ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Program
日時: 2011/02/11 11:20
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: QSygN.Tt)

はじめまして故と申します。

という、語り方でわかるかもしれませんが久しぶりに戻ってまいりました(否、知らない方わからない方には関係ないのですので特に気にする必要はないです)


なんか他のに似ていたらごめんなさい。

《注意書き》
・更新がある日突然止まる確率があります。(努力はいたしますが)
・グロくてスプラッタなものにどうやらなりそうです。

 以上のことが本当に嫌な方はUターンお願いいたします。


最後に
暇な方、駄文かもしれませんがどうぞごゆっくりしていってくださいね。
忙しい方、たまには愚者の戯言でも聞いてみませんか?

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私の不幸なる日常 ( No.8 )
日時: 2011/02/19 14:13
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: QSygN.Tt)
参照: 反応してもらえると嬉しい(*^_^*)→次第に地がでる?→人生の危機?

#5

 無理やり肩を貸してくる花梨に支えられながら教室に戻ってみると、扉を開けた瞬間にぽわーんとした雰囲気の具美が目に入ってきた。

 一瞬、何故? と考えてしまったけれど、彼女の席というのは入り口の目の前なわけで、それは至極まっとうなこと。むしろ、疑問をはさむ余地なんてない。ただ、突っ込むべきところは其処ではない。彼女がぽわーんとした雰囲気をかもしだしていたっていうところこそが、本物の違和感の原因だ。


 彼女の容姿を説明する時に、私はまずクールビューティーな黒い挑発の少女って言う。まぁ、其処は誰でも基本的一緒。そして、もう一言付け加えるならば、刀を背負ってそうな鋭い雰囲気の子って絶対に言う。運動神経はないけど。


 人間の名前と顔をあわせるとき、一番頼りにするものっていうのは私が思うにヘアスタイルと雰囲気。双子であってもヘアスタイルを変えるだけで随分印象が違うし、ましてや雰囲気が違えばすぐに見分けることも出来る。

 髪の色と肌の色っていうのも大きな特徴の一つ。だけど、やっぱりまずはこの二つ。色っていうのはみんな結構似たり寄ったりだからさ。雰囲気の方も、おなじ髪型でも雰囲気がちょっと違うだけでなんとなくだけど名前がわかったりする。そんなことない?


 まぁ、だからこそ私はぽわーんとしている具美にものすごい違和感を感じたわけ。しかも、理由もよくわからな……もしかして誕生日おめでとうって言った時すごい照れてたけど、いまだにそれを引きずっているのかな? っていうか、もしかして誕生日のことはなさなかったってことは祝ってもらったの初めて? そんなわけな——ありえる。彼女って私たちが話しかけるまでいつも一人で読書していたし、人を近づけさせない怖い雰囲気を持っていた。だから、あんなふうに誕生日おめでとうとか言われるのは初めての可能性が高い。

 そういえば、去年バレンタインの時もチョコ貰って「なに? どうしたの?」とか言ってたよね? それでバレンタインの話をかいつまんでいってから、聞いたことないって聞くと、「私、俗世に興味ないから」なんて答えてた。うん、誕生日におめでとうって言われたことなさそうだ。ましてや、プレゼントなんて絶対貰ったことないよね? 嗚呼、なんて悲しい人生。


 私は哀れみの目を具美に向けていると、はっとしたように具美はいつもの鋭い雰囲気を取り戻して、こっちに首を向けてくる。その動きはまるでロボットのようで、曲がりきった時にカチッと何かがはまる音がしたような気がした。

 そして、私に何時もの三倍くらい美しく、何時もの三倍くらいの生命の危機を感じるような微笑を向けてきた。美女の微笑みは絵になる。だがしかし彼女の微笑みは凶器だ。あるときは嫌味に見えたけれど、今は観音菩薩でさえもひれ伏したくなってしまうような神々しさを感じる。冷たい凍るような殺気と同時に。


「ねぇ、失礼なこと考えてなかった?」
「そんなことないよ? ただ……何時もみたいに張り詰めた感じがしなかったから珍しいなって。もしかして、誕生日おめでとうって言われて嬉しかったの引きずってる?」


 花梨は私の思っていたことをそのまま言葉に出す。いつもどおりのくったない優しい笑みを浮かべたまま。すると、具美は当てられてしまったのか一気に殺気がひいて行く。と、同時に最初のふんわりモードに戻ってしまった。


「あっ、本当だったりするの?」
「べ、べ、べ、べっつに嬉しいとかそ、そんなわけないんだからね!」
「声震えすぎだから!」


 具美は元祖ツンデレみたいなことをいいながら、顔を一気に紅く染め俯いてしまう。本当にわかりやすくて可愛い子。何時もは鋭いけれどたまにこういう感じになったりするから、好きなんだよ。

 まぁ、三次元でツンデレの需要って言うのはあんまりないんだろうけどね。彼女の見た目は可愛いよりも美しいだし。美しいツンデレってなんか変に怖そうだし。


 そんな私の変な視線に気づいたのか、具美はまた一度だけ顔を上げ、こちらをにらむともう一度俯きなおしてしまった。そのにらんだ顔っていうのがもともとの鋭い目つき、シャープな顔つきのせいで人に恐怖を与えるような雰囲気をかもし出す。だけれども、彼女の小さな一言によってその雰囲気は一気になえてしまった。


「一時三十分……授業開始時刻が私の誕生した時間。お、お祝いしてくれると嬉しいかもしれない」


 どういう風にとかを聞きたくなって一瞬口を開くけれども、すぐに閉じる。そんな事を聞いてどうする。変に派手にしないでただ視線を飛ばすだけでいいじゃない。おめでとうって音に出さないで言うだけでいいじゃない。幸い席は間に花梨をはさんだだけっていう近さなんだから。


 花梨も今はさすがに空気を読んでかかはわからないけれど、何もいわなかった。そして、いつもどおりの笑みを浮かべて、こっくりと頷くと自分の席についてしまった。左腕につけた時計を見れば、本鈴まであと十秒ってちょっと冗談じゃないよ! 早く行かなきゃ! 次の授業は担任だっていうのに。といっても、焦り過ぎない。近いんだから、朝みたいなドジは踏みたくない。転ばないように足元に気をつけて……。


キーン——


 間に合った……。あ、早く具美の方を見ないと。


 私は席の前に立ち、首だけを彼女の方に向ける。すると、具美の紅い紅い目と……? 赤い目ってどういうこと? そんな事を考えているうちに彼女の目は黒く戻りすばやくそらされる。まるで、私となんか目を合わせたくないとでもいうような。どうして目を逸らすの? 拒絶されているみたいじゃない……。


 折角の彼女の誕生日だというのにへこんでいてどうする。そう活を入れなおしてもう一度彼女の方を——見る。



 ただ、私の目は彼女の姿を捉えるよりも前に花梨の姿をとらえる。否、同時に具美の姿も目に入る。



 そう、信じられないような姿——具美が何かで花梨を突き刺している姿が……。

私の不幸なる日常 ( No.9 )
日時: 2011/02/19 15:04
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: QSygN.Tt)
参照: できれば厳しいコメントが欲しい……です。否、厳しい必要はないのですが

#6

「どうして……?」


 私の口から言葉が零れ落ち、どこかに落下していく。
 底に希望があるのか絶望があるのかもわからぬほどに深いどこかへ、ゆっくりと確実にその言葉は落ちてゆく。そして、それは何かに波紋を描きどんどんと広まって行くんだ。広まっていって、みんなその波に飲み込まれてしまう。


 そんなわけないのに、何故かその光景がありありと想像できた。目の前で本当にそんなことが起こっているように思えるくらい丁寧に、リアルに。


 それと同時に血が私達の周りに飛び散る。紅く美しい色の血が……。それは彼女達の服をにじませ、学校指定のブレザーに紅い跡をつけてゆく。自分はどうなっているの確認しようと——彼女たちから目を逸らそうと——思ったのに、私の体が動かない。まぶたでさえ閉じることはできなく、呼吸するのも忘れられてしまったみたいに。


 私にはまるでとまって見えた。すべての人が、すべてのものが。自分さえも止っているのだから、体が動かない。そんな風に思えてしまった。

 だから、花梨の安らかな、あまりにも優しすぎる笑顔が動かない。友達に自分の体を傷つけられているのに、それなのに彼女はまるで全てを受け入れてしまったかのような微笑を浮かべたまま。具美だってそう。具美だって目を紅く光らせ意識とか感情はほとんどないように見えるけれど、口は笑っている。かすかに自分が具美を刺したことをわかっているのに、それがすごく楽しいとでもいうように口角を上げ笑っている。


 吐き気がした。けれど、昼ごはんを食べていないし、沢山血が流れたせいで吐くものはなかったし、私は微動だもできない。だけど、体の中にあるものをすべて吐きたいほどに気持ち悪かった。

 二人の思いがある程度まで見えてしまうせいで余計に、気持ち悪い。


 私は問いたい。でも、問う意味もない。答えてくれたら納得できるわけもないし、それならば聞いてもしょうがない。それでも、何故か彼女たちに問いたかった。「どうして?」って……。


 どうして、こんなことになってしまったの?
 私が悪かったの?
 花梨が悪かったの?
 具美が悪かったの?
 みんな悪かったの?
 いいえ、そんなのどうでもいい。誰かが悪かった?
 それとも誰も悪くなかった?
 誰も悪くないなら、私達はどうしてこんなことになってしまったの?
 もしかして、誰かが具美を操ってるの?

 ——違う、逃げちゃ駄目!

 それならば誰も悪くないけれど、そんな答えに逃げちゃ駄目。もし操っていたとしても彼女が反撃する手段はあったかもしれないし、私達が助ける方法だってきっとあったんだ。逃げちゃ駄目!


 刹那、また時間が動き出す。私は動けないけれど、時間はひとりでに歩き出す。具美は手に持ったカッターを引き抜いている。あくまでも冷静な顔をして。

 そして、次の獲物にうつるかのように跳躍した。花梨の一つ後ろの席の子の前へと、花梨の机と花梨を踏み台にして。踏み台にされた花梨は私の方へ血をたらしながら倒れてくる。とっさに手を出して支えようとしたけれど、私の体はまるでただの棒のように動かない。

 たすけたいのに!

 花梨はそのまま私の体にあたり、崩れるように倒れた。と、思うと二回目の血しぶきが来る。また、誰かが崩れる。


 なのに、具美と倒れる人を除いて誰も動けない。誰もがみんな具美の美しい動きに魅了されていた。人が死んでゆくというのに、彼女の得物は刃渡りなんて二三センチしかないカッターだというのに。

 とにかく美しかった。鮮血に染まる彼女は何処までも美しかった。何時もの彼女とは何処までもかけ離れていて、まるで何かに取り付かれてしまった用にだ。


 気づいたら花梨を入れて四人が倒れていた。四人が倒れていて、そしてやっとみんな動き出した。教室に入ってきた担任も、中に入ってきた瞬間かなしばりにあったように動けなかったけれども、今は何かを大きな声で叫んでいる。ただ、その言葉は私の耳には届かない。音は聞こえるけれど意味がわからない。ただの音の羅列のようにしかその言葉を認識できない。


 なんて考えているうちに、生徒は彼女から離れるように動こうとする。ただ、みんな中々うまく動けず、一歩下がるたびに転び、這う様に動いている人までいる。

 きっと、顔はともかく心は誰一人冷静じゃない。パニックになっているか、あるいは自分よりも強い何者かに本能として恐れをなしているか。私はきっと後者。だから、まだ動けない。本能は叫ぶ。動かない方が安全だって。


 そんな中体罰教師は己の人生のすべて、それとも一部をかけて走り出した。自らの生徒を止めるために。私なんて微動だもできないのに、体罰教師は何時もの怒ったような顔をして走る。生徒のように腰が抜けたり転んだりはしない。ただ、強い足取りでしっかりと生徒と生徒と、机と机の間を走り抜けてゆく。

 そして、六人目に手をかけ終わった時、体罰教師は片手で彼女の腕を掴み、片手でカッターを取り上げようとした。しかし、彼女は暴れる。どれくらいの力かはよくわかんないけれど、私達といつもやりあってるような生半可じゃない力ってことくらい見ればわかる。あの体罰教師でさえも苦労しているんだからね。ただ、体罰教師はそのことを顔に出さない。何時もの怒ったような顔のままで耐えている。


 刹那、彼女はいきなりカッターを手放した。勢いをつけて……だ。だから、当然前のめりになっていた体罰教師はカッターを持ったまま転んでしまうわけで、その歯の先は彼の胸を突き刺す。幸い左胸ではなかったものの、多分倒れこむ彼の体重でそれは体の奥の方までのめりこんでいるだろう。

 ただ、不自然なことにそれと同時に彼女は崩れ落ちた。カッターを手放したその瞬間、だ。まるで、彼女はそのカッターに乗っ取られていて、だから手放した瞬間に意識が抜けたとか、誰かがそんな風に説明してもいいと思えるくらいに自然にだ。



——とにかく、惨劇は終ったんだ。

 5人の生徒と体罰教師……担任と、私の大好きな友達、花梨と具美が倒れることによって。

私の不幸なる日常 ( No.10 )
日時: 2011/02/21 19:47
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: QSygN.Tt)
参照: とりあえず、これで一個終了

#7

「私は理解できないよ……。どうして、どうしてって問いかけても足りないくらいに何も理解できない。できるはずない。友達なのにね。友達なんて結局は赤の他人なんだから完全に相手の気持ちがわかるわけないんだよって、昔具美が言って私がすぐさまそんなわけないとか、赤の他人だなんて嘘だ! とか、私は具美の中で他人として扱われてないって信じてるよとか、馬鹿らしいような言葉何回も言ったね。私さ——その言葉が信じられないよ。なんだ、結局は具美が正しくて私なんてただの理想じゃんとか、そういう風に叫びだしたいよ……」


 惨劇は終って、私はポツリとこっちに残されてしまった。私はあの惨劇を勝ち抜いたんだ。いいえ、生き残ってしまったんだ。

 決して私だけが生き残ったわけではない。けれど、残りのクラスメイトは殆どが精神的に病んだりと後遺症を残してしまった。私以外は全員。私だけが無傷。


 どうしてかはわからないけれど、精神鑑定とかそれらを受けた結果私だけが健康体だった。それを知った時、最初はふと安心したのだけれど、次の瞬間に私って狂ってるのかな? とかそんな風に思考のベクトルが曲がっていった。私は狂っているからあの惨劇を見ても何もおかしくならなかった。もともとがおかしいから。


 笑ってしまいそうなくらいに馬鹿馬鹿しい話かもしれないけれど、私はそうとしか考えられなくて……。

 だって、そうじゃなかったら私はなんなの? 狂ってなかったら、おかしくなかったら、それならば私は素で具美が殺人犯になってしまったことを、花梨やクラスメイトが彼女に殺されたことをどうでもいい、それも日常だって考えているってことに……、勿論そんな分けないはず!


「具美のことも花梨のこともよくわかんなかったけれど、ついに他人じゃない自分までわかんなくなっちゃったよ。ねぇ、どうしてかなぁ? なんでかなぁ?」


 私は答えるわけないことを知りながらも具美に聞く。白く綺麗な病院のベッドに寝かされた自分の友人に。


——そう、彼女も生きているんだ。もう一生起きることはないと医者が言っていたと、彼女の母親からは聞いたけれども。でも、彼女の心臓はまだ止っていない。

 いくら血の気がなくなっても、人としてのぬくもりを失ったとしても、目を開けることがなかったとしても。


 いっそ彼女についている管を一本一本丁寧に全部ぬいてしまいたくなかった。私の勝手だけれども嫌だった。こんな姿で生きながらえてしまっている彼女を見るのは、あの時の赤眼の冷たい殺人犯の彼女以上に嫌だった。人としてじゃなくて、管をつけられた物として生きるなんてもう絶えられない。


 こんなみじめな延命治療を受けずに死ぬことだって出来る。起き上がる確率なんかを信じるよりも、むしろそっちの方が……。


「駄目だな——……私。軽くて普通で嘘にまみれててなんていうのがモットーで、こんな暗いキャラじゃなかったのに」


 ベッドに寝たきりの彼女は何か言いたげであった……。


                        ——私の日常はおわってしまった。たとえ、どこまでも不幸であっても。

幕間 ( No.11 )
日時: 2011/02/25 17:29
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: QSygN.Tt)
参照: テスト? あはははは

これは短め……

——幕間:親子——

「パパ!」


 その時、廃墟の中に場違いな少女の澄んだ声が響いた。白衣の男はゆっくりと首をひねり、声のした方に顔を向ける。すると、真っ黒の髪に真っ白な肌をした赤眼の少女がすたすたと走ってきた。年にして4歳くらいであろう。少女は途中転びそうになりながらも、真っ直ぐと走ってゆく。そして、白衣の男の前に立つと、いきなり抱きついた。勿論、その男にだ。


「ルネ! どうして、おまえがここに」


 白衣の男は驚きを隠せず、叫ぶ。さっきとはまた違った響きのする叫びを。少女、ルネはそんなことも気にせず、抱きつきながら顔を男の腹に埋もれさせている。


 最初は男も何か言いたげであったが、やがて丁寧に割れ物を扱うような動きでルネの頭を撫でる。ルネは最初驚き、撫でられた時に一度離れたが、何かを納得したのかもう一度抱きついた。


 そこにあったのは平和すぎる親子の姿であった。

Re: Program ( No.12 )
日時: 2011/03/23 18:38
名前: 故 ◆KJbhM1uqv2 (ID: ZHKrBVHH)
参照: ちょっと補習・試験という名の魔物と戦い無事生還しました

すみません。今回は短めです。今チャージ中でして……。

#0

「ねぇ、照佳。なに言っているのかな? 言い訳になっちゃうかもしれないんだけれどさ、私は好きだったんだよ? あんたのこと友達だって思ってたんだよ? だから、あの時あの瞬間正直裏切られた気がした」


 異常なことがおきていた。ありえるはずの無いことがおきていた。


 喋った、具美が。


——新たなる地獄は希望の中から始まる。


#1

 あの日からもう二週間がたった。惨劇の日からではなくて、具美が再び起き上がった日から。

 彼女が何故起き上がれたのか、あんなことを言ったのか。もういっそそんな細かいことは気にしない。やっと戻ってきたんだ。一人だった私に友達が戻ってきたんだ。


 医者曰く、これは奇跡らしい。こんなこと前代未聞で、ありえないと。そもそも、こんな事件自体前代未聞だから、復活できなくても前代未聞なんだけど。


 嘘偽り無く今の私の気持ちを表現するんだったら、この一言に尽きる。


 嬉しい


 今の私はすごく幸せだと思う。嬉しいという気持ちで心中が満たされて、歩くたびに空に浮けるような気がして、みんなが私のことを喜んでいるような気がした。Top on the world っていう曲があって、その一節にそんな歌詞があるのだけど、最初麻薬中毒かなぁなんて花梨と冗談を言ったんだ。

 でも、そういう気持ちになる日がくるとは思ってなかった。


 さてと、今日も具美のお見舞いに行こう。


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