ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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REAL GNP
日時: 2011/12/12 12:29
名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)


憎しみ。

それは時に人を傷つけ、
時に人を変えてしまう。

罪。

それは決して許されず、
また 心を迷わせる。

笑って 泣いて 怒って 悩んで 助け合って・・・
たくさんの感情を抱えながら人は生きる。


でも もうそんな事できない。

真っすぐ懸命に生きることは無い。 一生。

それでも生きているのは

生かされているのは


きっと理由がある。

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Re: REAL GNP ( No.1 )
日時: 2011/12/12 12:51
名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)


-誓い-

「パパ! ママ! 今日ね!」

また“ただいま”も言わずに靴を脱ぎすててきてしまった。

-..ガラっ
扉の先にいるのは笑顔で迎えてくれる父と母の姿  のはずだった。

目にしたのは赤一色。
そう、血だ。

「真子ー? どしたのー?」
玄関からまだ何も知らずに靴を並べなおす双子の姉、真輝が言う。
「パパ...? ママ...? 真也...?」
あたしはその場に硬直していた。
頭が真っ白になるのを超えて空気にでもなりそう。
「まっ...」
後から来た真輝も思わず息を呑み込んだ。


「お帰り。 お嬢さんたち。」
低く聞いたことのない声が響いた。

・・・だれ?

そこには血についた包丁を片手に、うっすらと笑みを浮かべる男がいた。

「君たちは“差別”と言うものを知ってるかい?」
男は不気味な雰囲気を漂わせながら話し続ける。
「差別とは不公平に差をつけて人を扱うことなんだ。
 きっと学校でも習うはずだよ。 絶対にしてはいけない。
 だから“無差別”と言う言葉がある。」
それはまだ6歳のあたしたちには理解できなかった。
ただ1つわかった事。

みんなを殺したのはこいつだ。

Re: REAL GNP ( No.2 )
日時: 2011/12/27 18:38
名前: 瑠璃歌 (ID: noCtoyMf)

衝動的に幼いながら抱いた憎しみと怒り。
同時に目の前のあまりにも大きな現実にあたしは何もできなかった。

男はにっこりと笑ってあたしたちの横を通り家から出ていった。
あの笑顔は今でも許せない。
人の家族をまるで差別を盾に平気な顔して殺した上に穏やかな笑みを残していった。

その1年後あの男は捕まり裁判となった。
どんな手を使ったのか、判決は、黒月彰、懲役10年。

子供ながら10年なんてすぐだった。
あたしたちは16歳。  悪夢は続いた。

あの男が国会議事堂でのんきな顔して取材を受けている。
その1年後、信じられない事がニュースで放送された。

新・首相:黒月彰

あいつが、みんなを殺したあいつが首相?
あり得ない。
信じられない。

でもこの大きな現実にまた何もできない。


Re: REAL GNP ( No.3 )
日時: 2011/12/13 07:44
名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)

あの日
ただ1つ姉妹そろって心に誓った事。


「絶対に復讐してみせる」


たとえそれが死の入り口になったとしても。


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