ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ワタシとアナタ。
- 日時: 2011/03/25 23:59
- 名前: 葵 (ID: LR1GMCO/)
- 参照: 貴女が死んでも,私は泣けない。
初めまして。
シリアス・ダーク小説に来たのは初めてですので,ご指摘お願いします。
書き方とか,色々…
あと,コメくれたら私嬉しくて今なら泣けます,いや,マジです(((真顔
では,荒らしと宣伝と私が嫌いな方以外は下にどうぞ。
▼本編
一個 >>001.>>002.>>003.>>006.>>007.>>008.>>009.>>018.>>023
▼お客様
N2様・銀弧様・稚瑠.(*´ω`*) 様・ハルナ様
本編へどうぞ。
- Re: ワタシとアナタ。 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/12 15:11
- 名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: LR1GMCO/)
1個 “心臓狩り”
「ひとぉつ,ふたぁつ…みーっつ……」
真っ赤な血液が滴る心臓を,少女は数える。
髪は既に返り血で赤く染まり,彼女の怪しさを更に倍増させる。
最後の心臓を数えてから,少女はピタリと動きを止めた。
「まだ足りない…まだまだ足りない…もっと,もっと集めなきゃ___」
心臓を片手に乗せ,少女は天高く空に上げる。
近くには,胸を包丁で切り開かれた女性が,見るも無残な姿で転がっていた。
———————————
「雛菊!」
そう声がして,私は振り返る。
………自己紹介が遅れていた。
私は蒼然 雛菊(そうぜん ひなぎく)。
年齢は14歳。
…もう直ぐ,15歳になる。
因みに彼女は私の親友,葛西 愛美(かさい あいみ)。
随分と長い付き合いになるのだが,彼女とは,一線を越えない関係を張り通している。
「…愛美,おはよう」
「おはよう,雛菊。そう言えば,話聞いた? 此処らで起こってる,不可解な事件!」
目をキラキラと輝かせ,愛美は言う。
彼女は人一倍ミステリーなどに興味を持ち,未確認飛行物体等が大好きだ。
無論他の人に知られると困ると言う為,他人には言っていない。
彼女は…愛美は,どうやら私と同じ様に,他人と壁を作って生きている人間の内の一人の様だ。
「怖いよね…。なんか夜中に女の子が一人でいるから話し掛けたら,大事な物を奪われるんだって! クラスの子が言ってた!」
「大事な物?」
「うん。大事な物…つまりね,人間の“心臓”だよ。心臓が無くなると,誰だって死んじゃうでしょ? だから,大事な物って言われてるらしいの」
ふわり,と愛美の髪が風で揺れた。
心臓を集める“何者か”の仕業なのだろうが,私には余り関係の無い話だ。
そんな事に関わりたくも無いし,何より私は一般人だ。
皆と多少価値観の違いはあるが………。
「…ふぅん…」
「ふぅんって…。いつ私達もそいつに会うか分からないのに,雛菊は余裕だね」
「私達が会うとは限らない。けど,愛美は死なないで。泣く事は出来ないけれど,悲しいから」
無表情で言うと,愛美は苦笑いを溢した。
私は,泣く事が出来ない。
感情はある。
しかし,涙は出ない。
悲しいと感じても,泣く事は無い。
「兎に角,夜中に出歩かないでね,雛菊。私が唯一,心を開ける親友なんだから!」
「…お互い様」
唯一の親友,という言葉が胸に響いて,少し表情が綻んだ。
「笑った…!? 雛菊,今笑ったよね!?」
「…分からない」
「もう一回笑ってよー! 可愛かったー!」
愛美,貴女だけは失いたくない。
私の………たった一人の親友。
私の命に代えても,貴女だけは守るから。
———————————
・蒼然 雛菊 ♀
・葛西 愛美 ♀
・深夜 秀一 ♂
・憂 ♀
随時更新
- Re: ワタシとアナタ。 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/09 10:39
- 名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: GSWgO850)
…授業とは退屈な物で,いつも私は寝てしまう。
駄目だ,と自分に言い聞かせれば言い聞かせる程,余計に眠くなる。
先程も先生に本の角で頭を叩かれたが,既に眠い。
睡魔が襲って来る,とはよく言った物だ。
あふ,と欠伸をしてしまう。
先生にきつく睨まれたが,そんな事は知った事では無い。
机に突っ伏して,私は完全に寝る体勢に入る。
うとうとし始めた時,視界がいきなり変化した。
教室の上から,皆を見渡している感覚…つまりは“幽体離脱”という物だ。
幼い頃から私は妙な物が“視えて”いた。
世間一般で“幽霊”と称される物や,“未確認飛行物体”だとか。
私からしたら,其れが見えるのが当たり前で,見えない人が異質だと思っていた。
しかし…実際は逆で,見える私が変なのだと,結構前に気付いた。
———皆,居眠りしてる。
視界に入る何人かが,居眠りをしている。
体がふよふよと浮く感覚も,今となっては慣れてしまった。
……妙な予感がする。
今朝愛美が言っていた,“心臓狩り”の話。
あれは恐らく,“特殊な者共”の仕業なのだが,私には除霊の類は出来ない。
だから,諦めよう。
いつか誰かが異変に気付き,除霊してくれるに違いない。
私は…関係無い。
妙な事に巻き込まれるなんて,もう懲り懲りだ。
「…雛菊,起きなよ…」
愛美の声がした。
愛美は私の肩を揺すり,私を起こそうとする。
———もう戻ろう。
私は力一杯自分の体に向かってダイブして,何とか起きる事が出来た。
愛美が少しだけ苦笑いしていたが,お構い無しにノートを写し出す。
瞬間。
生温い風が,私の背を撫でた。
思わず鳥肌が立ち,辺りを見回すが,いない。
「後ろの正面だ〜ぁれ?」
後ろに“何か”がいるのを感じた。
そいつは私の直ぐ後ろにいるらしく,耳元に吐息がかかる。
声からして少女の様だが…。
まさか,“心臓狩り”の犯人なのだろうか?
「貴女に,忠告しに来たの」
静かに,少しだけ怒気を含んだ声で,少女は言う。
顔は見えないし,姿も見えないが,怒っている表情が安易に想像出来る。
だが,何故私に忠告をするのだろう?
私は…一切関わるつもりは無いのに。
面倒事は他人に任せる主義だから,私は知らない。
「例え_____でも,貴女は私に楯突かないで」
「え? 今,何て…」
私が振り向いた先には,誰もいなかった。
…例えの先は,何?
蚊の鳴く様なか細い声だった為,聞き取れ無かった。
兎に角,此の事件に幽霊が関わっている事が断言出来た。
………まぁ私には関係無いのだけれど。
___後ろの正面だ〜ぁれ?___
聞いた事のあるフレーズだけど……。
…当たり前か。
幼い頃にはあれを歌ったりして,私達も遊んでいたのだから。
懐かしいと感じたのも,当たり前だ。
___かごめかごめ
籠の中の鳥は,いついつ出やる
夜明けの晩に鶴と亀が滑った
後ろの正面だ〜ぁれ?___
- Re: ワタシとアナタ。 ( No.4 )
- 日時: 2011/03/08 22:53
- 名前: N2 (ID: 2de767LJ)
えと、初めまして。
ホラーちっくな内容ですごく続きが楽しみです!
次回も楽しみにしてます(`・ω
小説って行き詰っちゃうと大変ですよね…(急に何^q
ではでは、失礼いたしました。
- Re: ワタシとアナタ。 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/09 10:35
- 名前: 葵 (ID: GSWgO850)
N2様
うわぁああああああぁああぁ(((
初めてのお客様,ありがとうございます!(狂
私なんか,常に行き詰まってる馬鹿ですからね←
因みに,何故こんな時間にコメ返を出来るのかと言えば,もう昨日卒業式を終えたからですw
更に明日は受験です←
では,受験終わり次第頑張って更新しますw
今日も暇なんで,多分更新します。
- Re: ワタシとアナタ。 1個up! ( No.6 )
- 日時: 2011/03/23 12:56
- 名前: 葵 (ID: GSWgO850)
次の日。
いつも愛美と会う筈の場所で待っていたのだが,結局愛美が来る事は無かった。
嗚呼,完全に遅刻だ。
もしかしたら,愛美は先に学校に向かってしまったのかも知れない。
愛美は私と違って,幽霊等に興味のある,“一般人”。
私は愛美しかいないけれど,愛美には他にも沢山友達はいる。
多分,友達に誘われたりしたのだろう…。
…にしても,遅刻したのに学校に行く必要性があるのだろうか。
其れに行った所で,どうせまた居眠りするのが目に見えているのに,行く必要も無い。
学校とは皆からすれば楽しい場所かも知れないが,私は愛美と一緒にいる時か,自分一人でいる時しか楽しいとは思えない。
…………休もう。
クルリと踵を返し,私は今まで通って来た道を逆に歩き出す。
家に帰った所で,親は既にいない。
多分朝早くから晩遅くまで仕事しているから会えないだけだろうが,別に構わない。
———空が,綺麗だ…。
何処までも蒼い,空。
此れが雲一つ無い青空の典型例なのだと,改めて感じる。
向こう側から,見知らぬおばさんが二人で何かを深刻そうに話しながらやって来る。
私を見て,サボッたのだと気付いたおばさん達は眉を潜めたが,直ぐに話題を戻し,先程までの深刻そうな表情に戻す。
「怖いわねぇ……また出たらしいわよ,“心臓狩り”」
「最近此処らじゃ其の噂で持ちきりよぉ。そう言えば,さっきも此処に来るまでに,警察がいたのよ! また被害が出たみたいでねぇ…。若い女の子ですって。可愛らしい女の子だったんだけど…名前が,確か…葛西さんだったかしら…?」
おばさんの横を素通りする寸前に,愛美の名前が出た。
私は振り返り,おばさんの方に勢い良く詰め寄り,問いただす。
「おばさん,今…葛西って」
おばさんは怖さの余りか,声を出すのを止めて,首を縦に何回も振る。
呆然とするおばさん達に場所を聞き,お礼だけを手短に述べ,私は急いで走り出す。
嘘,嘘だ…。
誰か愛美じゃないと,嘘だと言って。
愛美…愛美!
辿り着いた場所では,忙しなく警察達が働き回っていた。
私は其の前にいる野次馬を押しのけて,一番前の列に出る。
黄色いテープが邪魔で,私はテープを飛び越えて殺された少女の場所まで急ぐ。
が,警察に腕を羽交い締めにされ,身動きが取れなくなる。
「は,なせッ! 離せぇッ! 友達かも…友達かも知れないんだ!」
力ずくで何とか警察の羽交い締めから逃れるものの,目の前を通ったのは,担架で運ばれて行く,死体。
顔は見えない様に隠されていたのだけれど,私には分かった。
腕に付いている,ミサンガ。
あれは愛美が自分で作った物らしくて,いつか私にも作ってあげるのだと愛美は嬉しそうに言っていた。
…嘘,でしょう?
ダラリとした四肢。
あれは明らかに,愛美の物だった。
私は膝から崩れ落ち,地面に膝を付いた。
腕がブルブルと…怒りの為なのか悲しみの為なのか分からないけれど,震えが止まらない。
…守ると…。
貴女を守ると,約束したのに…。
昨日の朝までは,普通に一緒にいたのに…。
どうして。
どうして愛美でなくちゃならなかったの?
「い…嫌…嫌だ…ッ」
愛美を乗せた担架が,救急車で運ばれて行く。
多分もう…愛美が生き返る事は無い。
だって,心臓が…もう…無いんだから…。
___ねぇ,雛菊? 私ね…雛菊と一緒にいる時間が,一番好き___
___私も___
「…嫌だよ…嫌だよ…」
一人にしないで。
私を…一人にしないでよ,愛美。
「愛美…愛美…」
嗚呼…酷い顔をしているかも。
けど,今となってはどうだって良い話だ。
…やはり涙は出ないのだけれど………愛美,私…貴女の事は絶対に忘れない。
不意に,後ろの方から誰かに頭を撫でられ,私はゆっくりと振り返る。
…そこそこイケメンな警察が,私の後ろに立っていた。
「…君の気持ちは,分かるから。警察に任せて…君はゆっくり休んでれば良いと思う……」
「…気持ちは嬉しいのだけれど,頭を撫でる必要は無い。貴方は,ロリコン?」
「なっ…失礼な! 一応ロリコンでは無いけれど…署まで同行願いたい。昨日の葛西 愛美の行動を探りたい」
テレビで見た事のある,署まで同行願いたいの一言。
まさか其れを実際に体験する羽目になるなんて,私は全く想像だにしていなかった。
にしても,此の警察はなんだか変な奴な気がする。
他の奴等とはまた違う………まだ新米だからだろうか?
新米には初々しさが残っている物だから,其処が他の警察と違う所だろうか。
私如きに此処まで手間取るとは。
逃げようと思えばいつでも逃げられそうな位,此の警官…鈍い。
「君の,名前は?」
不意に声を掛けられ,驚きの余り体が跳ねた。
少々どもってしまったが,私は静かに答える。
表側から別の警官がパトカーの扉を閉め,彼は運転席に乗る。
「蒼然…蒼然 雛菊だ。貴方は?」
「俺は,深夜 秀一。こう見えても一応は警察…」
こう見えても,という所からして,どうやら少し行動が鈍い事は気にしているらしい。
まぁ別に私には関係無い。
どうせ,彼とも直ぐに縁が切れるだろう。
警察達と縁が切れれば,私はいつも通りの生活に戻る事が出来る。
………もう愛美はいないけれど,いつも通りの生活に…。
———戻れる…のだろうか?
愛美のいない生活で,元通りの生活を送れるのか?
また私は見て見ぬ振りを続けて,他の犠牲者が出るのを見ているだけにするつもりなのか?
愛美を殺したのも,多分此の間学校内で接触を図ってきたあの幽霊に違いない。
だが,警察に幽霊等と非科学的な事を言った所で,相手にされないのはほぼ確実だろう。
除霊等の類が一切出来ない私が,幽霊と戦う事など…出来る筈が無い。
愛美の仇を取りたいとは考える物の,どうやら私は行動に移す事が苦手らしい。
「あの…さ…」
いきなり,彼が口を開く。
「君は……幽霊とか,非科学的な事とか,信じる?」
唐突過ぎる質問に,私は何も答えられない。
信じないよね,と彼は苦笑いを溢し,運転に専念する為か,前を向き直す。
「君は信じないかも知れないけれど,俺はいると思ってる」
其の言葉に,私は只頷く事しか出来なかった。