ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ジェットブラック
日時: 2012/03/31 20:43
名前: K-10 (ID: uJjLNBYk)

こんにちは。けーとと言うものです。
過去に何度か違う名前で小説を書いたことはあるのですが
どれも途中で挫折しまして…;
今回も懲りずに投稿しようとしてますw
想像力と妄想力をフル稼働して
ケータイのメモ帳に書き溜めてるグダグ駄文ですが、
たまに日本語おかしいし矛盾も生じますが、
深刻な表現力と文才不足ですが…!

宜しくお願いします^^

*主な登場人物*

・ギルバート 
魔銃師/人間 『ギルズ・エージェンシー』オーナー

・アレックス
一応魔女 “造られた魂”を持つ

・マチルダ
ギルバートの魔銃 二丁拳銃

・クロイ
人間 魔族の研究者


プロローグ >>1
第一章 >>2>>3
第二章 >>4>>7
第三章 >>8>>9
第四章 >>10>>13
第五章 >>18>>19>>22>>23>>24
第六章 >>25

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Re: ジェットブラック ( No.1 )
日時: 2012/01/07 19:29
名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)

プロローグ

ズババババ!
耳を塞ぎたくなるような破裂音が荒野に響き渡る。
乾いた大地が辺りに転がる抜け殻から流れ出る液体で赤く潤った。
その中心に立つ黒い男。
その両手には拳銃が握られていた。
年にして20代半ばといったところか。
男は顔に張り付いた赤い液体を手で拭うと
アイスブルーの瞳を停めてあるトラックに向けた。
「ったく、あんまり気持ちのいいもんじゃねぇな」
赤い足跡を作りながら
トラックに歩み寄り、荷台に掛かる布を剥がした。
「よう、迎えにきたぜ」
人間が横たわっていた。
瞳は閉じられ、口にはバンダナ、手足には枷がはめられており、
体にはぼろ切れを纏っているのみだ。
まだ幼さを残した顔が酷くやつれていた。
短いアッシュブロンドの髪が病的なまでに青白い肌に栄えている。
「やれやれ。とんだ厄介事だな」
黒い短髪をガシガシと
掻き、軽いため息をつくと、薄暗い荷台に踏み入り、
人間を肩に担いで外に出た。
風が吹きわたる。
それは雲とともに、荒野に染み付いた鉄の匂いを遠くに運び、
新たな雲を運んできた。
小さな雫が空から落ちて、地面にシミを作る。
その量は次第に増え、雫というより粒くらいの大きさになった。
「雨か」
黒い男は泣き崩れた空を見上げた。
まるで雫が涙のように頬を滑り落ちる。
雨は荒野の戦いの跡を綺麗に拭い去り、すぐに去って行った。

Re: ジェットブラック ( No.2 )
日時: 2012/01/07 19:38
名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)

第一章

とあるマンションの一室。
最低限の物以外は埃が漂っているだけの空間に電話のベルが鳴り響く。
それは空気を伝って、
ソファーで毛布を被って寝ている男の耳を突っついた。
「ったく、朝から何だよ…」
寝癖のついた頭を抑えながら、気だるそうに体を起こす。
欠伸をこぼし、伸びをするまでに15秒。
この間にも電話は鳴っている。
床に足を着けるまでに30秒。立ち上がるまでに40秒。
デスクの前に行くまでに45秒。
「はいはい。出ますよ、出ればいいんだろ」
48秒経過。
そして、受話器を取るまでに50秒——。
「あ…」
受話器をとる前に電話が切れてしまった。
「かけなおすか」
着信履歴からかけなおそうとボタンに指を伸ばそうとしたとき、
再び電話が鳴った。
「よっぽどせっかちな依頼人なんだな」
男は少し驚きながらも
受話器を耳にあてた。
「ギルズ・エージェンシー」
『…あぁ、やっと出てくれた。君がオーナーのギルバートかい?』
電話の向こうの声は中年の男だった。
「そうだが…ん?“やっと”?」
ギルバートは電話を長い時間、放置していたことを理解した。
『あぁ、いいんだ。そんなことより、依頼したいことが』
「どうぞ」
『………』
男の返事を待ったが、
しばらく沈黙が続いた。
(イタズラか?)
ギルバートの仕事は銃士である。恨みを買われることも多く、
そのため一カ所に留まらず世界を廻っている。
異国民はよほど珍しいのか、興味本位でかけてみたが
ワン切りするものや嫌がらせの電話も多々ある。
この電話もその手のものだろう。そう思った時。
『依頼しておいて申し訳ないんだが、ここでは話せない。直接会って話したい』
「…わかった。で、とこで?」
イタズラ電話でないことは分かったが、
“直接会って話したい”から危険な仕事だと感じた。
ともなれば、戻ってくるモノの大きさもかなり大きい。
『事務所の場所を教えてくれればいい。人目に付かない場所で話したいんだ』
ギルバートが事務所の場所を告げると
電話の男は礼を言って電話を切った。
ギルバートはカーテンを開けた。射し込む光に思わず顔に手をかざす。
「今日はやけに晴れてるな」
目が慣れると、まるで映画のセットのような街並みが
目に飛び込んできた。
塀の上を歩く猫や市場で買い物をする人々、やけに晴れ渡った空。
作り物のようであってそうでない世界。
「やっぱり、この国はあまり好かないな」
ぼそりと呟いた時——。
ジリリリリ。
チャイムが鳴った。
「依頼人か」
玄関に向かい、鍵を開けチェーンを外す。
そして、扉をゆっくり開けた。
「ギルズ・エージェンシーはここで合ってるかい?」
そこに立っていたのは細身で眼鏡をかけた男だった。
「あぁ」
男はギルバートをまじまじと見つめていた。
「…早く来すぎだ。着替える暇が無かった」
だらしない格好をしていたのでそれに驚かれているのかと思った。
「いや、思ったより若かったから。電話の声で三十路はいってるかと…」
男は穏やかな笑顔を向けたが
ギルバートはあまり気持ちがよくなかったようだ。
「とにかく入れ」
無造作に頭を掻き、ドアを広げた。
靴の音が埃を巻き上げながら部屋の中へ入っていく。
リビングに着けば、開けっ放しのカーテンから射す光で埃が照らされ、さぞかし凄いことになっていることだろう。
さすがのギルバートも
こんな所に依頼人を呼ぶのも気が引けるような気がした。
しかし、それは杞憂に終わった。
「いらっしゃいませ」
さっきまでそこにいなかった白いワンピースの女がいた。

Re: ジェットブラック ( No.3 )
日時: 2012/01/08 18:03
名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)

手にはモップが握られており、
足元には水が入ったバケツが置かれている。
床は綺麗になっており、埃もさほど舞っていなかった。
「まだ、廊下の掃除が済んでなかったのに…」
女は依頼人の汚れた足を見ながら申し訳なさそうに呟いた。
「あぁ、いいんですよ」
依頼人は笑顔で応えた。ギルバートは女を見て
驚くどころか、やれやれと言いたげにため息をついた。
「おい、何時からそこにいたんだ?マチルダ」
「さっきからだけど…あ、取りあえずそこに掛けて下さい。お茶、煎れますね」
マチルダと呼ばれた女は腰までつく金髪を揺らしながら、
キッチンに向かった。
ギルバートは依頼人にソファーを勧めた。
ギシリという音を立てながら依頼人の腰が沈む。
「で、あんた名前は?」
「私はクロイと言うものだ」
小さなテーブルの向こう側の椅子…
というより小さな箱にギルバートが座っている。
「用件は何だ?」
「攫われた子供を助けてほしいんだ」
依頼人——クロイが俯きながら話した。
「…そう言うことは警察に言ったらどうだ?」
こういう仕事は受け付けない、と言いかけたときだった。
「一応魔族関係のことなんだ。頼むよ、最後まで聞いてくれ」
「へぇ。話してみろよ」
魔族という言葉に口元をニヤリと笑わせたギルバート。
魔族。それはこの世界で人間と共存している生き物。いや、共存していると言うよりもともとこの世界は魔族が作り出した物と言われている。
「攫われた子供っていうのはこの子なんだが」
クロイが胸ポケットから小さな写真を取り出した。短いアッシュブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ10代半ばくらいの子供。
少年か少女か見分けが付かないくらい中性的だった。
「この子は造られた魂を持っているんだ」
「造られた魂?」
「私は魔族に関する研究をしているんだが…」
マチルダがキッチンから紅茶の入ったティーカップを持って戻ってきた。
「どうぞ」
コトリと音を立ててクロイの前に置かれた。
それは程よく湯気が立っていた。
「その途中で魂を造ることに興味を持ってね。何もないところから魂を造り出すのは無理だったが人間の魂と魔族の魂を合成させることで魂を造り出せたんだ」
クロイは出された紅茶を啜る。
「それで、なんでその子が攫われたんだ?」
「この子を造るときに使ったのは世界の創生に関わった魔女の魂。恐らく魔女の魂を悪用しようとする者がこの子からもう半分を取りだそうとしているんだろう」
クロイは神妙な顔付きになって話していたが、
ギルバートは口を笑わせたままだった。
「悪用ねぇ」
「もちろん魔女はすでに魂だけの存在だが、完全な魂をそいつらが手に入れたら…」
「場合によっては世界が創り直されて全てが無かったことになる、でしょ?」
それまで黙って聞いていたマチルダが口を挟んだ。
コクリと頷き、メガネを指で押し上げた。
「オーライ。その依頼受けたぜ」
「やつらはもう国の外にいるかもしれないが、あの荒野ならそう早くは抜け出せないだろう」
「“悪魔の巣窟”だったな」
ギルバートとマチルダがこの国に辿り着くまでに通ってきた道。
文字通り悪魔が棲み付く荒野だった。
「しかし、君達もかなり危険だ。命の保証は…」
語尾になるにつれてクロイの声は掠れ、そして激しく咳込んだ。
「おい、あんた…」
「大丈夫ですか?」
「ゲホッゲホッ…いやぁ、最近風邪を引いてしまってね」
しばらくしてクロイの咳が治まり話を続けようと口を開いた時。
マチルダがそれを遮った。
「命の保証が無いのはいつものことですから。ね、ギル」
笑顔でギルバートを見やるマチルダ。
「お前はまるで他人事だな…でもまぁ、俺達は一度あそこを通っている。それに」
「…それに?」
「俺をただの銃士だと思ってるのか?…マチルダ」
マチルダは無言で頷き、目を閉じた。すると彼女の体が青い光の粒子に包まれ、やがて彼女の指先が粒子になった。そこからどんどん体を粒子に変えて形を崩していく。
そして、ギルバートは両手の親指と人差し指を立てて何やら構える姿勢をとる。そこに粒子となったマチルダがモノの形を形成し始めた。
「こう見えて魔銃士なんだぜ」
ギルバートの手には
白銀の二丁拳銃が握られていた。

Re: ジェットブラック ( No.4 )
日時: 2012/01/08 20:38
名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

第二章

「ったく、酷ぇな。コートが濡れちまったぜ」
通り雨に悪態をつくギルバート。
体を弾ませ、子供を担ぎ直すとスタスタと歩き出した。
と、その時。バリバリと何かを噛み砕くような音が背後から聞こえた。後ろを向けば等身を長くした兎のような姿の魔物が二体。兎にあるはずのない鋭い牙を剥き出しにして転がっている抜け殻を喰らっていた。
肉も骨も区別せずその牙が引きちぎり、鈍い音を立てる。
飛沫が跳ね、白い体を赤く染めていった。
「血の匂いに引かれたか」
ギルバートが呟くとそれは赤い目をこちらに向けた。
次の瞬間、一体がギルバートの頭上に浮いていた。
いや、正確には“跳び”かかってきたと言うのだろうか。
寸での所でかわし、右のホルスターから拳銃を取り出た。
着地した魔物に一発を食らわす。魔物はうめき声を上げたが
対したダメージにはなってなかったようだ。
「魔女ノ魂…ソイツノ魂喰ワセロぉぉおおお゛!」
魔物たちが雄叫びを上げると兎の面持ちが崩れ始め、
口が顎の端まで広がった。
耳こそ残しているものの可愛らしい兎とは程遠い、
醜い化け物となった。
「こりゃ、危ねぇな」
担いでいる子供を下ろすと魔法陣が書かれた紙を懐から取り出し、
子供の横にひらりと捨て置いた。するとその一帯が結界に覆われる。
「丁度いい。憂さ晴らしにー」
左のホルスターからもう一丁を取り出すと、
手を交差させ銃口が上と下になるように構えた。
緩やかな風が水気を含んだコートを揺らす。
ギルバートがアイスブルーの瞳を細める。
そして風が止まった瞬間。
「付き合ってもらおうか!」
二丁拳銃のトリガーが凄まじい速度で引かれた。
弾が螺旋を描いて魔物たちの皮膚に突き刺さる。
しかし、魔物たちはそれに構うことなく
ギルバートに向かって突進して来た。
「そうかよ」
銃撃を止めたと同時に
一体がギルバートの頭上高く跳び上がり、
前と上から挟み撃ちされる形となった。
「行くぜ。マチルダ!」
挟み撃ちされているにも関わらず、銃を二丁とも放り投げた。
それは回転しながら魔物の長い耳を掠め、さらに上へと上がった。
一方のギルバートは前から迫り来る牙に重い蹴りを食わす。
強い衝撃に魔物が吹き飛ばされ、
数十メートル先の大きな岩にぶち当たった。
その後前へ跳躍すると、さっきまで立っていた場所に
大きな音を立ててもう一体の魔物が降ってきた。
それとともに戻ってきた二丁拳銃は女の姿をかたどり、
魔物を踏みつけている。
「あーあ。ワンピースが汚れちゃったわ」
砂煙の中、マチルダがごく普通に呟きながら
魔物の頭を目にも留まらぬスピードで踏みつけた。
魔物の絶叫が断末魔となり響き渡る。
しかし、それもすぐに聞こえなくなった。
「お前、相変わらず怖ぇな」
ギルバートがげんなりした顔でマチルダを見つめる。
「あなたこそずいぶん怖いことしてくれたじゃない。いきなり投げるなんて!第一あたしは二丁拳銃なんだから片方で上、片方で前を撃てば良かったのに」
「言ったろ。憂さ晴らしだって。派手にやんなきゃスッキリしねーよ」
黒い髪をボサボサと掻きながらギルバートは気だるそうに言った。
「あたし、あなたのそういうカタルシスに酔うとこ嫌いだわ。それに、完全に止めさしたわけじゃ無さそうよ」
マチルダが先ほど吹き飛ばされた魔物を指差す。
魔物は息を荒くしながらゆらゆらと立ち上がった。
「戻ってくれ」
マチルダが二丁拳銃に姿を変え、ギルバートのホルスターに収まる。
「喰ッデヤル…絶対ニ魔女ノ魂喰ッデヤル゛!」
再び牙がギルバートに迫り来る。
しかし、ギルバートはそこから微動だにせず左のホルスターから拳銃を取り出しながら呟いた。
「悪ぃな。あいつはテメェの飯じゃねぇ。俺の報酬との引換券だ」
魔物の口が大きく開かれたと同時に照準を定める。
「バイビアス!」
トリガーが引かれ、魔物の額に新たな口が空いた。
本物の口を開けたまま魔物の体は砂に沈んで行った。

※バイビアス…「バイビー」+「アディオス」の造語

Re: ジェットブラック ( No.5 )
日時: 2012/01/09 12:45
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)


というわけできました。
挫折しないようにいけるとこまで頑張ってください。

「バイビアス」っていいですねー。
ギルのキメ台詞だったりします?


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