ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ジェットブラック
- 日時: 2012/03/31 20:43
- 名前: K-10 (ID: uJjLNBYk)
こんにちは。けーとと言うものです。
過去に何度か違う名前で小説を書いたことはあるのですが
どれも途中で挫折しまして…;
今回も懲りずに投稿しようとしてますw
想像力と妄想力をフル稼働して
ケータイのメモ帳に書き溜めてるグダグ駄文ですが、
たまに日本語おかしいし矛盾も生じますが、
深刻な表現力と文才不足ですが…!
宜しくお願いします^^
*主な登場人物*
・ギルバート
魔銃師/人間 『ギルズ・エージェンシー』オーナー
・アレックス
一応魔女 “造られた魂”を持つ
・マチルダ
ギルバートの魔銃 二丁拳銃
・クロイ
人間 魔族の研究者
プロローグ >>1
第一章 >>2>>3
第二章 >>4>>7
第三章 >>8>>9
第四章 >>10>>13
第五章 >>18>>19>>22>>23>>24
第六章 >>25
- Re: ジェットブラック ( No.6 )
- 日時: 2012/01/09 20:59
- 名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
見に来てくださったんですね!
ありがとうございます^^
今のとこはケータイにたくさん書き溜めてるので
挫折しないで済みそうですww
そうです!キメ台詞なんです。
もともとは私の友達との間で
「さらば、アディオス、達者でな」
という謎の挨拶を交わしてましてww
そこに「バイビー」を混ぜようとしたら
アディオスとくっついて「バイビアス」になったんです(笑)
- Re: ジェットブラック ( No.7 )
- 日時: 2012/01/09 21:10
- 名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)
********************************
「だーかーらー、帰りたくないって言ってるのに!」
マンションの一室。
ソファーにかけているエメラルドグリーンの目がつり上がった。
不健康そうな青白い顔とは裏腹に勢いのある言動。
「おいおい。俺にタダ働きしろってのか?どんな思いしてお前を助けたと思ってんだ」
ギルバートはデスクの椅子にもたれながらやれやれと言いたげに目を閉じた。黒いコートは椅子にか掛けられている。
「ボクは助けてなんて頼んでない」
「依頼人に頼まれた」
「だからその依頼人のもとには…」
子供はソファーから立ち上がろうとしたが、
隣に座っているマチルダが手で制した。
「落ち着いて。どうしてあなたは帰りたくないの?」
目を見つめながら優しく問いかけたがその顔は俯いてしまった。
「…死にたかったんだ」
さっきまでの勢いのある言動が嘘のように沈んだ声色で呟いた。
「死にたいだって?」
ギルバートが椅子から腰を浮かせて、前のめりになっている。
目は「はぁ?」とでも言いたげに大きく見開かれていた。
「お前そんな年で…何があったが知らねぇが死なれたら色々と困るんだよなぁ」
「どうせ報酬でしょ?」
「それだけじゃねぇ。魔女の魂が悪用されて世界が滅んじまうかもしれないだろ?」
「悪用?確かにボクを誘拐したのは下級悪魔だったけど、売ったのは魂じゃなくて血だよ」
「なるほどね。魔女の血は高くつくから」
マチルダが感心したように腕を組んでいる。
「何だ。つまんねぇな。せっかく世界の危機を救うヒーローになれると思ったんだが」
ギルバートは残念そうに肩を落とした。
「ギルったら」
マチルダが呆れたように苦笑する。
「最近ろくな依頼が無いからか、夢も見たくなるってモンさ」
そんな和やかな雰囲気とは裏腹に青白い顔は声を絞るように言った。
「ねぇ。ボクはどうすればいい?」
その声に部屋の中の空気が一瞬だけ凍りつく。
いや、声だけでなく悲愴に歪んだ青白い顔が
凍りついた空気をさらに冷やした。
「と、とりあえずクロイさんのところに帰ればいいんじゃないかな」
冷たい空気を取り払おうとしたマチルダだったが逆効果だったようだ。
「そうじゃないよ!どうしたら死ねるの?ねぇ!?」
悲痛の叫びは壁を伝って反響する。
「ボクは簡単には死ねない体で、死のうとしても痛いだけだ。悪魔に血を渡せばいくら何でも死ねるだろうと思ったのに」
その後、しばらく無音の時間が続いたがギルバートが面倒くさそうにため息を吐いて頭をガシガシと掻き、無音が事切れた。
「これだからこの年頃のガキは」
デスクの椅子から立ち上がり
ソファーの向かい側の小さな箱に腰掛けた。
「死にたい、死にたいって縁起でもないこと言ってんじゃねぇ!そんなに悲劇の主人公気取りたいのか?」
ギルバートが間に挟まっているテーブルを拳で叩いた。
テーブルの向こうで華奢な身体がビクッと跳ねる。
しかし、一瞬だけ驚愕に染まった顔も次第に沈んだ色に戻っていった。
「本当に悲劇さ。主人公はボクじゃないけど」
エメラルドの瞳を悲しげに伏して続けた。
「他人を犠牲にしてまでボクが生きるなんて、可笑しい」
消え入りそうなほど小さいが、吐き出すような苦しそうな声。
「…よく分からないけど」
マチルダが子供の肩に手を掛けた。
「色々と辛いことがあったみたいね」
顔を上げた子供の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「…依頼人の所に行ってくる。事情は話したくないだろ?」
ギルバートはデスクの前に行くと、
椅子に掛けてあるコートを羽織って外に出た。
- Re: ジェットブラック ( No.8 )
- 日時: 2012/01/14 22:23
- 名前: K-10 ◆f62.Id/eYg (ID: r6yRxP5o)
- 参照: トリップつけました
第三章
映画のセットのようなポップな街並み。
行き交う人々の服装や雰囲気も街並みに合った温かみのあるものだ。
そして、場違いなほど
殺伐とした雰囲気をかもし出しているギルバート。
本人にそのつもりは無いのだが
どうしても黒いコートが目立ってしまっているだ。
(これだからこの国は)
すれ違う人は皆二度見する。
そんな異国民にギルバートは鬱陶しさを感じた。
奇妙なもので、にぎやかで平和そうな国であるにもかかわらず、
一歩出れば何もない荒野。
完全に隔絶された場所である。
まるで国と言うよりその場でこしらえたような街だ。
ギルバートが足早に街並みを抜けると、街の外れに出た。
風景が少し変わっただけだが先ほどの喧騒とは無縁といった、
落ち着いた場所だった。
「この辺りだな」
住所の書かれた紙を懐から取り出し、足を止めた。
そこには古ぼけた一軒家があった。
ドアの前に立ちノックする。
少しの間待つとドアノブが動き、扉が開いた。
「やぁ。君か」
クロイが立っていた。
「依頼は解決した」
ギルバートがにこやかにしているクロイに対して素っ気なく答えた。
するとクロイの顔は一瞬驚いていたが瞬く間に笑顔になった。
「本当かい?よかった。あの子は無事なんだね?」
歓喜に満ちあふれた声。
だが、ギルバートの顔には困ったと 書いてある。
「それがな、喜んでもいられないんだ」
ギルバートがこめかみを掻く。
「帰りたくないんだとよ」
「え?何だって?」
ギルバートはあの子供から聞いたことを全て話した。
「そうか…。そんなことを」
クロイは少し悲しげに微笑んだ。
「何か心当たりはあるのか?」
「君を困らせてしまっているようだから、詳しく話そう。入ってくれ」
家の中に招き入れられる。
玄関に上がると大きな扉が待ちかまえていた。
しかし、クロイはその扉ではなく、
扉の前の床をコツコツと叩き始めたのだ。
するとその床に正方形の穴が空き、底に抜けた。
「お客をこんな場所に呼ぶのは気が引けるんだけどね」
クロイが肩をすくめた。
「それはお互い様だ」
ろくに掃除もしていない事務所に客を招いてしまったこともあり、
気にしてはいなかったが、床が口を開けているだけで
階段やハシゴらしきものが見当たらなかった。
仕方なくギルバートは穴から飛び降りたが、
クロイは口を開けて驚いていた。
「若いって羨ましいなぁ」
ギルバートにはその言葉の意味がよく分からなかった。
クロイが穴から退くと
ゴソゴソと音をさせながら何やら長いものを持ってきた。
「そういうものがあるなら最初に言えよ」
クロイがハシゴを下ろして地下に降りてきた。
「いや〜。先にハシゴを掛けておくべきだったね」
この国の国民の特長なのだろうか。
すれ違った人々もクロイも皆にこやかである。ただ一人を除いては。
(平和ボケしてんだな。この国は)
声には出さないがギルバートの表情は少し苛ついていた。
そんなこととは知らずクロイは微笑んだまま、
掛けたハシゴのすぐ横にあるスイッチを押した。
すると天井に吊り下がった電球に灯りが灯る。
あまりにも頼りない光が映し出したのは
実験器材が散らかった長机と難しそうな数式が書かれた黒板、
そして薬品の入った瓶や分厚い本が並んだ棚だった。
「済まないね。こんなに散らかっていて。君のように良きパートナーがいれば少しはマシなのかもしれないが」
「一応言っておくがそんな関係じゃない」
「それは失礼。さて、そろそろ本題に移ろうか」
クロイが笑いながら 棚に向かい、
本と本の間に挟んである一冊のノートを取り出してきた。
「これは?」
そのノートがギルバートに差し出された。よく見ると小さく右下に“アレックスへ”と書いてある。
「これは私の日記だ。あの子を造り出してからずっとつけている」
さっきまでの笑顔は消え去り、至ってまじめな顔になった。
「実はね、あの子の魂のもう半分は私のものなんだ」
「…それで、死期が近いとか言い出すんじゃないだろうな?」
ギルバートは大して驚いている様子も無い。
「困ったな。お見通しか」
クロイがフッとため息をついた。
「その日記をあの子に渡すつもりだったが、もう気づかれてしまっていたとはね」
「それであんなに死にたがっていたのか」
「全く情けないよ。私は」
クロイが無理矢理笑おうとしていたが、
その笑みは涙のない泣きっ面にしか見えない。
そして顔を上げると静かな声で言った。
「この日記、渡しておいてもらえるかい?」
「それはあんたが自分でやることだ」
「そうか…」
クロイは悲しそうな顔をしたがまだ笑おうとしていた。
「それなら。あの子に言っておいてくれ。死んでも魂は私に還らない、と」
「…わかった」
あればいい程度の灯りの中、少しばかり重い空気が漂う。
「わざわざ悪かったね。お茶でも…」
「いや、結構」
- Re: ジェットブラック ( No.9 )
- 日時: 2012/01/31 19:23
- 名前: K-10 ◆f62.Id/eYg (ID: r6yRxP5o)
- 参照: トリップつけました
ギルバートは背を向けてハシゴに手を掛けたとき、
クロイがその背中に言った。
「あぁ、それと報酬のことだが…」
掛けようとした足を戻し、ギルバートは振り向いた。
「それはこの一件が完全に片づいたら決める。あんたが死んでいたらそん時はそん時だ」
ギルバートは向き直ってハシゴを上って行った。
「…ありがとう」
ギルバートの耳に届くか届かないかくらいのかすかな声。
ギルバートは振り返らずハシゴを登り切り、クロイの家を後にした。
もと来た道を辿り、ギルバートにとっては鬱陶しい通りを過ぎなければならない。再び喧騒に身を紛れさせる。
やはり、黒いコートは街の色に染まることは無かった。
「さぁ!寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!今日は安く売るよ」
ぼーっとして歩いていると元気な女性の声が聞こえてきた。
ギルバートが声のする方に振り向くと、ギルバートとは違った意味で
目立つ、おしゃれな女性が店頭のワゴンの前で声を張っている。
ワゴンには衣服が積み上がっていた。
立ち止まってしばらくそれを眺めていると彼女と目が合った。
目が合うや否や女性はギルバートに手招きした。
「ちょっと、そこのお兄さん!」
「!?」
ギルバートは慌てて立ち去ろうとしたが女性はその後を追いかけてきた。
「待って!」
女性はヒールをカツカツ鳴らしている。
足音が多い割には大股五歩くらいの差があった。
「お兄さん、異国の人でしょ」
女性は息切れ切れに必死で話しかけるがギルバートは相手にもしない。
「その格好、この国じゃ目立つからうちで買ってったら?安くするよ?」
「悪いが、職業柄この国の奴らみたいな格好してると危ないんでね」
さすがにしつこくなってきたので断ることにしたが、
彼女は退かなかった。
「じゃあ、お土産!家族とか友達とか恋人とかいるでしょ?この国の服は質がいいって有名なのよ」
「………」
ギルバートはその言葉で何かを思い出したような顔をした。
すると女性に向き直り、こう言った。
「それじゃあ、このくらいのガキの服ってのはあるか?」
「…お兄さん、子持ち?ずいぶん大きな子供ね…」
女性は決して冗談のつもりで聞いたわけでは無く、本当に驚いていた。
- Re: ジェットブラック ( No.10 )
- 日時: 2012/01/25 19:42
- 名前: K-10 ◆f62.Id/eYg (ID: r6yRxP5o)
- 参照: トリップつけました
第四章
日は少し傾き、西日が窓から差し込む。
まだ夕方と呼ぶには早いが、昼と言うほどの時間でもない。
「…………」
エメラルドの瞳がガラス越しに映る風景をぼんやりと眺めていた。
短いアッシュブロンドの髪が日に照らされ輝いている。
「あなたはこの景色を見るのが好き?」
マチルダがティーカップを持ってきた。
「…あんまり、好きじゃないかな」
「その割には熱心に眺めてるのね」
マチルダは持ってきたティーカップを差し出して言った。
入っているのは紅茶に見えるが、茶葉のと共にほのかに砂糖とは違う甘い香りがしていた。
「ありがとう」
子供はティーカップを啜った途端に顔をほころばせた。
「甘い」
「ふふっ。実はね隠し味にハチミツ入れたの」
微笑みながら歩み寄る。マチルダも子供の隣に立って、
景色を眺めることにした。
「ギルも言っていたわ。この国は好かないって」
子供はマチルダの横顔に向き直った。
「理由、何だと思う?」
「…あの格好が変だと思われるから?」
「それもそうね」
マチルダがクスクスと笑い、子供の瞳を見つめた。
「全てが作り物みたいだからですって」
「え…?」
「嫌なことを、思い出すんですって」
マチルダは苦笑して言った。すると、子供は俯きながら呟いた。
「ボクも同じかな」
それと同時にドアが開く音がした。
「帰ってきたわ」
黒いコートの裾を揺らしながらギルバートが帰ってきた。
左手には茶色い紙袋を持っている。
「おかえり」
「ったく。何なんだよ、ここの国民は揃いも揃って」
悪態を付きながら、ズカズカとデスクに歩み寄り、
コートを椅子に掛けた。
「何があったの?」
マチルダが目を丸くして訊いた。
ギルバートはソファーにドッカリと腰掛けて眉間を摘みながら答えた。
「変人扱いされるわ、押し売りに合うわ」
そう。ギルバートはあの洋服店で買い物をした後
がめつい商店から様々な物を買わされそうになったのだ。
「それは大変だったわね」
マチルダが苦笑した。
「そんな事より、おい…えっと…」
窓で佇んでいる子供を呼んだが名前が出てこない。
いや、忘れているわけではない。まだ聞いてないのだ。
「アレックス」
ティーカップをソファーの前のテーブルに置いて
アレックスは静かな声で名乗った。
「…そうか。そんじゃ、アレックス。まずお前に大切な話がある」
ギルバートはクロイから聞いてきた話をしようと口を開いた。
「博士、心配してた?」
その顔は表情が分からないほど深く俯いている。
「…あぁ。していたさ」
ギルバートはできるだけ優しく言ったつもりだった。
しかし、顔を上げたアレックスは唇を噛み、
今にも泣き出しそうな顔をしている。
「お、おい…」
「本当は…本当は分かってるんだ。早く帰ってあげなきゃいけないのはっ」
華奢な膝がまるで糸が切れたマリオネットのように落ち、
その場にへたり込んで泣き出した。
それを見てギルバートはアレックスのもとに跪いた。
「…もう、分かってんだよな?お前が死んでもどうにもならないことは」
しゃくり声と嗚咽が反響する。それに戸惑いながらもギルバートは声を掛けた。
「分かってるよ、分かって…ひっく」
マチルダも歩み寄ってきた。
「…帰ろう。クロイさんのところに」
アレックスは顔を上げて小さく頷いた。
「だぁああっ!もう泣くなよ!」
ギルバートが戸惑いを抑えきれず、
思わずアレックスにデコピンをした。
バチンという強い音をさせてアレックスがのけぞる。
マチルダは驚いた様子で小さく声を上げて口を抑えた。
「痛っ!何するん…」
「なんつー顔してんだ。その格好じゃアイツに余計心配かけるぜ」
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