ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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月と復讐とチャットルーム【完結しました!!】
日時: 2012/08/14 10:27
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

こんにちは、久蘭です^^

前回の小説がまだ途中なのに新作を作ってしまったダメ子です^^;

しばらくはこっちに重点をおいて更新したいと思っています。

ただ、私は事情で日曜日&休日にしか更新ができません…T_T

更新がカメですが、よろしくおねがいします…^^;

【注意事項】

・この小説、グロい表現多数です。苦手な方はUターンしてください。

・中傷、荒らしに来た人もUターンしてください。

【個人的にうれしいこと(?)】

・この小説、感想とか書いていただけると嬉しいです!!


【お客様】

☆あんずさん【黒血フォルクロリカ 等】
☆優音さん【ココロ】
☆黒雪さん【あなたの薔薇は何色ですか?】
☆松岡修造さん(元.勇者ヨシヒコさん)【ドリームバトル!!】
☆クリスタルさん【鏡の国の君を探して】
☆うりゅーさん【密室小学校】
☆向日葵さん【王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 等】

コメント、ありがとうございます!!

【目次(?)】

プロローグ 新月の夜に >>1

第一章 二つの月の再会
1.新月からのメール >>2 2.二つの月の再会 >>6
 3.朔矢の計画 >>7 4.飛び散った血 >>8

第二章 新月は赤く染まる
 1.朝と夜 >>9 2.不安のうずく胸 >>10
 3.三日月のTシャツ >>11 4.青文字の七人 >>12
5.崩れた幸せ >>13 6.新月は赤く染まる >>14
 7.迷いは晴れた >>17

第三章 満月は赤く染まる
1.10年前の復讐劇 >>18 2.望美の覚悟 >>22
 3.題名未定 >>23 4.題名未定 >>24
 5.題名未定 >>25 6.何かが胸に… >>29
 7.満月は赤く染まる >>30

第四章 殺人者の表情

 1.新月の手口 >>33 2.消えた笑顔 >>34
 3.殺人者の表情 >>35 4.題名未定 >>38
 5.題名未定 >>39 6.題名未定 >>42

第五章 題名未定

 1.題名未定 >>43 2.題名未定 >>46
 3.朝乃と真夜 >>47 4.題名未定 >>50
5.題名未定 >>51 6.題名未定 >>54

第6章 題名未定

1.題名未定 >>55 2.題名未定 >>57
3.望は暗く、朔は明るく >>58 4.題名未定 >>59
5.題名未定 >>60 6.題名未定 >>61
7.題名未定 >>62

第七章 朋崎と滝と朔矢と望美
1.朋崎と滝と朔矢と望美 >>63 2.冷めきった目 >>64
3.望美の不安 >>68 4.朔矢の不安 >>69
5.題名未定 >>70 6.題名未定 >>73
7.題名未定 >>74

第八章
1.取り残された二人 >>75 2.題名未定 >>76
3.弓月陸斗 >>77 4.物足りない胸の中 >>78
5.題名未定 >>79 6.題名未定 >>80

第九章 月達の最後
1.夜が消えた >>82 2.題名未定 >>85
3.題名未定 >>86 4.月は、狂い、笑い、泣く >>87
5.望美の消失 >>88 6.満月の行き先 >>89
7.題名未定 >>90 8.脱帽だ >>91
9.月達の最期 >>92

エピローグ 月と復讐とチャットルーム >>93

〜あとがき〜 >>94

〜新作のお知らせ〜 >>56 >>98 >>99

【久蘭の小説宣伝(笑)】
☆ミィツケタ…(シリアス・ダーク)
現在進行中です♪一人かくれんぼ7人バージョン(?)を行う7人の話です。

★残光の聖戦士(複雑・ファジー)
現在進行中です♪架空の世界で、剣士と魔術師の優劣をめぐるバトル&ミステリー物です。

☆可笑しな少女のいじめ対策マニュアル!!(社会問題)
現在進行中です♪脳内回路の可笑しな少女がいじめを受けてしまうのですが、彼女はいじめを変な方向に解釈しだします…(^_^;)

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Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.60 )
日時: 2012/02/05 11:04
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

5.

香織が驚愕の表情を浮かべ、倒れた。

口をぱくぱくさせながら、朔矢を見る、その目。思わず朔矢は目をそらした。

やがて、香織は動かなくなった。

++++++++++++++++++++++++++++++++

白いセーターの襟に、喉から流れる血が染みていく。土手に生えた草も、血に染められていく。

朔矢はふう、と息をつき、香織を見やった。

その口元が、ふっと歪む。

「…やっぱり、香織は赤が似合うよ。」

朔矢は笑って、河川敷に降りていく。

川の水で血まみれの顔を洗っていると、誰かが近づいてくる気配がした。

「…朔矢?」

「誰か」が朔矢のすぐそばに立ち、話しかけてきた。

「やあ、望美。」

朔矢は頭をぶるんと振ってから、望美に向き直った。

まだ少し血が付いていたのだろう。望美が困ったような、躊躇するような、怒ったような…そんな顔をした。

「内海香織、殺したよ。」

そう言うと、望美は無言でうなづいた。

「見てた。急に携帯の着信音が鳴るから、あれ?と思ってみたら、朔矢からで…で、ふっと土手のほうを見たら、朔矢が知らない女の人と歩いて…で、それから、殺すまでを、見たよ。」

「そうか…。」

朔矢は香織の遺体のほうへ歩き出す。望美も着いてきた。

草むらの中に横たわる、香織。白いセーターの襟は赤く染まっている。

「ねえ、望美。この子、何色の服が似合うと思う?」

ふいに、朔矢はそう聞いた。

望美は少し考えるようにしてから、

「…赤。」

「やっぱり、さすが僕の妹。わかってくれた。」

朔矢は笑う。そして、もう一度香織を、しげしげと眺めた。

この町。この河川敷。いまわしい記憶も、懐かしい記憶も、この河川敷にはある。

「…望美。10年前のこと、聞きたい?」

「…うん。」

朔矢が問いかけると、望美はしばらくしてからうなづいた。

朔矢はいまわしい記憶を、懐かしい記憶を、呼び起こした…。

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.61 )
日時: 2012/02/05 11:22
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

6.

あの男…荒木優太は、容赦なく朔矢と望美の母、江梨子に刃物を突き刺した。

「逃げて!!」

母の声のすさまじさに、朔矢は尻もちをついた。

と、隣で望美が倒れた。

「望美!?」

朔矢は必死で妹を揺り動かす。でも、望美は冷や汗を浮かべながら、うめいただけだった。

気を失っているんだ…と気づいた途端、朔矢の体中に恐怖がこみ上げてきた。

逃げなくちゃ。逃げなきゃ、僕も望美も殺されてしまう…!!

朔矢は男の方を見た。男は声を押し殺して笑っていた。その目は、父と母に向いている。朔矢と望美のほうを向いている様子はなかった。

朔矢は当時10歳の望美を抱えて、ベランダに向かった。

窓をすごい勢いで開け放ち、ベランダに出ると、柵を乗り越え、一目散に走った。

夜遅くだった。蛍光灯の明かりしかない暗い道を、はだしで、10歳の妹を抱えて、朔矢は走った。

体中を、恐怖が駆け巡っていた。速く、速く、速く逃げなきゃ。逃げろ、逃げろ、あいつが追いかけてくる、逃げろっ…!!

走って、走って、朔矢は河川敷まで来た。土手を走っていると、ふいに足を滑らせた。

「うわあっ!?」

なすすべもなく土手を転がり落ちる。転がり切った時、朔矢の意識はもうろうとしていた。

息がきれ、体が動かない。すぐ隣で横たわるる望美に、手を伸ばす気力さえなかった。

速く、速くしなきゃ、速く逃げなきゃ、あいつが、あいつが、あいつが…!!

そう思っているうち、どんどん意識が遠のいていった。

++++++++++++++++++++++++++++++++

そして、朔矢は孤児になった。

父と母はもういない。父方と母方の祖父母が協力し、望美を引き取って育てることになった。が、成長期の子供二人を養えるほど、両祖父母の財政力はなかった。

朔矢は自ら進んで孤児院に入り、望美は祖父母に引き取られた。10年前、望美と朔矢はこうして、離れ離れになった。

そして、10年後、兄と妹は、再会した。

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.62 )
日時: 2012/02/09 10:39
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

7.題名未定

望美に再会する6年前。朔矢は、大学に入学した。そこで、香織と知り会った。

同じサークルで、同い年。しかし学部は違っていたので、あまり話す機会はなかった。

が、ある日。香織と同じ学部の友人から、こんな話を聞いた。


「内海の姉さん、4年前のHACの飛行機事故で亡くなったんだって。」


それを聞いた時だった。朔矢の中に恐ろしく大きな復讐心が芽生えたのは。

…それから朔矢は、香織に近づき始めた。

サークルで頻繁に話しかけ、親しくなる。そして、確かに香織の姉があの事故で亡くなったことを知った。

朔矢は香織との仲を深めつつ、あの事故について調べだした。

亡くなった人間と、その遺族について情報をあつめ、そして計画を練った。

そして…計画を完全にたて終わったのは、大学を卒業する頃だった。その頃、朔矢と香織は付き合っていた。

朔矢は妹…望美に連絡をとろうとしていた。が、父方の祖父母も、母方の祖父母も、もう亡くなっていた。そのために、朔矢は望美の居場所を知ることができなかった。

最初は、全て一人でやろうかとも考えた。が、朔矢には望美が必要だった。きっと一人では、心が折れてしまう。心が折れないために、確実に復讐を成功させるために、朔矢は望美を探し始めた。

再び、情報集めに朔矢は没頭し始めた。親戚中を訪ねて回り、望美の学校中を回り…大変な作業だった。

どうにか居場所を捜しあて、パソコンのアドレスを知ると、もう朔矢は待てなかった。

二人だけのチャットルームを立ち上げ、パソコンにメールを送り、望美と10年ぶりにコンタクトした。

その時の達成感と言ったら、なかった。

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.63 )
日時: 2012/02/10 10:11
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

第七章 朋崎と滝と朔矢と望美

1.朋崎と滝と朔矢と望美

全ての処理を終え、朔矢と望美は帰路についていた。

電車は空いていた。空いている席に並んで座り、ぼんやりと夜景を眺める。

望美は朔矢に聞きたかった。この復讐が終わったら、朔矢はどうなってしまうのか。私はどうなってしまうのか。

…いや、どうすればよいのか。

聞きたくて、でも聞けなくて。電車はだんだん田舎を抜け、人が多くなってくる。どんどん、そんなことを聞けない空気が作り出されてゆく。

(…もうだめか。)

乗り換え駅に着いた。朔矢は乗り換えずに行くはずだ。望美はバッグを持ち、朔矢にちょっとだけ手を振って、電車を降りた。

今まで乗っていた電車の扉が閉まる音。振り返って…望美はえっ、と小さく叫んだ。

朔矢が笑って立っていた。望美の肩をとんとん、と叩き、口を開く。

「今日、泊まらせてよ。久しぶりに。」

「…いいけど?」

あ〜あ。無愛想になってしまった。でもいい。これで、きっと聞ける。二人だけだから、誰かに聞かれる心配もない。

望美の顔がほころんだ。この日、望美は初めて心から笑えたような気がした。

++++++++++++++++++++++++++++++++

最寄駅に降り、家へ向かって歩く。朔矢は物珍しそうにきょろきょろとしている。望美はそんな兄を見て苦笑した。こんなふうに笑ったのも、ずいぶん久しぶりのような気がした。

ほんの少し、思い出に浸っている望美の視界に、何かがうつった。

前から、二人づれの男が歩いてくる。一人は50代前半くらいで、もう一人は30代くらいだ。会社の上司と部下に見える。二人は何やら書類に目を通しながら歩いている。あぶないな…。

男二人と、朔矢と望美の間が迫る。そして。

「!?」

「うおっ!?」

…衝突した。

男たちの見ていた書類が、道路に散らばる。

「うわっ…!!」

「朋崎さん!!前を見てくださいよ!!」

そう言いながら、30代くらいの方の男があわてて書類を片づける。50代くらいの朋崎と言う男も、顔面蒼白で書類を集める。

朋崎…?

「朋崎…隼人…おじさん?」

朔矢がぽつり、とつぶやく。その途端、朋崎ははじかれたように顔をあげた。

望美もはっとした。そうだ、この人…。

怪訝そうに30代の男が見る中、朋崎は朔矢と望美の顔をまじまじと見つめた。その目に、懐かしさが宿っている。

「…弓月朔矢君?それに、望美ちゃんじゃないか!!」

「「

Re: 月と復讐とチャットルーム ( No.64 )
日時: 2012/02/12 10:24
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)

2.冷めきった目

懐かしさと、驚きの混ざった表情で自分を見上げる50代の男を見て、望美も懐かしさと驚きをおぼえた。

「お久しぶりです…隼人おじさん。」

「はっはっは!!まさか君たちにまた会えるなんてなあ!!10年前と変わってないなあ…」

「あの…朋崎さん?この子たちは…?」

30代くらいの男が怪訝そうに話しかける。

「ああ、この子たちは…。」

そこまで言ってから、朋崎は口をつぐみ、再び、開いた。

「どこか入らないか?こんなところで立ち話もなんだし。」

「よろしかったら、うちに来ますか?丁度、兄と帰るところだったんで。」

「そうか、そうしてもらえるかな、望美ちゃん。」

「はい。」

望美はうなずいて、朔矢、朋崎、30代の男を連れて、歩き出した。

++++++++++++++++++++++++++++++++

「すまんね。急に押しかけてしまって。」

「いえ、気にしないでください。」

望美のマンションの部屋で、4人はテーブルを囲んだ。

「さて、と。じゃあ紹介しよう。こいつは俺の部下の滝亮介だ。」

朋崎は30代の男の肩を叩いた。望美と朔矢はちらりと視線を交わした。この男…まさか…?

「…で、この子は弓月朔矢君。この子がその妹の望美ちゃん。俺の親友の子供で…10年前の事件の遺族だ。」

朔矢がはじかれたように朋崎をみた。その咎めるような視線に気づいたのか、朋崎は先ほど落とした書類の束を朔矢に差し出した。

「朋崎さん!?」

「黙っていろ、滝。この子たちには教えとかなくちゃならん。この辺の、一連の事件のことを…。」

「しかし…。」

朔矢はもめる二人を無視して、渡された書類を手に取った。望美も横からのぞきこむ。

「…被害者リストか。」

10年前の事故の被害者と、遺族の名前が書かれたリスト。そして…次の紙を見て、朔矢と望美は目を見合わせた。

そこには、二人が起こした殺人事件の詳細が事細かに記してあった。更には、現場に残された血文字も。

今日、自分達は5文字目を書いてきた。内海香織の白いセーターの上に、大きく、「A」と。

「R」「E」「F」「R」「A」

この五文字の最後の文字は、まだこの書類には記されていない。それは当然だ。まだ内海香織が死んでから、2時間くらいしかたっていないのだから…。

トゥルル…トゥルル…

「はい。朋崎です…え?またか!!」

朋崎の語調が強くなる。朔矢と望美は冷めた、かすかに笑った目で、それを見た。

「わかりました。すぐ現場に向かいます。はい。…はい。では。」

ピッ…

電話を切るや、朋崎は滝に目配せし、朔矢と望美のほうを向いた。

滝が一足先にマンションを出ていく。それを見やりながら、朋崎は口を開いた。

「実はな、10年前と同じような、殺害現場に文字を残す事件が連続してるんだ。俺たちは荒木に恨みを持つ奴が起こした事件だと見ている。それがその資料だ。持っていていいよ。だが、決して口外しないように。文字のことはまだ極秘なんだ。わかったね?」

「…はい。」

「うん。どうやらまた誰か殺されたらしい。すまんが、俺はこれで失礼するよ。すまなかったね。」

「いえ、気にしないでください…頑張ってくださいね。」

「ああ。」

早口でまくしたて、朋崎はマンションから飛び出した。

その姿を、望美と朔矢は冷めた目で見つめていた。


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