。
そう、このビルの主たるクローンは思っていた。
自分の着ている紳士服をもう一度よく着こなし、目の前の扉から来るであろう敵を待ち構える。
他のところからは侵入されないように全て封鎖してある。もちろん、換気口もだ。
いや、"換気口から見えている"というのが妥当か。
——さぁ、来い!
そう念じた次の瞬間、目の前の扉が開いた。
——きた…!!
現れたのは、一人の少年。ノートパソコンを後ろの腰に付け、腰の横には鉄の塊——銃が二丁あった。
「ふふふ…ようこそ。お客様?」
クローンは余裕の笑みで来客を出迎える。
(噂では"クローン殺し屋"は3人の兄弟だと聞いたが…まあいい。一人ならばなおさら後始末が楽だ)
思わず笑みがこぼれてしまうのを我慢して、まんまとワナにひっかかった"ネズミ"に近づいていく。
「どうだい? 私のビルは…ここまで育て上げるのには苦労したよ…」
ゆっくりと歩いていく。歩きながら喋る。予定のフィナーレまで。
少年は何もいわない。ただ、無言で自分の顔を見つめている。
——気に食わない。何かあるのか?いや、ないはずだ。"自分達"のプランは完璧のはず。
自信満々に考えをやめ、再び歩き出す。
「ようこそ…この私のビルに。貴方様をお待ちしておりました…最高のおもてなしをさせていただきます」
そして立ち止まり、フィナーレの合図を送ろうとしたその次の瞬間。
「——まず一つ。違和感を感じた」
「…は?」
思わず、素っ頓狂な声で少年に聞き返してしまった。
「この部屋の中にしろ、何にしろ、だ。警備員等がいない…いや、これは貴様の計算なんだろうな」
「…何がいいたい?」
さっきまでの余裕が吹き飛び、代わりに逆の違和感を感じ取ることになった。
そうだ、そもそもおかしい。何故…何故こんなに"静かなのだ?"
自分が仕掛けた罠とは、相手は警備員等がいないことに違和感を抱きながらもここにくるであろう。
それも警戒をして、だ。まさにそれこそが狙いだった。
警戒する上に、半ば疑いながらここに来るだろう。換気口などを調べても封鎖されていると分かるからだ。
そして、自分に襲いかかるだろうと。
"自分の見ているところでは"そう確信していた。
「あんたは…影武者と呼ぶべきもの、だろう? 下手な真似してくれるな?
換気口に、あった封鎖口のところに警備用のチップがあった。それを応用させてもらった」
「何…!? そんなバカなっ!」
驚くのも無理はない。
あのチップを使えば確かに"本物"のいる場所は特定できる。だが、そのためには
10万7千9百50万ケタの暗号を解かないといけない。
つまるところ、その暗号をこの目の前にいる高校生ぐらいに見えるこの少年は
この扉に入ってくるまでのあの数分間の中で果たしたということだ。
「んー…ま、場所割れて、君の本体たるクローンさんを裁かせてもらったから…後は、アンタだけだ」
少年の言葉がやけに重く、死を意味する言葉に聞こえた。
その瞬間、自分にはもう何も武器はないと思った。来て、合図をした瞬間にIDチップから見ているはずの
もう一人の自分たる本当の主、いや、親ともいえる完全なクローンが一気に仕掛けを発動して、殺す予定。
そういったものが一瞬で崩れ去ったとき
「うわぁあああああああああ!! し、死にたくないぃっ! 死にたくないぃいい!!」
人は、恐怖に怯える。クローンも人は人。人を喰らうのは完全なるクローンのみ。
完全なるクローンは戦闘力も高く、まず普通の人間だと死なないのだが、反応がない限り、死んだと思った
実際のところは——
「逃がしたか…逃げ足の速い」
冬音たちが本体の元へと行った時、既に壁が砕け散っており、主の姿はなかった。
そう、当にもう一人たるクローンの自分を見捨てていたのだった。
「お前も本当はなかった命だ…今朽ちても別に惜しくはないだろ?」
流都は冷たく言い放ち、そして銃を取り出し、ただ怯えている男に向ける。
「や、やめ…! いやだ…! 死にたくないっ! 死にたくないぃいい!!」
流都は構わず銃声を広い部屋の中に響かせる。何度も、何度も。
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
床に飛び散ったのは…弾丸のみ。
恐怖のあまり、"無傷"の怯えていた男は気絶していた。
丁度その男の少し左にズレたところに銃弾の跡があった。
「…まぁ、いっか」
銃を、ゆっくりと腰にしまった。
- Re: 偽りの中の輪舞曲 ( No.15 )
- 日時: 2010/11/24 13:35
- 名前: 遮犬 (ID: XvkJzdpR)
「いらっしゃいませー!」
元気のいい声が店内に響く。
客人の数はまずまずというとこだろうか。テーブルは5席ほどしかなく、小さな喫茶店である。
「姉さん、こっち終わったよ?」
外見高校1年生といったぐらいの少年、流都はレジの前でかれこれ数十分ウロウロしている姉に声をかける
「え、あ、うん…流都。…その…レジ、どうやって開くんだったっけ?」
流都の姉である冬音が今にも泣きそうな顔で流都を見つめる。
そのレジの前では20〜30代ほどの男が気まずそうに突っ立っている。
その姿を見て、流都は急いでレジを自分で開き、お釣を払い、なんとかその場をしのいだ。
「ご、ごめんね…? 流都…」
涙が大きな可愛い瞳から流れ落ちそうなのを見て、慌てて流都は冬音を慰める。
「いや! 大丈夫だよっ! ちょっとこっちで休憩でもしよっか。ココア入れてあげるからさっ!」
「うん…。あ、ココアパウダー多めがいい…」
なんだかんだいってちゃっかりと自分の好きな味にしようとしているところもまた可愛いとは思う。
「全然人が入ってこないっ!」
夏喜が頬を膨らませながら流都の元へと歩いてくる。先ほどの接客は夏喜がやっていたのだった。
「もう昼飯時過ぎたしね…。さすがに落ち着くと思うよ?」
流都はそういいつつも自分の元の仕事である皿洗いを再開した。
夏喜の言うとおり、さっきまでは少々客はいたというのに今はもぬけの殻である。
だが、嬉しかった。三人はそれぞれ微笑む。
流都たち三人は喫茶店を住み込み、三人で働いている。無論、他の従業員はいない。
夜の喫茶店を閉めたらクローンの殺し屋へと変貌する。
依頼を請け負い、それを実行するのが仕事なのだが、クローンだけと限られている。
その仕事のおかげでお礼にこの喫茶店を報酬としてくれたのだった。
あの小さな小屋は自分達の武器や何やらとおいてある。
全く人気もなく、通常の人間では入り込めないようなところにあるため、安心なのであった。
この、通常の生活、この平和な時間。これこそが流都たちが望んでいた"幸せ"だった。
自分たちが生まれてきた理由、ここに存在する理由のために戦う少年少女の義兄弟たちは
"日常"が欲しかった。人間だと主張するかのように。
夏喜がふとテレビのリモコンを操作し、テレビをつける。
テレビの画面にゆっくりと映像が出てきたそれは丁度ニュースだった。
『——昨夜、何者かに研究所が爆破されたとの通報がありました』
流都たちが昨日、クローンを取り逃がした日には別のところで研究所が破壊されていたのだった。
「へぇ…やっぱり私たちのほかにも研究所を潰す奴らがいるんだね?」
夏喜が何故か笑顔で後ろの流都と冬音に向かって振り返って言った。
「研究所を潰すというより、僕達は片っ端からクローンを殲滅してるだけだけどね…」
それぞれのクローンに対する恨みを抱えた人たち。悲しみ、憎悪などに悩まされる人々。
それらの人のためにもやっているといえば嘘ではない。だが、真の目的は違う。
自分達は確かめたい。何故自分たちは生まれたのか、どうして今ここにいるのか。
クローンを倒さなくては自分たちの存在意義がなくなってしまうかのようで怖いというのもある。
流都は横から夏喜の持っていたリモコンを取り、電源ボタンを押してテレビを消した。
「さて…仕事だ、仕事」
そういってまた皿洗いへと戻ろうとした時、
一つの黒く、見るからに高級感のある車が一台店の前に止まった。
その中から現れてきたのは、黒人の男が一人、そしてその黒人の男によって開けられたドアから
顔のしわが目立つ、白髪の茶色のスーツを着こなした老人が杖をついて出てきた。
「…ここに、クローンのみを殺すことを扱っている殺し屋がいると聞いたのだが」
黒人が店の中へと入ってきて、いきなり流都たちに尋ねた。
「…どこでそれを?」
流都が相手の表情、姿や目的までもをよく観察しながら逆に問う。
黒人が口を開こうとした時、横から老人が杖をついてゆっくりと流都たちに向かってきた。
「では…君達がその殺し屋かね?」
老人が微笑み、口を開く。何ともいえない不気味さを感じたが流都は難なく返す。
「…はい、その通りですが——」
「なら、話は早い。…早速依頼を頼もうか」
老人は、そのままの笑顔のままで話した。
不気味さが漂い、何者かも判断できずにいた。
この老人の笑みの奥に隠されたモノは意外にも冬音が一番敏感に反応した。
——この老人は…
いけない。
- Re: 偽りの中の輪舞曲 ( No.16 )
- 日時: 2010/11/12 00:03
- 名前: 遮犬 (ID: pD1ETejM)
「……冬音姉さん? 冬音姉さん?」
「ッ!? は、はい?」
流都の幾度の呼びかけにやっと気付いた冬音は慌てた様子で流都に返事を返す。
「……お茶、入れれるかな?」
「あ、う、うん…」
冬音は気まずい顔をしながらもお茶を入れに行く。
その間も老人の様子をジッと伺っていた。
「それでは……依頼というのは?」
流都は少しとぼけた様子で言った。
依頼、それはそのままクローン破壊に直結するであろうからである。
何故こういう聞き方をしたのか。それは冬音の様子がおかしかったという性が強かった。
(姉さんがあんなに敏感に反応する相手だ。この老人…もしかして)
口元に手をやり、老人に顔を向ける。
俄然、老人は笑顔のまま椅子に腰をかけ、大人しく微動だにしていなかった。
夏喜はその老人の傍にいる黒人の男を時々見ている。どうやら警戒はしているようだ。
黒人の方はそんな夏喜の様子に老人同様、微動だにせず、ずっと何もない空間をただ見続けている。
しばしの沈黙を破ったのは老人側からだった。
「依頼というのは……運んで欲しいものがある」
「運んで欲しいもの?」
流都はその言葉に反応する。
クローン破壊じゃないのか?そういった疑問が脳裏を過ぎった。
「そう……そしてそれは……君達にとって、"見たくもないもの"だろう」
「……どういうことでしょうか」
流都は表情を決して強張らせずに、無表情で言った。
自分たちにとって見たくもないもの。それは直感で三人の頭を過ぎる。
「……冬音姉さん? お茶、早く入れてね?」
「え、あ……うん」
冬音は、あまりに警戒していたため、お茶を入れる動作が止まっていた。
その様子に老人は不気味に喉を詰まらせたかのようにして笑うと
「あまり、ワシは良く思われておらんようじゃな……? 君達、神の配合体たちに」
神の配合体。元、神のパーツたるものだった僕達の烙印のような呼称。
その老人の無神経な言葉に、よく夏喜が何もいわなかったものだと思った。
感情が激しい夏喜は様々な人格を持つ。ゆえに些細なことでさえも人格を変えることがあるのだ。
その変わり、様々な超現象を人格によって発動することが出来る。
それがまさに、夏喜の持つ神の力の一つである、神の異能だった。
「それで、一体何なんです? 運ぶものというのは」
核心を思い切って流都はついた。そして老人は高らかに不気味な笑い声で笑った後
「君達三兄弟に運んで欲しいものは……"とある遺伝子"だよ」
「遺伝子……?」
そんなものを運ぶ?一体、自分たちに運ばせて何のメリットがある?
試行錯誤してみるがまだ真相は分からない。
「そうだ。報酬はな、君達の探しているモノ、だ」
「僕たちの……?」
自分達の探しているモノ。それは自分たちが生まれた多くある研究室の中でも最も最高峰といわれる場所。
自分達の力を、なくすことの出来る唯一の場所である。
つまり、これが意味するもの。そう、化け物ではなく、人間になれる。
それこそがまさに流都たちの探しているモノであった。
「……その遺伝子、一体何なんだ?」
遺伝子の存在がまず、気になった。
そこで冬音がようやく熱いお茶とコーヒーの入ったカップを二つ持ってきた。
テーブルに置いている最中にも、冬音は老人の様子を伺う。
老人は全く気にせず、話を続けた。
「この遺伝子はね。無生殖型遺伝子といってね、新しく開発された遺伝子なのだよ」
老人は不気味な笑顔と共に語る。
(この老人……)
流都は核心が持てた。
「この遺伝子は、体内に肌上から侵入することができ、目では見えないほどの粒子のようなものだ」
(こいつが……)
「これをだな、君たちに……近くの都市にバラまいてきてほしい」
(こいつが、クローンだ)
老人は、不気味な笑顔はそのままに、目だけは流都を鋭く睨みつけていた。
- Re: 偽りの中の輪舞曲 ( No.17 )
- 日時: 2010/11/12 00:12
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: .RPx9Kok)
- 参照: 今回の描写はガチですね
まだ途中までしか読んでませんが例の如く流星がコンバンハ。
上の方に『立ち読み程度に読んでいってください』とか書いてありますが、
先生、これ普通に速攻購入レベルです。単行本で。
これからも更新頑張ってください、応援しています。
- Re: 偽りの中の輪舞曲 ( No.18 )
- 日時: 2010/11/12 00:13
- 名前: 夜兎_〆 ◆8x8z91r9YM (ID: 9Gb.eK5t)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
久しぶりー。
クローンが入れ替わるとかそういう系の話好きなので面白いです。
本当に居ると想像すると超怖いな
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