ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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不良と人形達の奮闘日記
日時: 2011/02/26 07:24
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

初めましてではない方もいると思います。毒を食らわば皿までです。
実は本命はこちらなので、「巡ツテ地獄」は一旦お休みです。
此方の案が大体定まったので立てちゃいました。

注意すべき事は自分がローゼンが好きすぎて、登場人物とかローゼンを参考にし過ぎている事です。
なるべく似ない様に頑張ります……←

基本的なルールは守って利用して下さい。では、次は登場人物です。
CVで勝手に声優さんをイメージしてます(敬称略)。

   〜登場人物〜

 倉門 疾風(クラカド ハヤテ)/男/CV 吉野裕行
・心優しい不良少年。形は小さいが喧嘩は強い。

 倉門 春日(クラカド ハルカ)/女/CV 力丸乃りこ
・臆病で天然でちょっと変わった疾風の姉。不思議っ娘。
 
 紅玉石ルビー/女/CV 沢城みゆき
・お嬢様系&我儘。でも優しい子。武器は薔薇の花弁。

 真珠石パール/女/CV 堀江由依
・甘えん坊&泣き虫。武器は言霊。でも「死ね」等は怖くて言えない。

 緑玉石エメラルド/女/CV 斎藤千和
・超毒舌でも敬語。実は怖がり。武器はフルート。

 青玉石サファイヤ/女/CV 森永理科
・控え目で大人しい僕っ娘。意外と甘えん坊。武器はバイオリン。

 紫水晶アメジスト/女/CV 田中理恵
・↑の人形達の敵役。イカレた娘。武器は黒羽。

 壱波羅 亜梨華(イチハラ アリカ)/女/CV 井上喜久子
・前回の争いの勝者となり、人間となった人形。武器は黄金羽。変わった人。

これくらいです。また増えるかもしれません。

  「不良と人形達の奮闘日記」
 〜Ⅰ〜不良にも優しい心はあるのです>>01 >>02 >>03 >>04 >>05
 〜Ⅱ〜鏡の国の人形達と俺>>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13

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Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.9 )
日時: 2011/02/24 19:07
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)


「ただいまー。よかった、亜梨華ちゃんまだ帰ってないのね」
「長らくお邪魔しました。では……」
おい、この怪奇人形置いて帰るつもりかよ!?
「あぁ、待って。御夕飯食べて行きなさいな」
今夜はお姉ちゃん自慢のシチューよ、と材料を並べながら言う。
「そんな、御迷惑でしょう」
「いいのいいの。将来疾風君のお嫁さんになるかもしれないんだから」
姉ちゃんはすっかり俺の彼女だと思い込んでいるらしい。違うのに……。

そして、人形を俺の部屋に閉じ込めて、俺と亜梨華と姉ちゃんの食事が始まった。
姉ちゃんは「亜梨華ちゃんみたいな子だったら大歓迎よぉ。一緒に住んじゃえば?」とか馬鹿げたこと言ってる。
亜梨華も適当に答えながら、食事は進まないらしい。
「あら、美味しくなかった?」
「いいえ、とても美味しいです。でも、小食で……」
見るからに細っこいし、食べてなさそうだもんな、とこの時は思っていた。


「……ご〜は〜ん〜……」
「お腹すいたわ……」
なんと、部屋では人形達が腹を空かしていた。
「これは……、シチューの匂いです……」
「突撃しちゃう?」
青玉石のまさかの提案で、これからトラブルは尽きそうにない。


バタバタと階段を下りる跫。それは、恐怖の始まりを告げる……。

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.10 )
日時: 2011/02/25 20:20
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

「シ・チュ・ゥー!!」
食卓に飛びついて来たのは真珠石と呼ばれた外見は一番幼い人形。
「ああぁ!!?」
コイツらの身長じゃノブに手は届かない筈なのに……!!
「愚かね、そんなもの踏み台があれば簡単に突破だわ」
「頭が良いですね、紅玉石」
呑気にお茶を啜ってる場合じゃねえよ!!
「まぁまぁ……!!」
やっぱ、驚くよな……。どうやって説明しよう……。
俺の頭は破裂寸前。こんな喋る人形を目の前に、どんな言い訳が思い浮かぼう。

「とっても可愛いのねぇ〜! 一緒に住んじゃう?」
冗談はいい加減にしろよ。コイツらは冗談が通じるような相手じゃねえんだよ。
つか、喋る人形についてはスルー?
「住んじゃう?」
意外とノリがいいのか、青玉石。コイツらの名前は一度聴いたら忘れない特徴的なものだ。
紫水晶とか言う奴のおかげで、名前を覚える事が出来た。
「住んじゃいましょうです。その方が都合もいいですから」
おいおい、勝手に決めんなよ!
「じゃ、お部屋はどうしましょ。皆の分の空き部屋はないわ……」
家は広い方だが、流石にこれだけの人形に一人一部屋与える余裕はない。
「私達は鞄さえあれば問題ないのよ。だから、疾風と同じ部屋でも構わないわ」
お前も……!! くそっ、調子乗るなよ……!!
「でも、流石に亜梨華ちゃんには部屋をあげなきゃねぇ」
「申し訳ありません」
亜梨華も住むつもりかよ!? 学校であらぬ噂とか立つんだよな……。

「でも、喋るお人形さんなんて不思議ねぇ〜。一体何処で見つけたの?」
いや……、見つけたっつーか……。有無を言わさず動かさなきゃいけなかったというか……。

取り敢えず、これからトラブルは尽きそうにない。いつまで経っても、ずーっとコイツらは付き纏うだろう。

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.11 )
日時: 2011/02/25 20:35
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

「疾風、心なしか顔が赤いようだけれど」
昨日の嵐のような夜も過ぎ、今は清々しい朝……。と言っても、俺の体調は優れない。
「もしや“病気”と言うヤツですか? 馬鹿がなるものと聞きましたが……」
お前、俺を馬鹿だと思ってやがったな。成績は悪い方じゃねえぞ。ヤンキーだけど。
「馬鹿が勉強して知恵熱が出たんじゃない?」
毒舌双子かよ!! 最初は常識人かと思われた青玉石もやっぱ非常識な人形だった。
「お熱を測りましょー! なの〜」
何処からか体温計を持ちだした体温計を俺の前に差し出す。
「今日の学校は休みですね……」
いつの間にか俺の部屋にいた亜梨華。学校の支度はすでに終わっている。
「37.8分……」
微妙だよな。高熱なのか、普通なのか……。取り敢えず、今日の学校は休みか。

そして、姉ちゃんも亜梨華も学校に行き、安静に休めそうもない人形達の騒がしい声が俺の部屋に響く。
「うーん……。えいっ! です」
「びしょびしょじゃねーか!!」
人形は人形なりに気を使ってか、水でぬらした布を頭に当ててくる。が、全然絞れていない。
「おかゆなの〜」
青玉石と真珠石作のボロボロビチャビチャドロドロのお粥。身体に悪そうだ。
「ねえ、この家に大鏡はないのかしら」
「なんだよ、急に……」
大鏡か……。あのガラクタ倉庫にはありそうだけどな……。
「そうよ、生命の欠片を持っていそうな、大きくて立派な鏡」
また生命の欠片やら螺旋やら……。発病した人間に難しい事考えさせるなよ。
「あるんじゃねーの。倉庫に……」
「連れて行って頂戴」

そして、案の定病気の体に鞭打って、その倉庫に足を踏み入れる事になる。
「凄いね……」
青玉石はこの倉庫を見て、感心したようだった。
「様々な時間が交差して、生命の欠片が飛び交っている。これを集めたのは誰?」
「両親だけど」
こんな下らねえ物に金かけやがって……。と思ってたのに、意外とすげーものなのか。
「ここにあったですよ〜。お目当ての大鏡」

確かにでけえ。全身が映る、とかそんなもんじゃねえ。もしかしたら世界が覗けてしまうんじゃないか……。
と、思うほどに、大きすぎる鏡だった。

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.12 )
日時: 2011/02/25 20:52
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)


「これなら、鏡の国へ繋がるわね」
鏡に小さな手を当てる。すると鏡が歪んで見えた。次の時には、紅玉石の小さな手は鏡の中へ入り込む。
「行くよー」
誰も恐怖なく鏡の歪みに飛び込んでいく。
「お前も来るんだよ」
青玉石に乱暴に腕を引っ張られ、俺も鏡の歪みの中に。痛みとかは無く、浮遊感があった。

「あらぁ……。随分と早く逢いに来てくれたのねぇ……」
コイツ……。紫水晶だ。あの時の悪魔の翼の……。
「今日は金剛石様無し? それで勝てるつもりなのぉ?」
金剛石って亜梨華だよな。亜梨華と紫水晶がこの間戦って、互角と言うか、勝敗は決まらなかった。
「貧弱な人間と、不完全な貴方達……」
フフフ、と薄気味悪い笑い声。濃い桃色の瞳が薄められる。
「かかってきなさいな。宝石<命>が惜しくないならねぇ!!」

そして、またあの黒い翼が紅玉石達を襲う。
「私達の宝石<命>、貴方には渡さないわ……!」
黒い翼と赤い薔薇の花びらが衝突する。眩い光が放たれ、俺の指輪も熱くなる。
「くっ……!?」
肉が焼けるような熱さ。この指輪を通して、自分の力を吸い取られているような感覚。
「暫く我慢するですよ、人間」
緑玉石はフルートを構え、青玉石はバイオリンを構える。二人が奏でるメロディは気が狂うほど美しかった。
コイツらが力を使うほどに熱くなってくる指輪。この場に倒れそうな感覚。でも、倒れたらいけない気がした。
「一対四は卑怯よねぇ……」
と言いつつ、この勝負を愉しんでいる心底恐ろしい奴。
全ての攻撃は見事に翼によって無力とされる。
「紫水晶の翼なんて抜けちゃえー!!」
言った事が現実になる力を持つ真珠石。どうせなら「死ね」とか言えばいいのに……。
桃色の眩い光が紫水晶の翼を襲う。
「くっ……」
桃色の光は紫水晶の翼を押さえ、一切の攻防を不能とする。
「今なのよー!!」
両手を力いっぱい前に突き出し、頑張っている様子が解る。
こう言うの見たら、俺も頑張らなきゃ、って言う気持ちにさせられる。

「行くわよ、緑玉石、青玉石!」
「了解!」 「はいです!」
二人は同時に言い、三つの攻撃が一つの攻撃になる。

Re: 不良と人形達の奮闘日記 ( No.13 )
日時: 2011/02/26 07:23
名前: 毒を食らわば皿まで ◆jS4UFL/cLE (ID: gwrG8cb2)

「く……!!」
直撃は免れたものの、左半身、特に翼はボロボロに壊れてしまった。
「やった〜!」
勝利に安堵した表情の人形達。肩で息をするなんて、まるで本当の人間のようだ。
指輪の熱もすっと引き、その代わり熱の気だるさに襲われる。
「貴方達……、私を怒らせたわねぇ? 次は、どぉなるか解らないから」
悔しそうに吐き捨て、歪んだ鏡から姿を消す。
「だいじょーぶ?」
トトト、と俺に駆け寄ってきたのは真珠石。額に手を当てて、熱を測るようにしている。
「病気なのに無理をさせてしまったね」
女のくせに男みたいな格好いい台詞を言うんだよな……。
「さ、戻りましょう。今までの激しい闘い<バトル>で鏡は罅入っている」
「じきにこの世界は壊れるですぅ。とっとと退散ですー」
俺たちがここに来た方の歪みに入る。浮遊感に包まれて、瞳を開けるとそこは元の世界。

「なぁ、あの鏡の国から戻ってこれなくなったらどうなるんだ?」
そんなに急いで退散することだったのか。鏡の国が罅入ったらどうなるのか。
「鏡の国は魂を好み肉体を嫌う。私達の魂は鏡の国の中、肉体は現実に引き戻される」
「死ぬってことか?」
「いいえ、鏡の国は命を奪うわけではないもの。ただ、廃人となるだけよ」
動く事も、喋る事も出来ない。私たちの螺旋が切れてしまったように、永遠の眠りの中にいるのよ。
「……それ、いいかもな」
ポツリ、と呟いたそれは心からの言葉。心のどこかで自分の存在を嫌っているのか。
「目覚める事が無ければ、出会う事もない。失う事もない……」
俺、何言ってんだ? 自分で自分の抑制ができない。言葉が勝手に出ている。
「何言ってるの〜。そんな事ダメ、ダメなのよ!」
「そうですぅ。人間は出会いや別れにより心の成長が成されるですぅ」
「永遠の眠りとは、暗くて、静かで、目覚められないと知れば恐ろしいものだ」
でも、僕らは違う。螺旋を巻かれれば何度だって目覚める。でも、人間に螺旋はない。
ただ暗い深い眠りの底で、静かなまま、何もないままただ生きるだけだ。

何も見えない、何も感じられない、何にもない。そんな所に自分だけが存在している。
それは悲しい事で、恐ろしい事。永遠の眠りを感じない人間には、解らない事。


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