ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- サクラサクラ
- 日時: 2011/10/28 21:56
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17698
「ひとぉぉお……つ。みぃぃ……っつ。」
ヒトカタ、ヒトカタ。
サクライロノ、ヒトカタ。
大事な大事な、オニンギョウ。
「わぁな……、櫻が作ったおにんぎょう、こーぉやってなぁ?きれぇぇぇに、飾って。飾って、飾って、飾って、飾って」
かわいい、かわいい。
—「ほら!綾!また、母さまに、お裁縫道具を借りてね?可愛いお人形を作ったんだよ?」
サクラが持ってる。可愛いヒトカタ。
私にちっとも似てないけれど、とっても可愛い、ヒトカタ。
桜色の、私の、大好きな、色の、ヒトカタ。
サクラの作る、可愛い、オニンギョウ。
「ありがとう、ありがとう、わぁ、おまえの作るひとかた、大好きなんじゃ、ずっと、ずっと、大事にする」
サクラ、サクラ、目の前にいたのにね。目の前に、いたのにね。
サクライロ。色褪せて、サクラ、見えない。
「サクラ……、サクラ……」
誰 だ っ け
「櫻って……、誰だっけ。」
ざわ。ざわ。ざわ。ざわ。
「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、てるだ、てるだ、今日も、てるが来た、わぁの好きな、さくらせんべい、まだあるかな」
サクラ、サクラ、サクラ散ル。
- Re: サクラサクラ ( No.11 )
- 日時: 2011/10/30 20:16
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
「しかしまぁ、ここらも最近物騒なもんだあ」
ランチタイム12:00〜2:00
この間だけの、特別メニュー
・焼きカツサンドウィッチとトマトのスープのセット 六銭
・桜のけんしん焼きと大根の味噌汁 四銭
枩葉は、桜の塩漬けを炊きこんだけんしん焼き(焼きおにぎり)を、あろう事か、味噌汁にといて口に流し込み始めた。
ずるずると汚い音で啜り、箸で残った米粒を口へ掻き込む。
「今度さあびすとして、鰹節と腐った魚でもぶち込んでやろうか、こんな猫まんまみたいな喰い方をしやがって」
櫻は今日も、枩葉のへらへらとしたしたり顔に、吹雪の如く冷たい視線を投げかけるのだった。
「物騒な事と言やぁ、最近帝都で頻発している通り魔事件だなあ」
櫻の視線をものともせず、枩葉は頬に付いた米粒をぺろりと舐めとり、話を続けた。
「通り魔事件?最近はもう新聞にも顔を出さなくなったんじゃ……」
ちっちっちっと、指を左右に動かし、鼠声を発する枩葉。
卑しい目を向け、口を開く。
「新聞しか読まないたぁ、そりゃ、大都会に住む人間としてやっていけませんなぁ。櫻の」
「実に醜いぞ、通り魔事件の犯人は捕まる事がない。警察のお上の方々は、犯人を野放しにしとくも同然だ」
「上の人々は、迷宮入りを盾に、捜査をお開きにするらしい、分かりますかい櫻の、
いずれ俺がその通り魔さんに殺されても、犯罪にはならないんだからなあ」
いずれ、何かが起こる。枩葉はそう言って、新聞をつつく箸を味噌汁の椀の上に揃えた。
「枩葉さんが何に殺されようが、警察が動くわけないでしょうが、その五月蝿い口を開きなさんな」
昼下がりのカッフェの中、おんなじ、血の臭い。桜の匂い。
- Re: サクラサクラ ( No.12 )
- 日時: 2011/10/31 23:01
- 名前: 神楽妖 (ID: hTC9GSKn)
初めまして。
「駄菓子屋てる」も、一気読みしました。
てるの人間(?)性というか性格というかがとても好きです。
昔の語り口調な感じが物語に合っていて、とても素敵だと思いました。
さゑsの文章、とても好きです。楽しみにしてます♪
- Re: サクラサクラ ( No.13 )
- 日時: 2011/11/02 20:16
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
神楽妖様
お初です。
てるを気に入ってくれましたか!有難う御座います!嬉しいですw
励みになりました、頑張ります!
- Re: サクラサクラ ( No.14 )
- 日時: 2011/11/03 18:26
- 名前: さゑ (ID: s3nHTWkq)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
「無能な警察、頻繁に起こる事件、何かが隠れていそうね」
こちらも、客の一人。カッフェの隣の鏡屋を営む紫都という女性である。
「……、私達一般市民が考えることでもないでしょう、考えるだけ無駄、そんな暇があったら人形を作るわ」
客足の少ないカッフェ、寄って集うは変人ばかり。
紫都は、潤った唇を釣り上げ、ほくそえんだ。
「その一般市民が事件に巻き込まれているのよ。私達だっていつ狙われるか分からないわ」
「鏡に書物などを映すと、鏡文字になるぢゃない?それと同じ、真実を鏡で映しても、自分から見ると曲がって見える。
曲がって見えるからって、その鏡文字を読もうとせず、投げ出した瞬間に……、こう、首が、すぱっと落ちるのよ」
櫻は、紫都の連ねる言葉に、眉を顰めながら、食器の置いてある棚のガラス戸をぢっと見つめた。
自分の感覚が奪われるような鏡の心地は、とても気味が悪い。
その真実が、いつか、役に立つのだろうか。
「まあ、せいぜい櫻も気を……」
が ん
「手を上に上げて、背を向けろ、無駄な抵抗はよせ。そして、要求に応じろ」
覆面を被った正体の分からない男が、銃を持ちやってきた。
三年前に禁止されたはずの銃の所持。
櫻の作った人形の一つに、綺麗に穴があき、煙が少しばかりもやもやと立っている。
強盗が入った。客も少なく、見通しが若干悪いここなら、少しぐらいの銃声は気にせずにすんだろう。
しかし、このカッフェに銃声を響かせた時点で。
運は尽きている。
「店主は金を出せ!金額hヒギャッ!!」
「櫻、ちょっと店荒れるけど、許してちょうだい」
紫都は、懐に隠し持っていた杓文字を男の顔面めがけて投げつけた。
そして、椅子から跳ね上がるように足を蹴り、高く飛んだ。
足を伸ばし、紫色の着物をたくしあげ、男を蹴り付けた。
「ぎゃああああああああ嗚呼嗚嗚嗚嗚!!痛ッ!やめッ……!」
紫都は、戸惑うことなく、冷静に動き、男の背後に回り、細く白い腕を男の首にまわし、締め付けた。
そして、残った足で、男の股間をめいっぱい蹴り上げた。
「ひぎぃッ?!あ゛ああ!!」
見かけに騙されそうな細い腕で、首を締め付ける。
「ぐぎぃぃいいぃぃ嗚呼嗚嗚嗚嗚!!があ゛あ゛あ゛!!」
ご き っ
「フギャッ?!」
紫都は、やれやれと言わんばかりに、両手を上に上げ、肩を竦めた。
櫻は、その様を、静かに眺めていた。紫都は、拳を握り、にこにこと笑みを浮かべた。
男は、金を奪うでもなく、女を襲うでもなく、顔に足跡を赤くつけ、股間を蹴られ、挙句の果てに首を絞められた。
人質を取るという行為は、素人が簡単にできるものではないと身を持って感じさせたところで、
男を縄で縛り上げ、近くのびるぢんぐの屋上からつるし、晒し者にしておいた。
怪しく近づく魔の手。血の臭い、桜の匂い
- Re: サクラサクラ ( No.15 )
- 日時: 2011/11/03 19:50
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: Pmy7uzC3)
- 参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm
うわあああ…
一度読んだら引き込まれてしまうストーリー展開…変わってませんね!
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