ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

復讐に魂を注ぐ者
日時: 2010/10/21 19:12
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)


母、父、姉、彼…。

彼らを殺.した犯人も知らない。

連絡先も知らない。

そこに手を差し伸べてくれたものがいた。

「復讐に、魂を注ぎますか…?」

Page:1 2 3



Re: 復讐に魂を注ぐ者 ( No.8 )
日時: 2010/10/24 12:16
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)

「プロデューサー…?」
[先ほどの、貴方を連れてきた方ですよ。
もう忘れたのですか?]
「そういうことですか……」
呟きながら、過去の記憶をさかのぼる。
あのプロデューサーが現れたのは、午後四時ごろだったと思う。
その時の自分の心境は…復讐を、あきらめかけていた時だった。
「あの頃は、復讐をあきらめかけていた時です。」
言いながら、思わずため息がこぼれてしまう。
[今でも、復讐などできない、と思っているでしょう?]
「…はい」
自分の心が見透かされているように、司会者は淡々と語る。またその姿が怖いのだが。
[…復讐、私たちが貴方の代理としてしてあげます。
この言葉、信じられないでしょう?]

Re: 復讐に魂を注ぐ者 ( No.9 )
日時: 2010/10/24 16:01
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)

「…信じられません。
元々、人間が信じられませんから。」
[ってことは、当然私たちのことも
信じれないってことですね?]
「…はい。」
自分は、あの事件以来人を信じられなくなっていた。
優しくしてもらったときは、裏で何か企んでいるのではないのか。裏で裏で…。そんなことばっかり思っていたからだろう。いつのまにか、自分のまわりに人はいなくなっていた。友達など、あてにならぬとも思っていた。
人間である自分に憎悪感を抱いていた。あの犯人と同じ生物、と感じただけで罪悪感を抱いていた。
あのプロデューサーや、司会者を見ているうちに、彼らは決して人間ではないのだろうか、とも思えていた。それは、いい意味ではない。復讐に、まるで洗脳されている感じがしたからだ。

Re: 復讐に魂を注ぐ者 ( No.10 )
日時: 2010/10/24 16:08
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)


自分は、そんな人間になどはなりたくない。
しかし、やられたままでいるのも腹の虫が収まらないような気もする。
では、どうすればいいのだろうか。…他人に任せればいいのだ。なんという素晴らしいシステムだろう。
[大丈夫です。決して人を裏切るなんていうことはしませんから。貴方は安心して今まで通りに暮らしてください。…ここに、約束できますね?]
「約束、します。」
そういい、契約を結ぶことになった。
「依頼、№44…雅麻友様。
契約はこれで完了……です。]
最後の彼の表情は、嬉しさにあふれていた。
一体何が嬉しいのだろうか?そんなことを思っていると、今度は顔が真っ青になっていた。おかげで、最期の言葉も聞こえやしない。かといって
最後の一字一句聞くつもりもさらさらないが。
[契約期間は一週間。それまでに、私たち番組メンバーで必ず犯人を見つけ出します。]

Re: 復讐に魂を注ぐ者 ( No.11 )
日時: 2010/10/24 16:18
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)


あまり信頼性のない、どこか嘘くさい声で彼はそう言った。それが宣戦布告のようにも受け取れたのは、気のせいだろうか…?
「わかりました。」
[では、収録は終わりです。]
「もう終わるんですか?かなり早いですね。」
[この番組、放送すれば10分もありませんよ?]
10分もない番組。言われてみれば納得する部分も
ある気もする。ただ、10分もなくても目につくときはあるだろう。それがないとは、どういうことなのだろうか?
「そうなんですか…。けど私、この番組見たことありませんよ」
そういうと、彼は急に興味を持ったような目で、こちらを見つめた。
[ごくまれに、依頼主の憎い人がこの番組メンバーの中にいるということがあるんです。その場合は、その依頼主のテレビにはこの番組は映りません。]
「…え?」
信じられない気持ちだ。ということは、スタッフ、司会者、プロデューサー…この中にいるということだ。

Re: 復讐に魂を注ぐ者 ( No.12 )
日時: 2010/10/25 18:14
名前: くれあ (ID: TSqMPs/A)


[僕らはもう、犯人知っているんですけどね。]
「え?じゃあ教えてよ!!」
[申し訳ありませんが、お約束は1週間後。
それに、その犯人が本当に犯人なのかさえ
わかりませんから…。]
「そうですか…。」
そのあと、長い沈黙が続いた。
収録後のことだから、テレビにこのシーンが映ることはないのだが。
[では、さようなら。ご無事で、1週間が過ごせますよう。]
そういい、司会者は自分に向けてなぜか拝んだ。
[1週間後、楽しみにしていますよ。]


そして1週間がとうとう経った。
こんなに長い1週間はない、と改めて感じた1週間だった。
[雅 麻里さんの憎い人、犯人は…]


Page:1 2 3



この掲示板は過去ログ化されています。