ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 左手、薬指、戒めの指輪。【参照150突破読者様に感謝!】
- 日時: 2012/03/28 01:08
- 名前: *荊* (ID: RMd4mwvD)
どうもこんにちは。
*荊* (けい) です。
誤字や矛盾など多々あるかと思いますが見逃してください。
コメントくださるととても嬉しいです!
自分こそは戒められたいという人、ここに集え!!(←Mか。
ということで僕は戒めたい方です。
残念な文章ですが、よろしくお願いしますm(__)m
λ キャラクター紹介 λ
久隆 隆久(くりゅう たかひさ)
指輪に束縛されるハメになった主人公。
露嶋 楓(つゆしま かえで)
隆久の幼なじみ。
月島 御影(つきしま みかげ)
謎の美少女。転校生。
佐東 光臥(さとう こうが)
隆久のクラスメートで、親友。
作者紹介
—— 焔 ——
としても活動しています
一人称小説の時は —— 焔 ——
三人称小説の時は *荊*
という風に自分の中で切り替えてやっていきたいと思いますのでw
焔の方もよろしくお願いしますm(__)m
一人称小説……—— 焔 ——
三人称小説……*荊*
現在連載中の小説
左手、薬指、戒めの指輪。
蒼い天——俺はこんな空が憎たらしくて仕方がない。
転校生は戦闘兵器。
- Re: 左手、薬指、戒めの指輪。…私を死なせて。 ( No.6 )
- 日時: 2012/02/24 22:59
- 名前: *荊* (ID: LNgGYvWh)
書くさ〜^^
コメありがと!
- Re: 左手、薬指、戒めの指輪。…私を死なせて。 ( No.7 )
- 日時: 2012/03/05 00:59
- 名前: *荊* (ID: LNgGYvWh)
公園に着くと先に楓がブランコに座っていた。
昔はこの小さな公園に対して比率的に合わない量の子どもが遊んでいて、今は山さえ存在しない平らな砂場も、楓が揺らしているブランコも人数待ちだってしたものだ。
楓は隆久がやってきたのを確認し、タイミングよく空中で足を曲げたり伸ばしたりして、大気を押しだし、ブランコに勢いをつけていき——
「あ……」
——そんな姿に……隆久を見て微笑んだ顔に見とれている間に、楓は中を舞い、地面に降り立った。
昔は何処まで飛べるかなって遊んだな、と彼は思い出した。
「っとと」
「危ないだろ」
隆久は早足で駆け寄り、体勢を崩した楓の身体を支えた。
「ありがと。ちょっと勢いつけすぎたみたい」
っへへと彼女は笑う。
「帰ろっか」
公園の出口へ一歩踏み出しながら言う。しかし楓は隆久の手を掴み、その手を引っ張って言った。
「待って」
隆久は手を触れられた瞬間に、反射的に歩みを止めた。
「ベンチ座ろ」
「……いいよ」
訳も分からず連れて行かれるがまま、ベンチに腰を下ろす。
まだ手は繋がれたまま——
「あ、ごめんっっ」
隆久の視線を辿った彼女は慌てて手をふりほどいた。
多少乱暴で、ベンチに手を打ち付けられたが、痛みはすぐに消えた。
今の彼には手の痛みなんかよりも、手を離して以来俯いたまま動かない彼女が気になっている。
楓から誘ってきたのにな……と不思議に思ったが、彼自身も頭を回転させるも特に話題が見つからなかったので口を開けなかった。
彼女の表情を窺うと、視線がぶつかり、口ごもりながらも、考えをまとめたのか、言葉を紡いでいった。
「転校生にデレデレだったんでしょ?」
楓はたわいもない会話などをしたかった訳じゃなかった。
ただ一言。「私達はなんなのか」と訊きたかっただけだった。
なのに言えない。
なぜ急に二人の関係を気にしだしたのかというと、友達の影響だった。
「あんたら仲良いけど、付き合ってんの?」
二人はよく一緒に登校するので、誤解されることが多々あった。
しかしそれは偶然に他ならない事で、たまたま起きた時間、たまたま家を出る時間が一緒になるだけなのだ。
決して他意があるわけではない。
二人が誤解される理由としては、幼なじみというれっきとした大きな関係性持っている点が挙げられる。
実を言えば、それ以上に——もっと深い部分でもつながりがあるのだが……。
しかし、昔から何一つ変わらない二人の関係性に気付かされ、疑問に思った楓は、二人の関係性が生まれた公園で疑問を解決しようと画策し、彼を呼んだのだった。
いつまでたっても答えようとしない。
(なんなのよ。答えてよ)
心が締め付けられていくのが分かる。その力は少しずつ強くなっていって、不安は膨らんでいくばかりだ。
「……ないよ。……デレデレとかそんなんなわけない」
「はっきりしてよ」
楓はムスッとした声で言った。
こんな声が出るなんて、彼女自身でさえ驚きだった。
「あのさ…………。……俺を好きになってくれないか?」
「え……? な、なに?」
突然の事に隆久の言葉を理解しきれなかった。
「だから……その。……好きだってこと」
「え……。そんな……。…………もう好きだよ」
「……そ、そうなのか……? こりゃ驚いたな、はは」
わざとらしい笑いを浮かべる隆久に、楓は怒りを覚えることなく、楓も隆久と同じように引きつった顔で笑みを浮かべた。
「帰ろっか?」
隆久は立ち上がり……差し伸べられた手。
それを少し緊張しながらも掴み、立ち上がる。
ぬくもり。
夕暮れの公園を、手を繋いで歩く姿は数年前の二人が出会った日を彷彿とさせた。
隆久はそのぬくもりが、その柔らかな感触が冷えて固まって、消えてしまう事など、予想するはずもなかった。
- Re: 左手、薬指、戒めの指輪。…私を死なせて。 ( No.10 )
- 日時: 2012/03/05 01:01
- 名前: *荊* (ID: LNgGYvWh)
御影は指輪を見つめて呟いた。
「これで邪魔者はいなくなったわ」
沈みかけた夕陽に指輪を煌めかせた。
指輪をはめた一つの影が光った。
指輪光る影。完。
- Re: 左手、薬指、戒めの指輪。…私を死なせて。 ( No.11 )
- 日時: 2012/03/05 00:53
- 名前: *荊* (ID: LNgGYvWh)
第二章 君なく俺。
山を登ると一つ墓地がある。
その墓地は昔、隆久の両親が生きていた頃に、隆久は連れられてお墓参りにやってきては、ここにはお化けがいるのだと父に脅かされてきた。
そんな父も、記憶の中で笑う彼の横でまた笑う母も、この墓地に眠る。
記憶の中でしかもう生きれない存在となった。
そして隆久は、埃もかぶらず新しく刻まれた文字を見た。
墓標には
「露嶋 楓」
と、彼が愛した人の名前が刻まれている。
「月が綺麗なのにな」
彼は視線を空に移し、太陽によって輝かされている少し欠けた丸と小さな点にしか見えない自分で輝ける存在に、振り払えない思いを洩らす。
「何でだろうな……。月が、星が、……全然綺麗だなんて思えやしない」
——なぜならお前がいないから——
楓が下に埋まる墓石に向かってどこにも吐き出す事のできない儚い思いをただ……心の中で思った。
- Re: 左手、薬指、戒めの指輪。…私を死なせて? ( No.12 )
- 日時: 2012/03/08 18:17
- 名前: *荊* (ID: LNgGYvWh)
「見つけた……私の婚約者!!」
ああ、最悪な目覚めだ。しかし、夏でもないのにこの暖かみは……?
隆久はその正体を発見した。
「誰だ!? ……って……月島さん? ……なんでいるんだよ!?」
隆久は布団から飛び上がると、今まで寝ていた一人用ベッドの隙間の半分を埋める女に驚いた。
それは彼の通う高校の制服を着る少女。
「あなたは私の婚約者だから」
「は?」
理解できるはずもなかった。しかし、感覚的に指輪に視線を走らせる。指輪は朝の陽光に銀色が金のように光り輝いた。
「私達は同じ日、同じ時間に生まれた。私達の家系は婚約者となる人が生まれるまで何十年、何百年だって待つの。だからこんなに早く巡り会うのは運命的だわ」
「でもそれって双子ってことだろ?」
「違うわ。私の家系は女しか生まれない。それにあなたの母親と私の両親が違うのははっきりしてるわ」
確かに出生について母親に訊いたことはなかった。
それとなく訊いた時にはお茶を濁されて、話をそらされた。
本当はこの人から生まれたのではないのかもしれない、と親不孝な事を考えたこともある。
だが、そんな思春期まっただ中に、両親はこの世から姿を消した。
「はらたがいってだけじゃないか」
故に彼は冷めていた。彼の冷めた手を温めてくれた楓も死んでしまった。
残された隆久に何が残るというのか?
「だから何よ?」
「その返しはないだろ……」
「父親が同じだからってなに? あなたは私の指輪をして、私はあなたを愛してる。だからこれは成り立ってるの」
「そんなわけな——」
「学校行きましょっ」
「……先に行ってろ」
「はいっ」
御影は強引、そして唐突に愛を告げた。
ふざけている、と彼は思う。
いきなり何を言うかと思えば……。
「婚約者なわけないだろ」
指輪を抜こうと引っ張った。しかし、微動だにしない。指輪は薬指の皮膚——いや、骨自体に接着したように、引っ張る力を加える程痛みが襲った。
「なんなんだよもう!」
彼の周りで三人もの人が死んだ。
(俺ってなんなんだろ……?)
さらさないようにしていた隆久の脆弱な部分が表面に出ようとしている。
それは両親が死んでから、隠していたものだ。それがまた、楓の死によってにじみでようとしている。
それに御影は、隆久の父親が不倫どころか娘を生ませていたと言った。その娘こそが月島 御影であり、今同じ高校にやっていきたのだ。
確かに運命と呼んで良いのかも知れない。しかし、彼女の言う運命とは違う運命だ。
腹違いの双子が今になって巡り会ったという運命だ。
(でもこれは愛じゃない)
唯一の家族が御影なのだとしても、彼には選択することができなかった。
「行くか……」
隆久は制服を着て、乱雑に教科書を詰め込み、家を出た。
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