ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 捕まった世界地図
- 日時: 2011/05/19 20:37
- 名前: ザクラ・ノイザ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
こんにちわ!始めましたの方、始めまして!
この小説は、基本的に暗い小説にする予定です。
まだここのサイトを使って間もないので、意味不明な文章がたくさんあると思いますが、ぜひ!読んでいってください!
ちなみに、自分は書くペースが亀ですので!
- Re: 捕まった世界地図 ( No.2 )
- 日時: 2011/05/20 20:14
- 名前: ザクラ・ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
少女は頭から流れてきた赤い物を、笑顔でふき取った。
5階建ての病院の屋上からとびおりたはずの少女。
すごい音とともに地面にたたきつけられたはずの体。
どうして、彼女は死んでいない?
その場にいた多くの人間達が同じ疑問を思い浮かべる中、少女エリ香は軽やかに立ち上がった。
そして若い女性は、何事も無かったかのように彼女の白いスカートについたゴミをパンパンとはたく。
パァァァ————
遠くで救急車のサイレンの音がした。
だんだんと近づいてくるそれをきいて、エリ香の付き添いらしき若い女性は近くのサラリーマンに言う。
「この子は大丈夫だから。救急車の方達には悪いけど、そう伝えておいてくださいね。」
「・・・・・・ぁ、あぁはい。」
男は女性の美しさと少女への驚きに胸をドキドキさせつつあいまいに答えた。
エリ香と女性はスタスタと病院の前から姿をけした。
「エリ香、もうあんなことはやめなさいって言ったでしょ?」
歩いている途中、女性は眉間にシワをよせつつキツイ声を出す。
真昼の太陽が町を明るくてらす。しかし、二人の周りには灰色の空気が流れていた。
エリ香はそれにわるびれる様子もなくのんきに言い返した。
「何で?何をやろうと私の勝手でしょ?」
エリ香の返答に女性ははぁ〜とため息をついた。
「わかってないわね。あなたは組織にとって重要な人材なの。そんなあなたが世間で注目を集めるようなことがあったら大変でしょ?」
「・・・・・」
女性の言葉にエリ香は沈黙することしかできなかった。
女性の言っていることは正しいからだ。
少女、笹野部エリ香(ササノベ エリカ)は茶色の肩まであるフワフワ髪を持つ14歳の中学2年生だ。
彼女は知ってのとおり普通の女の子ではない。
生まれつき、普通ではないのだ。
何が普通じゃないのかというと、彼女の体は他の人間よりも頑丈にできている、というところだ。
血はふつうの人と同じように流すのだが、痛みを感じない&骨や他の器官が丈夫なのだ。
そのことをある事件をきっかけに知った組織【カーコイズァ】がエリ香の身柄を引き取ると両親と交渉をした。
ついでにいうと、エリ香の能力に気づいているものは組織の中でも数人しかいない。
それは組織同士の競争社会で、カーコイズァがエリ香を最後の切り札に使う予定だからだそうだ。
- Re: 捕まった世界地図 ( No.3 )
- 日時: 2011/05/23 19:45
- 名前: ザクラ・ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
夜
エリ香は寝付けなかった。
今日の出来事のせいだ。
病院から飛び降りたせいで、体のあちこちが痛い。
「・・・・・・消えちゃえばいいのに、こんな世界。」
エリ香は闇を睨みつけ、ベットから起き上がった。
家のベットだ。
病院から落ちた、とはいえエリ香の体は頑丈だ。
だから入院しなくても大丈夫なのだ。
エリ香は自分の家を静かに抜けだした。
「・・・・・・もういやだ、こんな世界!」
そう、私はいつも縛られている。
私の体が頑丈だと分かった瞬間、親は組織に私を強制的にいれ、働かせている。
私はもうあんな過酷なミッションはやりたくない。
死にたい。消えたい。
もうダッシュで走るエリ香。
しかし突然後ろ襟首を掴まれた。
「グェホォッ!!」
いきなり首を締め付けられ、エリ香はゴホゴホと咳き込んだ。
「悪りぃっ。大丈夫か?」
すぐ後ろで青年の声がした。
エリ香は躊躇なくそいつを睨んだ。
- Re: 捕まった世界地図 ( No.4 )
- 日時: 2011/05/28 21:44
- 名前: ザクラ・ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
「な、何するの!?テン!!」
エリ香が睨みつける先に『テン』と言われた、16歳の青年が立っている。
いや、実際のところ、本当に彼が16歳なのかは不明だ。テンは誰にも自分の年齢をあかしていないから。
表では、高校にかよっているものの、彼には時々16歳とは思えないようなものを感じる時があるのだ。
エリ香の視線の先に立つテン、は茶髪のところどころがはねている髪の毛をかきむしった。
「ぃゃ、悪りぃ。マジで・・・・・・。ほら、お前がこの町を抜け出さないように見張っとけって言われてさぁ。・・・・・・ボスから。」
ボス、とはカーコイズァに属する全ての藩のトップのこと。
つまり、一番えらい存在なのだそうだ。
エリ香はテンの言葉を聞き終えると、それを鼻で笑う。
「別に見張ってなくたって私はこの町からは出ない。テンなら分かるでしょ?」
テンはエリ香に真っ直ぐに見つめられ、思わず彼女から目をそらした。
テンとエリ香は2年前に知り合ったもの同士だ。
知り合ったきっかけは、カーコイズァの中にはいろいろな藩がある。
例えば、スパイ藩、戦闘藩、情報藩・・・・・・など。
その人物はその藩に適していないと分かれば、違う藩にうつさせられるというシステムなのだが・・・・・・
2年前のある日突然、エリ香の属する戦闘藩に(ニックネーム)、テンが入ってきたのだ。
エリ香の相貌から目をそむけつつ、テンは小声で言った。
「お前を見張ってろって言われたはずの俺も見張られてるんだよ!だから、明日高校あるってのに・・・・・・わざわざここにいるんだろうが。だいたい、お前が昼間に病院から落ちなければ俺にこんな命令はこなかったんだぜ?自覚あるわけ?」
テンの悪い癖は小言を言い出したら止まらないことだ。
エリ香は内心ため息をつきつつ、テンに背を向けた。
「お、おい!どこに行くんだよ!?」
これ以上問題ごとは御免だ、と眉をひそめるテンにエリ香は冷たく言い放った。
「あんたに関係ないでしょ。今は私を自由にしてよ。」
星が輝く夜の町へ駆け出そうとするエリ香。
しかし、その手をテンが掴む。
冷たい風は二人をつつんだ。
「っ!離して!!今この瞬間一秒でもいいから私を自由にして!縛らないで!私は鳥よ、大空を羽ばたきたいの!!」
意味不明な言葉を連覇するエリ香にテンは内心あきれつつ、イラついた声を出した。
「・・・・・・お前、分かってない!お前を少しでも自由にしたら俺の首がスパーンといくんだよ!分かる?この気持ち。」
「そんなの知るわけない!離して!」
エリ香は無理やりテンに掴まれた手をブンブンと振り回し、自分を束縛していた手を乱暴にはじいた。
そしてそれと同時にエリ香は今だせる精一杯の力で走った。
太陽をなくした町をてらすのは、ところどころに人工的に作られた電灯と、手が届かないくらい遠くで輝く星達だけだ。
- Re: 捕まった世界地図 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/29 22:51
- 名前: ザクラ・ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
何十分走っただろうか?
とゆうか、今日、病院から飛び降りたばかりのけが人がこれほどの時間をよく走ってこれたとエリ香は我ながら関心していた。
はぁはぁ、と息をきらしながら走りついた場所は公園だ。
家から2キロ〜5キロの距離にある小さな公園だ。
公園にはさびたブランコと小さな滑り台しかなく、あと他はスポーツ用に作られた地面になっている。
その公園は小さな道路の横にあり、三方を森で囲まれている。そして電灯が一本だけ。
幸い、テンとその他もろもろの気配を辺りに感じないことから、今自分はココに一人だ、と自覚することができた。
もちろん、テンが後を追ってくる気配はない。
不気味に感じなかったといえば嘘になる。
しかしエリ香は自らの恐怖を心の奥に隠し、公園に足を踏み入れた。
とたんに彼女の侵入を拒むかのように冷たい風がヒュゥゥー、と鳴いた。
「な、なによ!私が嫌いなの?でも別に入るくらいはいいでしょ?ダメならはっきりそう言って。」
公園が自分を拒絶している。
そう感じたエリ香は公園が返事をするはずがない、と分かっていつつもつい叫んでしまう。
当然、公園から返事はこない。
「・・・・・・もうっ。入るからね!」
エリ香は薄暗い公園をずんずんと進んでいき、ブランコに腰掛けた。
ブランコ意外に座る場所がなかったからだ。
そして彼女は黙り込む。
冷たい風が彼女を包み込む。
森から鈴虫やカエルの鳴き声が小さくだが、聞こえてきた。
夜空には、砂のようにちりばめられた星たちが輝いている。
何分間そうしていただろうか。
パジャマ姿のエリ香はさすがに寒気をかんじて、自分の手と手をこすり合わせた。
白い息が夜空に雲のようにかかる。
「・・・・・・平和ぁ〜・・・・・・」
つぶやくエリ香。
とその時だ——
ギイィ〜〜
「っ!?」
突然エリ香が座るブランコの隣のブランコに何者かが腰を下ろしてきたのだ。
顔は見たことがない。
普通の人間なら、知らない人の隣のブランコにしかも夜に座ろうと考えるわけはない。
(な、ナニ?コイツ。もしかして、私を殺そうとする悪者!?)
エリ香は思わずブランコから立ち上がり、後ずさった。
ブランコには18歳と思われる青年が座っていた。
少ない光でよくは見えないが、ところどころ、はねた黒髪に細くするどい赤い目をしている。
- Re: 捕まった世界地図 ( No.6 )
- 日時: 2011/05/30 19:16
- 名前: ザクラ・ ◆nOYt2SrT96 (ID: jusjvnjl)
青年はエリ香がブランコからとびおりても、表情一つ変えることなく、自らの足元に視線を落としていた。
青年がジャージを着ているということから、部活あるいはサークルの帰りなのだろうか。
「・・・?」
エリ香は緊張感のかけらもない相手の行動にただ眉をひそめるだかりだった。
(どういう事?だって普通敵だったら、私が立ち上がったら、捕まえようと襲ってくるでしょ?なのにどうしてコイツは・・・・・・)
と、その時だ。
今まで指一つ動かさなかった青年が動いた。
エリ香は体を強張らせる、が。
青年はポケットからガムを取り出しただけ。
ただそれだけだったのだ。
エリ香は内心あきれつつ、思わずため息をついた。
「・・・・・・これ、オレンジ味だけど、食べる?」
突然、青年がエリ香に一枚の薄いガムをさしだしてきた。
「え」
彼の顔を良く見ると、鋭くとがっていた赤い瞳は眠そうで緊張感のかけらもない。
「・・・うん。ありがとう。」
エリ香はガムを受け取った。
それと同時に青年はスクッと立ち上がる。
「ど、どこに行くの?」
あわてて聞くエリ香に青年はあくびをしつつ手短にこたえた。
「ふぁぁ・・・・・・家に帰るだけ・・・。」
そして、ゆっくりまったりと闇の中に姿を消してしまった。
「今のは、いったいなんだったのだろう?」
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