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- 紅色チェリー
- 日時: 2011/02/12 12:23
- 名前: 檻月 ミシン (ID: STEmBwbT)
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初めまして。 檻月 ミシン、『オリツキ ミシン』と言います。
題名、ちょっと可愛いっぽいけれど、内容……、内容どうなんでしょう。
グロ描写、ありです。
・登場人物・
僕/なっくん・なつ
17歳 この物語のつっこみ担当。
幼なじみの中で一番常識人。 「僕はキミの味方で、世界の敵だ」
アカシ
明石 ヒヨリ
17歳 幼なじみの間でかなり大切にされている。
口下手で話すのが苦手だが、かなり攻撃的。
「好きな人は少し。 嫌いな人はたーくさん」
ヤマカゲ イチノスケ
山影 一乃助
18歳 幼なじみの中で一番年上。 寡黙。
皮膚の病気のため、包帯を体中に巻いている。
「綺麗な奴は嫌いだけど、ヒヨリは好きだ」
シイナ
椎名 ノゾミ
18歳 穏やかな性格で、変な所でツボる。
ヒヨリの事だけを思っており、後は興味ない。
「私は、ヒヨリの血肉でさえ愛します」
ミトガワ キセキ
水戸川 奇跡
32歳 刑事歴10年 6年前に4人と知り合う。
どこか馴れ馴れしい性格
「浅い呼吸でも、生きてはいけますよ」
- Re: 紅色チェリー ( No.2 )
- 日時: 2011/02/05 17:18
- 名前: 檻月 ミシン (ID: STEmBwbT)
1章
『幻影』
春になると、2年生になる僕としては後輩ができたり、受験まであと1年になったり、いろいろプレッシャーとなるべき事が増えたりもする。
が。
僕にとってのプレッシャーは、そんな小さい事じゃない。
「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい」
住宅街の大道路を自転車でかっ飛ばす。 あわわ、転びそう。 てか婆さんひきそうになった!
「あと1分じゃん。 くそっ、何で昨日徹夜してまで携帯やってたかな、僕は!」
だって無料ゲーム面白いんだぜ。 じゃなくて!
集合時間まで、あと約30秒。 遅刻したら、まあ殴られる事はないけれど、一日中ムスッとされる事間違いなしだ。
「うわっ、やべ。 ちょ、ストップ!」
できる限りブレーキをかけて、僕は坂道を下った所に座っている彼女の前に、時間ギリギリセーフで現れた。
「ごめん、遅れた?」
「せ、セーフ。 大丈夫、だよ」
自転車通学じゃない彼女、明石 ヒヨリは両手で大きく×を作る。
かわえーなー。
「2ケツ駄目なんだっけ。 んじゃ、歩いて行くか」
「わ、かった。 んで、あのさ、ノゾミは委員会の用事で先に、行ってるって。 ノゾミ、まだ寝てるって」
「昨日、携帯にメール入った。 僕じゃ不満?」
今度は物凄い勢いで首を横に振る。
「ちちちち、違う! 不満じゃない。 なっくん優しい」
「ん、どうも」
美人に優しいとか言われて、僕は幸せだ。 まあ、こうして待ち合わせまでしているけれど、僕とヒヨリは恋人同士とかじゃない。
さっき名前がでた、一乃助、ノゾミを入れた僕たち4人は、幼なじみだ。
しかも、同じアパートのお隣さん同士。
「毎度思うけれど、同じアパートなのに何で待ち合わせ、ここにしたんだよ。 アパートの団地で待ってればいいのに」
「えっと……、その方が、遅れちゃいけないって思うよ」
おおう、なるほど。 考えてなさそうで考えてるわけだ。
「今日から2年生なわけだけど、クラス同じだったよな」
「うん……? たぶん、同じ。 やったー」
両手を上げて、バンザイのポーズをとるヒヨリ。 黒セーラーがよく似合ってる。 こういうの、清楚美人っていうのかねえ。
「一乃助とノゾミも、同じクラス、だといいな」
「いや学年違うし」
あいつら3年じゃん。
- Re: 紅色チェリー ( No.3 )
- 日時: 2011/02/06 13:42
- 名前: 檻月 ミシン (ID: STEmBwbT)
一学期最初は簡単なホームルームと、入学式の準備だけで終わった。
準備だけ、って言うけれど、実際はかなりの労働作業。
机やら椅子やらを運ぶわけだけど、そんな事をヒヨリがやるわけがなく。
「うう……、おなかすいた」
「お前メシ食ってねえのかよ。 ちゃんと食っとけって言ったろ」
「ご、午前中授業だし……」
今までも何度か昼食を抜いてきていた。 一人暮らしのせいか、面倒くさいと判断すると、人間として最低しなければならない事を疎かにしがちだ。
「ったく。 だから一乃助と一緒に住めって言ってんだよ」
「うう……。 でもでも、メーワクかけるっぽいし」
「ダアホ。 あいつなら喜んでヒヨリと住むって。 僕だって出来ればヒヨリと一緒にいたいけど。 ……じいちゃん、五月蠅いし」
クラスの奴らが、準備に参加しない僕らを睨んでる。 お構いなしに、ヒヨリが僕を見て。
「殺すことはできない?」
至極、単純な質問をしてきた。 焦らず答える。
「できない」
「そう。 な、ならいいよっ。 なっくん、哀しい顔しないで」
「しないよ。 僕たちが哀しくなると、ヒヨリも哀しくなるでしょう」
頭なでなで。 顔ニコニコ。 ほっぺプニョプニョ。
「そろそろ準備終わるね。 先に二人で教室に戻ってようか」
ほっぺをプニョプニョしながら言うと、真っ赤になりながら首を縦に振った。
肯定と捕らえていいのかな。
「お、戻ってきましたか」
誰もいないと思っていた教室には、椎名ノゾミがいた。
美化委員会の委員長で、長すぎる前髪で片目が少し隠れてる。 僕たちの幼なじみで、イッコ上の3年生。
名前が女みたいだけど、実際オトコノコだ。
「何で2年の教室にいるんだよ」
「私、2年の時ここの教室でしたからねえ。 少し想い出に浸ろうかなって思いまして」
「あっそう」
嘘だろ。 どうせヒヨリが心配だったんだろう。 けっ。
隠さないで吐けよ。
「ヒヨリ、今日は一緒に学校に行けなくてすいませんでした」
「い、いいよっ。 明日、また一緒にガッコ行こう」
「はい」
……いや別に妬かねえし。 コイツはヒヨリ命だからな。 ヒヨリしか楽しみがねえ奴だから。
「今日は私も一緒に帰ります。 なつ、校門前で待っていて下さい」
ここで拒否ったらぶっ殺されるんだろうなあ。
「オッケー了解分かりましたっと」
- Re: 紅色チェリー ( No.4 )
- 日時: 2011/02/07 18:33
- 名前: リアル (ID: STEmBwbT)
ヒヨリ好きになったー。
口下手な子好きなんですわああ!
最初の「◇」って、ヒヨリですか?
- Re: 紅色チェリー ( No.5 )
- 日時: 2011/02/08 08:05
- 名前: 檻月ミシン (ID: STEmBwbT)
コメ、どうもありがとうございます。
そうです、最初の「◇」はヒヨリの小さい時です。
- Re: 紅色チェリー ( No.6 )
- 日時: 2011/02/08 16:34
- 名前: 檻月ミシン (ID: STEmBwbT)
ヒヨリを真ん中にして、右が僕、左がノゾミの順で並び、下校する。
「ていうか、何でなつは自転車なんですか。 そんな学校、遠くないでしょう」
「うっせー。 ヒヨリとの待ち合わせ時間に遅れそうだったんだよ」
「ああ、それなら一分でも遅れちゃダメですね。 今回の自転車利用は正解です」
涼しい顔をして言ってるけど、これでもし、ヒヨリを待たせていたら、僕は全治一カ月の怪我を負ってただろうな。
しっかし、自転車押して帰るのって面倒くせえな。
「あ、あのさ。 一乃助、は……?」
「部屋にこもってるだろ、どうせ。 ヒヨリも一乃助と住めばいいのによ」
もう一人の幼なじみ、一乃助を思い出す。 アイツにとってはヒヨリは妹みたいな存在だから、手を出す事は絶対にないから。
「一乃助は家事も何もしませんよ。 今も私があの人のご飯を作っているほどなんですから」
「新婚さんか、テメーら」
「そうしないとあの人、餓死しかけですから」
一乃助の、細い身体を思い出す。 あと、病気で爛れた皮膚の色も。 包帯を体中に巻いていて、外に出ないアイツを。
と、ここで。
「一乃助が死んじゃったら、私、泣くかな」
ノゾミの 「餓死」 という言葉に反応したのか、ヒヨリが呟いた。
その横顔は、普段の彼女の印象からひどく遠のいていた。 彼女だけ、どこか違う空間に行ってしまうようで、恐ろしい。
「例えが悪かったですね。 ヒヨリ、私たちは死にません。 あなたと、ずっと傍に居ます」
ノゾミがそっと呟く。
こういう時、僕はノゾミの声が好きだ。 安心する。
「そ、そっかな。 なら、私も安心だね」
僕と同じように安心したのか、ヒヨリも笑う。
彼女にとって、僕たちの存在は自分の一部であり、また、幸せを感じている幻想に過ぎない。
それでも、僕たちは彼女と居る。 そう決めた。
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