ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- Walking___終
- 日時: 2011/02/08 21:57
- 名前: 深山羊 (ID: /w7jENjD)
初めまして。深山羊と申します。
小説を書くのは何度目かでありますがこちらに投稿させていただくのは初めてなので色々と面倒を見てやってもらえるとうれしく思います。
小説を書くのは何度目かと言っておりますが至らぬ点は多々あると思いますのでよければご指摘など頂けるととても助かったり嬉しかったりします。
もちろん応援コメントも頂けると励みになります。
※本作品は完結しております。
〜本編をお読みになられる前に〜
当作品はグロテスクな表現や暴力的な表現を含みます。
ジャンルはサスペンス的なものとさせていただきます。
自己責任でお読みください。(実際そこまで描写が上手いとは言い難いので微妙なところですが(苦笑))
この物語完結しておりますが後味は微妙に良いものとは言い難いので続きもある程度作れはしますがその予定は当分ないのでその点も踏まえてご覧下さい。
では、不甲斐ないながらも私の物語をご覧ください。
目次
>>1 第0章
>>2 >>4 >>6-11第1章
>>14-18 第2章
>>19-21 第3章
>>22-23 最終章
>>24 ××章
>>25 あとがき
- Walking -第0章- ( No.1 )
- 日時: 2010/12/27 11:24
- 名前: 深山羊 (ID: TNiD2WXY)
第0章
待ち合わせ場所のカフェ。指定の場所には背格好から見てやせ細っている男が座っている。店内に入るとマスターが自慢の髭を持ちあげていつもの珈琲を用意してくれる。その間に男に声を掛ける。
「依頼ですか?」
そう聞くと痩せほそった青年はゆっくりと頷いた。それと同時に椅子を引いて席に座る。
「実は先日、僕の彼女が……」
言葉が詰まる、大体想像は付くが向こうが言い切るのを待つ。
「……殺されたんです」
予想通りの回答に少し頬が緩みかけたがキュッと引き締める。
「どういった状況で?」
青年は俯くとつらそうな表情を浮かべ今にも泣きだしそうだ。それでも何とか持ち直して口を開く。
「首が……肩の位置に切りそろえられて……無くなってました」
要するに鎖骨から上が無くなって綺麗に肩と肩が一直線につながっていたということか。
「無くなっていたというと首なし死体ということですか」
「はい」
ふむ、そうか。助手になって初めての仕事が首なし死体か、中々面白いことになりそうだ。
「で、依頼なんですがどういった内容で?」
さっきまでとは打って変わった表情で
「犯人を探してください」
声には怒りやら憎しみやらが表情には憎悪が感じ取れる。
「見つけるだけでいいんですか?」
「はい、後始末は僕が自分でします」
遠まわしに自分で殺すと宣言している様なものだ。
「ところで」
また少し声色が変わった。
「貴方はMr.ウォーキングに何故従っているんですか?」
全くストレートに聞きづらいこと聞いてくる奴だな。けどまぁ、いいか。
「少し長いけど聞くかい?」
「ええ、是非」
好奇心は猫をも殺すってことを知らないのか?だが
「問題ない、関係ない俺には」
「えっ?」
不思議そうな顔を浮かべる青年、そのタイミングでマスターが直々に珈琲を運んで来てくれる。いつも通り気がきく。
「いやいや、こっちの話ですよ。 じゃあ少しお話しましょうかね」
- Walking-第1章- ( No.2 )
- 日時: 2010/12/28 21:49
- 名前: 深山羊 (ID: TNiD2WXY)
第1章
ウォーキングと【歩く死体】(リビングデッド)のショー
世界的にはいつもと変わらない一日が始まる。俺個人的には人生を変える二回目の異常事態を起こす。一度目はこの世界には足を踏み入れたこと、そして今回は念願のそういう仕事をしていると名乗ろうとする一日目。
空は青いが路地は薄暗い。キナ臭い連中が薬を売買していたり露出の激しい服を着た娼婦が男を誘惑している、ボロく日当たりの悪い位置にあるアパートの一室からそんなところを眺めながら歯を磨く。その片手間に古い木製のラジオの周波数をダイヤルで調整して今日の売れる話を探す。
「あー」
そうだ、今日からは売れる話を聞いてもしかたない、今日からは買う側になるはずだろう。如何せん習慣というものは抜けきらない。ラジオの電源を止め、口を濯ぎに向かう。湿っぽい洗面台の蛇口から水を出してコップに水を満たす。ガラガラと口を濯ぎペッと吐きだす。ついでに顔も水でぬらし目を覚まさせる。タオルを手に取り濡れた顔を拭く。鏡には少しばかり目尻の上がった茶髪の男の顔が映る。自分な訳だが。
部屋に戻り今日からは服装も変えようと思い買っていた服を取り出す。カーキカラーのミリタリージャケット、ブラウンカラーのロングTシャツに黒のジーンズ。正直服のセンスはどうかと問われたら分からないが他のそういう仕事をしている奴らと似たような服を選んだつもりだ。少なくとも。とりあえず袖を通してみる。別に似合わない訳じゃない、とりあえずはこれでいいだろう。
枕元に置いてある拳銃を手に取りジャケットの内側に忍ばせる。出かける準備はそれとなく出来た。財布を手に取りキーを取り出す。携帯をポケットに入れアパートを後にする。もちろん鍵は厳重に日本でも強盗があるんだ海外のましてこんなところじゃ鍵かけたぐらいでは安心できないが。
アパートを出ても薄暗い路地に変わりはない。少し歩くとホームレスの様な人が一枚の布にくるまって横になっている。死んでるんじゃないだろうかとも思うが声を掛ける気にはならない。わざとポケットのから小銭を落としてその場を立ち去る。
その足で朝にもかかわらずいつも世話になっている店を訪ねるつもりだ。酒の一杯でもおごってもらえるだろうなんて甘い考えをしながら軽い足取りで目的地に歩みを進める。
途中で娼婦に声を掛けられたり薬を買わないかと怖いお兄さんに声を掛けられたり身売りをしているのか少女に声を掛けられたりと朝から忙しないたらありゃしない。
店を訪ねると何故か朝からオープンと書かれた表札が雑にかかってある。どうしたのかと思い、店に足を踏み入れる。中にはその世界で名の知れた有名人が何人も集まっていた。唐突な来客に全員の目が俺に向く。背筋に気持ち悪い汗が流れた。目から逃れる様に店長のところまで近づいた。
「どうしたんだ?」
そう尋ねると眼を丸くして店の店長は驚いた。
「何にも知らないで来たのか?こいつは驚いた、ついてるぜモノクロ。 いいこと教えてやる【ウォーキング】が今日、ショーをやるらしい。この近くで」
【ウォーキング】がショーをやるだって?しかもこの近くで今日。こいつはデカイ話が舞い込んできたもんだ。
「売るとしたら幾ら?」
自然とその言葉が出た当たり俺も相当見に行きたいのかも知れない。
「金なんていらねぇさ。本当にただの噂の域を出ないからな。無駄足になるかも知れない噂でも【ウォーキング】のショーが見られるならって奴は幾らでも居るけどな」
「そうか、ならありがたくタダで聞かせてもらっとくよ」
そう聞くと満足げにはにかんだ店長。そして、冷静な口調で話始める
「今日の午前零時から午前二時まで廃棄されたイーストホールの第二劇場で【ウォーキング】のショーがあるらしい。ただし【ウォーキング】には出会うなよ、死にたくなけりゃな」
「勿論、まだ命は惜しいからな」
だが
「【ウォーキング】のショーなんて前祝いに丁度いいじゃないか」
「前祝い?」
不思議そうに店長に聞かれて、ようやく本来の目的を思い出した。
「そそ、今日からモノクロは情報屋やめて、そういう仕事するから宣伝よろしく。つー訳で酒、おごりで」
「全く、いきなり大胆奴だな。とはいえ酒か……。そうだな、たまにはいいだろう。とっておきのを出してやろう」
「さすが!話がわかるぅ!」
苦笑されたが当初の一杯おごりは達成、しかもかなり上物の酒。さらに【ウォーキング】のショー。最高の前祝い(ショー)だとは思わんかね?
などとふざけて小さく笑うと店長が俺の前にビンをドンッと置く。
「ほら、いい酒だ。一本くれてやるから今日は帰りな」
置かれた瓶には漢字が書かれておりどうやらこれは
「これって日本酒?」
「いい酒だろ?」
ニィと店長が黒く笑う。確かにいい酒だ。久しぶりに飲んでみるのも悪くない。遠慮なくビンを手に取り手渡されたビニール袋に入れて店を後にする。
店を出てビニール袋を目線まで持ちあげる。夜には酔いがさめる様に調子を合わせて戴くとするか。経験上適度にアルコールが抜けるのには六から八時間位かかるだろう、多めに見積もって三時まで飲んでられそうだな。
他にも色々用意するものが無いか考えながらつまみでも買って帰ろう。
足をアパートと反対方向に向ける。とりあえずマガジンとつまみは確定として他に何か無いだろうか。
「イチシキさん」
不意に声を掛けられ振り向くと赤毛の少女が笑顔を向けてきた。
「やぁ、今日もお手伝いかい?」
「うん!」
元気よく返事をして可愛らしい笑顔を振りまく。
「毎朝偉いね。俺はこれからちょっと裏手に用事があるから行くけど、ついてきたら駄目だよ」
「危ないからだよね。イチシキさんも気を付けてね」
「ありがと、ご両親にはいつもありがとうって言っといてね」
「うん、じゃあまたね。バイバーイ!」
そう言いながら手を振って走りぬけていく少女の背中を見送ってから裏手の道にそれる。レンガの家の隙間を抜けて少し広い場所に抜け、そこから地下への入口につながる階段を下りる。
- Re: Walking ( No.3 )
- 日時: 2010/12/29 08:41
- 名前: まる (ID: uLhjJdVj)
始めまして(★´∀`)ノ゛
まる と申しますw
小説読ませてもらいました。
描写がとても上手く、読みやすかったです(*^ワ^*)
これからも、応援してますっ(つω`*)がんばってくださいね!!
- Walking-第1章- ( No.4 )
- 日時: 2010/12/29 23:55
- 名前: 深山羊 (ID: TNiD2WXY)
扉の横には人が椅子に座ってこちらを見ている。
「モノクロか。珍しいなこんな時間に」
椅子に座っているのは知り合いの男だった。つーか赤毛の元父ちゃんじゃん、偶然だな。ここの入口には常に誰かがいなければならない外の人間が入ってきたらまずいことになるからというのもあるが何より名のある人が入ってくる場合の接客である。
「ちょっと朝から一杯ひっかけようと思ってね、つまみと弾買いに来た」
クイッと酒を飲む仕草をしてみせると男は
「良い御身分だことで、番じゃなけりゃ付き合いたかったんだがな」
「まあせいぜいがんばってくれよ」
男は扉のカギを開けてくれた。
「おっと、出来ればなんか差し入れ買ってきてくれよ。昨日の晩からずっとなんで腹が減って仕方ねぇんだ」
そう言っている傍から腹が飯をくれと悲鳴を上げている。どうやら本当に限界みたいだ。
「了解だ。今度酒でもおごれよ」
「酒ばっかりだなお前」
「たばこはしないけどな」
「女もいないけどな」
「お前もな」
二人で苦笑しながら一旦別れて中に入る。薄暗い廊下、唯一の光は弱々しい蛍光灯、後ろから鍵のかかる音が響く。足取りを早くして廊下を抜けるといつもながら不気味さを孕んだ空気が体を包み込む。闇市場という言葉そのものといっていい位には酷い有様、ここでは日用品から軍御用達の銃器までなんでもござれ。御用達の店でマガジンを多めに購入して酒の肴が無いかとうろつき回る。久しぶりに立つ寄ろうと思い顔を出す。
「こんちわ」
店にたどり着く、ここに来るのは久しぶりだ。
「おお、モノクロか。やっとあたしを襲う気になったのかい?」
ケラケラと笑いながら奥から出てくる。
「朝から盛ってんじゃねーよ」
ほぼ全裸の女がナイフを片手に血の臭いをさせながら近づいてくる。
「ここじゃ朝だろうと夜だろうとヤりたいときにヤるもんなの」
店の奥には入った時には分からなかったがバラバラになった肌色の何かが無造作に放置されていた。
「残念だがお前には欲情しないな、とりあえずその全身の傷を消す作業から始めろよ」
「やぁーだ、自分の体で試し切りしたいじゃない」
手に持っていたナイフでまた自分の体に切り傷を付けていく。しかし表情は恍惚で艶かしい。
「このドМめ」
「言葉攻めも大歓迎よ」
「こいつには弱点がねーのか?」
「ここにあるけど?」
そう言って自分の股に指をあてがう。
「黙れ、淫乱ドМ女」
「もっと言って」
ハァハァと息を荒げながら近づいてくる。明らかに逆だろ、常識。
「それはそうと、そこのバラバラの奴とヤってたの?ヤったの?」
女は頬を釣り上げて背筋がひんやりする様な恐怖を感じさせる笑みを浮かべた。
「ヤりながらヤっちゃった、さいっこうによかったわ」
「マジで変態すぎんだろ。ドМだけじゃなくてドSもかよ、立ちが悪い」
「やん!そんなこと言わないでっ!」
「もういいかこのノリ、疲れる」
「つまんないの、じゃあなんの用?」
ふざけ倒していた雰囲気は消え真面目な顔をして聞いてくる。
「外で食える飯と切れ味のいいナイフ。ちょうだいな」
「はいはい了解しましたよ〜」
悪そびれた風もなく適当に店の中にある棚から食事を出してナイフは別のところに掛けてある。その中から机の上に置かれる。
「幾ら?」
「一回抱いてくれたらタダでいいよ?」
「眉間に穴が開くのとお金もらうのどっちが好き?」
「意地悪、別にタダでいいよ、そこの男お金持ってたから、今お金より別のモノが欲しいな」
「じゃあタダで貰ってく。ありがとな」
早々に店から立ち去る。後ろから声が聞こえるが気にしない。あんな変態に付き合うほど暇じゃない。
結局その後見つけたするめいかと水を買って闇市を後にした。来た道を戻り入口まで戻って中から鍵をあける。
「早かったな」
「ほれ」
手に持っていた食料と水を手渡す。
「助かったよ、今度酒をおごっちゃる」
「明後日にでもお願いしようかな」
「任せときな」
幾らか会話を済ませると帰路について手荷物を確認しながら自宅へと歩みを進めた。
◆
昼の三時。
ほろ酔い程度に飲んでいた酒だが気がついたらビンは殻になっており、さっき買ったはずのするめいかも残り僅か。
「うーむ、そろそろやめとくか」
殻のコップを机に置き食べかけのするめいかを放置、何も考えずベッドに倒れこむ。
「夜のショーまでちょっとおやすみしよう、そうしよう」
携帯のアラームをセットしてそのまま眠りついた。
次に目を覚ましたのは夜の10時前、起きて一番に熱いシャワーを浴びて目を覚まさせる。バスタオルを腰に巻き、薄く生えた髭を剃る。別に剃る必要はないが目を覚ます行動の一つ、歯を磨いて髪を乾かす。
気がついたときには10時40分を回ろうとしていた。すばやく着替えて銃を懐に忍ばせマガジンを胸ポケットと腰に隠すように入れるスペースがあるので見えないように入れる。朝に手に入れたナイフも腰に入れ、こちらも見えないように装備する。
全体的には少々重みがあるかと思ったが思いのほか軽く飛んでも音はしない。そろそろ行こうか。
もしも【ウォーキング】のショーがあるなら、それに越したことはないが彼に出会う危険性も比例してある訳だ。ハイリスクハイリターン。ハイリスクだがリターンはそれ以上の見込みがある。
彼のショーの噂はよく耳にする。彼のショーでは本当に人が死に、まるで劇などではなく本当の出来事の様に皆が役を演じきる、それもそのはず彼がMr.【ウォーキング】と呼ばれる理由の一つ。
【歩く死体】(リビングデッド)を操る力があるからだ。正しくは死体を歩かせて生きてるかのように動かす、だからこそ死を演じさせることができショーのクオリティーが上がる。
ぜひとも一度でいいから見てみたい。本当の意味での茶番もない本当の本物の劇という名の物語を。そうこうしている間に時計の針は11時を回っていた。早くイーストホールの第二劇場へ向かわなくてはならない。
アパートの自室に鍵を掛け徒歩で目的地に向かう。どんなに遅くても11時50分にはイーストホールに付く計算の元動いている。
「……寒いな」
外は思いのほか冷気を帯びており身震いするほど寒さが体に凍みる、しかし少し酔った頭には丁度いい気つけだ。歩くこと三十分前後、思いのほか早く到着してしまい時間にはまだまだ余裕がみられる。
まだ三十分前ほどだというのに人や人外その他諸々の裏の有名人が大集結。ここで喧嘩でも起こったらとんでもないことになりそうな面子だらけだ。
一足先にと第二劇場に足を運ぶ、ほとんど廃墟に近い町はずれのイーストホールだがとある曰く付きで全く取り壊されていないのがこの第二劇場。その曰くのせいで廃墟となったのは言うまでもないことなのだが。
その曰くというのが劇中に本当に死人が出てその死人が出てから怪我や事故が多発するようになったとか、取り壊し作業でも同じように事故けが人が絶えなかった、あとはそのまま放置されて荒れ放題というわけだ。
- Re: Walking ( No.5 )
- 日時: 2010/12/30 00:05
- 名前: 深山羊 (ID: TNiD2WXY)
おはこんちこんばんわ。
まるさんどうも初めまして。
深山羊でございます。
堅苦しいのはできるだけ無視して。
何よりも初コメということで多少舞い上がっていたりするんだ。
それに描写をほめてもらいなおかつ読みやすかったって言われるとすごくうれしいよ。
今後もコメントを励みに精進いたしますので今後もよろしくお願いします。
ではこれで。