ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- サクラサクラ
- 日時: 2011/10/28 21:56
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17698
「ひとぉぉお……つ。みぃぃ……っつ。」
ヒトカタ、ヒトカタ。
サクライロノ、ヒトカタ。
大事な大事な、オニンギョウ。
「わぁな……、櫻が作ったおにんぎょう、こーぉやってなぁ?きれぇぇぇに、飾って。飾って、飾って、飾って、飾って」
かわいい、かわいい。
—「ほら!綾!また、母さまに、お裁縫道具を借りてね?可愛いお人形を作ったんだよ?」
サクラが持ってる。可愛いヒトカタ。
私にちっとも似てないけれど、とっても可愛い、ヒトカタ。
桜色の、私の、大好きな、色の、ヒトカタ。
サクラの作る、可愛い、オニンギョウ。
「ありがとう、ありがとう、わぁ、おまえの作るひとかた、大好きなんじゃ、ずっと、ずっと、大事にする」
サクラ、サクラ、目の前にいたのにね。目の前に、いたのにね。
サクライロ。色褪せて、サクラ、見えない。
「サクラ……、サクラ……」
誰 だ っ け
「櫻って……、誰だっけ。」
ざわ。ざわ。ざわ。ざわ。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、てるだ、てるだ、今日も、てるが来た、わぁの好きな、さくらせんべい、まだあるかな」
サクラ、サクラ、サクラ散ル。
- Re: サクラサクラ ( No.21 )
- 日時: 2011/11/19 12:31
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
更新
ばさばさと騒がしく、鳩はカフェの屋根から、向かいの屋根から、飛び立っていった。
櫻が見ていた窓の下には、覆面が外れ、急所に穴がぽかりと開いた男の死体があった。
血を浴び汚れた小娘は、おかしいのかなんなのか、けたけたと不気味に笑い始め、くるくるとその場を舞う。
「枩葉……、銃は三年前に禁止されたんぢゃなかったのか。もううんざりだ。銃を見るのは」
櫻は、冷たい手で、枩葉の腕を握る。
「だってあのお面さん、この前この店に来て金をせしめたらしいぢゃないか。
いけないねー。まっとうに生きている人を闇に引きずる悪い子は死ぬ事が一番の償いだぁ……」
枩葉は、煙草を咥えた口を歪めながら、無造作に銃をしまいこんだ。
櫻は、酔いが冷め冷たくなった枩葉の腕から手を離した。
枩葉の死人みたいに黒く淀んだ瞳は、まわりを少し煙らせて、「水、飲んでいい?」と一言。
返事をしない内に枩葉は台所へ歩いていった。
櫻は、あまり慣れない煙を吸い、少しむせ、ぽつりと呟いた。
「お前も、悪い子に引きずられた世の死人か、枩葉」
- Re: サクラサクラ ( No.22 )
- 日時: 2011/11/19 14:13
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: Pmy7uzC3)
- 参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm
枩葉…大変!
銃を隠し持っていたなんて!
- Re: サクラサクラ ( No.23 )
- 日時: 2011/11/26 12:38
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17474
はじめまして♪
若干良く分からないけど、すごくかっくいいです!
なんていうか・・・文体とか、キャラ製とか、とにかくすべてがかっこいいです!
更新、頑張ってください(−∀−)/
- Re: サクラサクラ ( No.24 )
- 日時: 2011/11/28 17:39
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
更新
「しかしまぁ、無闇矢鱈に人は殺せないもんだねぇ」
枩葉は、煙草を吸いながら、新聞を片手にカフェのカウンターにいた。
「これ以上このカフェで無法するのはやめてほしいのだけど。
あんたが死体になってようが構やしないけどさ、こっちにまで根も葉もない噂がついちゃ困るんでね」
銃で人を殺したばかりの枩葉。最近の通り魔事件の組織の一員として死体は署に差し出した。
銃を用いた保身。銃は没収されたが、見事にお咎めなし。櫻がかばわなければ一大事となっていた。
「しかしなんだね、おまえさん、あの娘を引き取るたぁ、随分賑やかになりそうぢゃないか」
あの娘とは、昨夜、男に捕まっていた幼子の事である。
「身寄りもない、金もない。店を手伝う分、喰うには困らないようにしてあげるつもりよ」
すると、店の奥から、愛らしい着物を着た小娘が、紫都につれられてカウンターへとやってきた。
「このコすっごく可愛いわねぇえ!私のおさがりでも十分着こなせちゃうんだから!
櫻!あんた小娘一人雇うんだから!美味しいもの食べさせてあげるのと、死なせないようにしなさいよ!」
紫都は、小娘にずりずりと頬ずりをして、によによと笑みを浮かべている。
「紫都の、着せ替え人形じゃねぇんだからあんまりいじめるなよ。
時にその子、名をついぞ知らん、教えてくれよ」
小娘は、着物の袖をもじもじと弄りながら、ぼそぼそと唇を動かした。
「美…、美っていいます」
その瞬間、小娘は、ぴゃっと小走りして櫻の背にひっついて、枩葉の顔をじろりと見つめた。
「どうしたい、照屋みたいだな」
枩葉は、けらけらと笑いながら小娘に向かって手を振った。
「ちょっと枩葉さん、美ちゃんをいじめないでよ?美ちゃん怖がりなんだから。
ただでさえ貴方は死んだ蜻蛉みたいな目してんだから、ちったぁ考えなさいよね!」
「酷いな!おい!」
- Re: サクラサクラ ( No.25 )
- 日時: 2012/03/31 20:13
- 名前: ひな (ID: uSm8EB/f)
おお!面白いです!
頑張ってくださいねぇ、応援してます(
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