ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 古式騎士ゼロ式 Ancient Remains
- 日時: 2011/06/06 11:09
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xr1in99g)
まあ、更新遅いし、どうしようかこの野郎
と、脳みその足りない私が悩んだ結果、二条投稿しちゃえばいいか思考が発生した結果の産物です
ggればオリジナルが出ますが、オリジナルと話の内容は大体同じです
一応注意書き
荒らしは止めてちょ
荒らされ中のコメントも止めてちょ
以外特になし
退学危機の今日この頃
喧嘩しかけてきた相手は何故にお咎め無し……?
謎だ
>>1
プロローグ
一章 始まりは静かにゆっくりと確実に
〆>>2-5§>>8-15§>>20-23
- Re: 古式騎士ゼロ式 Ancient Remains ( No.1 )
- 日時: 2011/05/08 21:51
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
この世界には、不思議な物体が存在する。
化石や、天然記念物だとか、そんな自然的なものではない。 森羅万象によって引き起こされる不思議ではなく、知的生命体が作り出した。 知恵が関与した物体。
その時代には有り得ない技量によって創られた遺跡から出土した、オーパーツが代表的。
で、話は関係の無い方向へ向くのだが。
この世界には特殊な能力を持った能力者という奴が多数存在する。 今、この時代は能力者の能力によって成り立っていると言っても過言ではない。 魔法ではないから、そこは混同しないでほしい。
話を戻すが、そのオーパーツの話。 俺は物凄いものを見つけてしまった。 なに? 遺跡掘ってたらAVが出てきたって? 違うわ、俺は女だ。 ちなみにそっちの気は無い。
え? 俺って言う理由? 如何だっていいだろ、それに触れるな。
さあ、話を戻すから良く聞け。 この時代、能力を使うことで成り立っているのだが、見つけたのはそれを覆す発見だ。 俺が見つけたもの。 それは、古代の機械騎士。
その全てに例外なく黒い半液状の金属が使われている。 能力者の能力とは別の、科学でもない「何か」の力によって動く。 魔法とでも言うべき技術によって成り立っているそれは、この世の全てをひっくり返す可能性を秘めている。
古代の人間たちは魔術を扱っていたと言う証拠なのだ。 俺はその見つけた機械を古式騎士と呼んだ。
この時代に失われた魔術が甦れば、それこそ脅威。 発見後、直ぐに政府に回収されたよ。
確かにこの未知の可能性を秘めた機械は、危険だ。 使い方によっては、完全に統一された、この世界政府を転覆させ、自分が王に成り上がることも出来るかもしれない。
でもな、この兵器。 政府の力になれば、政府が暴走しないと言う保証もない。 脅威として受け止めるなら、壊した方がいい。
俺としては、回収するのは賛成できなかった。
何故って? それは、政府の暴政がこれ以上酷くならないように……だよ。
上層部は金を持て余し、その傍らで餓死者が出る、奴隷として浚われる、迫害される。
いっそのこと、政府を壊してみるのも……良いかもしれないな。 幸い、俺の手元にはまだ一体、古式騎士が残っている。
- Re: 古式騎士ゼロ式 Ancient Remains ( No.2 )
- 日時: 2011/05/08 22:02
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
古式騎士が現代に掘り起こされ三日が過ぎた。 特に、テレビでもその話に触れていない所を見ると、どうやら政府はその存在を隠しているらしい。
そして、家にいる古式騎士も、掘り起こされ二日目。 政府はどうやらこいつの存在を把握していないらしく、特にその対策を練る様なことをしなくてもよさそうだ。
その古式騎士は、完璧に人の体を成し、外見は人間そのもの。 そしてデザインは、十代半ばの少女と言った所だ。 騎士という雰囲気や貫禄などと言ったものは皆無だが、古式騎士と言う名は彼女を見て考えられた名ではない。
長い銀髪に、紅の瞳を持った、人形のような彼女は、相変わらず『言葉』を発する気配が無い。
時々、
「ロア」
「ファ」
などの音を発するがやはり、単語を喋ったためしがなく、出来ることなら早く会話をしてみたい。 時々、それを幾つも繋げた言語らしき音も発するがやはり、こちらしてみれば理解不能で、音以外の何者でもない。
ただ、それが言葉であれば、こちらから言葉を教えることでコミュニケーションが取れるかもしれない可能性と、コイツが言葉を学ぼうとしている探究心や好奇心だけは十分ある。
何故分かるかって? それは、コイツ発掘された時に遡る。
古式騎士という奴は、どうやら眠っているような状態で遺跡に埋まっていたらしい。 最初に見たときは、ただの装飾の施された二十センチ四方の黒い金属の箱だった。
俺は政府の遺跡調査グループの人間の一人で、超古代遺跡とか、超文明遺跡とか呼ばれていた遺跡。 北極の氷の下に眠っていた古代都市『ジンベル』とやらの調査で、偶然雪に埋もれていたそれを見つけ、偶然飲み水を数滴こぼし、偶然その雫がその箱に当たり、偶然その箱が人のような形を成した。 と言うことまでしか分からなかった。
それを見たリーダーが、何も言わずにそれを持ち帰り、研究して政府の役に立てるだの何だの言っていたが、それは信用できないと言うのが俺の本音。
そして、その日のうちに、残っていたメンバーだけでその『箱』の捜索を開始。 そして、多数の箱を発見した。 その箱の装飾も、大きさも様々だったが、黒い金属製と言う共通点はどれも例外なく同じだった。 その中で俺は一個だけ、他の箱とは違う性質を持ったそれを見つけた。
白い金属で出来た、黒と赤の金属での装飾が施された白い、手のひらサイズの小さな箱。 それだけ、俺はポケットに入れた。 何故って言われても、良く分からない。
理由も無く、何となく。
その白い箱こそが今、俺の家に居る古式騎士。
どうやらその古式騎士にも種類があるらしく、回収されていった古式騎士の大多数は、人の形ではあるが、人間の姿ではない。 黒い半液状の金属が鎧のように箱の表面を覆っていた装飾を人型になるよう纏ったものばかり。
捜索して、見つかった古式騎士は200体程度だが、その約六割が、同じ姿だった。
恐らく、量産型の兵隊だったのだろう。 それを裏付けるかのように、力は非常に強い。 中には、手の平から何か空気らしきものを放出して、物を吹き飛ばしたり、何らかのエネルギーを使って炎を放った物もあった。 ただ、確実に相手を切り裂く能力は全てが有していた。
古式騎士の名称はそこから取られている。
今の所実験段階だが、筋骨隆々の大男が束になってようやくその動きを止められる程度。 測定結果は今の所計れて居ないのでもう少し経ってから出るだろう。 研究者達によると、一体が10トン程度の腕力を持っているのではないかと言う。 確かに、凄まじい脅威だ。
そして他にも、コイツと同じように人の体を成した人間に近い姿のものも有ったが、コイツのように完全に人間の姿をした奴は一体も無かった。 何処かにやはり、装飾の跡があったり、人の姿をしているが皮膚が鋼のように硬かったりと、様々な特徴を有していた。
どうやら、コイツは特別らしい。
そして、政府はその古代の人形達。 古式騎士に、製造ナンバーを付けた。
表面の装飾の風化の具合で年代が測定できて、古い順に並べていった結果。 6割を占めたあの古式騎士が、一番古く、一番新しかった。
年代はどれも文明が栄えた時代で、その中ではまばらだったが、長い間利用されたと言うことなのだろう。 それを100式として、1式まで。 その全ての特徴が違う。
中には、言葉を理解し、話した奴も有るらしいが、俺はそいつを見ては居ない。 見てみたいが、別グループが研究の指揮を任されているから無理だろうな。
そしてほかに興味深い所と言えば、物を食う古式騎士も居た。 エネルギーの補給を必要とし、水を与えただけでは動けないものらしい。
この特徴も、今俺の横で物を食っているコイツに当てはまる。 一体、コイツは何だ?
「飯、美味いか?」
問いかけてみるが、こちらを向いて
「ん」
とだけ返し、また食い物を口に運んだ。
そういえば、コイツはコイツで面白い特徴がある。 その特徴とは、苦手な食べ物があるということだ。
今も、皿の端ピーマンを残している。 子供っぽいが、その味覚は少し大人に近い所もある。
砂糖なしのコーヒーは飲むし、酒だって飲ませれば飲む。 ただ、ビールだけ嫌った。 辛いからか?
チョコレートを与えてみれば、ミルクチョコレートには目もくれず、ビターチョコレートを選んだ。 一番最初はミルクチョコレートも食べたが、顔をしかめ、別のチョコレートに手を伸ばし、別の包みのチョコレートを食べてみるの繰り返し。 最終的に、チョコレートの入っていたカゴからはビターチョコが全部消えた。
味の好みもあり、その行動も人間そのもの。 家の中を歩き回り、階段を踏み外し転びかけ、夜には眠りに着き、朝には目を覚ます。
実に機械とは思えないほどその行動は人間臭い。
そんなこんなで数週間。 結局、政府はコイツの存在を知らぬまま、研究を続けていた。
その日の朝のことだった。
「オハヨウ」
そんな言葉が、眠っている俺の耳に入る。 最初は幻聴かと思った。 だが、目の前には古式騎士。 こいつがこうも早く言葉を話すとは思ってなど居なかった。 だが、
「オキナイノ?」
目の前で、確かに喋った。 しかも、
「ゴハンツクッテヨ、オナカスイタ」
片言ではあるが、喋る喋る。 理解して使っているかどうかは分からないが、何て学習能力だろう!
「お前、喋れるのか?」
「オボエタンダヨ」
たった一週間ちょっとでここまで話すか? 人間では無理な話だ。
母国語が話せるようになるのは、周囲にその言葉で話す大勢の人間が居るからであって、こいつの話し相手は俺一人。 別の国の言葉を習ったとしても、人間ならば少なくとも半年は掛かるようなことだぞ?
それを、たったこれだけの期間で? 嘘だろ……。
「名前は? 俺の言っている意味、分かるか?」
その問いに、そいつは数秒かけて答えを導き出し、
「オレ、ロア・ファファニール」
確かに質問を理解し、その答えを返した。 更に、
「オマエノ名前は?」
質問を返してきた? まさか、そこまでの知能が?
しかも、俺が発音した所だけ片言じゃなくなってる。
……そういえば、名前言ってなかったな。
「俺はメリエル。 お前は見た目から、俺じゃなくて私って言った方がいいと思うぞ。 まあ、改めて、よろしくな。 ロア」
- Re: 古式騎士ゼロ式 Ancient Remains ( No.3 )
- 日時: 2011/05/08 21:57
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
ロアが口を利き、二日がたった。 相変わらす、古式騎士の話がテレビで流れる気配は無い。
やはり、政府はその存在を隠していると言う考えが、確信へと変わる。
「チョコレート無くなった!」
ロアが叫ぶ。 この二日、口を利けるようになってからは外にも連れ出して見れば、ロアは次々と物事を覚えて行った。 それと同時に、ロアの出生や、能力なども次々と明らかになっていく。
まず、ロアは手の平から炎を吹き出し、触れた物を凍らせ、電撃を発すると言う王道とでも言うべき三つの攻撃的な能力を有している。 そして、力も見た目からは想像ができないほど強い。
100kgまで図れる握力測定機で握力測定をやってみたが、その針が振り切れたのは驚いた。 ただ、その時だけ古式騎士特有の黒い金属らしきものが手に集中するということも同時に分かった。
「ねえ、チョコレート!」
で、喋れるようになってからコイツは相当面倒くさい奴だと言うことも、良く分かった。
「ほら、チョコレートだ。 これだけだぞ」
ロアの持っているカゴに、適当な袋から取り出した1センチ四方の四角いチョコレートを流し込む。 大体、チョコレートのように高カロリーなものを食べた後、ロアの体は80℃近い熱を発することも、最近になってわかった。 それ以前は、突然部屋の気温が上がったように感じていたが、それでこの謎が解けた。
夏場にチョコレートを与えるのは止めておこう、暑がりの俺は絶対に熱死する。
「なあ、ロア。 お前は一体なんだ?」
「何って、う〜ん……ロイボルトだよ。 人口製作物であって運動を起こすことが出来て時間や労力を節約するために創られた人形。 私は永久機関だから、食べなくてもいいし、飲まなくても良い。 けれど、美味しいからチョコレートは食べるよ」
永久機関……か。 ロイボルト? ロイボルト説のあれか。
と言うことは、こいつが作られたのは18世紀から25世紀の間だな。 で、今は世紀に直すと多分50世紀だから、少なくともこいつが生まれたのは2500年前か。 場合によっては3700年前の製作物……。
よくもまあ、残っていたものだ。
「じゃあ、その時に居た国の名称は?」
「セフィロト」
「生まれは何世紀?」
「23世紀」
「その永久機関のエネルギー源は?」
「賢者の石から放出される魔力」
……。 魔力? 魔術のアレか。
架空のおとぎ話だろ? まさか、能力の間違いじゃないのか?
「魔力って能力の間違いじゃねえのか?」
「能力って?」
ロアは残っていたチョコレートに手を伸ばしながら、メリアルの手のひらで浮かび上がる鉛筆を凝視した。 それに気を取られすぎて、カゴとは別のところでその手は空を掻く。
「何だ、それは」
「能力者の能力。 まさか、知らないの?」
いや、知っているはずだ。 人間が能力を有したのは21世紀後半。
知らなければ、それ以前の製造。 それか、23世紀にはまだ能力が一般に普及していなかったかのどちらかだろう。
「知らない。 私の持つ知識には無い。 私の知識に無ければ、そのようなものは存在しなかった。 私がその時代のことで知らぬことなど一切無い。 知識の守護を担当していた私が知らなければ、それは間違っている予測だ」
知識の守護? また、わけの分からない単語が出てきたぞ?
知識の守護と言うことは、その脳みそにはそこまで膨大な「何か重要な知識」が詰め込まれているのだろうか? 何だか、好奇心をくすぐられる響きだ。
「じゃあ、魔力は一体何だ? 俺の時代は魔術は使わないし、魔術は存在しなかったと言うのが一般常識」
「魔術は存在する」
言葉の途中で、ロアが遮る。 魔術が存在する?
なら、見てみたいものだ。
「それに、メリエルからも魔力を感じる。 能力者の能力の源。恐らくそれがこの時代の魔力だよ。 私も一応は、魔術式によって成り立っている故に、心臓を剣で連れ抜かれれば壊れる。 そしてこれが……魔力の源だ」
ロアは自らの胸に指を突き立て、縦に押し開き、心臓を露にした。 紅の水晶の様な球体に何やら陣らしき彫刻が施されている。 これが……心臓?
「私の持つ永久機関にして完全なる物質。 賢者の石、それが私の心臓だ。 これを砕かれれば、私は死ぬ」
縦に裂けて開いた胸を、ロアは元通りに閉じると、再び何事も無かったかのようにチョコレートに手を伸ばした。
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