ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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お嬢様と執事。(完結しちゃった(笑)
日時: 2011/02/06 11:50
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)

やぁ、良い子は寝ている時間ですww 夜中に出来上がった変なテンションの勢いで立てたと言うか……←

「どんだけスレ立ててんだよww」と言われそうです。3つ目かな? どれも放置のスピードで亀の如くのっそりとやってます。

これは前々から挑戦してみたかった男女のゴシックです。ゴシックってどうも女の子のイメージがあったから……。

グロくしたいけど、毎度の如くグロくならない……。
しかも人形だからね、血が出ないのよ……←夜中でおかしいと思ってやって下さいww


登場人物をの性格はあえて表記しません(笑) 其々の解釈があっていいと思うので、想像して下さい(笑)
因みに「ボイス」は私が勝手に声優さんをイメージさせてもらいました(敬称略)
迷ってる方もあります。その場合はお二人とも書かせていただきます。

登場人物は、女→人形(お嬢様と言われる) 男→執事(女を守る騎士?)必然的にそんな関係です。     

では、始まります。いつまで続くか解りませんが、宜しくお願いします。
……多々ある夜中のテンションは見逃してやって下さい←


 「お嬢様と執事」
+登場人物+>>01 >>02 >>03 >>06 >>07

0「薔薇人形」>>08

Ⅰ「アンティーク人形」>>11 >>12 >>16 >>18

Ⅱ「招かれざる人形」>>19 >>20 >>21 >>22 >>23

Ⅲ「人形と騎士」>>24 >>25 >>26 >>27

Ⅳ「終焉が欲しいですね。」>>28 >>29 >>30

〜後書き〜>>31


   +お客様+
・rara様 ・闇子様

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Re: お嬢様と執事。 ( No.24 )
日時: 2011/02/05 21:14
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)

Ⅲ 「騎士と人形」



「ハハハハハッ! どうせ貴様は何もできぬのだろう?」

騎士と云う存在に何ができよう。こういうとき、手出しをするな、と言われれば手を出せない。
たかがそんな存在だ。騎士は、喩え己の人形でなくとも、人形の命令を守らなくてはならない存在。

人形に逆らう事は、騎士の終わりを意味する。ただ一時力を分け合い、共に過ごし、本当に愚かしい生き物だ。


「あぁ……」

これまで長い時間を過ごしてきたお嬢様の、今まで見せた事のない様な苦悶の表情。


「貴様、私の足元に跪くつもりはないか?」

ラ・ヴェリテの身体を絞め続けながら、ふとソリテュードにそう語りかける。

気づけば、他の人形も触手に捕らわれていた。そして、ラ・ヴェリテ以外の人形はどこか負傷していた。


「そんな事をしたらお嬢様の苦しみは───!!」

身体が無くなっても、永遠に痛みだけを受け続ける。そんな惨たらしい事がどうしてできよう。



「……この人形は、今この醜態を晒して生きている事すら恥。それなら、人形としても死なせてやれ」

彼女の優しさが垣間見えたその言葉。いつもの刺々しい冷酷な雰囲気すらなかった。

まるで、母親のような優しさを……。暖かさを感じた声色。




「人形は、他の人形に痛めつけられている姿を晒す事が恥。それなら、その姿を消してやってくれ」


Re: お嬢様と執事。 ( No.25 )
日時: 2011/02/06 11:03
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)



「……お嬢様……」


姿在るまま痛めつけられるのが恥ならば、姿無くとも永遠の痛みを受ける方が楽なのでしょうか……?


「ソ、ソリテュード……」


駄目よ、あの女に近付いては駄目。私は今、貴方が私の騎士で存在しているから命を繋いでいるのよ───。


ラ・ヴェリテの心情とは裏腹に、ソリテュードはラ・メイユール・レーヌに近付いて行く。


「───善い子だ。それでこそ真の騎士」


ソリテュードは無言のままラ・メイユール・レーヌの足元に跪く。



「お嬢様、自分をお許し下さい───」


そして、掌に乗ってしまうほど小さな右足を手に取り、黒い靴に口付ける。





「いやあぁぁぁっ!!!」

ラ・ヴェリテの断末魔の悲鳴が谺する。次第に、その小さな身体はバラバラになって行く。

ソリテュードの左手の薬指に輝いていた緑薔薇の指輪は、漆黒の薔薇へと姿を変えた。






「───」

お嬢様がこれで───解放されるなら───。喩え愚か者と蔑まれ様とも、自分は構いません。


「───私はお前たちの指輪が欲しいわけではない」


ふと、ラ・メイユール・レーヌが呟く。


「ここは私に負けたと、そう言う事にしてはもらえぬか?」


突然の語りかけ。嘘偽りは人形の恥。それを承知の上でラ・メイユール・レーヌはそう言った。




  己の姿が消えてしまうかもしれない危険性と、全ての人形が解放される可能性を胸に抱いて───。





Re: お嬢様と執事。 ( No.26 )
日時: 2011/02/06 11:12
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)




ラ・メイユール・レーヌの作戦はこうであった。全ての人形を自分に負けた事にする。
そして、自分がパルフェの魂を受け、アン・ニディオが消滅する唯一の方法


        愛した相手に殺される


その方法で、アン・ニディオ。我らの生みの親、最愛の神を殺すと言う。

アン・ニディオがこれからも存在し続ければ、必ず全ては狂いだすと言った。
狂いだす前に、歯車を止めてしまおうと。狂った歯車はもう元には戻らないと。


「ダメダメ! そんなことしたら……」

死んじゃうかもしれないんだよ、と泣きそうな顔で訴えるアンジュ。

いつの間にか、邪気の触手から全ての存在が解放されていた。


「つくづく面白い娘ね。自分が消えてもいいの?」

神を殺すとは、己も共に消滅してしまうかもしれない危険な賭け。
そして、アン・ニディオに対する永久の裏切りとなる。


「お前に覚悟が在るなら僕は止めない。でも、騎士さんの意見も聞いてあげたら?」

神を殺せば、不足人形と言われる以上の屈辱を受ける事となるかもしれない。僕は嫌だね、絶対に。



「俺は───。お前が信じた道を進めばいいと思う」

そう言うのはレ・テネーブル。ラ・メイユール・レーヌと誰よりも長い時間を過ごした存在。


「神を殺せばお嬢様も、もう一度目覚めるかもしれない───」

壊れたラ・ヴェリテを抱きしめながらそう呟く。生みの親が死ねば、彼女たちを束縛するものは何もなくなる。



その代償に、喋る事も動く事もできなくなる。だが、それは穏やかな事であって、幸せに繋がるかもしれない。

Re: お嬢様と執事。 ( No.27 )
日時: 2011/02/06 11:20
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)




「皆跪け。ラ・メイユール・レーヌと契約せよ」

不意にそう告げたのはマンソンジュ。ラ・シャッスの契約者。


「そうか……。ラ・メイユール・レーヌに力を与えれば───」

     
       生存できる可能性は確実に高くなる。



「まさかこんな日が来るとは……」


皆がラ・メイユール・レーヌの足元に跪いている。ラ・メイユール・レーヌは苦笑を浮かべていた。


「感謝するぞ。これからは味方か」


そして、その小さな足に口付けが落とされていく。全ての薔薇の指輪は黒になった。

だが、何故か人形は消える事はなかった。


「───絆、ね」


本当はこうなる事を───。望んでいたのかもしれない。


「アンジュも協力するよ!」


皆の指輪は黒薔薇に輝いていた。だが、誰もそれに不平はない。


「皆協力して、僕だけ協力しないのはね」

遠回しな言い方だが、協力するのに否定はしていないらしい。



「一体の犠牲は払ったが、もうこれ以上の犠牲が無い事を願おう」


さあ、行かねばならない。神が存在している聖地へ。その聖地が、穢れの血で染まる。


「緑薔薇の魂は必ず復活させてご覧に入れよう」

ソリテュードに微笑を投げかけ、全ての決意を終えて聖地に向かう。


「お帰りをお待ちしております。お嬢様」


もう元には戻れないかもしれないけれど、新しい幸福を見つければいい。


人形として飾られ、愛でられ───。闘いなんてもうどうでもいい。


今の人形はきっとその考えを持っている。全てを終焉へ向かわせる為に。




Re: お嬢様と執事。 ( No.28 )
日時: 2011/02/06 11:28
名前: 陰魔羅鬼 ◆ohBawF8LBM (ID: gwrG8cb2)

Ⅳ 「終焉が欲しいですね。」




「おお、待っておったぞ───」

最期の勝者はラ・メイユール・レーヌか。


「お会いできて光栄です。お父様」

白髪で、皺もあって……。老いてしまっているけれど、その青い瞳は希望の輝きを消していない。


「お前にパルフェの魂を授けよう。私とお前は一生離れる事はない」

両手で大切そうに掬われている青く輝く魂。澄んだ輝きを持った魂は、パルフェの象徴。


「……」

お父様が胸の前で魂を離す。その魂はラ・メイユール・レーヌの胸に収まった。



「おお、パルフェ……!! もう一度会えると信じていた! もう私とお前を邪魔する者はないよ!」


涙目で感動しているお父様。でも、パルフェの魂が埋められた私の胸には、鋭く尖るナイフが在る。


「……」


お父様に抱き締められながら、ただ微笑みを湛え、胸元のナイフに手を伸ばす。


「お茶にしよう。さあ、昔のように思い出を語り合おう……」

美しい薔薇が咲き誇る庭園の真ん中に置かれた、小さな白いテーブルと椅子。


聖地と呼ばれるに相応しい美しい場所が、これから血で汚れる。



「ええ、そうしましょう。お話したい事は沢山あるわ」


さようなら、喩え私は不足人形以上の辱めを受けようと、私は全てを止める為にその選択をした。



      最愛の姉妹たちだけが知っていればいい真実だわ。




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