ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

殺人鬼のお嫁様。
日時: 2010/12/28 09:56
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

 初めまして、ちっぱーです。
 これまでノートに書いていたものを、投稿してみようと思います。

 アドバイスなど、お願いしますね。


登場人物

輝牙・朔夜(ひかるが・さくや)
赤染・満月(あかぞめ・みつき)
空谷・彩香(そらたに・さやか)

Page:1 2 3



Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.9 )
日時: 2010/12/27 10:33
名前: ナツ (ID: pnP4WqN3)

早く続きが見たい☆
ふたりがどうなるのかドキドキ♪
(最近ドキドキしまくり・・・)

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.10 )
日時: 2010/12/27 13:58
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

 ナツ、ありがと!
 続き、書いちゃいますよお!

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.11 )
日時: 2010/12/27 14:19
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

第五話

 あるところに、女の子がいました。

 その子は一人っ子で、ごく普通の家庭で、ごく普通に暮らしていました。しかし、ある日事件は起こるのです。

 女の子とその家族は、誘拐事件に巻き込まれてしまいました。

 酷い暴力を受けた女の子と家族は、一ヶ月の間に、衰弱しきっていました。

 ある日、女の子は「両親を殺さないと、お前を殺す」と脅されました。極限状態だった女の子の心は——それで切れてしまいました。



 女の子は、誘拐犯と両親を惨殺しました。



 その後、女の子は人を殺し続けれなければ、生きることができなくなってしまいました。


「——お・し・ま・い」


 女の子——赤染は、まるで幼児に語りかけるような口調で、物語に終止符を打った。

「……いや、そんな非現実的な話をされても」
「非現実的じゃないよ。だって、現実として、私がここにいる」
「本人が証明しちゃってるもんな……うわあ」

 まあ、普通の人間じゃないだろうな……。
 そりゃあ、初対面(俺は覚えてないし)の人間の頬をナイフで突き刺そうとするのは、普通の女子高生じゃないだろう。

「で、そんなんと俺が知り合う機会があったのか?」
「あ、うん。あったよ」

 赤染は頷き、驚くべき一言を口にした。


「私がね、時雨を殺そうとしたの」


 …………。

「は?」
「いや、こう、サクーッ、と」
「さくー……?」

 それって、刃物で突き刺す音、だよな……?

 やばい……。
 俺の第五感が告げている……やべえよ、この女。

「——お前、何しに来たんだ?」

 そんな女が、何をしに来たんですか?
 僕を殺しに来ましたか?
 十二に分解とかしちゃいますか?
 ずこっ、めきゃこきゃっ、とかしちゃいますか?

「あ。よからぬこと想像してるな」
「…………」
「結婚」
「は?」





















「私ね。時雨と、結婚しに帰ってきたの」

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.12 )
日時: 2010/12/27 19:48
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

第六話

「——は?」

 俺は、我ながら素っ頓狂な声を出してしまったと思う。
 しかし、この状況で驚くな、という方がおかしい。

「というわけで、結婚しよ!」

 わしっと、空谷以上の腕力で、俺の腕を引きずっていく赤染。

「ちょ、ちょちょちょ、待て」
「ん、何?」
「俺はお前のことを知らん」
「思い出させてあ・げ・る♪」
 
 えろっちく言うんじゃねえ!
 これ以上に記憶失うわ!

「俺はまだ十七歳だ」
「年の差なんて関係ない♪」

 法律上の問題だっつーの!
 ってか、逮捕されてえのか!
 もとから人殺してるか、この女!

「しかもお前は殺人衝動女!」
「やだ、ひっどーい。殺人鬼のお嫁様だねっ」

 さらっと流すな!
 そして、何気に窓から連れ去ろうとかすんなっ!

 これは、非常事態だ。


「……やりたくなかったが……」


 俺は、赤染の鳩尾の辺りに、キックをくらわせる。
 赤染は、ぎりぎりでそれをかわし、俺の頭をめがけて、パイプ椅子を振り下ろす。

「……こ、んの、怪力女めぇっ……っ!」

 俺はぎりぎりでそれを受け止める。そのままパイプ椅子を投げ、それが壁に衝突し、がたあん、と大きい音がした。

「……ふッ!!」

 俺の後頭部に、冷たく硬いものが押し当てられる。
 ちっ、拳銃か!!

「……死にたくなかったら、大人しく結婚してね」
「……く、」
「何か言った?」

 訝しげな声。

「く、あはははは」
「な、何よ!?」
「かはははははははははっ!」
「——うッ!?」

 高らかに——俺は哄笑する。

 そして、赤染の拳銃を構える手をわし掴みにし、そのまま、

「——だぁららぁぁぁああぁッッ!」

 一本背負いした。
 かしゃかしゃん! と拳銃が床をすべる。

 赤染は、床に叩きつけられたまま、起き上がらない。

「な——何やってるの!」

 保健室の先生だ。

 あ、そうか……客観的に見たら、乱暴な男子がか弱い美少女を投げ飛ばした、っていうことになるのか。

「……ふう」

 やれやれ、厄介だ。

 何が厄介かって、いくらこの殺人女から逃げても、地球が球体だから、逆に俺が追っかけてることになるからだ。

 俺は、騒ぐ先生をよそに、一人で溜息をついた。

 
 

Re: 殺人鬼のお婿様。 ( No.13 )
日時: 2010/12/28 09:56
名前: ちっぱー (ID: O/vit.nk)

第六話

「せ、先生っ! 輝牙君は悪くないんですっ!」
「そ、そうなの?」
「はいっ! いきなり怪しい人が窓から入ってきて、侵入者を投げ飛ばそうとして、私を投げ飛ばしちゃったんです! 私を守ろうとしてくれたんです、先生っ!」
「あら、そう……悪かったわ。怪我はしてないし、軽い脳震盪だし。お咎めはなしにしておきましょう。輝牙君、次は気をつけるのよ」
「…………………………………………はい」

 あれから、二十分。

 先生の誤解を解こうと、必死に嘘の説明をし始めた赤染。
 俺を庇ってくれるなど、仰天だった。

 結構説明が上手で、先生が騙されやすい性格(先生、すまん)だったこともあり、なんとか誤魔化すことができた。

 俺は、こっそり保健室から逃げようとしたのだが、

「時雨クンっ♪」

 たった三秒で捕まった。
 この女、良い勘してやがる……。

「悪いが、もう俺と関わらないでくれよっ!!」

 俺は脱兎の如く駆け出して、教室への階段を駆け上る。

「そういうわけにはいかないよ」
「あ?」

 俺を追うのは獅子の如く、赤染ライオン(それかチーター)。
 俺の横に並びながら、息切れもせずに笑う赤染。

「だって、さっき庇ってあげたでしょう? 借りを作っちゃったんだよね、時雨は」
「知るかっつうの! そんなん、借りの間に入らねえよ!」
「ふーん、いいんだあー」

 赤染は、にやりと不敵に笑う。

「輝牙君が、私にあーんなこと(自主規制)やこーんなこと(やっぱり自主規制)やそーんなこと(……自主規制)をしようとしたって先生に言うからね!」
「な、何っ!?」

 このアマ! 頭の良さじゃ完ッ全に負けだ……っ!

「ぐ、ぐぐ……俺は無実だっ……」
「まあ、いきなり結婚っていうのもどうかと思ったからさー」
「えっ?」

 関わらないでくれるのか!
 赤の他人として接してくれるのか!?

「恋人からっていうのも」
「よーいドン!」

 俺は、話半分に聞いて駆け出す。
 緩めていた足の稼動を、再開させる。

「俺ってついてねえー!」

 俺は、世界一不運な男だ……。

 記憶を失う以前の俺……時雨さんよ。
 あんな殺人鬼と、なんで仲良くしちまったんだ……?


 俺は、自分じゃない自分を、死ぬほど恨むこととなった。


Page:1 2 3



この掲示板は過去ログ化されています。