ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

無限エンジン 閉鎖します。申し訳ありません。
日時: 2012/04/08 15:18
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5450

    
     〜お前のエンジンは何だ? 俺か……俺のエンジンはお前等のエンジン全てだ〜
       




意味の分らない言葉を突然申し訳ない……一応,プロローグとさせて貰います。
お早う御座います,こんばんわ!或いはこんにちわ♪
初めましての方は初めまして,お久しぶりの方はお久しぶり!常連の方はいつも有難う御座います^^
風と申します。別名「堕小説量産機」or「小説の完結を出来ぬ女」と言うゴミ屑ですがどうか付き合って貰えれば幸いですvv

〜作者状況〜

執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。



$$$$$お客様$$$$$

モノクロ様
朱音様
千臥様
葵様
夜兎様
朝倉疾風様
咲様
水瀬うらら様
りま様
なさにえる様
千愛様
通りすがり様
レッド様
銀ガリュ様
リナ様
刹那様
檜原武甲様


只今,お客様は17名です。
有難う御座います^^


########更新履歴########

Ep1

Akt1 エンジン解放 Part1 >>7 Part2 >>12 Part3 >>21 Akt1 The End
Akt2 救出エンジン Part1 >>32 Part2 >>41 Part3 >>92  Part4 >>98 Akt2 The End
Akt3 渇望エンジン Part1 >>105 Part2 >>116 Part3 >>126 Part4 >>137


________設定資料及び小休止及び貰い物_________

設定資料集【Ⅰ】 キャラクタプロフィール >>25 ※キャラが増える毎に常時更新
貰い物【Ⅰ】 猫飼あや様作 ワルキューレ >>101
貰い物【Ⅱ】 村人A様作 ファンベルン >>140

△▼△▼△▼注意事項▼△▼△▼△
1.更新頻度は亀等到底超えた遅さです。
2.私が嫌い。小説に文句(パクリだの・詰らないだの)を言いに来た。
 荒しに来た。等に該当する方は書き込まないで下さい。
3.グロ描写や不快描写が含まれます。NGな方は退室を……
4.最後に注意じゃないですが意見やご指摘なら幾らでも大歓迎です。

〜作者用キャラクタプロフィール専用用紙〜

キャラクタ名【】
読み方【】
性別【】
年齢【】
身長・体重【】
血液型【】
誕生日【】
容姿【】
性格【】
目的【】
エンジン【】
アクセル名【】
能力【】
過去【】
その他【】
仮想CV【】


〜お知らせ〜

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Re: 「無限」∞エンジン  Akt1 Part1 更新 コメ求む! ( No.7 )
日時: 2011/09/02 18:24
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)
参照: 全力……全力!!全力!!!全力……オー!!YES!!!!

 地球から何万光年も離れた場所,地球と似たような大気構成を持った惑星が有った。
 文明のレベルは地球で言う21世紀と同等程度。 面積は,地球より僅かに大きい程度。 詰り,地球に近い惑星であると言う事だ。 
 此処で,この惑星の説明を少ししておこう。 大陸は中央の大陸フェルア大陸を中心に東西南北に2つずつ,詰り9つ。 国の数は中央に40国,東に35国,最も大きな区分である西に52国,南に44国,最も小さな区分である北に28国の全199カ国である。 
 通貨単位は世界共通でヴェル。 1ヴェルは日本円にして10円となる。 言語は世界共通言語としてシノリア語と呼ばれる言語が使われている。 そして,暦は人間暦と言う地球の西暦に似た暦を使っている。  曜日に関しては月曜日に当る紅曜日,火曜日に当る黒曜日,水曜日に当る青曜日と言った具合に夫々,色の名前を冠している。 曜日は地球の暦と同じで全部で7つ有るようだ。
 
 惑星の名は「ベルセム」。 物語は,この世界で繰り広げられる。


 「無限」∞エンジン  〜Ep1〜 Akt1 エンジン解放 Part1


 

 ____人間暦2014年7月12日(黄曜日) 14時15分  
 この星の北部にある大陸の中の2つの内の1つであるガルサー大陸。 9大陸中,中央に位置するフェルア大陸の次に高い技術力を持った国だ。 その大陸で最も栄えている国,ラスノードの首都カザーロス。 
 7月,それは正に,日の光が雨の様に降り注ぎ大地をジリジリと焼くような炎天下が続く夏の盛り。 北国の者達が最も,苦手な季節だ。 夏の暑さから逃れようと1人の女が,路地裏を足早に歩く。 
 薄紅色の綺麗な長髪の20代程度の色白の美人だ。 女を高層マンションが日差しから守る。

 しかし,矢張り暑い事に変りはなく女は,小さく愚痴を言う。 その時だった。 女の直ぐ横の,曲り角から現れた4人の男達が立塞がる。 男たちは殺気立っていて,唯ならない雰囲気だ。 更に,女を逃さない様にと2人の男が退路を断つように後ろを固める。 恐らくは,最初から付けていたのだろう。 狭い路地に女が入ったので好機と踏み,挟み撃ちにしたという所だ。
 女は,6人を見回して怯えた様子もなく小さく嘆息する。 どうやら,女にとっては日常の様だ。 女は落ち着き払った雰囲気でペットボトルの水を口に含み飲み込む。 そして,挑発的な瞳で男たちに向き直る。
 
「君達ィ? 女1人相手に大の男が複数ってプライドはないのかな?」

「黙れ魔女め!! その姿には騙されんぞ!
貴様を殺して貴様の首を我等が偉大なる母の墓前に捧げる事が我々の最大の誇り!!」 

 女は,男達をネチネチとした口調で挑発する。 男の中心人物と思しき中央に居る男が,声を荒げる。 どうやら,男達は,女に大きな恨みが有る様だ。 
 語調が次第に強くなり,目が怒りに満ちていく。

「OK,OK……良く言った。 死のうか?」
「させるか……よおぉぉぉぉ!!!」

 その様子を見て男達は,復讐心を自分にぶつけているのだと確信して,女は殺す事を宣言する。 自分に降掛る火の粉を払い落とすなら,正当防衛だろうとその目は言外に言っていた。
 男達は,その瞳と女の発する圧倒的な殺気に恐怖し悲鳴を上げるが,すぐにまた,頭は怒りに支配され銃を構える。 女は手ぐすねを引いて体全体に力を入れ始める。 危険を感じたのか男のうちの1人が引き金に力を篭める。
 そして,その一瞬後に引き金が引かれる。 その瞬間だった。 女の体から紅い湯気の様な物が顕現したのは。 女はその湯気が出た瞬間に勝ちを確信したのか,愉悦に歪んだ表情を見せる。


「エンジン解放____」

 銃弾は,地面へと無機質な音を立てて落ちた。 男が引き金を引いたのは余りに遅かったのだ。 紅き湯気の正体,それは,この星に住む者達の中の僅かな人間,凡そ10万人に1人程度が発生するとされる力,アクセルだ。
 そのアクセルを行使するのに,必要なのがエンジンと呼ばれる力の根源だ。 エンジンは人夫々,一様に違い性的欲求を伴う行為から得る場合や物欲から得る場合等様々だが,多くは何らかの行為を行う事によって得られる様だ。 エンジンが蓄積されていなければアクセルを解放する事は出来ない。
 アクセルの行使者達は「エージェント」と呼ばれ人智を超えた特殊能力を有する。 その力は,当然悪用も出来,種類によっては完全犯罪や大量殺戮も可能だ。 

 それゆえに,彼らは恐怖と差別の瞳で一般人たちからは見られる。 古い書記には魔女狩りの如く,無抵抗なエージェント達を公開処刑していた事が記されている程だ。
 それ程にエージェント達は危険視され実際,強大な力を有していた。 強力な者になると現在の兵器など遥に上回るのだ。 今となっては逆に,その圧倒的な戦闘力を欲し,多くの国家が,エージェント達を雇い特殊部隊を設立している。 無論,政府の意向に従わないフリーなエージェント達も居る。
 それらの多くは危険人物の対象として扱われ少し,目に付く様な行為を行うと直ぐに賞金がつけられ捕縛或いは処刑の対象となる。 そんな彼らには,息苦しい世界だからこそか。
 彼らの中には,その圧倒的な力を使い自分達,エージェントの楽園を造ろうと,妥当世界を目論む者達が居る。 彼女,セリス・ヴェルトレストもそんなエージェント達の1人だ。
 
 相手は,恰幅の良く動きの鋭さから見るにそれなりの場数を踏んだ戦士達の様だった。 しかし,アクセルの力も持たない普通の人間など恐れるに足らない。 見えない風の壁で銃弾を防ぎ,カマイタチで切り刻む。 
 容易く,リーダー格以外の男達は切り刻まれ血塗れになり地面に蹲った。 だらしなく血が流れ,アスファルトの地面を汚していた。 最後の1人は,圧倒的な死の姿に怯えながらも最後の銃弾を発砲した。
 銃弾は,不可視の壁に邪魔される事はなく彼女の脳天を貫いた様に見えた。 しかし,実際はセリスは無傷で,逆に長身の男の肩の辺りをを不可視の弾丸が貫いていた。
 男は,一瞬理解できず逡巡する。 後から来る鋭い痛みに嗚咽しながら止血しようと肩に手を当てる。 痛みに顔は引き攣り,意気が上がっているのが分る。  
 息の感覚が短い。 鼓動の感覚も……男は圧倒的な恐怖に苛まれていた。 
 もう直ぐ,倒れている骸となった仲間達と同じく死ぬのだろうと男は悟り仲間達を一頻り見渡す。 しかし,良く見ると皆,微かにだが動いていた。 もしかしたら殺す気が無いのか男は,一縷の希望を持った。
 セリスは,一歩……また一歩と男に近付いてい来る。 彼女の目には少しの躊躇も無い。 男は先程の希望は,単なる希望的観測だと悟る。 長身の男の手持ちの武器は既にナイフしか無かった。
 男は形振り構わずナイフを振り翳すが,そのナイフがセリスにとどく事は無かった。


「是で終りね?」
「くそおぉぉぉぉ!!! お前等,絶対ろくな死に方しねぇ!!!」

「それがどうしたのかしら……今をエンジョイ出来れば私は十分なのよ?」
「グゲッ!」

 何も出来ず怯える長身の男の頬に,セリスはソッと手を当て耳元で囁く。 男は,怯えて失禁して絶叫する。 その男の言葉に,セリスは一瞬,目を細め,余りの的外れな言葉に失笑する。
 男は益々,怯え地面に膝を突く。 男の下半身が濡れているのが分る。 セリスは見っともないと嘆き,男の頭に人差し指を添える。 そして,指先から不可視の風を放つ。 
 男の右肩から左足太ももに掛けて大きな切り傷が出来,鮮血が舞い上がる。 男は,悲鳴を上げることも出来ず倒れこんだ。 直ぐに,セリスは6人の男達の脈を取り始めた。 倒した順から1人ずつ,全員の生存を確認すると,セリスは男達の左の瞳を抉り出す。
 死掛けていて喚く体力も無いほどに衰弱した男達だが,瞳を抉られる瞬間は夫々,苦悶の声を上げていた。 女は,男達の目玉を1口に頬張り勢い良く飲み込んで行く。 それを6回繰り返し,水を飲みセリスは呟いた。

「何度,経験しても慣れないな……本当に」
 
 セリスのエンジンそれは詰り,生きた人間の左目を抉りそれを食する事である。 実は,エージェント達にとってエンジンを枯渇させる事は死へと直結する事だ。 それ故に,どの様な嫌な条件でも彼らはそれを遂行する。 例え他者を傷つける,或いは他者を殺害しなければならない条件でも。
 命が大事と如何に教え込まれ様と自分の命が一番大事だ。 小さな頃は,名家の令嬢として扱われていたお陰か,役立たずの使用人や家長である父が,警察との密約で手に入れた大罪人達の目を拝借していた故,自分で人を傷つける事は無かった。 だが,数年前に父が難病に掛かり,事業にも失敗し破産した。 
 彼女を保護しようとする使用人やメイド等居なかった。 それ以来,彼女は力を保つ為に,命を保つ為に多くの人間を手に掛けてきた。 誰も,好き好んで目玉を差し出してはくれない。 
 力で叩きのめして動けなくして目玉を抉る。 多くの人間は絶命した。 辛くて悲しくて,何時からかマフィアや悪党を狙う様になった。 それでも最初は,辛かったが何時の間にか当たり前になっていたのを覚えている。 生活の一部と化していたのだ。 
 その行為を行わなければ命を繋げない。 能力を保てない。

 しばらくの間,目を眇め感傷に浸っていると大通りの方からサイレンの音が響いてきた。 是もまた何時もの事だ。 実家が倒産してから10年近く,このサイレンの音を聞かない日はない。
 彼女の力は,攻撃的で,エンジンの条件は凶悪な部類に分類される。 そんな彼女を,警察が無視する筈は無い。 懸賞金の掛けられたエージェントを殺し賞金を稼ぐ賞金稼ぎ達も居る。
 彼女の,日々に安息は無い。 安穏と暮らす人間達が恨めしいほどに。
 
 
「あ〜あ〜……ファンが多いと大変ね」

 セリスは,マンションの住民が連絡したのだろうと即座に気付き逃げ出すのだった。 胸ポケットから懐中時計を取り出し時間を確かめる。 セリスは,14時30分にこの路地裏を抜けた通りである人物と落ち合う約束をしていたのだ。 今の時間は14時28分,駆け足で走りギリギリで間に合う程度だろう。 
 其処に,落ち合う予定の相手が居れば確実に逃げ切れる。 警察達が大通りの路肩に車両を止め路地裏に入るのが視界に移る。 しかし,それと同時に指定の車の姿が視界に入った。

「おやおや,いきなり警察さんと鬼ごっことは中々楽しい新人さんですね?」
「黙れ……ん? お前,まさか……」

 セリスを運転手が確認したのか車の扉が開く。 セリスは,急いで助手席に乗り込む。 何事も無く静かな面会を出来ると思っていたのか運転手はセリスをからかう様な口調で言いながら車を発進させる。 
 それに対して,セリスは眉根をピク付かせながら怒気の篭った声で一括する。 一括すると同時にセリスは,顎に手を当てる。 聞き覚えのある声に,見覚えのある顔立ち。 
 黒髪に前髪の一本に紫色のメッシュのをしたサングラスの中性的な顔立ち,スタイルの良い燕尾服の女性。 セリスは彼女に見覚えがあった。

「いやぁ,お嬢とはもう,2度と会わないと信じてたんですがねぇ,間違えないですよ……執事のファンベルンです。 この度は,お嬢様のパートナーになりました。 宜しく!」
 
 運転手の女は,少し苦笑交じりの顔を造りセリスの言葉を肯定する。 全体的に,楽しんでいる様なおちょくっている様な口調だが,「2度と会えない」と言う時,少し悲しそうな表情をしているのがセリスには分った。 ファンベルンは言い終わり拳をセリスに向ける。 セリスは,その拳に拳を合わせた。
 

「貴女,そんな性格だったけ?」
「どっちが素かなんてどうでも良く有りませんか? どっちも素かも知れませんが!」

 セリスは,妙に軽妙で感情豊かなファンベルンを暫くの間,傍観して過去を振り返り始める。 昔のファンベルンは,真面目で主人である父に何時も怯えていたのだ。 何故,こんなに変ったのかとふと疑問が湧いた。
 その疑念をセリスは,ストレートに口にする。 するとファンベルンはバツの悪そうな顔をして,昔の自分が本来の自分なのか今の自分が本来の自分なのか,判然としないと自分を観察する様な物言いをした。

 セリスは,ファンベルンの言葉に賛同するように頷くのだった。 セリスはファンベルンが恐らくは後天的なエージェントだと認識したのだ。 後天的なエージェントは,多くその代償となるエンジンの供給に慣れる事が出来ず人格が変化するのだ。 酷い条件の物の場合は人格が破綻し異常者になる場合も多い。
 先天的なエージェントは,幼少からそれが,当然と脳内にインプットされている為,精神異常を来したりする場合は少ない。 最も,セリスの様な温室育ちの場合は,性格に変化も現れる事も当然,有るが。

「所でお嬢! 俺の名前をフルネームで言って下さい」
 
 沈黙が流れる。 当然だ。 昔,家に仕えていた者だと言ってもそれ程の関係が有る筈でもないし,セリスにとっては大した興味のある存在でもない。 一方,ファンベルンは,静けさを嫌うタイプなのか苛々とした雰囲気が,全体から発散されている様だ。 ファンベルンは遂に,自分から話題を切り出すのだった。

「ファンベルン・フェーネ・フォードルラース。 長ったらしいムカつく名前だから良く覚えてるわ?」
「憎ったらしさが素敵です! 流石,お嬢!!」

 突拍子も無い質問に,怪訝な顔をしながらもセリスは律儀にファンベルンのフルネームを答える。 ファンベルンはまさか,正確に覚えているとは思って居なかったのか唖然とする。 するとその様子を見てセリスは欠伸をしながら嫌味ったらしく覚えていた理由を言う。
 それに対して,鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔をしていたファンベルンはすぐさま平静を装い,咳払いしてセリスを茶化すのだった。 
 


「貴女こそムカつく言い方がお上手ね?」
「じゃぁ,今度はお嬢……精一杯,エロい声」

 気が短いのかセリスは,青筋を立てて荒げた口調で喧嘩を売るようにファンベルンに言う。 ファンベルンは,意にも介さず名前を覚えているのなら今度は感情を篭めて言って見てくださいとからかって来る。 
 セリスは,脳内で何かが千切れる音を確認すると同時に,彼女の顔面にパンチするのだった。 それと同時に,ファンベルンの運転していた車が一瞬,反対車線に飛び出した。

「…………」
「いひゃい!!」
 
 必死で,ハンドルを切り元の斜線に車を戻しファンベルンは嘆息する。
 

「黙れよ……雌豚!! 片手運転とか反対車線運転とか下手な事してんじゃねぇぞ!!」
「はい……ビッチ女王!」

「もっ……やめて」
  
 それを見たセリスは尚も言葉攻めを続ける。 片手運転は確かにファンベルンの責だが,反対車線に飛び出したのは,セリスが殴ったのが原因だ。 それなのに殴られた挙句に罵倒されるなんてとファンベルンは心底嘆きながら謝った。
 しかし,言葉遣いの悪さゆえに,謝って直ぐに殴られる羽目となったファンベルンだった。



Part2へ

Re: 「無限」∞エンジン  Akt1 Part1 更新 コメ求む! ( No.8 )
日時: 2011/04/29 21:30
名前: 初心者 ◆.6Hqkk7dyk (ID: MModVAVg)
参照: 初めまして、こんにちわ、初心者です。よろしくお願いします。

この星の人々は地球からの移民なのでしょうか? 謎の能力「アクセル」の正体が今後明かされていくのでしょうかね。

とりあえず主人公と頼れる仲間(?)が揃いましたね。

複雑な設定で、色々とこってますね。

Re: 「無限」∞エンジン  Akt1 Part2 執筆中 ( No.10 )
日時: 2011/05/05 00:40
名前: モノクロ ◆xl4B3i0CLs (ID: MModVAVg)
参照: こんにちわ、初めまして「初心者」から改名「モノクロ」です。

車の中でひと休憩ですね。組織にはどんな方々が待っているのでしょう・・・

Re: 「無限」∞エンジン  Akt1 Part2 更新 コメ求む! ( No.12 )
日時: 2011/05/10 20:09
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)
参照: 全力……全力!!全力!!!全力……オー!!YES!!!!

Part2

 市街地の入組んだ道で警察を巻いてラスノード首都カザーロスを南下し1時間程で市街地を出る。 市街地を出て,直ぐに予め用意されていた違う車に乗り換え移動を開始する。 更に,1時間程して,首都外郭を抜ける。 
 急に,風景が変化する。 高層ビル群とむせ返るような人混みに支配された何の面白みもない首都圏になれていた,セリスの目には鮮やか過ぎる程だった。 広がる風景は,美しく鮮やかで自然的だった。 高々と天を突く山々,青く澄んだ空,無限の様に広がる草原。

「目,輝いてますよ?」
「綺麗……都会って本当に汚かったんだ」

「そうですね……だから,俺達は……都会から逃げるんでしょう」

 セリスの瞳は,好奇心旺盛で無邪気な子供の様に輝いていた。 その瞳を見て,ヴァンベルンは気位が高くて天邪鬼な雰囲気だったのにと意外そうな口調で言う。
 そんな嫌味の入った言葉に,セリスは普段より高い声で何時の間にか都会の喧騒で汚れた自分が居たのだと言う事を理解した様に言った。 唯々,その声は感動を物語っていた。
 その彼女の言葉にヴァンベルンは同意する様に頷き遠くを見るような表情で言う。 能力者と知られるだけで批判と嫌悪の対象だ。 人が多くストレスを抱えやすい都会となるとソレは相当の物となる。
 そんな,暴力により正気を失う能力者は山ほど居る。 だから,逃げる事が出来る物は安住の地を求めて人の居ない場所へと,心を癒せる場所へと逃げるのだ。 ファンベルンはそれを良く知っている。

「ねぇ,ファンベルン……後どれ位でアンタの組織のボスとやらの居る場所には着くのかしら?」
「そうですねぇ……後,3時間半って所ですかね?」
 
 一頻り,周りの風景を楽しんで居ると緊張が解けたのかドッと体中を疲れが支配した。 セリスは,久しぶりに6人もの相手と戦ったので無理が祟ったのだと気付く。 
 それと同時に,高々6人の無能力者相手を蹂躙しただけでこれ程疲れるとはと,衰えている事に苛立ちを感じる。 能力を使うのは嫌だ。 否応無く,人を殺す。 しかし,能力者の本当に信頼すべきものは自らの持つアクセルの能力だ。 能力を練磨するならまだしも持続力を低下させる等,言語道断なのだ。
 兎に角,今は疲れた。 頼るに値するだろう仲間が隣に入るし眠る事にした。 恥じるのは悪くはないが無理をするのは良い事ではない。 今まで,利用できる仲間も居なかったから気を抜けなかったのだ。
 今は,仲間に背中を預けて休息を取る事も出来る。 セリスは,目的の場所に付くのに後どれ位掛かるかを問う。 察したのかヴァンベルンは仮眠を取るには十分だから安心して下さいと言う風情で言う。 安心して,セリスは目を瞑る。 ファンベルンは,その安堵に溢れた顔を見て嬉しそうに目を細めた。


「寝かせて……疲れちゃった」
「お嬢のお気のままに」

「何よそれ?」
「昔は,いっつも言ってましたよ?」

「ふふっ,長い長い昔の話ね? あの時は,純粋で綺麗だった」
「……お休みなさい。お嬢」
「うん____」
 
 目を瞑り数10秒後に彼女は,業とらしく彼女は言う。 あぁ,まだ寝ていなかったのかとファンベルンは少し驚いて,屋敷で仕えていた時の記憶を思い出していつも使っていた言葉を言うのだった。
 セリスは,一瞬瞠目する。 その表情が面白くてファンベルンは,過去を懐かしむように言う。 セリスは,今に必死だった。 過去を思い出す余裕が無かった。 過去の夢を見ようと思って夢の世界へと,意識を強める。 あの頃は良かった。
 彼女は,過去の夢へと,戻れない世界へと静かに心を移行していく。 ファンベルンは小さく挨拶をして努めて声を掛けない様にした。 
 
 思い出すのは,遠い過去の栄華を極めたヴェルトレスト家令嬢だった頃。 お金に困る事など無く,欲しいと言えば娘であるセリスを溺愛していた父は,何でも買ってくれた。 
 セリスのエンジンの充填の条件は自らで生きた人間の左目を抉り食べる事と成っていたがあれは誤りだ。 別の人間が,抉った左目を食べる事でも充填は出来る。 
 しかし,今のセリスには,自分の変りに他人の目玉を抉り,恵んでくれる存在など居ないのだ。 かつて,父が生きていた頃は,父が其れを行ってくれた。 だが,その父はもう,居ないのだ。
 彼女は,父を愛していた。 彼女の父親は,セリスに何よりも優しかった。 彼女の父の様な男と結婚するのが幸せだと,そんな風に思っていた。 

 しかし,彼女の父は事業が倒産すると,次第に追詰められ自殺した。 使用人達は,主である彼女の父が死に,何とか与えられていた金も与えられなくなる事を悟り,一目散に逃げ出した。
 冬の入りの目前で,とても寒かった事を思い出す。 あの時から地獄が始まった。 金は枯渇していたので元より屋敷も土地も何も,彼女の元には渡らなかった。 
 それが,この世界の能力者に対する仕打ちなのだ。 その事を温室育ちで世界の本質など,世界の暗い部分など少しも知らなかった彼女には理解できなかった。 だが,理解するのに時間は掛からなかった。
 それを理解できなかったら,セリスは今まで生延びられなかっただろう。 少女だったセリスは,理解すると同時に実家の有った街ケテルから逃げた。 電車に無理矢理,無賃乗車してだ。
 その後も,能力を保つ為に人間の左目を求め続け,命を繋ぐ為に残飯を漁り生きてきた。 そんなホームレス状態でも,両家の生まれのプライドを否,自分の人間としての尊厳を護る為に善人は殺めず,容姿の事は気遣い続けた。 
 服は,高価そうな物を高給取りの身勝手な女から盗んだりしたが,それも,致し方ないと彼女は思っている。 最近までの苦労と遠い過去の追憶がないまぜになる。
 戻りたい。 戻れなくても責めて,寄り添える仲間が欲しい。 誰も助けてくれなくて彼女は,何時しかそんな事すら望まなくなっていた。 しかし,神は,気紛れに手を差し伸べた。
 彼女は,その手を掴んだ。 疑念は有った。 しかし,普通の人間から見てセリスには絶大な力がある。 例え,エージェントの集団でも逃げる事は,可能だと思った。  
 
「お嬢……お嬢! 付きましたぜ?」
「3時間半って意外と短いのね?」

 眠りも深くなったのか,セリスはスースーと寝息をたてていた。 ファンベルンは,その寝音を楽しそうな表情で聞いていた。 そんなファンベルンの前に,大きな古城の様な建物が現れる。
 突然現れた建物に,然も当然と言う様にファンベルンは落ち着き払って居る。 組織の能力者により,姿を隠されていた様だ。 ファンベルンの姿を確認した能力者が能力を解いたのだろう。

 ファンベルンは,車両を古城の門の中に進めて停車させる。 そして,セリスを揺すって起した。 眠たそうに目を擦りながらセリスは起きて,もう,3時間半もたったのかと驚愕する。
 
「言いたい事は分りますよ? お嬢はそんな長い時間,安心して寝れなかったでしょうから」
「ねぇ……アンタ達のボスってどんな人?」

「変態です」
「良く分ったわ。 もう,悲しくなっちゃう」
「お嬢の寝息最高でしたよ?」

 セリスの言葉に対して,良く聞く言葉だとファンベルンは遠くを見るような目をして同情するように言う。 その言葉の中には,もう,夜眠る事に怯える必要はないと言う安心感を感じさせる物があった。
 小さく安堵の息をつくとセリスは,是から会う者がどの様な者なのか気になりファンベルンに問う。 ファンベルンは,それに対して一見適当だが,的を射ている言葉を口にする。
 セリスがボスがどの様な人物か気になったのは元はと言えばファンベルンの変人具合が原因だ。 願いが水泡と帰した事に,セリスは盛大に溜息を吐く。 それを見て,ファンベルンはあっけらかんと眠っていたセリスをじっくり観察していた事を,口外するのだった。 無論,ファンベルンは殴られた。

 ファンベルンに案内され,組織のリーダーの居る部屋へと向かう。 古城内は,相当に整備されており崩れた壁などはない。 至る所に,案内掲示板があった。 途中,何人か組織のメンバーに会ったが,新人に余り興味が無いのか全く,珍しい反応は無かった。
 暫く,歩いていると何も無いところでファンベルンが止る。 何でそんなところで止るのかと訪ねると,「直ぐに分ります」とだけ,言って掌を強く押付けた。 すると壁が突然,光り輝く。

「是は能力による物?」
「そうですよぉ? その人は,他人嫌いだから会ってくれないと思いますけどね?」

 一応の確認と言う風情で,セリスは能力による物かとファンベルンに問う。 ファンベルンは,何の否定も無く肯定する。 庇って欲しいと言う様子のファンベルンの言葉に,その人物には興味がないと一蹴しセリスは速く案内しろと促す。 ファンベルンはバツの悪そうな表情を浮かべて歩き出した。
 壁が消えて現れた通路をファンベルンは歩き出す。 壁の向こうは迷路の様だが,どうやら左伝いに歩いている様だ。 8回程,左に曲がった所で,ファンベルンは,また,何も無い壁に手をかざす。 セリスは少し,怪訝に思ったが今度は,何も言わない事にした。 
ファンベルンが,壁を強く押すと壁は重い音を立てて動き出した。

「よぉ,時間通りだな? セリス・ヴェルトレストさん?」
「私を見付けてくれて有難う御座います変態」

「ん? 俺?」
「見紛う事なき変態ですよボス?」

 その先には,難しそうな分厚い書物に右横と左横を固められた広い部屋があった。 その部屋の真ん中にある机に,1人の男が座っている。 赤い唾突きの帽子をを被った,茶の長髪に翠の瞳の飄々とした雰囲気の美男子だ。 若々しい容貌で,精々20代後半に見える。 恐らく,彼がこの組織のボスなのだろう。
 男は,着用しているジャケットの胸ポケットから懐中時計を出し,時間を確認して誉めるように言う。 それに対してセリスは,一応の苦難を共有できる仲間が彼のお陰で出来た事に感謝する。
 しかし,ファンベルンとの古城の前での会話のしこりがあるのかつい,「変態」と言う言葉が口をついて出る。 それに対して男は瞠目する。 誰の事だか分らないと言う風情でファンベルンに問うが,ファンベルンは笑って男の事を変態だと認める。

「くっ……くはははははは! 良いね,その怖いもの知らずな雰囲気,気に入ったぜ。 
俺の名は,リーブロ・ヴェイン……年の頃,こう見えて35だ。 宜しくな!!」
「…………セッ,セリス・ヴェルトレストよ。 宜しく!」

 男は暫く,手で顔を覆って沈黙して突然くっくと低い声で笑い出す。 そして,顔を上げて馬鹿笑いする。 その瞬間だった。 室内の雰囲気が,急に変ったのは。 
 セリスは,一瞬にして理解する。 目の前の男の圧倒的な実力を。 男は,繁々とセリスを見詰め,名乗りだす。 どうやら,リーブロ・ヴェインと言うらしい。 釣られてセリスも名乗る。
 相手は,彼女の素性を知っていると言う事は彼女自身分っているが,気迫に押されたのだ。

「悪いねぇ……驚かせちまったか? 
えっと,この組織に入る時一番最初にやる事が有るんだが,良いかい?」
「組織のルールの説明とかかしら?」

「そんなのはファンベルンから教われりゃ良いの」
「は?」

 恐怖から来る怯えで体が震えているのを認めたリーブロは,セリスに小さく,しかし,本心で謝る。 そして,本題を話し始める。 セリスは,長い事ならゴメンだという風情で思い当たる節を口にする。
 しかし,セリスの勘は見事に外れた。 それ所か,組織のルールなど自分が教える事ではないと言う始末だ。 リーブロの不可解な言動に胡乱下名表情をセリスは浮かべる。 
 その彼女の表情を楽しそうに観察しながら,リーブロは机の引き出しの中から大きな本を取り出す。
 
「ジャンジャカジャンジャンジャージャンジャ—ン」
「なっ何よ!?」

「紹介するぜ! 俺の友達第一号である本君だ!」
「……やっぱりエージェントって寂しいのね?」

「ぷふふっ!!」

 赤茶色の周りの本と比べると薄い本を立だ。 それを目の前にかざしリーブロは調子外れのハミングをしながら本を開いて見せた。 意味の分らないセリスは一層,怪訝そうな表情で問う。
 リーブロは,質問の根本とはずれた事を言い出す。 リーブロの言葉に,こんな馬鹿みたいな男でも苦労はして来たのかと同情するようにセリスは言うのだった。 
 事情を知っているファンベルンは,噛合わない会話に,笑いを堪えている。 リーブロの能力などセリスは知る由も無いのだからこの光景は当然なのだが。 

「いや! 断じて違う!! 断じて違うぞ!! 俺は,この美貌ゆえ禁じられた恋を幾つも!」

「本題に入れ」
「だせぇ……ボス,だせえぇぇぇぇl!」

 寂しい奴呼ばわりされて,腹が立ったのかリーブロはオーバーリアクションで自分は寂しい奴ではないと主張しだす。 その動きがまた,鬱陶しくてセリスの神経を逆なでする。
 セリスは,遂に我慢の限界を迎えたのかリーブロを殴る。 リーブロは,「へぶち」と訳の分らない悲鳴を上げて椅子後と倒れこんだ。 それを見たファンベルンはとうとう,笑いを堪えきれず爆笑する。
 この後,ファンベルンも殴られたのは言うまでも無い。

「で,結局この本が何なの?」
「……ふぅ,内容を良く読んでみ?」

「是って……エージェントの名前と能力? もしかして貴方」
「そうさ……俺は,能力者の中でも道具を媒介として能力を発動させなければならない稀有な存在なんだ。 そして,俺の能力の媒介はその本君で……能力は,アルティメットライセンス(究極の力)。 
他者の能力を自分で使用する事が出来るって奴だ」

 セリスは倒れたファンベルンとリーブロが復帰するのを待ち,立上ってきたリーブロにセリスは直ぐに質問をした。 気の短いセリスは,話が進まず苛立っているのだ。
 それを,楽しそうな笑みを浮かべてリーブロは見詰ながら,本の内容を読めと自分の目で確かめろと促す。 セリスは,何時も笑っているリーブロに不信感を感じながらも本に目を通す。
 その本に書かれていた内容は,格エージェントの能力と名前,そして,生存履歴だった。 唯のデータブックにも見えるがそれなら何故,エージェントのエンジンについてなどは記載されていないのか。 セリスは唐突に理解する。 リーブロの能力を。
 
 驚愕とした表情でリーブロを見詰め確認する。 すると,リーブロは素直に答える。 ある一定条件を満たしてこの本に他のエージェントの能力を記載させる事によりその能力を得られると言う物。
 無論,幾つかの制限があるのだろうが是は恐ろしく強い事は理解できる。 何せ,普通のエージェントなら1つしか持てない筈の能力を幾つも,有しているのだ。 
 こんな男が,ボスならどんな敵が来ても生延びられる。 助けて貰える。 セリスはそう,思った。

「私は何をすれば?」
「この本の掌の形をした部分に手を……そして,名前は良いから,能力名とランクを言ってくれ」

「分ったわ。 能力名はエンジェルビーツ(一陣の風)。 そして,ランクは5よ」

 今までに無い安堵感,今までは,殺伐としていて努めて心を閉ざしていたが是からしばらくは,例え彼等が偽りの仲間だったとしても以前と比べれば幸福な生活が送れるだろう。 
 長い間,孤独の地獄を経験してきた彼女には,想像するだけで胸が躍るのだった。 先程までとは違う,少し柔和な表情でセリスはリーブロに問う。 するとリーブロは,本を静かに畳み裏表紙を見せる。
 そして,裏表紙の手形に手を当てて能力名とランクを言えと促した。 セリスは言われるままに,本に書かれている手形に手を当て,リーブロに質問された事を言う。
 ちなみに,能力名とは,エージェントが名前をつけるわけではない。 頭の中に,能力が発言した瞬間に,響き渡るものだ。 その能力を如実に現すものから,全く関係無い物まで様々だ。
 ランクと言うのは,エージェントの能力の位階の事を現す物だ。 エージェントを危険視する政府の者達の規定する危険度と大きな差異は無い。 
 ランクは,Lv0からLv8の9段階で評価される。 Lv0が最も低く,無能力者即ち,通常の人間。 Lv1からLv2辺りは,戦闘力と言える戦闘力を有する物は居ない。 Lv3からが攻撃力を有するものでLv3は拳銃程度,Lv4はバズーカ砲級。 セリスの位置する,Lv5は戦車級と言った所だ。 ちなみに,Lv6とLv7の間には大きな差異があり,良くLv6が小組織ならLv7は国家だと言われる程だ。 尚,最高ランクであるLv8は,世界に10人しか居ないと言われている。
 
「記憶したぜよお嬢さん?」 


 言われたとおりに彼女が,能力名とランクを言葉にする。 すると突然,本が喋りだした。 特徴的な喋り方で,脳内に響き渡るような声だった。 恐らくは,この本自体がリーブロの能力の副産物だ。
 エージェントの中には稀に,常に能力の発動現となる武器を具現化した状態で持ち歩くものが居る。 能力により武器及び道具を具現化する能力者は少なくは無い。 しかし,それを随時,外に出した状態に出来る物は少ない。 それは,能力をそれだけ使いこなしエンジンの許容量が大きいと言う事に他ならない。
 詰り,単純にリーブロは強い。 同じ,エージェントして尊敬の念をセリスはリーブロに感じていた。

「本が喋るとか……驚いたろ?」
「えぇ……喋る道具を持つ能力者は始めてよ。 凄いのね貴方?」

「どう致し」

「何!!?」

 しかし,何よりセリスが驚いていたのは,道具と言う媒介に意志が有る事だった。 普通は,道具に能力が付加された物はあっても,道具に意思が有る事は無い。 意志が有るのは道具ではなくてアクセルと言う能力だからだ。 是についての詳しい事は後々,話すだろう。 
 リーブロに賛嘆の念をセリスは述べる。 その瞳は,年不相応の子供の様な純粋な輝きを浮かべていた。 その表情は,リーブロにとってとても魅力的だった。 リーブロにとって先程までのセリスの表情は,何か寂しくて儚かった。 
 そんな表情も,女の持つ表情と嫌っては居なかったが矢張り,陽気な彼にとって何時までも見ていたい物ではなかった様だ。 リーブロは,彼女の言葉に有難うと返答しようとする。

 だが,彼の言葉は突然の巨大な音によって掻き消された。 緊急事態を告げる警報だ。 瞬間,緊張感が走る。 何が起ったのか,事故か,侵入者か……不安が,体中を支配する。


「侵入者……侵入者! 尚,侵入者は1名」

 異常事態の正体は侵入者だった。 次に疑問が湧くのは何者でどれ程の規模かと言う事だが,何と侵入者は1名らしい。 唯の馬鹿か,セリスは大した問題じゃないじゃないかと安堵する。 しかし,1名と聞いた瞬間のリーブロ達の反応が可笑しい。
 たかが1名に対する動揺ではない。 言うなれば,1人で進入して来る強者を知っていると言う様子だ。 不意に,巨大な不安がセリスの脳内を支配する。 それは,たった1人で組織を壊滅させられるような怪物が進入してきたと言う事だ。 少し緊張した声で,アナウンスは続く。
 

「侵入者は,外見的,身体的特徴から世界政府専属異能狩りのリーダー赤沼幽人と目されます!」

 リーブロは,その名前に悪い予想が当った時の様に,しかめ面をする。 セリスにも赤沼と言う存在に対しては,聞き覚えが有った。 能力者ランク8の世界政府の最強の駒,インテルの5人のうちの1人だ。 その5人の中でも最も,残忍で強いと称されている男でもある。 




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Re: 「無限」∞エンジン  Akt1 Part2 更新 コメ求む! ( No.13 )
日時: 2011/05/08 19:32
名前: 朱音 ◆c9cgF1BWc. (ID: /kFpnDhT)
参照: 狭心症と絶体絶命が行方不明。

赤沼君! まさかもう登場するとは……って名前ぇぇぇぇ!
風様、「斗」やない、「人」や。

まあそんなことはどうでもよく(あれ

part1で目ん玉抉るとか際どいですねw セリスといえば私は某最終幻想6のあの子を思い浮かべてしまうのですがッ!
っていうか赤沼君が最強ランク……嬉しいです! えへえへー。
あ、いつか本編でやろうと思ってるんですが、彼は人格がちょいちょい変わります。必要でしたら書きますが……どうでしょう?


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