ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- からっぽMAGIC
- 日時: 2011/01/22 21:37
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
要所要所に科学的根拠がないものや学術的に間違えた認識のものが出ますが
話の説明上そのほうが分かりやすいといったものが大体なので
その部分に目を瞑っていただければ有り難いですが、詳しく説明など
そういったコメントもお持ちしています。なにぶんアホな子なもので
登場人物 >>10
一話「変わる世界、変わらない日常。満ちる悪意。からっぽな自分
>>1 >>3 >>4 >>5 >>6 >>7
「隣を歩く者、かつて隣にいた者」
>>8 >>9 >>11 >>12 >>13 >>14
- Re: からっぽMAGIC ( No.5 )
- 日時: 2011/01/04 19:43
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
異能の力には幾つかの種類がある。一つは身体強化。言葉の通り
次に自然現象。火や水といった自然界に存在するものを操ったりする。
次にどちらにも属さないタイプ、これは説明が難しいが簡単なものだと
自分以外のなにかを召還したりするのはこれに属してる。
この三つが最も多い。また傾向もあり四年前、十代前半だった者は大抵
前者二つの身体強化、自然現象の異能に目覚める。それ以降は特殊型になる
そして最後にその三つとは次元が違う能力。特殊進化型がある。これは
能力としては特殊と変わらないがまずこれに目覚めた者は軍隊一つには値する
四年前の災害いらい異常に発展した科学によりこれらを調べることが可能になった
「この仕事がなければ……教師も楽なのにな」
以降、十代を中心に異能を使った格闘技のようなものが横行しだした
お決まりのように教員の殆どは時代遅れな見回りをするハメになる
特に俺はDの担当なので馬鹿どもを良く見つける
「ははっ、何回目かな先生と会うのは。ま、お手柔らかに」
街道のど真ん中で俺は教え子一人と対面していた。
名は堀内ゴウ、容姿は茶色の短い髪に引き締まった表情
長身と逞しい体つきの上度量の大きい、いい奴だと言える。がアホだ
三島よりさらにアホ。下から五番目
「俺の仕事を増やすな。給料にならないんだぞ」
「まぁまぁ、一回くらい先生の能力見ないとな。男の意地って奴だよ」
俺の能力なんて使えたもんじゃない。そう何度も言っているのに毎度こうして
夜中に路上で喧嘩してる……いいのかこれで?
観衆が多いから下手なこと出来ないのも辛い
「てことでよろしくね。ハァッ!」
堀内の能力は”巨人ころしの剛腕”屈強なくせにまだ身体強化をする。
見た目の変化は殆どないが殴られれば人の体なんてひとたまりもない
こういう格闘技のランキングもそこそこ高いって聞いたこともある。
「何度言ったら分かるんだ……学生なら勉強しろ!」
俺は腰を捻り軽くジャンプしながら一回転し遠心力のついた回し蹴りで堀内の顎を
的確に蹴る。こんなご時世だ御法度じゃないがあまりいい光景とも言えない。
だから最大級の譲歩で一撃で失神させる
堀内の弱点は腕の強化のみで急所に対する強化がまったくできないこと
「堀内、ほどほどにして帰れよ。それと明日は反省文の提出」
堀内がこの程度では失神しないことをしているからそれだけ言い残して俺は
その場を後にする
- Re: からっぽMAGIC ( No.6 )
- 日時: 2011/01/04 21:12
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
堀内を蹴った帰り道、俺は真っ黒なコートを着た黒い長髪の男に呼び止められていた
「君の能力を見たいのは少なくない。見せてくれないか? 籠野ユウ」
名前を知っているってことは結構緊迫した状況なのか。現に俺はコイツを知らない
少なくとも友好的な雰囲気はない
「私はインフィニット。もう一度言う君の能力……見せてもらえないか?」
「断る。俺は見ず知らずの奴となれ合うほど出来ちゃいないんでな」
着た道を引き返そうとして後ろを向き歩きだそうとしたとき
不意に背後から寒気に似た何かを感じる
「連れないな。君のD-メイカーには興味がある。是非一度見てみたいのだよ」
インフィニットと名乗った男は俺が逃げるよりも早く俺の肩を左手で掴む
なんて力だ。肩が潰れそうなほど痛い。コイツも身体強化型か?
「私の能力は”法を乱す悪魔の左手”面白い能力でね」
俺はとっさにふりほどき手を前にかざし、二次元の見えない壁を作り出す
そう、これが俺の能力、点、面、空間を生み出す能力。これはそのうちの一つ
面の発生で全く視認できない壁を作り出して距離を取る
「人というのは精密にできた機械のようなものだ。行動はプログラムと言ってもいい
私の左手はそれを書き換え、あたかも自らの行動のように感じさせる
故に法を乱す悪魔のような力だ。そしてこれが……」
インフィニットが右腕を振ると同時に俺の体がなにかで叩かれたように横に
吹き飛び近くの茂みに落下する。なにが起きたんだ? 今のも俺の行動なのか?
「私の右手の能力”征服する神の右手”他者の能力を使役する。今の世の中で
神のような能力だ。右手と左手が私の能力。どうだ?
君も本気を出さないと危ないぞ」
知ったことじゃない。俺は三次元の空間を生み出し二次元の面で囲い
多分八角棍のような空間を生み出す。なにしろ俺も見えない
それらを大量に生み出し俺とインフィニットを点と点で繋ぎ飛ばす
致命傷にならなくともこれで時間は稼げる
「言っただろうプログラムだと。私が君の能力を使いそこの茂みへと飛ばす
そうすれば君は能力を使い時間を稼ぐ。全て私の掌の上だ」
俺を多い囲むように土煙が上がる。これは見えないが俺の八角棍だろう
見えない牢獄となった俺の生み出した空間を消そうとしても消えない
インフィニットに乗っ取られているからか?
「籠野ユウ。君の能力は実に面白い。だがまだまだ私の足下にも及ばないな」
- Re: からっぽMAGIC ( No.7 )
- 日時: 2011/01/05 15:38
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
制御を乗っ取られた自分の能力のせいで身動きがとれない
このインフィニットという男の能力は厄介すぎる。死角が見あたらない
「もう少し手応えがあると思ったが……まぁこんなものか」
インフィニットの腕が伸びてきて俺の頭を掴む。右手ということは改竄じゃない
「ふむ、今日はこれくらいにしておこう。次に会う機会があればまた手合わせ願うよ」
インフィニットは俺の能力を解くとゆっくりと宙に浮く。一体幾つの能力があるんだ?
目にも留まらない速さで飛び去っていくインフィニット。奴は何者だ?
都会の建設途中で廃棄された廃ビルから夜の摩天楼を見渡す少女
銀色の髪とゴスロリ調のドレスからまるで人形のように見える。仲間内から
シンクロシニティと呼ばれる少女は怪しげな笑みを浮かべながらじっと
街を見つめている
「彼はどうだったかしら? 仲間に出来そう?」
階段を上がってきた長身の男インフィニットに対して少女は訊ねると
インフィニットは小さく笑い
「あぁ、彼はこちら側の人間だ。それともう一つシンクロシニティに見せたい
我らの新しい仲間、名をアンフォーギヴン」
インフィニットの陰で見えていなかったが白いコートを着た高校生ほどの少年が
フードを目深に被って立っていた
「君や私と同じ特殊進化型。是非君に力を見せたくてね。アンフォーギヴン
手加減は失礼だ。全力でいくといい」
コクリと頷いた少年は身を屈めるように真っ直ぐ走る。腕は振らず不格好だ
「歓迎するわ。アンフォーギヴン。さぁ、あなたの力を見せてちょうだい」
シンクロシニティの手はオレンジ色に光り出すのとほぼ同時に少年の手に突然
二本の白銀の綺麗に装飾のされたクレイモアが生まれる
それらを振るとシンクロシニティの手の光が途絶える
「能力は”粛正する尊き天使王”私や君、いや日本中の誰もが抵抗できない
完全無効化能力。君の”絶望する天の光”すら防ぐ」
「ふふっ、素晴らしいわ。よろしくアンフォーギヴン。自己紹介しないとね」
待っていたように陰から三人の男女が出てくる
「アイデンティティ、”完全主義者”よろしくな」
金髪の長身の男が言う
「ヴェロニカ、”屈服させる絶対強者”……よろしく」
眼鏡をかけた黒髪の小柄な少女が面倒そうに言う
「デイドリーム、”癒える事なき悲しき傷跡”よろしく頼みます」
最後に和服を着た妖艶な女性が言う
- Re: からっぽMAGIC ( No.8 )
- 日時: 2011/01/06 00:06
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
インフィニットの突然の襲撃から一週間が経った。その間俺の周りに変化は無かった
世間もこれといった騒ぎもなく。俺に接触してきた人間も居ない
「…………補修を始める」
が、そんなことはお構いなしに俺の時間は削られる。悲しいかな一週間の間に
行われたテストを全て欠席の奴がいた
名を御津クレハ。学年トップの学力だが奇人過ぎてDクラスになった変わり者
艶のある黒髪をまっすぐ伸ばし白いカチューシャで止めている
容姿も美麗といって差し支えない。お嬢様と言っても通りそうなほどだ
「俺は明日からアホどもの補修もあるんだが……」
と、愚痴ってみるものの御津は完全に無視し与えられた課題を済ましていく
俺が担任になってから御津の声を聞いたのは数えるほどだ
まぁ静かな分、アホどもよりはマシだが
それから小一時間で御津は帰っていった。ちなみに課題の方は全問正解
最初からこうしてくれれば文句はないんだが
「そのような顔をしていては幸せが逃げるぞ?」
「うるさい。お前等がちゃんとしてくれれば俺は文句を言わない」
廊下を歩いていると後ろから凛とした声で呼び止められるが構わずに歩を進める
すると、呼んだ本人は俺の隣を歩く
俺よりは低いが長身と目のやり場に困る体つきに学校一と呼び声高い容姿
能力の副産物らしいが薄い青色になった髪をポニーテールにした女生徒
生徒会長、染代リョウコは続ける
「それは無理な相談だ。私たちは学生だ。今を生きることに精一杯なのさ
後を省みず目先のことに全力を尽くす。若い今だからこそ。
そうやって毎日を生きているんだ。そして最後に笑って省みることが出来れば
それを青春というのだ」
学年次席の学力で生徒会長と嘘のようなステータスだが彼女もDクラス
理由はあまりにも自由な性格の為。だが彼女は芯は多分
俺たち教師よりしっかりしていると言える。現に今の言葉は大人の下らない御託より
的を獲ていて俺も少なからず同意する。そういった少年少女を後ろから追うのが
俺たちの一つの役目なんだろう
「そう、かもな。それより力の方は大丈夫か?」
彼女の能力は実は不安定だ。制御こそ出来るものかなり危険な能力だ
そのため俺がよく手を貸している。この学校で唯一俺の能力を知るのも彼女だ
「あぁ、今のところは安定している。この”欲する蒼き焔”は先生無しじゃ
もう使えないも同然だ。ふふっ秘密の共有というやつだな。これからもよろしく頼むよ」
- Re: からっぽMAGIC ( No.9 )
- 日時: 2011/01/06 00:38
- 名前: 木馬 (ID: OfqjeFpF)
同日の深夜、俺は都会の中を走っていた。かなり状況は緊迫している
その日の晩、寮に帰宅した俺を待っていたのは一本の電話
染代、御津を除くDクラスの者と生徒数十名が未だ帰宅していないというものだ
Dクラスの人間だけならまだしも、他のクラスの者までもが帰っていないのはおかしい
「染代、見つかったか?」
「いや、誰一人としていないな。これは間違いなくただ事じゃない」
俺は断ったがどうしてもと言われ染代にも協力してもらい探すも
顔を知るものは一人も居なかった
「これは奴らの仕業かな。先生?」
「わからない。が、だとしてもこれは多すぎる。全部で八十七名だ」
「確かに、だとしたら他の線を当たるしかない」
俺と染代だけがわかる会話。こうしてる間にも事態は間違いなく進んでいる
誘拐事件としては範囲が大きすぎる。唯一の共通点は染代、御津両名に比べ
他の者は異能が未発達な点だろうか。手掛かりが少なすぎるな
「お困りのようだね。我らが手を、貸してあげようか?」
この声忘れるはずもない。奴、インフィニットだ
今回は敵対心のようなものは感じられないが相変わらず近くに居るだけで寒気がする
「……なにか知っているのか?」
「先生!? 見るからに怪しいぞ?」
それは否定しない。俺の後ろに立つ男を信用する気はない。俺は奴の左手に意識を
集中し顔を見ないように訊ねると予想した通り答えはすぐ返ってきた
「人並み以上にはね。付いて来たまえ。ここは目立つ」
俺と染代は廃ビルの中に並んで立っていた。目の前には三人の男女
インフィニットと後二人は知らない名はアンフォーギヴンとシンクロシニティというらしい
「単刀直入に言うと、君の教え子たちを誘拐したのは、ほぼ間違いなく
異能持ちが味方する、とある軍だろう。その軍が所有する空母が現在太平洋にある
私たちが手を貸すのは君たちをそこへと送り込むまでの手助けだ」
この数時間でそれだけのことを手に入れるあたりアジトはふざけているが
この連中がただ者じゃないことだけは改めて気づかされる
だが、これで話は終わりじゃない
「それでアンタ達は見返りとしてなにが必要なんだ?」
「話が早くて助かる。まず一つは君たち”二人に”作戦を成功してもらうこと自体が
我々には有益となる
次に私と君たちが敵対関係じゃないというのを認識してもらえればこれも有益だ
最後に君たちに異能を使って生徒諸君を救出してほしい」
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