ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 壊れて直して繰り返し
- 日時: 2011/12/11 18:28
- 名前: 律久 ◆rapaJxxdP2 (ID: cPNADBfY)
「嗚呼、憂鬱だ。」
そう呟いては何度目か分からない溜息をついた。
批判することが好き。
屁理屈を言うのが好き。
ごねているのが好き。
何もしないのが好き。
批判されることは嫌い。
たてつかれるのが嫌い。
苦しむのは嫌。
息が詰まって吐きそうになる。
救いの手を求めたい。
でもできない。
助けて欲しい。
でもできない。
助けを求めても、
私は信じることが出来ない。
どうしたら
どうしたら
どうしたら
もっと楽に生きられるの?
- Re: 壊れて直して繰り返し ( No.11 )
- 日時: 2011/12/28 19:01
- 名前: 律久 ◆rapaJxxdP2 (ID: cPNADBfY)
扉が開く。
当然、私以外のクラスメイトはそこを見ていた。
私、私はと言うと、クラスメイトの顔を見ていた。
どんな表情変化が訪れるのか。
期待はずれでがっかりするのか。
歓声を上げるのか。
どちらとも言えない微妙な空気になるのか。
人間観察が学校にいる間一番充実している時間だ。
靴が床にこすれる音が聞こえる。
教室に入ってきたらしい。
クラスメイトの表情変化というと、予想にはなかったものだ。
期待に満ちあふれている顔から、
目を丸くして私を除く全員が転校生に、
見惚れていた。
心此処にあらず。と言った表情だ。
おかしい。これはおかしい。
もし、もしもの話だ。
転校生が美形だったと仮定しよう。
性別によって反応は変わるだろう。
女子は良いとして、男子。
何故男子が男子に見惚れているのだ。
私の知らない間にこのクラスの男子は全員同性愛者になったわけでも無かろう。
怪訝な表情は表に出さず、私は転校生の方に視線を向ける。
さすがに驚いた。
眉目秀麗の具現化とはこういう事を意味するのだろう。
そう言うしかない。
漆黒の髪は癖など無く、襟足は肩まで伸びている。
澄んだ大きな瞳も黒、かと思ったが光が当たると時折藍色に輝く。
整った顔立ちとしか説明が出来ない。
白い、青白いというのか、日に当たることを知らないような肌の色。
細く、折れてしまいそうな華奢な身体。
男子とも女子ともとれるような中性的な雰囲気。
生憎、周囲の女子とは違って異性の話題で盛り上がるような人間ではない私。
しかし、この容姿の良さはそんな私でも分かる。
「自己紹介を」
担任が転校生に促す。
少し戸惑った様子を見せながらも転校生は口を開く。
「...東京の中学から転校してきた、霧橋紡(きりはしつむぐ)です。今日からここのクラスに入ります。」
拍手するクラスメイト。
私も一応。
気になったことが一つ。
自己紹介によくある、「あれ」がない。
そう、「宜しくお願いします」だ。
馴染む気がない?
...考え過ぎか。
- Re: 壊れて直して繰り返し ( No.12 )
- 日時: 2011/12/28 23:43
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
ああ、いいますね。「宜しくお願いします」
馴染む気がなくても、お決まりですしねー。
癖の無い髪の毛・・・その秘密は
朝、いつもより2時間早く起きてアイロンをかけまくったんじゃないだろうか。
張り切って、必死で!(それはないか)
人間観察、楽しいですよね!
私、卓球部なんですけど、相手がどこにボールを出されるとミスるのか、どんな風に、どんなタイミングで攻撃をするか、
どんなサーブをするか、礼儀正しいか、美人かどうか(最後のは必要ないか)
と、とにかく観察するのがとても楽しいです♪
突然ですがタメ口でいいーですか?
- Re: 壊れて直して繰り返し ( No.13 )
- 日時: 2011/12/30 19:19
- 名前: 律久 ◆rapaJxxdP2 (ID: cPNADBfY)
クリスタルさん
お決まりを言わない彼です。
常識にとらわれないような人にしたかったのです。
必死だwww
まあ、アレです、言ってしまうとですね、
生まれつきです。
むしろそれくらいしかすることないんですよー。
運動部ですか…私は文化部でインドア派で根暗でry
人間観察についての同意、嬉しいです。
ご自由にどうぞー。
しかし私は慣れるのには時間がかかるので暫く敬語でいかせていただきますね。
- Re: 壊れて直して繰り返し ( No.14 )
- 日時: 2011/12/30 20:03
- 名前: 律久 ◆rapaJxxdP2 (ID: cPNADBfY)
「では、霧橋君はあの一番後ろの空いている席に座って下さい。」
担任の指示に頷き私の隣の席に近付いてくる。
彼にクラス全員の視線が集まっている。
高城さん良いなー、とか羨ましい、とか霧橋君格好良い、とか色々聞こえる。
目立つ人の隣は良いことがない、羨ましいなら代わってくれ。
転校生、いや霧橋紡が席に座る。
荷物を置き、小さく見ていないと確認できない程小さく、溜息をついた。
そして此方に視線を向ける。
と、同時に私は視線を逸らす。
「…あのさ」
声をかけられた。
見えないように聞こえないように溜息をつく。
聞こえないふり、も無理だろう。
「…何?」
首をかしげて無理矢理笑顔を作る。
素だと無愛想とか色々言われるのだ。
転校生に素で対応すればアレだ、後々面倒くさい。
「無理して笑わなくて良いけど」
バレた。今までの私の笑顔の練習は無駄だったようだ。
誰にも貼り付けの笑みはバレたことがなかったのに。
と言うわけで表情を消す。
「何か用ナンデスカ?」
「…いや」
「そう」
ふい、と前に視線を戻す。
気を遣う?私にそんな考えはない。
理由は一つ。
関係無いから。
- Re: 壊れて直して繰り返し ( No.15 )
- 日時: 2011/12/30 20:29
- 名前: 律久 ◆rapaJxxdP2 (ID: cPNADBfY)
朝の学活が終わった。
保健室へ向かおうと廊下へ出る。
廊下のロッカーから授業のために荷物を取り出しに来ている奴が多いため目立たずに済む。
出来るだけ人のいない所を歩いて行く。
保健室前へとたどり着く。
そこで足を止める。
やめよう、そう思った。
人が、今日に限って人が多い。
しかし授業はもう始まっている時間。
行き場を失った。
さて、どうする。
屋上だ、屋上行こう。
なるべく足音を立てないように上へと上がる。
そして廊下を徘徊している、もとい歩いている教師に見つからぬように。
授業中に廊下をうろついている生徒は怪しい。
なんとかたどり着いた。
鍵穴は無いらしく、取っ手にガムテープが何重にも貼られていた。
内ポケットに持ち歩いている鋏を取り出して全て切る。
ドアを開けて外へ出る。
涼しい風が吹きつける。
フェンスに寄りかかり座り込む。
誰もいない空間が、自分が自分で入れる時間が、私にとって一番安らげる時間だ。
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