ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ボク僕事情。
- 日時: 2011/01/19 17:39
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
えー、初めましてorお久しぶりです。
元時雨です。
なんか、時雨って名前が多くなった気がするので雑談掲示板と同じ名前にしてみました。
荒らしなどはお断りです。
コメント、アドバイスは大歓迎。
どうぞよろしくお願いします。
- Re: ボク僕事情。 ( No.7 )
- 日時: 2011/02/08 18:39
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
五時限目はとてつもなく暇だ。
聞いてなくても教科書だけでできそうな問題ばかり。
お弁当の後はただでさえ眠いのに、こんなに退屈じゃぁ、寝る気も失せる。
なので、昼食のときに説明しそこねた三人目の友達を紹介しよう。
クラスは違うが中学のときから友達の谷原奏。
オシャレとかでひぃさんとは違う意味で人気者。
ていうか、中学のころから思ってたけど、この子は友達っていうより……。
マイナスに考えるのはやめておこうか。
友達になったのは中学二年のとき、同じクラスになったら向こうから話しかけてきた。
そのときから人気者でしたよ、ええ。
そんな人がなぜボクになんか……と思った時期もあった。
と、こんなもんかね。
友達のことをベラベラ話すのがこんなに恥ずかしいなんて知らなかったな。
そんなとき、コス……と微かな音がした。
ボクの机の上から。
窓の外を見ていたボクは机に目を向ける。
四つに折られた小さな手紙。
差出人は、考える必要もない。ひぃさんだ。
ボクのほうを見て、ニシニシ笑っている。
よくあんなところから届くよなぁ、と関心する。
そこまで席は離れてないけど、机の上に投げれる自信はボクにない。
片手でひらいてみると
『この授業わからないからあとで教えて』
と書いてあった。
こんなこともわからないのか、と上から目線でアイコンタクト。
だが、ひぃさんは理数系が苦手だったな、と思い出した。
勉強は憂が得意なのだが、ボクも一応できるほう。
人気者組と勉強組にわかれている。
文系はそこそこできるのになぁ、ひぃさん。
なんでそこに数字やらなんやらでてくるとわからなくなるんだろう。
惜しい頭しているよねー。
授業中はそんなことも考えて終わった。
……なんかボクなんだかんだいって人生楽しんでるよね。
ちょと自覚してみた。
- Re: ボク僕事情。 ( No.8 )
- 日時: 2011/02/12 12:28
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
一話が終わったところでキャラクター紹介。
真結(マユイ)
一人称がボクの普通(だと思う)の女子高生。
坂立 瞳(サカダチ ヒトミ)
真結の友達。
詳細は一話をどうぞ。
篠月 憂(シノヅキ ユウ)
真結の友達。
詳細は以下同文。
谷原 奏(ヤハラ カナ)
真結の友達。
詳細は以下同文。
- Re: ボク僕事情。 ( No.9 )
- 日時: 2011/02/16 17:56
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
二話「僕の事情」
僕は夜の街を歩いていた。
都会でも田舎でもないこの町。
十九歳の僕の意見はとても居心地がいい。
高校のとき田舎から来た人が「ここは都会だからなれない」と言った。
都会から来た人は「ここは田舎だね」と見下した。
この町なんてどうでもいいと思っていた僕は何も思わなかったが、都会から来た人の言い方にむかついた。
でも、改めてみるとここは田舎っぽい。
でも田舎になりきれてない。
そんな変なふうに交じり合ったこの町が好きだ。
それを友達に言ったら「漫画の読みすぎじゃないか」と言われたけど。
僕には一人の妹がいる。母もいるが、父はいない。
殺されたんだ、父は。僕は犯人を知っている。
でもその情報は要らなくなったけど。
「どうしよっかなぁ」
大学にいっていないこの十九歳を雇ってくれる会社なんてないだろうな。
てか、いけれない。僕は夜行性だから。
だから今夜のこの街を歩いているんだけど。
ちなみに僕の名前はマヤ。
この名前を聞いて女のこの名前っぽいと言う人が多いが僕は男だ。
一人称だって僕、だから分かるよね。女は僕なんて言わないし。
……あ、一人だけ知り合いにいるな。
漢字で書くと真夜。
自分ではかっこいいと思うけど、みんなはどう思うかな。
女の子っぽいと思う?
考え事しながら歩いていると、一人の男にぶつかった。
僕と同じくらいの年頃。
どうみてもどこかで道を踏み外してなんでもできます、みたいな悪だった。
この町にはやくざとかいないけど、こういうガラの悪いやつはごろごろいる。
親に見放され、悪い友を見つける人が友達にいた。
なんというか、悪いんだけどこういう人みると泣けてくるんだよね。
同情というか……だから悪いと思ってるって。
「んだ、てめぇ」
「………(今日はもう家に帰ろうかな)」
「何黙って睨んでんだ」
「………(もうすぐ一時か。良い子の僕は寝ないとね☆)」
気がつくと前にいる男が殴りかかっていた。
あれ、僕もしかして睨んでた?意識してなかったなぁ。
「…でもね」
男は僕の発した第一声に耳を向ける。
でも振り下ろす手はとめない。
「…この体を傷つけようとする行為はやけてほしいなっ」
僕はどこを蹴ったのか知らない。
たぶんこのうめき具合から鳩尾にでもくらったかな。
僕はその男に一言謝って、さっさと家に帰った。
- Re: ボク僕事情。 ( No.10 )
- 日時: 2011/02/27 12:30
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
0時過ぎに家に着いた。
僕の活動時間は0時から四時までの四時間が普通。
前までは五時ぐらいだったけどあいつの起床時間が早くなったから短くしたのだ。
で、どうしようか。
あんなことがあったから今日は外に出たくない。
だけど、暇だし、暇だし、暇だし。
そぉっとドアを開けて、そぉっと入る。
母親にばれたらおしまいだ。
階段も一段一段丁寧に。
勢いよくドアを開けて飛び込む。
明かりを付けたら母親にばれるかな、と思ったけどそれはないだろ。
カチッと音を鳴らして辺りを明るくさせた。
暇なので近くにあった携帯ゲーム機を取る。
つけてピコピコ。
ああ、暇じゃなくなった。
そのままゲームにめり込んだ。
そして気づけば朝の五時。
やばって思った。
どうしようって思った。
とにかくめちゃめちゃあせった。
とりあえず布団をだして、そこに寝た。
寝れなかったけど寝た。
そして変わりにあいつが起きた。
僕の意識があるままに。
数時間後。
僕はいつのまにか寝ていたみたいだ。
夜の0時だった。
母親を起こさないように家を出る。
そして昨日みたいに街を歩く。
ガラの悪そうなやつを何人もみた。
でも今日は襲ってこない。
昨日のことで、ではない。
ただ僕みたいな人には興味がないだけで。気づかないだけで。
だから今日は長く街にいられた。
もう常連になった喫茶店がある。
本当はこの店は閉まっているはずなのだが僕がわがままを言ったのだ。
マスターは、僕の秘密を知っているから。
どこかに逃げ場所がほしかった。
この喫茶店は昼は人気だか夜になればガクンと数が減る。
この時間にあいている、と人々が知らないからだ。
知っているのは僕とたまたま知った数人の人だけ。
看板もだしてないし中も薄暗いから準備をしているだけだと思い込んでるのかも。
そんな感じで今日ここにきているのは僕と常連のしーさん。
しーさんはあいつの学校の卒業生で二十歳過ぎの大学生。
女の人でそこそこ仲がいい。
元ヤンキーで金に染めた髪がまぶしい。
「カクテル一杯」
「ここはバーじゃないんですから」
「でも、カクテルあるんだからだして」
「はいよ、マヤは?」
「僕はお茶でいい」
お茶をすすっていると落ち着く。
昨日はなにも飲んでないような気がする。
「学生が夜に歩いていいの?」
としーさん。
「学生じゃないです」
と僕。十九歳のニートです。
しーさんは、可笑しそうにそして不思議そうに笑った。
- Re: ボク僕事情。 ( No.11 )
- 日時: 2011/03/06 13:11
- 名前: 黒凪 (ID: bQbYMR0G)
この喫茶店は三時に閉まる。
そして今は二時。
後一時間かー、としーさんが帰ってから考えた。
マスターは奥に行って寝てしまった。
何かあったら呼べと言って。
店開けたまま店主がどこか行くなよ、とか思うけどこの時間になったらいるのは僕だけだ。
一応信頼されている僕はこの時間から終わりの一時間後まで軽い店番を任される。
飲み物は出せないが、話し相手と怪しい人がこないかの監視ならできる。
ここのマスターは男で中高でボクシングをやっていたらしく強い。
僕も前に教わったときがある。
イケメンということもあり、それが理由で来る人もいるとか。
しーさんもその一人だったような気がする。
そろそろ僕も帰ろうかな、と思い出したとき。
カラン……と微かな音が聞こえた。
喫茶店の扉についてある小さな鐘の音。
お客さんが入るとき毎度鳴るものだ。
今の時間にお客さん?
そう思って振り返ると、そこには誰もいなかった。
ただ扉が少し開いているだけ。
そこから冷たい風が通ってくる。
風で開いたのか。
でもそんなはずはない。
僕の第六感が危険を知らせる。
「マスター!」
無意識のうちに叫んでいた。
奥から走ってくる足音が聞こえてくる。
「どうした!」
マスターが来た。
僕が誰もいない店の中で身構えているのが変なのか首を傾げる。
でも僕の第六感はまだ騒いでいる。
「……マスターは分からない?」
「ああ、分からな……いや、何かいるな」
「でも誰もいないんだ」
「……今日は帰れ。途中まで送ってやる」
僕は頷き少しあいた扉から外に出た。
第六感はおさまっていた。
「マスター」
「何だ」
「……なんで喫茶店なんですか」
さっきのことを頭からはなそうとどうでもいい話題を出す。
「どこがいけないんだ」
「だってあれって喫茶店よりバーみたいな感じじゃないか」
それにマスターもバーテンダーみたいな服を着ている。
さっきはしーさんに喫茶店だと言ったが自分もバー感覚でいる。
「そういう店もいいだろ」
「うん。全然悪くない」
「……で」
マスターが話題を変える。
何を言おうとしているのか分かった。
だから、逃げようと思って走ろうとしたら腕をつかまれた。
「逃げるってことは、同じ感じがしたんだな」
「……気持ちが悪い」
「そうか。どうだ、もう店閉まったほうがいいか?」
「ううん。そうはさせない。マスターのほうが強いから。でも」
僕は言葉を切った。
マスターは僕が何を言おうとしたのかが分からないみたいだ。
この言葉は好きじゃない。
あの時の感覚を思い出させるから。
「……もうすぐ人が殺される。喫茶店のお客さんが」
それは本能がそう思っただけ。
だから確信はない。
でもマスターは僕を知っているから、たぶん信じてくれる。
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