ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 僕ーKAZOKUー【おかげさまで完結いたしました!有り難うございました】
- 日時: 2012/01/29 17:58
- 名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)
今日は、イブイブ・クリスマスですね!
はじめまして。夕和 環です!!
『ゆな たまき』と読みます。ケータイで変換したら、出てきて
「これはいい!」と思い、そうしました。
雑談は、ここまでにして…。
注意です!!!
■ 更新は、ランダムになります(すみません…)
■荒らしは、できるだけ、やめていただきたいです(傷付きやなもので…)
それでは、長くなり、もうしわけございません(´・_・`)
駄文なのですが、お楽しみいただけたら嬉しいです。
2011.12.23 更新記念日
- 僕ーKAZOKUー ( No.3 )
- 日時: 2011/12/25 11:43
- 名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)
◆
「勇気、どこ連れてったの」
春花が勇気に聞く。
エプロンをつけ、夕飯のしたくをするようだ。
「俺の部屋。でも、いくら何でも遅いかな…」
「窓から逃げちゃったんじゃないの?」
信司がつぶやいた。
「そんなことしたら死んじゃうよー!!」
瑠菜が勇気にしがみつき、ゆすった。
勇気は、瑠菜を引きはがすと、急いで自分の部屋へと向かった。
- 僕ーKAZOKUー ( No.4 )
- 日時: 2011/12/25 19:00
- 名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)
◆
「ふう…」
僕は流れる汗を腕で拭き取った。
窓を閉めようと、窓に手を伸ばしたとき、ドアが開く音がした。
振り向くと、勇気さんが立っていた。
顔が真っ青になっている。
どうしたんだろ…?
「…きれいな部屋…じゃなくて、はやまるな!」
勇気さんは、僕めがけて突進してきたーーと思いきや、そのまま、僕もろともに、そのまま後ろに倒れこんだ。
「…おいッ!!何してんだよ!!」
…何も、してないんですが……。
あ、掃除…したらいけなかったのかな……。
「…すみません。散らかっていたので…掃除、してしまいました」
僕は、素直に謝った。
だけど、勇気さんの顔は、どこかうかない。
「それ、ほんと?てっきり…飛び降りしようとしてたかと……。勘違いだったか…。ごめん」
勇気さんは、力がむけたのだろうか、ふやふやと、ドアから出て行こうとした。
「勇気さん、ありがとうございます。だけど…僕は窓を閉めようとしたんです。誤解させてしまって、すみません」
「いや、いいんだよ。あ、今日、夕飯くってけ!!な?はい、行こう」
僕は、勇気さんの手に押されながら、リビングへ向かった。
リビングには、なにかのいい香りが漂っていた。
「あ、君はここに座ってね」
春花さんが僕を、椅子にすすめてくれた。
木彫りの椅子だ…。
ほんの少し、木の削りたての匂いがした。
椅子からテーブルの上に視線を移すと、白いほかほかしたものと、草、魚が器の上にのっていた。
「…いただきます」
「はいどうぞ。質素だけど…」
僕は朱色に塗りたてられた箸を手に取り、白いほかほかを口へ運んだ。
…おいしい。
続いて、みずみずしい草を口へ。
……おいしい。
こんがり焼かれた魚の身を…。
………おいしい。
これは、いったいなんだろう…。
とてもおいしい。
僕が食べたことのない味。
草は、やわらかくて食べやすい。いつも僕が食べていた草に比べて。
「あの、これは…何という草ですか…?」
僕は、たずねてみた。
「うん…?草?レタスよ」
レタス…か。あんまり、聞いたこと、ないな…。
「じゃあ、これは…」
「へ…?これは、ご飯だよ」
「あ、あの、この魚は…」
「……えと、ブリ…の塩焼き」
どれも、初めて聞いたものだ。
視線を感じ、僕はぱっとうつむいた。
「君さ…。もしかして、ご飯、食べたことないとか…?」
少し、馬鹿にしたような笑みをうかべて聞いてくる。
この人は…誰なのかな。
「あの、あなたは……」
「君から名乗るのが常識だよ。まだ、誰にも言ってないんじゃないの?名前」
あ、そうか…。
つい………。
ん…?
名前。
僕の名前は…何?
ずきずきと、頭が痛み出した。
「…少し、待っていただいて、いいですか…?」
え、と…。
何でだろう。出てこない……。
そもそも、僕に、名前なんてあったの……?
分からない。頭が痛い。混乱してるんだ…。
「おにいちゃん!!」
瑠奈さんの声が、意識をなくすまえに、かすかに聞こえた……。
- 僕ーKAZOKUー ( No.5 )
- 日時: 2011/12/26 19:59
- 名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)
◆
僕は目を覚ました。
おでこには、冷たいタオルがのっかっていた。
「あ!め、さましたよ!」
「もう大丈夫?」
僕のおでこから、タオルをとると、春花さんは、僕の脈に触れた。
「姉貴、医者になりたくて勉強してんだ」
勇気さんは教えてくれた。そして、やさしい笑顔を僕に向けた。
「そうなんですか…」
そうだ。
それより、僕の名前…思い出さなきゃ。
え、と。
僕の名前は……。
だめだ。
どうしても思い出せない。どうして…。
いったい僕の体はどうなってしまったんだろう…?
「僕は信司。さっきは、ごめん…。無理に思い出さなくていいよ」
信司さんか…。
変わった人だね。
だけど…
名前は、どこにでも必要だし、思い出さないといけない。
「あの、僕の名前なんですが…」
「太朗でよくない?」
勇気さんが、僕の肩に手をのせつつ、言った。
「太朗って…センスわる…」
「わるくねえし!むしろ、めっちゃよくね?」
「君は、いいの?」
信司さんが僕にたずねる。
名前をもらえて、うれしいから…。
「はい!ありがとうございます」
と言った。
僕の名前、決定。
「太朗君、るなとあそんでー!!」
瑠菜さんが僕の手を引っ張る。
「瑠菜!…やめなさい」
春花さんが、瑠菜さんの手を僕から離した。
そして、僕の目の前で正座した。
目線が合う。
僕はひとおもいにそらしたくなった。
「太朗君。今から君は、警察にいくの」
春花さんはまっすぐ僕を見る。
その目から、逃れることはできない。
「…は、はい。わかりました……」
「太朗くん、なんでけいさついくのー?」
「瑠菜、いい子にして待ってて。勇気、信司?頼んだから…」
勇気さんと信司さんは、黙ってうなずいた。
さよなら……。
- 僕ーKAZOKUー ( No.6 )
- 日時: 2011/12/27 14:52
- 名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)
◆
「うーん…困ったなあ……」
蒼い制服をビシッと着こなしているおまわりさんが手に持った鉛筆を紙の上でくるくると回している。
紙には、何重もの不恰好な円が描かれていた。
「ねえ、君。自分のこと、本当にわからないの?正直に言ってごらん」
おまわりさんは、僕に耳を近づけた。
僕は、少しその耳から体を遠ざけ、首を横に振った。
「あの…わかりません」
おまわりさんはため息をつきながら、鉛筆を机に置いた。
「じゃあ、精神病院に、ひとまず行ってみてください。記憶喪失の可能性があるかもしれないので…。僕から、電話しておきますから」
僕は、無意識に自分の手をにぎりしめていた。
「とりあえず…。もう遅いので、今夜はあなたのところに泊めてあげてください。明日、ここの病院へ…。お金はいらないので」
「はい。わかりました。じゃあ、行こうか」
僕は春花さんのあとに続いて、交番を出た。
春花さんは、さきほどおまわりさんから手渡された紙をながめている。
精神病院…。
僕は、そんなに狂っているのだろうか?
僕は、なんでこうなったのかな?
いつから…
思い出そうとするたびに頭がズキンズキンと痛くなる。
どうして……。
「太朗君!!」
僕は、その場にしゃがみこんだ。
- 僕ーKAZOKUー ( No.7 )
- 日時: 2011/12/28 17:22
- 名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)
◆
「あっ、太朗くーん!」
「姉貴、太朗どうしたんだよ」
勇気が春花の背中から、太朗を受け取った。
太朗は、すーすーと寝息をたてていた。
「うん、急にしゃがみこんじゃって…」
「で、うちにおくの?」
信司が厚い本を読みながら、ぶっきらぼうにそういった。
「ここにおくかは、まだ分からない。明日の朝に病院いくの」
「病院…?」
「記憶喪失の可能性が高いって、言っていたから…」
「へえー」
「ねえねえ、太朗くん、ずっとここにいるの?」
瑠菜が、春花の服のすそをひいた。
「まだ分からないけど、そうなるといいね」
春花はにこりと笑って、瑠菜の頭をなでた。
瑠菜は、こくりとうなずくと、嬉しそうに頬を紅潮させ、うさぎのぬいぐるみをきゅっと抱きしめた。
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