ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Walking___終
日時: 2011/02/08 21:57
名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)

初めまして。深山羊みやまひつじと申します。
小説を書くのは何度目かでありますがこちらに投稿させていただくのは初めてなので色々と面倒を見てやってもらえるとうれしく思います。

小説を書くのは何度目かと言っておりますが至らぬ点は多々あると思いますのでよければご指摘など頂けるととても助かったり嬉しかったりします。
もちろん応援コメントも頂けると励みになります。

※本作品は完結しております。

〜本編をお読みになられる前に〜
当作品はグロテスクな表現や暴力的な表現を含みます。
ジャンルはサスペンス的なものとさせていただきます。
自己責任でお読みください。(実際そこまで描写が上手いとは言い難いので微妙なところですが(苦笑))

この物語完結しておりますが後味は微妙に良いものとは言い難いので続きもある程度作れはしますがその予定は当分ないのでその点も踏まえてご覧下さい。

では、不甲斐ないながらも私の物語をご覧ください。

目次

>>1 第0章

>>2 >>4 >>6-11第1章

>>14-18 第2章

>>19-21 第3章

>>22-23 最終章

>>24 ××章

>>25 あとがき

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Walking-第1章- ( No.11 )
日時: 2011/01/07 23:48
名前: 深山羊 (ID: Mm9jHYga)

 携帯を取り出しウルカに電話をかける。ワンコールの後すぐにつながる。
「もしもし」
『いやぁん。だめぇ!ああん!』
 ピッ。何一つためらわずに通話を切る。どうやらかけ間違えたみたいだ。全く俺の携帯の癖にいうことをきないとは生意気な。突然手の中で携帯が震える。ディスプレイには萌子と表示されている。全力で取りたくないがそういう訳にも行かず
「もしもし」
『どうして急に切ったりしたんだよ』
あんたのせいだよ。
「そりゃ切りたくもなるでしょうが。馬鹿ですか」
『馬鹿じゃない。変態だ』
 駄目だこいつ。早くなんとかしないと
「馬鹿のがマシだ変態」
『そいつは初耳だ。ところでどうだね』
「まあ順調ってことでいいんじゃないでしょうか」
 一つ間を開けて。
『君のロリコンを直す方は』
「……」
『……』
 沈黙。
「前々からよく思うんですけど」
『何かな』
 少し声をきつめにして。
「喧嘩売ってます?」
『いやいや、これも一瞬の愛だよ』
 それは盛大に儚く散るんでしょうね。
「一種のじゃないんですね」
 一応指摘はしてやるよ。
『そんな細かいこと気にするなよぉ〜』
「そうですね、そんな細かいこと言ってら切りないですもんね」
 スルー。
『……』
 帰ってこない返事。
「どうしたんですか?」
『……なんでもない』
 ちょっと涙声だった。しかし優しく声をかける俺じゃない。
「ならいいんですよ、依頼の件ですが直接会って話した方がいいと思うんで一回そっちに行くんで待っててください」
『全裸待機なら任せて。この間からずっと裸で待ってたから』
 この間って……。
「やっぱりこのまま用件伝えたんでいいですか?」
 すごく行きたくない。
『服着るから来てください。お願いします』
「わかりました。あと半刻もしないうちにつくと思うんでそれまでに服着といてくださいね」
 駐輪場まで歩いて行って単車に乗ればそれくらいだろう。
『出来るだけ布の薄い服着とくよ』
「その薄さに比例して滞在時間は減りますから」
 出来れば薄着で二秒でかえらせてくれ。
『厚着すれば長くいてくれるんだね。徐々に脱がされて行く楽しみも———』
「絶対俺が脱がすことは無いんであしからず」
 あんたに欲情する日が来たら次の日は地球最後の日だ。
『自発的に脱ぐのは良いんだね』
「なんでそんなに脱ぎたがるんですか。この際だから言いますけど定期的に携帯に全裸の写メ送るのやめてください。この間なんて昔の知り合いと飲んでたときに来たもんだから色々と危なかったんですよ?」
 久しく合って笑いながら酒飲んでたら急にメール来て酔ったせいかパパッと見ようと隠さずにメール開けたら変態の変態写メールによって隣の友人にどんな目で見られたか。
 ……あれ?危ないじゃなくてアウトじゃね?畜生がっ!
『何故君は僕の楽しみを奪おうとするんだ』
「何故貴方は俺の平和を奪おうとするんだ」
 ことごとく俺にツッコミさせてくれるとは元関西人冥利に尽きるっつーの。
『愛かな』
「歪んでますね」
 そりゃもうメビウスの輪も裏表をハッキリさせるレベルで
『争いのない人生なんて退屈だろ?』
「それは同意しますが、一時の平穏くらい望んでもいいじゃないですか」
 別に毎日植物の様な静かな平穏な日々が欲しい訳じゃないけどたまにはゆっくりしたい。
『へいおん!じゃないか』
「イントネーションおかしくないですか?」
『イントネーションは気にするな』
 変な歌が聞こえても気にしない位の心構えは出来たよ。
「とりあえず今からそっち行きますから服きててくださいね」
『しかたないなぁ』
「それじゃ」
『ちょっとま———』ツーツー」
 強制終了。
 どんだけ俺の体力と精神を削り取る気だ。特に怪異的なものやクトゥルフ的な神々を目にする訳でも断片に触れる訳でもないのにSAN値チェックをされなければならないとはなんという不運か。 
 と言っても選んだのは俺自身だからピシッと文句を言う訳にはなぁ……。
「しかたないよな」
 そうこう考えているうちに駐輪場についた訳だ。
 さて、ここからが本番と言いたいが報告がある。仕事はそれからかが始まりだ。おとなしく頑張るとしますかね。

Re: Walking ( No.12 )
日時: 2011/01/09 19:52
名前: まる (ID: yFT.CFCL)

こんにちわっっ
こさせて頂きましたー!!

個人的にウルカc好きですよおー
今後が気になりますっ!!!

Re: Walking ( No.13 )
日時: 2011/01/09 20:24
名前: 深山羊 (ID: S.vQGXD5)


今晩はまるさんどうぞいらっしゃいませです。
オーナーの深山でっす(´・ω・)
毎度どうもありがとうございます
今作の変態の名を欲しいままにするウルカちゃん彼女は何が目的なんでしょうね?ww
その辺も含めて今後も頑張っていきますww
ではでは

Walking-第二章- ( No.14 )
日時: 2011/01/16 14:45
名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)

 第二章
  -首なし死体と黄泉帰り-


「一色、今日は萌子ちゃんも一緒か」
 声を掛けてきたのは金髪のおっちゃん、顔は渋いが金髪がそれに似合わない。
「はい、萌子にも働いてもらわないといけないことがありましてね」
 俺の左側で腕を掴んでおとなしくしているこいつは【ウォーキング】。服装はゴシックロリータ、何を考えているのだか。普段はすぐにでも脱ぎたがる癖に出かけるときは常に重装備だ(ウォーキングの時はスーツだが)。
 薄い青色をした長い髪に不釣り合いな金色の瞳。肌は病的なまでに白く、その笑顔は一級品だ。しかし、その本性は露出癖のある超高濃度の圧縮を掛けられた変態でこちらの世界でかの有名な【ウォーキング】なのだから。
「あんまりその子に無茶させるなよ。こっちの世界じゃ目を付けられたらやばいんだからよ」
 真面目に心配してくれるがその必要はなさすぎる。まさに心配ご無用ってやつ。
「そのつもりなんですけどね。今日は急ぐんで、また来ますよ」
 軽く愛想笑いをしながらその場を立ち去る。隣の怪物が脱ぎ始める、否。おとなしくしている間に事を済ませたい。
「まってるぜー」と笑い声を交えながら手を振るおっちゃんを見てると何故だか無性に申し訳ない気になるのは気のせいか。
 じーっと隣の怪物を見ていると
「どうした?私の裸が気になるのか?」
「どうしてそんな下品発想しか出てこないんだ」
 年がら年中発情してる猫かなんかなのか
「思春期だから?」
「そういや年齢聞いてないからその線も正しいかもしれないけど、思春期に露出が好きになるなんて初めて知ったよ」
 俺にも思春期というやつはあったがそんな記憶は欠片もない。
「勉強不足だぞ、比呂君」
「素で本名言うのやめてください」
 というか本名ばれてんのかよ、最悪の場合に逃げるに逃げられないじゃないかよ。
「一色ってなんかダサくない?」
 oh...
「今わかった。やっぱり喧嘩売ってますよね?」
「その気はないんだけどついつい本音、もとい心の声がだね」
 やっぱり喧嘩売ってるよねぇー。
「悪気百%じゃないかよ」
「そうとも言う」
「いや、そうは言わないけどさ。なんというか本気でなんで俺とこんな茶番してんの?」
 実際喧嘩を売られていようがなんだろうが実力行使されたら俺なんて一秒も要せずに殺されるだろう。
「茶番なのかい?」
 心なしか口調が少し違った。
「あんたからしてみればそうだろ」
 出来るだけ気付いたことを悟られないようにさっきと変わらぬ口調で答える。
「茶番ねぇ……。しいて言うなら君が気に入っているってのと」
 気に入っているか……。嬉しいが吉かと言われればどうかな、としか言えない。
「と?」
「【ウォーキング】をやってるのに飽きたってとこかな」
「飽きる?」
 その名前に飽きたからと言って捨てられるほどこの世界は甘いものでもない。過去には付けられた名前が大きくなりすぎて無残な死を遂げた例は少なくもない。
「そうそう。実際つまんないよ。長いことそうやって恐れられて来たけど。本当につまらない。喧嘩だってまともにできない。もちろん口喧嘩も」
 しかし、この人にしてみればなんて名乗ろうが何時捨てようが関係ないのだろう。それくらいに強いのだから。
「どうして?」
「反抗しようって輩がいなかったってところ。それに反抗してきても大体力技だから逆に潰しちゃうから」
 そういうことか。なら色々と合点がいく。
「こっちの世界にビッグネームに喧嘩売ろうってなるような馬鹿は居ないからな」
「そういうこと。だから試しに【ウォーキング】の活動を停止している訳。隠れ蓑という訳じゃないけどこうやって君と探偵のまねごとしてる訳」
 まねごと、ね。俺からしてみればいい給料がもらえるだから長くそのまねごとを続けてもらいたいところではある。
「なるほどね」
「わかった?」
 口調が俺をからかう時のに戻る。思いのほか考えた行動だったと言ってもいいだろう。
「大体」
 視界に珈琲工房が入る。後でここに頼まれごとの用事を済ませに来なければならないことを忘れないように。
 二人とも黙ったまま少し歩くと青をバックに白木屋と書かれた看板が目に入った。どうやらここらしい。入口は階段が下がっていて地下に降りる様になっているところの奥に見える。地下に居るのにさらに地下に行くとはこれいかに。
「そら、行くよ」
 さっきまでおとなしくついてきただけのウルカだが、意気揚々と階段を下りていく。
「やれやれだぜ」

Walking-第2章- ( No.15 )
日時: 2011/01/22 21:17
名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)


   ◆


 中に入ると少し薄暗く異様な空気を醸し出していた。すると奥から声が聞こえた。
「いらっしゃい」
 声に続き奥から痩せぼったい男が具合の悪そうな顔色ででてきた。
「死体を見せていただきたいのですが」
 そういうと男は手でついてこいと表し背を向ける
「どんなのが欲しいんだい?」
 歩きながらそう問われる。ウルカは何故か借りてきた猫のようにおとなしい。
「いえ、とある人の依頼でして、首のない遺体を拝見したいのですが」
 男はクルリとこちらを向いて確認をとる。
「もしかしてあの男から依頼を受けたのかい?」
 何か含みのある言い方だが気にしないでおこう。
「多分その方だと思います、電話番号を控えてあるのでそちらと合わせていただけると」
 そう言って依頼人の携帯番号を見せる。それに目を通した男は小さく頷き、ついてこいと催促した。その背中を追う。
 数十秒ほど歩いて男が立ち止り右側に指を差す。
「これだ」
 右を向くと長く横は肩幅程度の扉、簡単にいえば更衣室にあるようなロッカーがあった。そのロッカーのネームプレートには依頼人の名前が書かれてあった。
 男は腰にぶら下げた鍵の中から一つを取りだし取っ手の下部にある鍵穴にそれを差しこみ右側にまわす。カチンとなると取っ手を下げて引く。
「これは中々猟奇的だな……」
 中には素っ裸の死体が両脇の下の棒に支えられて立っていた。特にこれと言って腐っている様子はない。当たり前だが。
 一つ普通の死体と呼ぶには奇怪すぎる。やはり首が無かった。それもものの見事に。
「首は切られたにしては綺麗な切り傷だな」
 まるでギロチンで首を切り落としたように綺麗な切り口、普通のナイフなどでは無理。チェーンソーの様な物では到底無理だ。
 確かに分かりやすい恐怖ではあるが実際には使いづらいだろう、皮膚や髪を刃が噛んだら即ストップの使いづらい道具だ。
 この切り口なら日本刀くらいしか思い浮かばない。こう言う分かりやすい武器ならどうとでもなる。そう思うと楽な相手だろう。
 死体から離れ、ありがとうございましたと礼をすると
「もういいのかい?」
 と聞かれた。確かに切り口を見る程度で終わったのだから確認もとりたくなるものだ。
「ええ、欲しい情報は手に入れましたから」
 俺じゃなくてウルカにとってだが。
「そうかい」
 戸をしてめ鍵を掛けた。正直もう見るのは勘弁してもらいたいものだ、他の男の女の裸なんて誰がうれしいんだか。
「代金はその死体の持ち主から戴いてください」
「わかった」
 踵を返してとっととこの場所から出て行きたかった。
 

 外に出て、一番に珈琲工房に顔を出す。
「いらっしゃい、一色。お遣いか?」
 気前のよさそうな顔をしたダンディーなおじさまが珈琲カップを洗っていた。
「ああ、頼まれ物の品、代金はマスターから貰ってんだろ?」
「こいつだよ、持ってきな」
 雑に扱われ投げられたのは20cm程のビンだった。中には珈琲豆がぎっしり入ってある。
「これ一つ?」
 仕入れには量が少ない気がするが
「そうだよ、元々生産量が少ないやつなんだ。そんなけでも手に入ったのが驚きな位さ」
 ふーん。これくらいの量でねぇ……
「まあ、とりあえず確かに受け取ったよ」
「あいよ」
 滞在時間は物の数分。珈琲の匂いがきつくてまともに立ってるのも嫌になる位の場所に良くいられるものだ。
 こちらもさっさと出てウルカのところへむかう。


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