ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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トワイライト・カーニバル
日時: 2012/06/30 21:29
名前: 織也 (ID: 4RLKS53x)

初めまして!!織也と申します(*^ω^*)
文才なんて一欠けらも持ち合わせていませんが
亀更新で精一杯頑張らせていただきます!!
コメント・アドバイスなど頂けると
とてもとても嬉しいです(*^_^*)
誹謗・中傷等はお止めください(泣)


・・・プロローグ・・・


「約束、してくれる?」
「・・・いいよ」

_それは、7年前の幼き日の思い出。


「僕と、君との約束だよ」
「わかってる。俺と、お前との約束だ」


_子供であったほんの僅かな時間での、約束。


「何があっても、絶対に」
「どんな壁が立ち塞がろうとも、絶対に」

_あまりにも、純粋で美しく・・・・・・


「僕を        くれ」
      殺して
「お前を       やる」


_残酷な物語。



そして、再び歪んだ歯車が廻りだす。


_目次
Episode01 >>01 Episode11 >>12
Episode02 >>02 Episode12 >>13
Episode03 >>03 Episode13 >>14
Episode04 >>04 Episode14 >>15
Episode05 >>05 Episode15 >>16
Episode06 >>06 Episode16 >>
Episode07 >>07
Episode08 >>08
Episode09 >>09
Episode10 >>10

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Re: トワイライト・カーニバル ( No.12 )
日時: 2012/04/28 23:09
名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?800258

Episode11;always


いつもの通学路。いつもの風景。
いつもの時間。いつもの場所。


・・・・いつもと違う、異常イレギュラーの頭痛。


『昨日のことが、まだ夢みたいだ・・・・・』

痛む頭を押さえながら、暁は通学路を歩む。
ゆづきは弘一に朝一で呼ばれて、今は居ない。
一人というその時間に、暁は昨日のことを思い出していた。


_なあ、暁・・・お前もそろそろ起きろよ・・・

_起きるっていうのは<目覚める>ってことだよ。

_ねえ、あなた<誰>なの?



「・・・・どうしたの?暁君・・・・」
「っ!!!!!!!!!!」


・・・・そういえば、思考の海から引きあげるのは、いつも彼女だった。


突然の声に驚き、バッと振り向く暁。
その先には、無表情の詠律が立っていた。
暁は眉間にしわを寄せる。

「・・・・・具合、悪いの?だいじょう「悪いけど」」

詠律の声を遮り、暁は告げる。


「俺は、君を信用しない。もう俺に関わらないでくれ」
「・・・・・・・・あかつきく「じゃあ」・・・・・」


それでも話しかけてきた詠律を、素っ気なく振り払う。
・・・・それを見つめている詠律の顔は、少しの感情がうかがえた。
鏡のような瞳が、光を宿し、一筋の雫が頬を伝った。




「よし、じゃあ出席を取るぞー。相田、池澤、石岡・・・・・・」


いつものように出席を取る教師。
暁はちらりと隣を見た。
・・・・詠律の姿はそこになかった。

『朝は会ったから、休みとかではないよな・・・・・』

自分の言葉に傷ついたのだろうか・・・・まさか。
彼女はいつも無表情で、いつも何事も無かったかのように過ごしていた。
そんな彼女が、俺の<言葉>なんかで・・・・・・。

そこまで考えて、暁はハッとした。

・・・彼女は、俺に何と言った・・・・・・?
あの時、二人だけの時間。
彼女は・・・・・・・・。


_言葉は、<私>だから


言葉が・・・彼女・・・・・・?
なら、彼女を傷つけた、俺の言葉は・・・・・・。
彼女を傷つける、彼女自身の<刃>と成り得たのでは・・・・?


そうしていると、教師がその名前を呼んだ。


「藤崎、藤崎 詠律ー・・・なんだ、藤崎は休みか?」
「・・・・っ・・・」

妙な罪悪感に襲われる。


「藤崎は休みか、よし、じゃあ次、ふじや「あー待ってくださーい」」


ガラリ。
教室中の視線がそちらに向けられる。
その視線の渦中にいたのは・・・・・・。


「藤崎 詠律、登校してマース」

詠律だった。
いつもと違う彼女の雰囲気に、教室がざわつく。
教師は驚愕しながらも、詠律に話しかける。

「ふ、藤崎、なんかいつもと違わないか・・・・?」
「え、そうですか?そう見えます?あはっ、イメチェンってやつですよー」


けらっ。と笑う彼女に、ますます教室がざわつく。

「いや、しかしだな、具合が悪いなら保健室に・・・・」


教師の狼狽えた姿を見て、詠律はぎろり。
視線を鋭くした。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、無能。私は私だろぉが。突然見ていたものが変わったからって、本質が変わるわけじゃねぇんだよ」

一瞬にして静寂が訪れる。
教師はごくり。と唾をのむ。
それを納得したように、詠律はズカズカと席まで歩いていき着席する。
ハッとした教師はあわてて中断していた出欠確認を再開した。


「・・・・おい」
「・・・・・・・・・・・・・」


暁が小声で話しかけるが、詠律はこちらを見ない。
それに苛立ちながらも、暁は放課後になるのを待っていた。




「ったく、何で私がこんなことしなくちゃいけないのよ。は?欠席者?知るかそんなもん」


詠律はぶちぶちと愚痴を言いながら、日誌を書きとめていた。


「・・・で、私に何か御用かしら、芹沢君?」


詠律の前に立つ暁に、詠律は苛立ちを孕む瞳で問いかける。
暁は少したじろぎながらも、話し始める。


「・・・今日、俺を避けていただろう」
「あんたが私に関わるなって言ったんでしょ」
「・・・・今朝のことは、悪かった」
「別に、私は気にしてないわ」

視線を暁に向けずに答える詠律。
暁は苛立ち始める。

「・・・・お前、今はみなもだろ」
「そうだけど」
「何で急にやめたんだ、藤崎 詠律を演じるのを」
「急にめんどくさくなったのよ。あんた達にはバレちゃったし」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ名前はそのまま<藤崎 詠律>で通すけど。他の奴らもそれで覚えてるし、あとは慣れれば「そうじゃないだろ!!」」


暁は怒鳴った。


「・・・・昨日の、あれはなんだったんだ・・」
「は?」
「俺に聞いてきただろ、貴方は誰って」
「・・・・ええ」
「あれは、おまえじゃない」
「だからそうだって言ってるで「違う」」

暁の言葉に、みなもは手を止める。

「あの言葉は、お前の言葉でも、<藤崎 詠律を演じる草柳 みなも>の言葉でもない」
「・・・・はっ。じゃあ誰の言葉だっていうのよ」



「藤崎 詠律のものだろう」



「・・・・・馬鹿じゃないの。詠律は私の表の顔に過ぎないわ。人格の一つよ」
「いや、違う。あれはお前の言葉じゃない」
「・・・・・・・・」




「藤崎 詠律は、存在するだろう」



暁の言葉に、みなもの表情は歪んだ。

Re: トワイライト・カーニバル ( No.13 )
日時: 2012/04/28 23:46
名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)

Episode12;Shout


「藤崎 詠律は、存在するだろう」
「・・・・・・・・・・・・存在しないわ」
「嘘だ、お前は嘘つきだからな。信じない」
「・・・・・・」


ぎり。と歯を食いしばるみなも。
握っているシャーペンから、ミシミシと嫌な音がする。
様子を不審に思い、暁はみなもに近寄る。

「おい、だいじょうぶ「どうしてっ!!!!!」」

叫んだのは、みなもだった。

「どうしてそこまでわかって、それ以上に進もうとしてくれないの!!!!」

暁は驚き、立ち尽くす。

「馬鹿じゃないの?!ああ、そうだよ!!詠律は存在するよ、私とは全く違う別個人だよ!!!それを見抜いたのはあんただけだ!!!
 なのにどうしてそれ以上がわからないんだよ!!!!なんで思い出してやらないんだ!!!あの子はずっと待ってるのに!!!
 どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてっっっ!!!!!!」

バキン。とシャーペンが折れた。
みなもの手からは真っ赤な雫が流れる。

「・・・・・どうして、あの子を傷つけたりしたの・・・・・・・・・」
「っ・・・・・・」

みなもの瞳には優しさと、悲しみと・・・・・怒りが揺らめいていた。


「・・・・手、貸して」
「・・・・・・・・・・・・・・」

無言で、動こうとしないみなものてを無理やり握り両手で包む。
途端、暁の両手が光り、みるみる内に傷が治っていく。
それを、みなもはじっと見ていた。


「・・・・<ヒール>、か・・・・」
「・・・流石だな。俺の能力は、人間の治癒能力を高め、瞬時に怪我や病気を治す<ヒール>。・・・・大丈夫か?」
「・・・・<私>はね。でも<詠律>は大丈夫じゃないわ」
「・・・・・・・・・」

みなもは握られていた手を振り払う。
その視線は、暁を射抜く。


「・・・藤崎さんは、俺に何を思い出してほしいんだ。目覚めろって、どういうことだよ」

暁は、みなもに問いかける。

「・・・・・それを私に言わせるのは卑怯だわ。自分で考えろ、暁。・・・・詠律が何を望んでいるのか」


それだけ言って、みなもは日誌を掴んで教室を出た。



「・・・・・何だあいつ、思い出したのかと思った・・・・。くそ。ホント鈍いじゃねえか」
「誰が、何を思い出したのかな?みなもちゃん」

他者の声に思い出し、その方を振り向く。


「・・・・オブザーバー・・・・・・・・」
「はは。君はやっぱり嘘つきだったね、みなもちゃん。藤崎 詠律を演じていただなんて・・・・」
「遠回しな言い方だな。つまり何が言いたいんだ」

挑発的に笑うみなもだが、日誌を握る手には汗が湧き出る。

「・・・・そうだね、単刀直入に言おうか」


「君の正体と、藤崎 詠律の過去が、知りたいんだ」



「っ、何を言って・・・・?!」


後ろから羽交い絞めにされるみなも。
仕掛けてきたのはゆづきだった。


「な、おい離せ!!!千里眼!!!!!」
「私があんたの言うことなんて聞くわけないでしょ!!大人しく弘一に読まれなさい!!!!」
「ふざけるな!!お前バカだろ!!!!おい、離せ!!ちょ、来るな!!!!」

ゆづきと言い合っている間に、弘一はどんどん近づいてくる。
みなもは焦る。


「さて、君のこと、少し<読ませて>もらうよ?」
「っ、や、やだ・・・・・」

弘一の手が、そっと、みなもの額に触れた。



「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」



みなもの声は、誰もいない廊下に響いた。

Re: トワイライト・カーニバル ( No.14 )
日時: 2012/05/07 22:21
名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)

Episode13;others


みなもは叫ぶと同時に意識を手放した。
倒れこまないようにゆづきがしっかりと後ろから支える。
弘一はそんなみなもから、手を放そうとはしない。

「弘一、読めそう?」
「ああ、たぶん大丈夫。ミラーであっても、意識に潜り込めば何の問題もない」


弘一は言うと、ゆっくりと目を閉じた。



真っ暗な闇の中。
弘一は平衡感覚もなくそこに居た。
彼の能力<オブザーバー>は、触れた人間の情報を読む。
性格、素性・・・その人間のすべてがわかるのだ。
そんな彼が今いるのは、草柳 みなもの意識の中。
ふつう、意識は個人のすべてを表すのだが・・・・・・。


『何も・・・・ない・・・・?』


みなもの意識の中には何もなかった。
何もない。すなわち人格の無を意味する。
しかし、彼女は確かに<草柳 みなも>を名乗った。

どういうことかと弘一が考えを巡らせていると、弘一の目の前に白く輝く物体があった。

キラキラと、何もないそこで輝いている。


『・・・・鏡・・・?ミラーの能力か・・・・・』


弘一がその物体に触れようとした。すると。




物体の周りから無数の手が伸びてきて、弘一を突き飛ばした。


『な・・・・・・・・!!!』



驚愕に顔を歪ませた弘一の耳に、何とも言えない音が響く。



アリア ニ フレルナ!!!!!!!!!!!!!!!!







「っ・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

現実世界に意識が戻った弘一はその場に倒れこむ。
みなもも意識を取り戻し、ゆづきを振り払う。
精神的に疲労しているのか、みなもは息を荒げていた。


「・・・・っ・・・はぁ・・・・・・満足か、オブザーバー・・・」
「・・・・君は、いや・・・・・」



 ・・・
「君たちは一体、なんなんだ・・・・・・・」



「・・・・・草柳 みなも、だよ・・・・ぅ・・・・」


よろめきながら、みなもは弘一たちの目の前から消えて行った。
弘一とゆづきは呆気にとられていた。


「ちょっと、君たちって何なのよ」
「・・・・・彼女の、みなもちゃんの中には複数の人格が存在していた」
「?多重人格ってこと?」
「いや、違う」



「無数の全く異なる人格が、<草柳 みなも>を形成しているんだ」



「・・・・・・え、ちょっと、何よそれ・・・・」
「俺にもわからない、一体何なんだ・・・・・・・・」



弘一とゆづきは、今は居ないみなもの消えた先を見つめていた。

Re: トワイライト・カーニバル ( No.15 )
日時: 2012/06/03 14:31
名前: 織也 (ID: HHprIQBP)

Episode14;1Danger

「・・・無数の人格_」
「そう!!それがアイツの正体なのよ!!!」
「普通は有り得ないんだけどね。いくつもの異なる別人格が一つの人格を作り上げるなんて」
「やっぱりアイツおかしいわ!!!!!アブノーマラーよ!!」
「でも調べたら確かに登録はされていたんだろう?」
「うっ・・・・!!」


ゆづきと弘一は熱心に討論を繰り広げていた。
そこはSMSが管理する喫茶店。
組織が本格的に草柳 みなも、藤崎詠律について検討し始めたので、その対応を3人に求めてきた。
対策を練るために学校を休んでそこにいるのだが。
・・・・・暁だけは浮かない顔をしていた。


『前にも・・・・こんなことがあった気がする・・・・・。
 なんだったっけ・・・・・。
 たくさんの人格・・・・・一人の人間・・・・・・・たくさんの・・・・・』




・・・・・・・・たくさんの***



「っ!!!!!!!!」

何か、いけないことを、考えてしまった気がする。
気づいてはいけないこと。彼女にかかわること。


「・・・・・あ!!!あれ!!!」

ゆづきが声をあげたので、弘一と暁もゆづきを見た。
ゆづきの目線の先、窓の向こうには・・・・みなもがいた。
生気の宿っていない顔をして、ふらふらと憶測ない足取りをしている。
・・・・どこかに向かっているようだ。


「・・・後を着いて行こうか」
「「え?!」」

弘一の提案に二人が驚く。

「ここで煮詰まっていても何も始まらないし、彼女に聞いたほうが早いだろう?」
「・・・そうね!!じゃあ早く追いかけましょ!!」
「・・・・・・・」

弘一とゆづきが先を行く後ろで、暁は表情を曇らせていた。
心が落ち着かない。悪寒がする。
・・・それを見透かしたように。笑うものが居るとは知らずに。


みなもがたどり着いたのは、ビルだった。
マンションのような、そんな建物。
しかし、人が住んでいるとは到底思えないほど荒廃していた。
みなもは躊躇せずに中に進んだ。


「私たちも行くわよ・・・・・あか、つき・・・・?」


暁は、ひどく動揺していた。
目を見開き、息も荒く、目に見えるほどに震えている。

「ダメだ・・・・・ここは・・・・!!」


脳が警鐘を鳴らしている。
ここは危険だ。行ってはいけない。関わってはいけない。
だって、俺は******いけない。だから・・・・・!!!!
ここはダメだ。ダメだダメだ!!
ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ!!!!!!


「暁」


ポン。と暁の肩に手を乗せたのは弘一だった。
暁は視線をあげる。
いつもの、人のよい笑顔。
ほっとした。わかってくれたのか。

しかし、彼は天使のほほ笑みで言ったのだ。

「ほら。早く行こう、暁。君のためにも」

グイっと肩を引っ張り上げ、暁の手を離さずに廃墟へと歩を進める。
暁の心臓はだんだんと大きく脈を打つ。
ゆづきは尋常ではない暁の様子を心配しながらも、後を追う。


みなもが入って行った部屋に、三人も入る。
とても、とてもとても広い部屋。
その部屋の中央に、みなもは座り込んでいた。

「ダメだから・・・・・・守らなきゃ・・・・・殺す・・・・・苦しい・・・・助けてあげないと・・・・・・」

ぶつぶつぶつぶつ。
みなもは呟いている。
感情をこめているわけではなさそうだ。
言葉の羅列を吐き出しているだけのよう・・・。


「草柳 みなも!こっちを向きなさい!!」

ゆづきが声をあげると、ぴたりと呟きがとまった。
ゆっくりと立ち上がり、彼女はこちらを振り向く。
翡翠の瞳が、ゆらりと揺らめく。


「残念。私は、みなもじゃない」


「・・・・藤崎 詠律のほうね。どっちも同じだわ!」
「同じ?・・・・千里眼の使い手のくせに、その目はまるで節穴・・・・・」
「なっ・・・・・・」


詠律は、静かに笑った。
初めて会った時と大分印象は違うが、はっきりと、何故だかわかる。

・・・・・・今目にしている彼女こそが、藤崎 詠律なのだと。

「みなもは私を守ってくれた・・・・・今はいない<あの人>の代わりに・・・・それを貴方達は傷つけた・・・・許さない」


「<許さない>!!!!!!!」


詠律が叫んだ瞬間、詠律の周りに風が起こった。
あまりの風の強さに、三人とも床に膝を着く。

「弘一!!こいつまさか・・・・!!」
「ああ、彼女は<言霊使い>だ・・・・」


言霊使い。
言葉に命を宿し、力を持たせ、放つ能力を持つ。


「肉体的にも精神的にも影響を与えるから、組織が一番警戒していた能力者・・・・・」
「ああ。だからSMSの本部も地下にあったんだ。言霊の影響を受けにくいから・・・・」

「<起動><風神><怒号を風とせよ><咆哮を刃とせよ><鋭き剣となり、彼の者たちを切り裂け>!!!!!」
「来るぞゆづき、銃を構えろ!」
「わかってるわ!!言霊の発動には時間がかかる、その間に・・・!!」

二人が銃を構える。
暁の瞳にそれが映る。その瞬間。
暁の脳に衝撃が走った。


・・・ああ、そうか・・・・俺は・・・・・・・。



「撃て!!!!!」

銃声が辺りに響いた。

Re: トワイライト・カーニバル ( No.16 )
日時: 2012/06/30 21:25
名前: 織也 (ID: 4RLKS53x)

Episode15;Remind


一発の銃声。
それは確かに空間を裂いた。
しかし、その銃弾は詠律を貫通するには至らなかった。


「・・・・・暁、貴方・・・・・・・」
「・・・・・・・・やはり、ね」

弘一はまるでこうなることがわかっていたように笑った。
それに気付かず、ゆづきは信じられない、といった顔をした。


暁は、詠律を庇うように立っていた。
そんな彼の手は突き出すように翳されていて。
まるで銃弾を弾くようだった。

「・・・・思い出したよ・・・」

後ろにいる詠律を振り返る。
驚いたように、目を見開いている詠律と目が合う。


「俺は、こうする運命だったんだよな、詠律・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・あか、つき・・・・」


暁はうすく笑うと、二人の方を見つめた。


「すみません、俺は詠律を守らなくちゃいけない・・・・守りたいんです・・・」


サッ。と手を空を切るように振り下ろす。
銃弾はカラン。と音を立てて床に落ちる。


「<発動><雷神><思いをいかずちとせよ><決意を轟音とせよ><閃光となって彼の者たちの目と耳をくらませよ>!!」


そういった途端、まばゆい光と凄まじい音が辺りを支配した。
ゆづきと弘一は眩しさと五月蠅さに目と耳を庇う。
その隙に暁は詠律の手を握り締めて出口へと走り出す。

「行こう、詠律・・・・・!!」
「・・・・・・うん・・・・・!!!」



二人は何もないところにまで走ってきた。
荒廃した、ビル群のようなところ。
息を切らして、二人して地面に座り込んでいた。


「はぁ、はぁ・・・・ここまでくれば何とかなるだろ・・・」
「はぁ・・・・・ねぇ、ホントに、思い出してくれたの・・・・?」


詠律は疑うように暁に問うた。
それを聞いて、暁は笑った。


「思い出したよ・・・全部、あのときのことも」
「・・・・あのとき・・・」

「約束しただろ?忘れない、もう絶対」
「・・・やっと、思い出してくれたの・・・・暁・・・・!!」


詠律は、涙しながら暁に抱き着いた。
それに応えるように詠律を抱きしめ返す暁。

「大丈夫、あの約束は必ず守る」
「うん、うん・・・守って、約束・・・・守って・・・!!」





「必ず俺が、お前を殺してやるから」



歪んだ歯車は、歪みを廻す。


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