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僕ーKAZOKUー【おかげさまで完結いたしました!有り難うございました】
日時: 2012/01/29 17:58
名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)

今日は、イブイブ・クリスマスですね!

はじめまして。夕和 環です!!
『ゆな たまき』と読みます。ケータイで変換したら、出てきて
「これはいい!」と思い、そうしました。

雑談は、ここまでにして…。

注意です!!!

■ 更新は、ランダムになります(すみません…)
■荒らしは、できるだけ、やめていただきたいです(傷付きやなもので…)

それでは、長くなり、もうしわけございません(´・_・`)
駄文なのですが、お楽しみいただけたら嬉しいです。


2011.12.23 更新記念日

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僕ーKAZOKUー ( No.8 )
日時: 2011/12/29 10:24
名前: 夕和 環 (ID: Xr//JkA7)



朝の光はまぶしい。
ぼくは、その光で目を覚ました。
隣をみると、うさぎのぬいぐるみを抱きしめて寝ている瑠菜さんがいた。

「太朗君、ご飯たべて。病院いくよ」

春花さんが、僕のもとにお盆を持ってきた。
そこにのっているのは、三角の…

「あの、これは、なんて言うんですか…?」
「これは、おにぎり。おむすび、とも言うけどね」

おにぎり、おむすび…。
僕は、それを口へ入れた。
昨日たべたご飯の味と、ぱりぱりの何かの味。
おいしいや…。

「ねえねえ?太朗君はさ、ご飯、食べた記憶あるのかな…?」
「…はい。だけど、苦くてまずい草しか食べたことないような気がするんです。きっと、それくらいしか食べるものがなかったかと…」
「え!?…じゃあ、太朗君、家族いないの?あ、いないって言ってたかな…。ごめん」

聞きなれない言葉に、僕はとまどった。


カゾクって、なんだろう?


そのとき、ぼーんぼーんと古時計が音をならした。

「あ、太朗君、いそいで!!」

春花さんは僕の手をひいて、家を出た。
赤い自転車にまたがると「後ろのって」と春花さんが叫ぶように言った。
僕は言われるままに春花さんの自転車の荷台に飛び乗った。
景色がどんどん後ろにながれていく。
風が頬をなでていった。
…気持ちいいな
僕は目を瞑ってみた。
今までに、こんな気持ち、あじわったこと一度もない。

キッと音をたてて、自転車が止まったから、僕は危うく落ちそうになった。
見上げると、白くて大きな建物がそびえ立っていた。
緑の太い文字で“精神外科”とかいてある。

春花さんも、僕のことおかしい、変な子さって、思っているのかな?
確かに…僕は変な子だ。
ふいに、ぽんと春花さんの手が僕の肩にのせられた。

「大丈夫よ。心配はいらない」

春花さんのポニーテールが左右に揺れる。
心から安心できた。

病院内に入ると、異様な匂いが鼻をついた。
春花さんと僕は、看護婦さんに一室の部屋へと案内された。
灰色に扉をくぐりぬけると、やさしそうな男の人が丸いすに腰をかけていた。

「こんにちは。ここに座って」

僕は、男の人と向かいになっている椅子へ腰をかけた。

「あ、あなたは呼ぶまで外にいらしてください」
「あ、はい。すみません…」

春花さんは、外へ出て行った。
重たげな灰色のドアがしまる。
僕と、看護婦さんと、お医者さんだけになった。

「うん、じゃあ、質問に答えてね。分からなかったら、正直に言えばいいよ」

僕はうなずた。
質問には答えられない。
何も分からないんだから、答えても無駄だよ。
答える必要はない。

「じゃあね、名前、わかる?」

僕は首を振る。

「生まれたところはどう?」

僕は首を振る。

「——?」

首を振る。

「?」

首を振る、振る、振る、振る……
そんなことの繰り返し。

「そうか。いいよ、これからだから。じゃあ、ちょっと、袖まくってもらえるかな?」

お医者さんは笑顔のまま、言った。
僕はいわれたとおりに服の袖をまくってみた。




僕の腕は——










醜かった……


無数の傷ができていて、ところどころに痣がある。
何だ…?
これは、何だ……?

「っ……ごめ…なさい…」

僕は服の袖をなおし、椅子からたちあがると、灰色の重たいドアを開けた。
力が入らなくて、開けるのに苦労した。

「あっ、君!!?」
「太朗君、どうしたの!?」

お医者さんと春花さんの声に振り返ることもせず、病院の出口に向かって、無我夢中に走った。
下をむいて走っていたため、突然なにかにぶつかった。
どんっという鈍い音が、病院内に響いた。
すかさず僕は、相手からはなれた鞄を拾い上げた。
後ろから、看護婦さんがおいかけてくるのを確認すると、僕はほぼその鞄を押し付けるようにして相手に渡した。

「すみませんでした!」

僕は走り出そうと足を踏み出した、そのときだった。
手首をつかまれた。
看護婦さんに捕まったかと思ったが、ぶつかった女の人に掴まれていた。
顔をあげた女の人。
長く、くろい髪がほつれ、からまり、お化粧もしていないようだった。

「あなた、カケル?」

女の人の声はかすれていた。
誰…?
見覚え、ある…気が……
だけど、駆って?
僕は、名無しのはずだ。駆じゃない…。

「駆ねっ!?あなた、駆だわ!!ずっと探していたのに…」

僕は茶色のコートに顔をうずめられた。
僕は今、知らない人に抱きしめられている……。

「あっ!!その子…」

いつのまにか、看護婦さんが追いついていた。

「この子、私の子なの。ずっとさがしてて、やっと見つけたの…。近寄らないで!!!」

女の人は強引に僕の手をひくと、病院から飛び出し、車にのせた。

「ちょっと!!困ります!!その子は!!」

看護婦さんの言葉に耳をかそうともしない女の人。
後から春花さんが来て、僕の仮の名前を連呼していた。
僕は、車から降りようと、ドアに手をかけた。
しかし、鍵はロックされていて、しかも女の人が車に乗り込み、車は動き出してしまった。

なんてことだろう…。
春花さん、ごめんなさい……。

だけど、少しだけ、少しだけ待っていて。
きっと、すぐに…帰る。

僕は必死に車を追いかける春花さんを、いつまでも見つめていた。
姿が、見えなくなるまで……。

僕ーKAZOKUー ( No.9 )
日時: 2011/12/29 11:59
名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)



「…ただいま……」

春花は靴をぬぐと、自分の部屋へ行き、そのままこもってしまった。

「おねえちゃんあけてえー!!るな、入れないよう…」
「姉貴?どうしたんだよ…」

瑠菜と勇気が、春花の部屋(瑠菜と共同)の前にたち、ドアの向こうに話しかける。
しかし、返事はない。

「姉貴!!…ドアから離れとけよ…?」

勇気はドアから十歩ぐらい後ずさりし「いっくぞー!!」と言って、走り出した。どうやら、ドアを壊して中へ入ろうとしているらしい。

「…何やってんの」

信司が塾から帰ってきた。
あと二歩のところで急ブレーキをかけた勇気は、ドアにおもいっきり頭をぶつけた。

「な…信司!!いてーじゃねーかよ!!ジャマすんなよ…」

勇気は赤くなったおでこをさすりながら信司に注意した。
しかし信司は気にもとめず、もういちど「なにやってんの」と聞いた。

「あのね…おねえちゃんが…」
「太朗君、知らない女の人に連れて行かれちゃった……」

ドアが開き、春花が出てきた。
春花はドアノブを握りしめながら、唇を噛んだ。

「えっ…」
「え<太朗君…帰ってこないの!?やだ…!!るな、そんなの……やだよお…」

うああああん…
瑠菜は泣き出してしまった。
辺りはしん、と静まり返り、瑠菜の泣き声だけが部屋に響き渡った。

「でも、いいんじゃない?」

信司が口を開いた。

「その女の人が育ててくれれば、こっちも生活しやすくなるし…」
「…っ何言ってんだよ!!それに、女の人が育てるかわかってねーし」
「とにかくっ!!これでいいんだよ。ほっとけば何とか——…」

パンッ!!!
乾いた短い音が響いた。

「あんたって、最低な人だね」

春花は涙ぐみながら手で左頬をおさえる信司を見据えた。
春花は信司の頬をおもいっきりぶった。

「…っああ、最低な人間だよ!だけど、こう考えるのが普通だろ!?お前ら、普通じゃねえんだよっ…!!」

信司は、塾の鞄を床にたたきつけると、走って家から飛び出した。

Re: 僕ーKAZOKUー【しばらく休憩します。よいお年を…】 ( No.10 )
日時: 2012/01/01 19:51
名前: コロコロうさぎ (ID: CFE7lDA5)



面白かったです。

これからも頑張って下さい。

僕ーKAZOKUー【戻ってまいりました】 ( No.11 )
日時: 2012/01/04 18:27
名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)

コロコロうさぎさんへ

コメントをいただけて、とてもうれしいです。
ありがとうございます!!

はい!!!
これからも、頑張ります☆


返信、遅くなってしまって、すみません…

僕ーKAZOKUー【戻ってまいりました】 ( No.12 )
日時: 2012/01/04 18:56
名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)



「駆…。外へ出ましょ?ピクニックよ!」
「あの…っ、僕は駆じゃ…」
「さあ、何してるの?早くいらっしゃい」

僕の知らない女の人は、バスケットをもちながら、僕の手を引っ張った。
僕はしかたなく、口をつぐんで外へ出た。
なんだか、ひさしぶりに吸う空気みたいだったから、大きく息を吸い込んだ。
しばらく歩いて河川敷につくと、女の人は赤いチェック柄のシートを広げた。
それから、バスケットを開ける。
サンドイッチが入っていた。

「駆の好きなサンドイッチよ。どうぞ」

女の人はサンドイッチを僕に手渡してくれた。
サンドイッチ……。
食べた記憶はない…。だけど、名前は知っていた。

「食べたくないの?」
「…よく、分からないんです…」

おなかは減っているのだけど、なぜか食べたくなかった。
春花さんや勇気さん、信司さんに瑠菜さんのことが頭をよぎった。
助けて、くれるよね…。
…いや、僕がいかなくちゃ…。助けをまっているだけじゃだめだ。

「あっ、僕、行くところあるんです。あの、ありがとうございました」

僕は立ち上がり、はしった。
僕と風本さんたちが出会ったあの木がある場所へ…。

「駆!!待ちなさい!!」

僕は駆じゃない…!!
声を振り切って、僕は走り続けた。
突然、ぽつぽつと雨が降り始めた。
空を見上げると、黒い雲が太陽をおおいかくしていて、そこから冷たい水がようしゃなく僕をおそってくる。
それでも、僕の足は走り続けた。
服が湿ってくる。
僕の横から黒い車が追いついてきて、目の前で止まった。
その車を…覚えている。
あの、女の人の車だ!!
僕を駆だと思っている人の車だ…!!
僕は雨の冷たさに身震いしていた。
違う…。
あの女の人に身震いしていた。
その車のドアが開くと、やはりあの女の人がでてきた。

「駆?ママを困らせないで…!!」

いっそう激しさを増す雨音よりも大きな声で、女の人は叫んだ。
その声にびくつく。
お前は、僕の母親じゃない…家族じゃない!!
僕は、車の横を通りぬけ、走った。
息がだいぶ上がってくるのがわかる。心拍数もだいぶ激しくなってきているようだった。

「駆っ!!駆…!!」

恐ろしい声が僕に迫ってくる。
早く…早く走らないと…っ
そう思うのだけど、足が思うように動いてくれない。

「駆ッッ!!」

僕の肩がガッシリとつかまれた瞬間、僕は——


















思い出した……————。


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