ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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デットマン・プリズン〜オリキャラ募集〜
日時: 2011/02/15 07:01
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: opLc/10u)

お初にお目にかかります、桜音ルリともうします。
この季節夏だけ、と限らずも恐く、背筋の凍るような話はしとうなります。
現実にも、色々あります故に……
死をも幸せをも手にするかもわからぬ世界。
お分かりですね?
貴方か登場人物が死ねばそこで終わる歪んだ世界。
歪んだつまり壊れた世界も在りますれば、生き残る可能性も少しはあるのでは無いのでしょうか?
表現は軟かに残酷に時に冷たく酷いときもあります。
感傷に浸ることもあれば酷い物もあちらこちらにあるということ。
幸せな最後が結して望まれるとは限らない世界です。
いわば、死が当然とも言える話にござります。
一つの死に生き長らえる魂……それは尊い命。
心臓が弱いお方には、不向きの小説ここでの警告を無視・見なかったなどの言い訳はお聞き致しておりませぬ。
残酷かつ感傷的に……貴方様のお心が病まないご覚悟があればお読みくださりませ。
ご理解のほどよろしくお願い致します。
ですから私が……

私? 誰かなど御聞きにならないで下さいまし。
やぼにございます……知りたいのでございますか?
それは聞きとうござりまするか?

秘密にござります……『今だけは、』安堵の一時を……
長き文をお読み頂けて嬉しゅうございます。
貴方に祝福を、そして感謝を……
では、気をつけて行ってらっしゃいませ。

—————目次—————

・プロローグ
>>1

・Scene1【魔術と科学とそして悪魔】
>>2 >>3 >>4 >>5

・Scene2【精神と崩壊とそして出会い】
>>6 >>7 >>9 >>10

・Scene3【嘘と真実とそして新居】
>>11 >>22 >>26 >>29

・Scene4【魔法と魔術とそして禁忌】
>>30 >>33

————————————

応募用紙>>12

オリキャラ様一覧
トイ・ドール >>16 Neon様作
チェリー・ドール >>18 かりん様作
緘凪 綺羅 >>27 ゆn様作
エドワード >>31 とらばさみ様作
デルデイ・ムーア >>34 聖也様作
エデルハーツ >>35 ひふみん様作

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Re: デットマン・プリズン ( No.3 )
日時: 2011/01/03 18:59
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: .J9ei1gB)

「———……じゃあ、いってくるわね。ブライグ、グレイシアの世話をよろしくね。」

彼女が微笑んでいったセリフに、少年……ブライグは頬を膨らませた。

「わかってるよ! それと、ぼくのほんみょうでよばないでよ、ぼくはこのなまえすきじゃないんだから。」

彼女はブライグの主張に困ったような笑みを浮かべながら彼を抱き上げる。
そして強く抱きしめてから、スーツの胸ポケットから飴の入った箱を取り出した。

「わかったわ。私の可愛い『クロウ』ちゃん。じゃあ、ママ、もう行ってくるからね。飴、二人で仲良く舐めるのよ。」

「うんっ! わかった!」

飴をもらいきらきらと瞳を輝かせながら頷いたブライグに向かって。彼女は満足そうに頷いた。
そして、もう一度「じゃあね。」と、言って手を振ると、家を出て行った。
少年は彼女が出て行った扉をぼんやり眺めながら手に持った飴をぎゅっと握り締めてう〜んとうなった。
そして、何か思いついたように手をぱんっと打った。

「ひまだなぁ……そうだ! グレイシアにあめさんあげてこようっと!!」

ブライグは家の何処かにいるグレイシアを探すため、飴をぽけっとの中にしまうと、階段を上りはじめた。

Re: デットマン・プリズン ( No.4 )
日時: 2010/12/05 02:15
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: 8HxnnnhG)

———…………グ

「なぁに? ぼくねむいんだ。」

——……ライグ

「ねむいんだってば……」

ブライグ!!

「うわぁっ!!」

そう叫びながら、ブライグは慌てて跳ね起きた。
まだぼんやりとしている視界をはっきりさせるため、ブライグはこしこしと目をこする。
そして、視界がはっきりして周囲を見渡した時、ブライグは言葉を失った。
ブライグの周囲には赤い塗料をかぶったかのように鮮やかな赤色の地面と、同じく赤に染まった色々な服があった。
ブライグは暫く恐怖で震えていたが、グレイシアがいないことに気がつき、自分の傍にいないかもう一度周囲を見回した。
そして、瓦礫の山の上に横たわるグレイシアを見つけ、ブライグは顔を輝かせて歩みよろうとする、が。
ブライグはグレイシアの傍にいるものを見つけて動きを止め、悲鳴を上げた。

そのものの容姿があまりにも異端で、異質で、恐ろしかったから。

体中に血管を浮かび上がらせ、そこから血を流している。
足はない。肉ひだが垂れ下がり、宙を漂っている。
瞳孔は縦に見開かれ、白目の部分が赤く染まっている。
鼻と耳は皮膚の下に埋もれていて、僅かに見える程度だ。
服はきちんと纏っていたが、それもごてごてと色々な装飾がつき、とても悪趣味なものだった。

ブライグは恐怖で足がすくみ、動けなくなったが、そのものの前に横たわるグレイシアをみて、勇気を奮い起こした。

「お、まえは、だれ、だ。」

ガチガチと歯を鳴らし、つっかえながらブライグが言った台詞に、そのものはにやりと笑った。

「おお、呪われた『ディートリッヒ一族』のブライグ・ディートリッヒだな。ぅん? 私の名前は『ナイトメア・カース』だ。」

そういってわざとらしい慈愛に溢れた笑みをブライグに向けるナイトメアをみて、ブライグは直感的に悟った。

—こいつには、かかわってはいけない—

と。
ブライグはグレイシアの服の裾を掴むと、じりじりとナイトメアから距離をとる。
と、同時にナイトメアの背後から白衣を着てナイフを持った男がナイトメアにナイフを突き刺さんと襲い掛かる。
が、彼がナイトメアにナイフを突き刺す事は未遂に終わった。

そのまえに彼が弾けとんだからだ。
ブライグは目の前で起きた事を受け入れられず。
ただ、ただ、叫んだ。

Re: デットマン・プリズン ( No.5 )
日時: 2011/01/19 07:02
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: emALHbP5)

そんなブライグを見て、ナイトメアはにやにやと笑う。
ブライグが泣き喚けば喚くほどナイトメアの笑みは深くなっていく。
ブライグはナイトメアのそんな表情の変化に気がついた。
ブライグの思考を停止していた脳がまた活発に動き出す。
そして、ブライグはとある答えをはじき出した。

『泣き喚くな。苦しむな。』

先ほどの男は自分の目の前で死んだ。
だがそれは自分には関係の無いことだ。
グレイシアと自分とママに危害が及ばなければそれで良い。

ブライグは自分の恐怖に震える小さなてをぐっと血がにじみ出るまでに握り締め、自分に怖くない、くるしくない、大丈夫だ。と言い聞かせる。
ブライグがぴたりと泣き止んだのを見て、ナイトメアは不機嫌な顔になった。
ナイトメアはブライグを泣かせようと色々なことをいいうが、ブライグの耳にその声はもう雑音としか取れなかった。
ナイトメアはそんなブライグを見て飽きてきたのか、つまらなさそうに片手をあげ、ブライグに向ける。
すると、ナイトメアの周りに黒い何かが集まってきた。
そして、それはブライグに向かって放たれた。
が、それはブライグにあたることは無かった。

ブライグとグレイシアの周りを透明なバリアが覆っていたからだ。

ナイトメアは憎憎しげに顔をゆがませてあたりをきょろきょろと見回す。
と、ブライグの背後をみてにやりと気味の悪い笑みを浮かべた。

「貴様か、タバサ・ディートリッヒ。」

ブライグはその名前が耳に入った瞬間、勢い良く後ろを振り向いた。

タバサ・ディートリッヒはブライグの母親の名前だったから。

やはり、そこにいたのは血塗れた白衣を着て手をこちらに向けて必死の形相をしているが、紛れもなくブライグの母、タバサだった。
タバサはこちらをみて呆然としているブライグをみて、微笑すると、すぐに顔を引き締め大声でブライグに話しかけた。

「ブライグ! 良い? 良くきいてね。ママはこれからブライグとグレイシアを助けるために『禁忌』を犯すわ。だから、ママはもう二人とはお別れなの……」

そこまで聞いた時、ブライグの泣き喚かないという思いは消え去った。
目から大粒の涙をこぼしながらいかないでとタバサに必死に懇願する。
だが、タバサは首をふってきっぱりといった。

「駄目よ。生きて、生きて。生き延びなさい。どんな醜態をさらしても、最後まで生き残る道を探して、あがきなさい。」

いつになく強い母の口調にブライグはびくっとするも、すぐにこくりと頷いた。
そんなブライグをみてタバサは微笑を浮かべた。
そして、ナイトメアに顔を向けるとキッとにらみつける。
そして、タバサは口に手を当てると、指笛で変な抑揚をつけながら短いメロディーを紡いだ。
そのとたん、ナイトメアは喉をかきむしって絶叫しだした。
その指笛に共鳴するかのごとく現れる無数の黒い手。
目の前の光景に呆然とするブライグ。
タバサはそんなブライグに最後に優しいえみを見せると、苦しみ悶えるナイトメアをつかみ、黒い手につかまれてずぶずぶと地面の中に沈んでいった。

『強く、グレイシアを守って、生き延びなさい。』

タバサは沈む時に確かに唇を動かしてブライグにそういっていた。



その日からブライグの平和な、平穏な世界は崩壊した。

Re: デットマン・プリズン ( No.6 )
日時: 2010/12/13 18:54
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: NdyAxZc6)

Scene2【精神と崩壊とそして出会い】

じかん が わからない。
なにも かもが ねじれ、おもいで が ぐちゃぐちゃ に なる。
いま ぼくが たっている ところ と わるい ゆめ の なか を いったり きたり。
ここ に いた と おもえ ば また あそこ に いる。
くるった ひと と わるい ゆめ の せかい に ひきもどされる……





今は頭がはっきりしている。
とってもあたたかい部屋。
おまわりさんが何人かいる。
ぼくのからだにもうふがまきつけられている。
やさしそうなおまわりさんが、ココアをくれた。
ココアをうけとった。
おまわりさんがなにかをたずねてくる。
でも、ことばはぼくのからだにも、あたまにも引っかからずにぬけていく。
ココアを見つめるうちにまたわるいゆめのせかいに行ってしまいそうだったから、おまわりさんのくちをじぃっとみた。

ながいこと、なにもきこえなかった。
しばらくするとおまわりさんのこえがちいさくきこえはじめた。
テレビのボリュームをあげるようなかんじだ。
でも、なにをいっているのかはわからない。
あたまのなかでふわんふわんひびいてしまう。
それでも、なんとなくわかった。
あのわるいゆめのはなしをきいているのだろう。

「おばけだ……」

ぼくはぼそりとつぶやいた。
しゃべるのがひさしぶりなきがした。
とたんにおまわりさんがめをきらきらさせた。
つぎつぎとはなしかけてくる。
大きなこえ。
せっぱつまったこえ。
ことばの大雨の中にあることばがきこえた。

「犯人をみたのかい?」

「はい。おばけです。」

こえがかすれる。
おまわりさんがむっとした。
べつのことをきいてくる、
でも、ぼくはもう、なんにもきこえなくなってしまった。
ぼくのすわっているばしょがもえだす……
ぼくのまわりでわるいゆめが丸くなって、わをつくり、ぼくをとじこめて、たべ、すべてからきりはなす。
そしてわるいゆめの中にぼくだけがとりのこされた————。

Re: デットマン・プリズン ( No.7 )
日時: 2010/12/15 06:26
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: TcM2SN2X)

べつの部屋。
べつのおまわりさん。
さっきのおまわりさんよりこわい。
さっきほどやさしくない。
つぎからつぎへとぼくにはなしかけ、ぼくのかおをのぞきこみ、あごをもちあげて目をあわせ、むりやりきをいこうとする。
しばらくするとひとりのおまわりさんがしゃしんをだしてぼくにみせた。
ちまみれの、おかあさんの、ふく。

「おかー……さん……」

うめいた。
べつのおまわりさんがはなしかける。

「つらいのはわかる。どうだ? 犯人をみたのか?」

「おばけだよ……」

「おばけぇ? んなもんいるか! それくらいわかるだろう? ブライグ。つらいのはわかる。でも、真剣にこたえてくれ。な?」

なんでよ、ぼくはしんけんにいっているんだよ。
ぼくはあばれた。
おおごえをだして、おまわりさんをぶって、けって、ないた。
そんなじぶんをたにんのようにながめながら、ぼくのせかいはまっくらになった。


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