ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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魔人ラプソディ
日時: 2012/04/10 14:15
名前: sora ◆vcRbhehpKE (ID: k5KQofO8)
参照: http://ameblo.jp/gureryu/

始まりましたね、新学期。
桜の花びらが妙に映えて見えます。

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Re: 魔人ラプソディ ( No.5 )
日時: 2012/02/01 17:39
名前: sora ◆vcRbhehpKE (ID: GMnx0Qi.)

結城柵s⇒
コメントありがとうございます。
まさかトリップまで覚えられているとは思わなかったです。
カニバリズムですね。……たぶん。
ゴスロリ、好きです。アヤネをこんな格好にしたのはsoraの個人的な趣味です。

朝倉疾風s⇒
コメントありがとうございます。
長いコメント、嬉しいです。
またあなたの小説を読むのが楽しみです。
たぶん予想、当たっています。soraはいつでもsoraです。なんかがっかりさせてしまったら、ごめんなさい。
わたしも、続きを書くのが楽しみです。アヤネたちはどんな風に動くのかなあ。



投稿時間に関しては、たまたま夜中に起きちゃって、ついでにちょっと修正しただけなんです。本当です。
最近眠りが浅い気がします。

Re: 魔人ラプソディ ( No.6 )
日時: 2012/02/02 19:24
名前: sora ◆vcRbhehpKE (ID: GMnx0Qi.)



 僕が殺した少女の名前は『早川 ユキリ』という。
僕より一つ上の学年の彼女には、いつも悪い噂が付きまとっていたように思う。
何股かけてるだとか、平気で友達の陰口をたたくだとか、目を付けられたり、逆らったらハブられるだとか。
その半面で彼女が可愛らしい容姿で、なお且つ流行に敏感だっというのもまた事実だ。
いつも金髪でピアスを付けていて、とても目立つ格好をしていた。
髪型はいつも違っていた。昨日はシュシュで一つにまとめていたと思う。
 そして彼女は今朝、ゴミ捨て場で冷たい肉塊になっていた。
ただし首から上は見つかっておらず、太腿や腰や腕など、体中の至る所にかじられたような痕があったという。
頭が無い状態で、何故彼女だと断定できたかというと、
彼女が持っていたバッグの中に生徒手帳が入っていたかららしい。
行方不明の頭部は依然として捜索中。
 結果として、全校生徒は早退することになった。
頭を粉砕されて死んだ、早川ユキリという少女が同じ学び舎の仲間達に遺したものは
多少の戦慄と恐怖と、「今日は合法的に早退出来る」という喜びだった。
 心から彼女の死を悲しんでいる人間など、はたしてこのクラスにはいるのだろうか。
少なくともこのクラスに居る僕には、「怖い」だとかっていう類の『感想』しか聴こえてこない。
先生に至っては苛立ったような表情だ。
 もっとも、いくらそんなことに思いを馳せたって、それが僕が人間であることの証明になりはしないのだろうけれど。
むしろ、ここできれいさっぱり切り捨ててしまうのが人間らしいのかもしれない。

 さてと。思ったよりも時間が出来た。今日は誰を殺そうか?
ふとそんなことを考えた時に、再び美鏡アヤネが視界に入った。



   ♪



 どういう訳だかわからないが、どうやら早退することになったらしい。
先生方の用事でもあるのだろうか。
ずっとヘッドフォンを着けていたので、全然話を聞いていなかった。
まあ、どうでもいいか。
 いずれにしたって、私にとってはラッキーだ。
机に突っ伏した体を起こすのは苦にならなかった。
突然予定外のことが起こるのは嫌だけれど、こういうサプライズは大歓迎。
 さあ、そうと決まれば早く行こう。今日は何をしようか?
駅前のショッピングモールをぶらつこうか。
確か今日は水曜日だから、私が好きな店のショーウインドウに新しい洋服が並んでいる筈だ。
思い出した。まだ今週は、いつも読んでいる週刊誌を買っていなかった。
そういえば、今朝来るときに新しいクレープ屋が出来ていた筈だ。
 私は、人混みは苦手だ。けれど自分が好きなものを見たり、食べたりするのは楽しい。
自分が楽しければ他人は関係ないと思う。
誰かが共感しようがしなかろうが、私は私だ。
 そんなことを考えながら、遊歩道を歩いていく。
この間雪が降ったからだろうか。路傍には汚くよごれてしまった雪の塊がちらほらと残っている。
綺麗に整備された歩道は、まだ少し濡れていた。
 この駅前の通りは、私が好きな場所の一つだ。
人混みは嫌いだけれど、ここを歩いているとなぜだかとても楽しい。
甘いものを食べたり、服とかバッグとか、買う事は少ないけれど見て回ったり、
ストリートミュージシャンの路上ライブを見たり。
 今日も、そうして楽しむつもりでいた。
 だというのに、ああ、嫌だ。
誰かついてきている。
 よくある事だ。こんな格好をしているから、変な奴等に目を付けられやすいのだ。
だからこそ、そういうのは簡単に気付くことが出来るようになったけれど
やっぱり嫌なものは、何度体験しても嫌だ。
 歩く速度を早める。
けれど人混みの中、確かにそいつは私のずっと後ろを追いかけてきていた。
 ああもう、気味が悪い。
十中八九、いや絶対に、こういうのは変態だ。変『人』ではない。変『態』だ。人ですらないと言いたい。
 人ですらないといえば。
最近、この辺りで殺人事件が立て続けに起こってるってどこかで聞いたっけ。
被害者は全て、おかしな死に方をしているっていう。
まるでギロチンにでもかけたように綺麗に真っ二つにされていたり、
頭を無理矢理引っ張ったみたいに、首から引きちぎられて死んでいたり、
まるで猛獣か何かの爪の痕の様なものが残っていたり……。
 こんな都会に、猛獣が紛れ込んでいる筈はない。
 だけど確かに、それら全ての事件は何らかしらの異常性があった。
 お陰でこのところ、飽きるくらいに都市伝説が充満していた。
悪魔とか殺し屋とか魔人とか化け物とか死神とか、どれをとっても中学二年生臭いものが。
 事件が起き始めたのは今年の春先。だから、もう半年以上ずっと起こっていることになる。
聞いた限りでは、今のところは全部で十四件。
そこまで考えて、嫌な予感がした。
何故今日は突然早退になったのか。
それは十五件目の被害者が、とうとうウチの学校にも出たからじゃないのか?
 余計に、歩くのが早くなる。
まるで突然水でもかけられたような気分になった。いきなり怖くなってきた。
 そして、自分の現状に気付いて唖然とする。
考え事をしている間に、自分が来てしまっていたのは……
……人っ子ひとりいない、裏路地。

 足音で我に返って、振り返る前に、頭の辺りに激痛を感じて目の前があっというまに暗くなってしまった。
まあ、なんて使い古されたベタな展開なのでしょう。

Re: 魔人ラプソディ ( No.7 )
日時: 2012/02/02 10:47
名前: 朝倉疾風 (ID: yqB.sJMY)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/




同じ学校の誰かが殺されたとして、そして
それを本当に悲しむのは一部の生徒だけ
だと思います。
だって自分とそんなに関係無い人が殺されたって、
やっぱり「ああ怖い」だけだし。
せいぜい暗くならないうちに帰ろうかと
思うくらいかも。
そしてその子の噂を聞いてほへえとかのんきに
思ってるんだろうなぁ。

アヤネが狙われてる感やばい、というかもう既に
手遅れ感満載なのだけれど、いや本当にベタな
感じがするのだけれど、もうそこはあえて俺得
的展開を……っ!
そしてアヤネが素直に怖いとか言ってくれて
ちょっとホッとする朝倉。

変態と変人の定義は、朝倉も頷いて聴いています。
朝倉はどちらに入るのか、と聞かれれば、それは
「朝倉は朝倉だ」 と答えるしかないのです。

何の話だと思います?
朝倉も何の話だと自分自身にツッコミをいれてます。
いえ、本当に。

Re: 魔人ラプソディ ( No.8 )
日時: 2012/02/02 18:31
名前: sora ◆vcRbhehpKE (ID: GMnx0Qi.)

朝倉疾風s⇒
知らない人の死まで悲しんでいたら、涙が止まりません。
脱水症状で、こっちが死んでしまいます。
わたしはもしかしたら、聞いてすらいないかもしれません。
馬耳東風っていうんでしょうか。

ベタな展開しか書けないんです。ごめんなさい。
アヤネは、見た目の割に普通(?)の女の子だと思います。
そして、自分が好きだから自分が死ぬのが怖いんだと思います。

同じく、わたしも誰かと聞かれればわたしだと答えるしかないと思います。
他の誰かだったら、誰なんだろう。ゾウリムシとか?

Re: 魔人ラプソディ ( No.9 )
日時: 2012/02/02 20:33
名前: sora ◆vcRbhehpKE (ID: GMnx0Qi.)




 別に、誰が憎いとかって言う訳じゃないのだけれど。
それでもこんな風に思うようになったのはいつごろだったっけ。

 肉料理はずっと前から、幼稚園のころから好きだった。
かと言って、だから他の食べ物は嫌いって言う訳でもないけれど。
嫌いな食べ物は牡蠣だけだ。小学生のころに食べた牡蠣があたって、それから嫌いなのは今でも変わらない。
肉料理が好きって言うのにしたって、それが何か特別だった訳でもない。
ただ普通に、ハンバーグが好きだとか、ステーキが好きだとかっていうレベル。
 それが、いつからだろう。
生身の人間の肉を食べてみたいと、そう望むようになったのは。
 いつだったっけ。転んですりむいたときに、膝から血が流れるのを見た。
そしてその時、なにか妙な気分になったのを覚えている。
転んで座ったまんま動かない自分を心配する友達をよそに、しばらく傷をじっと見つめていたと思う。
 かさぶたをはがすのが好きだ。理由は自分にも解らない。
はがすときは少し痛むし、血も出る。
けれどそれ以上に、流れる血を見るのが、何より「自分の肉体の一部が千切れた」っていう実感が好きだったと思う。
そのうち、はがしたかさぶたを自分で食べるようにもなった。自分の体から出た物なのだから害はない筈だ。
 ただし、それらは決して他人には悟らせないようにした。
若干ながら、変だというのは自覚していたからだ。
普通に友達と遊んで、普通に毎日楽しくバカやって、普通にしていたかった。
 友達と馬鹿みたいな事を話してる時は楽しい。部活も楽しい。
毎日楽しくやってたら、隣のクラスの女子の告白された。嬉しかった。
誰かと付き合うっていうのはすっげー幸せだって、思った。

 でもそれが。いつだったっけか。
一瞬ふと「こいつの肉を食べたらどんな味がするんだろう」って、思った。

 突然、自分が嫌になった。
何を考えてるんだ。ぜんっぜん意味がわかんね。
自分は彼女が大切で、好きで。その筈なのに、何考えてんの?
ばかばかしいって。
明日になったら忘れてるだろうって思った。
 だけどそれは頭から離れなかった。
最初は罪悪感だった。好きな筈の彼女に対してそう思ったことへの。
でもそのうち、頭の中で、肉を食いちぎる光景とか、相手が苦しんで嫌がる姿とか。
クラスで授業受けてる時だって、目の前のクラスメイト、どんな味がするのかなとか
肉の色はどんなだろうとか、噛み応えはどんなだろうとか。
それでいつも我に返って、自己嫌悪に苛まれる。
自分は普通に幸せでいたかったのに、何で。
 第一、人間の肉なんて食べたら腹壊すだろうし、食べた後の処理だってどうするんだって話だ。
 そんなことを考えた辺りで、論点がそこになってしまっている自分に失望。
手段が結果がうんぬんの前に、人間としてやってはいけないことの筈だろ。
 日に日に、どんどんずれていっているのが手に取るようにわかった。
目の前で話している相手を、食べたらどうなるんだろうと思うようになってしまった。
自分を抑えるのが大変になってきてしまった。
でも、こんなの、誰にも相談できる訳が無い。
気が狂いそうだった。
普通の幸せで誤魔化そうとした。
でもそれは無理だった。
よっぽどだったのかもしれない。少し前のある日、彼女が心配して「大丈夫?」と尋ねてきたのだ。
ちょっと寝不足なだけだよと言って、嘘を言って、その場をやり過ごした。
油断すれば、彼女から手にかけてしまいそうで。
それだけは、何が何でも絶対に嫌だった。
彼女が自分の餌食になる前に、自殺しようかとまで考えた。
自分が異端になってしまうまえに、自分のままで死にたかった。

 そんな狂いそうな毎日の中で、アイツは『魔人』と名乗って目の前に姿を現した。

 最初は幻覚だと思った。きっと疲れているんだろうって。
だから、うっかり『契約』。そしてバイバイ足の指。
まるで化け物みたいになった自分の姿が、道路の鏡に映ってて。
違う。化け物みたいにじゃなくて、本当に化け物になってしまったんだ。
そう考えると、自分の中の何かが、簡単に吹っ切れた。
 人間を食べても腹を壊さなくて、骨まで残さず食べてしまえる体になって。
もう人間じゃないから、人間としてやってはいけないことをしても良い。
そうと決まれば、これからしたいことなど一つしかなかった。
 最初に食べたのは、彼女だった。
愛しい彼女の肉はやわらかくて、口の中でとろけるようで。
骨は丁度良い硬さで、内臓は独特の噛み応えがあって。
脳ミソは啜った瞬間に、なんともいえない心地いい気分になって。
血液の最後の一滴まで愛せた充足感は、最高に幸せだった。



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