ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜
日時: 2012/02/10 15:18
名前: 向日葵 (ID: SSGIlw3x)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=form

storyⅠ〜ハジマリ〜

———あるところに、唯我独尊、暴君な王様がいました
   王様は自分が気に入らないと思った人間は誰であろうと
   処分しました
   しかし、そんなある日、王様に一通の手紙が届きました


   『親愛なるキングよ。我らはキングを愛し、敬い、
    そして尊いものとして捧げる。
    そんな我らの願いを、一つ叶えてほしい。
    どうか、この世の中の、いらない人間を始末してほしい。
    
    キングの愛するeverfriend』


    王様は、差出人の分からないその手紙に興味を持ち、
    その願いを叶えるために、動き出したのでした———







キーンコーンカーンコーン…

早朝のベルが鳴る

丘蔵高校一年六組は、文化祭の準備に追われていた





「ねえねぇ!!聞いた?今日転校生来るんだって!」

「聞いた聞いた!!!でもこんな朝早くから学校来てんのに
 会えないねぇ」


たわいない会話 そう、今日六組には転校生が来る



「でもなんでこんな時期に?新学期でもないじゃん」

「なんでも親が交通事故で死んだらしいよ
 親戚に引き取られて丘蔵に来たって…」

「まぢで!?じゃあ優しくしなきゃいけないのかなぁ」

「なんかさ、同情みたいでめんどくない?」

「あはは!!言えてるカモ!」










(やめてよ 同情なんて…)




申し遅れたけど自己紹介

私の名前は久羽 美鶴

あの女の子たちが話していた通り、親が死んで丘蔵に来た



(なんかもう噂が広まってる…こんなんじゃ友達できないよ)





「でもさぁ 可哀想だよね 転校生」



再び話し出した彼女たちに目と耳を集中させる


「あぁ〜…確かに よりによって六組なんてねぇ」




(『よりによって』?六組ってそんなに酷いクラスなの?
 てかあの子たちも六組だよね?話しかけてみようかな…)


木のタイルで張られた廊下に、新品のシューズの音を

響かせながら、少しずつ窓越しの彼女たちに近づく



「あのぉ…ちょっといいですか?」


喉の奥が震えているよう やけに喉が渇いた



「あれ?あなたは…?」



ヘンな野次を飛ばされなくてよかった、と安心したのもつかの間

すぐに答えないと変に思われてしまう




「えっと…私、久羽美鶴って言います 一年六組に今日転校してきたん
 ですけど…」



「「えっっ!!!」」


女の子二人の声が重なった

まあ当然だと思いながらもしっかりと彼女たちの視線を観察した



(一応こういう反応には慣れておかないとね)



キョトンとしている彼女たちに視線を送りつつ、話し出す


「さっき聞いたんですが…六組って酷いクラスなんですか?
 『よりによって』って言ってたから…」



「え?あぁ…聞こえてたんだ あのね、六組には…」


「まあ来れば分かるよ!!それまではあんまり気にしないでいた方が
 いいよ!!!」



一人の子の話をもう一人の子が遮る形で話した

『じゃあね』を最後まで言わずに走り去っていった彼女たちを見て、

ショックなのか、疲れなのか、重いため息が出た










誰一人としていなくなった廊下には、ただただそのため息の

余韻が残っていた——












☆作者から☆

皆さん初めまして(^^)/~~~

向日葵です<(_ _)>

今回はプロローグ的な回でした♪

本編はドロドロ&ドキドキ(恐怖の意味のドキドキです^^;)で

お送りします(*^^)v

まあ更新は遅いし、展開もなかなか進まないときがあるかもですが

お付き合いください(*^_^*)


でわ次回をお楽しみに☆

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Re: 王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 ( No.7 )
日時: 2012/03/28 15:51
名前: 向日葵 (ID: mnC5ySyz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

☆作者から☆

どうも!

作者の向日葵です(*^^)v

すっごく更新遅れてすいません<(_ _)>

卒業シーズンだったもので…ごめんなさい((+_+))

でもやっと更新できたので、また少しずつですが更新します♪

のんびりかもしれませんがお付き合いください>^_^<

よろしくお願いします\(^o^)/

Re: 王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 ( No.8 )
日時: 2012/03/30 12:13
名前: 向日葵 (ID: mnC5ySyz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

storyⅤ〜悪魔の微笑み〜








いったい誰がこんなことを考えたのだろう

だいたい勉強で疲れ切っている学生に『お手伝い』なんてさせること

自体ががおかしいじゃないか


なんてことを考えながら、美鶴は家のキッチンのシンクの前にいた

慣れない淡い緑のセーラー服をエプロンで包んでいることから、

帰宅後すぐに任された事が分かる





「どう?美鶴ちゃん もうすぐ終わりそう?」


とびっきりの笑顔付きで可南子叔母さんに話しかけられ、

シンクの中の汚れた食器たちを熱心に見つめていた美鶴は

弾かれたように可南子叔母さんを見た

相変わらずニコニコと笑顔を浮かべている可南子叔母さんを見て、

美鶴は思わずニコッと微笑み返して言った



「はい あと少しですよ」



そう、とゆっくり頷いた可南子叔母さんは、もう一度忙しそうに

手元を動かし洗濯物を畳み始めた

肩につかないほど短く切りそろえてある茶色を帯びた髪の毛が、

可南子叔母さんが動くたびに揺れていた


キュッと蛇口をひねって、美鶴は少しため息をもらす

濡れた手をタオルではなく愛用のエプロンで拭いた後、

美鶴はリビングを出た

出ていく前に、可南子叔母さんにとびっきりの笑顔を向けて























「ふぅ…」



部屋に入るなり美鶴はため息を吐き出した

制服を脱ぐわけでもなく、ベットの上にあるピンクの枕に

頭を突っ伏した







体育館裏でのことから、美鶴は記憶が曖昧だ

ただちゃんと家には帰ってこれたのだろう

今家にいるのだから

放心状態のまま、家路を歩き、家に帰るなり

出張準備でもう一度会社に行かなければならず、一足先に

晩御飯を食べた可南子叔母さんに食器洗いを頼まれて、今に至る

元々可南子叔母さんは出張が多かった

叔母さんと言っても、母と年子の姉の可南子叔母さんは、

まだまだ働き盛りなのだろう

別に美鶴はそれを寂しいと思ったことはないし、

家事を得意とする美鶴にとっては苦でもなかった

しかし、誰もいないリビングで、誰の為でもない食事を作るのは、

すごく虚しくて、切なかった


久しぶりに可南子叔母さんとの思い出に浸った美鶴は、

可南子叔母さんが会社へ向かうため家を出ていく音を聞く前に、

ゆっくりと眼を閉じた————























次に美鶴が眼を覚ました時は、ちょうど時計の長針と短針が

一直線になっているときだった

いつもよりは30分の寝坊だが、可南子叔母さんが出張ということを

思いだし、いつもの他愛無いやり取りの分の時間が省けるということで

それでいいか、と思った

美鶴は静寂しきった家を一人で慌ただしく動き回りながら、

返事の返ってこない『行ってきます』を言って、家を出た














「おはよう!美鶴!!よく眠れた?」



お母さんのような挨拶をする佐伯さんに微笑しながら、

おはよう、とだけ美鶴は返した

一年六組は、まるで昨日のことが嘘のように、笑い声が絶えなかった




(佐伯さんに…聞いてみようかな…)



心でこっそりと美鶴は思った

聞いたところで新たな疑問が浮かぶかもしれないし、

理解できない状況がやってくるかもしれない

しかし、美鶴はこの謎めいた状況を片付けずにはいられなかった




「佐伯さん あの…」


美鶴がそこまで言いかけた時だった

どこからともなく叫び声が聞こえてきたのは







「誰かぁ!!!こいつを止めてくれ!!!!!!!!!」



上階からの叫び声に、椅子に腰を下ろして手の甲で頬を支え、

肘をついていた佐伯さんが美鶴の腕を引っ張って駆け出した



「やった!!やっとjokerが動き出した!!今回は早かったわ!!」


心躍るような佐伯さんの声に、美鶴はただ佐伯さんの後姿を見つめた

元々美鶴は佐伯さんのことを「美人」だと思っていた

サラサラで太陽を受け付けないような、長く少し癖のかかった黒髪は

邪魔、と言わんばかりにポニーテールにされている

時折見せる、ぱっつんの前髪から額を覗かせる仕草は

とても色っぽかった

小柄ながら、引き締まったウエストは、体のラインを強調させる

セーラー服がよく似合っている

二重で、はっきりとした目の子を「可愛い」というのなら、

一重でキリっとした目の佐伯さんは、「美人」いうのではないだろうか

美鶴は左右に揺れる佐伯さんの長いポニーテールの黒髪の匂いを

吸い込みながら、されるがままに佐伯さんについていった





屋上へつながる階段のところまで行くと、男子生徒数人に掴まれ

暴れる一人の男の子がいた

その見覚えのある顔に美鶴は、その異様な状況に佐伯さんは

立ち止まった


『落ち着けよ 神崎!!』そう男子生徒に叫ばれる中で、

『神崎』は目を赤くし大粒の涙を流していた





(あの時の…やっぱり助けてくれた時の男の子だ…!
 じゃあ…jokerはあの子だったんだ…)



狂ったように泣き続ける彼を見ながら、美鶴は衝撃を受けた

しかし、次に発する彼の言葉には、それ以上の衝撃を受けた



「俺は死ぬんだよ!!生きてても意味がないんだ!!
 どうせ消えていくんだよ!どうせなら学校で死んでやるよ!!」




美鶴は絶句した

この狂い様と、美鶴の想像する「joker」の嫌な予感が一致した


立ち尽くす美鶴をよそに、佐伯さんはポニーテールを太陽の光に

さらしながら、『神崎』に近づいた





「そうよ それで合ってるの…だってあなたはキングに選ばれた
 jokerなんですもの」



『神崎』の耳元で、誰にも聞こえないよう呟く

その妖しげな笑みが、より一層佐伯さんを美人に見せた

しかし、『神崎』はその言葉を聞くと、人々の間をすり抜けて

学校から逃げ出した

何事もなかったかのように階段を下りる佐伯さんにつられ、

沢山の野次馬たちは教室に帰って行った













—————その後、『神崎』を見たものはいなかった

彼が狂った日から、たった五日後に、その知らせは届いた

その時一年六組は、喜怒哀楽のどの表情も見せずに、

ただ悲しげに話し続ける四瑞先生を見つめていた














そのなかに、悪魔の微笑みを浮かべる、妖しげな女がいた——————

Re: 王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 ( No.9 )
日時: 2012/03/30 12:38
名前: 向日葵 (ID: mnC5ySyz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

☆作者から☆

皆さんどうも>^_^<

作者の向日葵です♪

いっつもお話を更新した後に「作者から」を書こうと思うんですが、

忘れてしまってこうして新しく「作者から」を書いてしまって…^^;

結構展開がスローリーで…すいません(>_<)

頑張って更新しますんでお願いします(^v^)

Re: 王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 ( No.10 )
日時: 2012/03/30 16:38
名前: 向日葵 (ID: mnC5ySyz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

storyⅥ〜指令と文化祭〜








美鶴が初めて見たjokerが消えた日曜日

翌日にその知らせを聞いた一年六組は、今日が月曜日であることに

浮ついた気持ちでいた



今日は、美鶴が初めて地獄を見た日から、丁度一週間だった—————





















「もぉ美鶴!!いつまでもボーっとしてないでよぉ!!」


腰に手を当てて、眉間にしわを寄せている佐伯さんが、教室の

一番後ろの席めがけて怒鳴った

リーダー気質の佐伯さんには、このポーズがお決まりだった

美鶴は一言『ごめん』と呟くと、頬杖をついていた左手を机につけた


「はいはい!話を戻して!来週の文化祭について続けるよ」


すっかり美鶴を注意したことを忘れたかのように、腰に当てていた手を

教卓に押し付けた佐伯さんが声を張った

美鶴は佐伯さんの注意を受け流し、またボーっと外を見た

あの日から、美鶴はこの切ない気持ちをどうすればいいのか

分からなかった

見上げた空は、切なく笑っている気がした

空の色については…考えないようにしていた


















「美鶴全然聞いてなかったでしょ!?あたし結構いいアイデア
 出したのにさ〜」





(なんだ、見てたんだ)


美鶴はHRが終わった後に、拗ねるように話しかけてきた佐伯さんを見た

今日の佐伯さんは、一段と美人だった

珍しく長い髪を縛りもせずになびかせていた

本人いわく、寝坊して面倒だったと言っているが、縛っていないと

どこか気品が感じられ、朝から美鶴は見とれっぱなしだった





「六組の出し物はお化け屋敷なの! 美鶴も頑張ってよね!!」



佐伯さんの忠告にも耳を傾けないで、美鶴はもう一度空を見た

あれから美鶴はずっと上の空だった

可南子叔母さんにとびっきりの笑顔を向けられても、

佐伯さんの妖しげな笑みを見ても、美鶴の心が動くことはなかった





人はあんな簡単に消えていいのだろうか—————?






それだけが、美鶴の心を捕えていた

今日は月曜日

何事もなく一日が終わることを、望むだけ無駄だと美鶴は思った























教室から四瑞先生が参考書を持って出て行った

それを見計らって佐伯さんが艶やかな黒髪を手でかきあげ、

うっとおしそうに耳にかけて言った




「やっとこの時間だね〜!」





よっしゃ!と口パクで言って、長い指でピースを作った佐伯さんを見て

美鶴はやっと今日初めての笑顔を作った

とびっきりの愛想笑いを





























佐伯さんが教室を出てからから、7分が経とうとしていた

いつも通りに席に着いたクラスの皆に、『私が行ってくる』

と言って、教室を出ていく佐伯さんを、美鶴は重い気持ちで見つめた

いつになっても教室のドアが微動だにしないことに、さすがに

皆も表情は脅えていた



ガラガラッ





「皆!!事件だよ!じ・け・ん!!!」






唐突に開いた教室のドアに驚いたように、叫びながら入ってくる

佐伯さんを全員が見つめた

美鶴は高鳴っていく心音に、じっと佐伯さんの長い髪を見つめた






「なんかさ!!カード見てみたらいつもと違ったの!!
 指令がどうとか書いてあったんだよ!!」



興奮しているのか、上がっている息で話し続ける佐伯さんは、

いつもの妖艶な雰囲気をしまっていた

誰かが佐伯さんの話を引き取って聞き返す前に、咄嗟に佐伯さんは

熱のこもった声で言った





「『今回は指令を与える。一年六組の選ばれし者が、文化祭にて
  jokerを選べ。』って…どういうことだと思う?」



不安げに子犬のような瞳をした佐伯さんは、お決まりのポーズではなく

行き場のない右手で制服の襟を直しながら言った

美鶴はゆっくりと晴れていく心の存在に気づくことなく、

佐伯さんの白い手に持ち上げられているカードを見つめた


でも…楽しみ、といつもの妖艶な調子を取り戻した佐伯さんが呟くと、

クラスがムワっとする夏の風に包まれた



























地獄の文化祭が、始まろうとしていた———————

















☆作者から☆


皆さんどうも(^^♪

作者の向日葵です☆

今回は忙しかったんですが、更新したかったので

少し文が短めですがご了承願います<(_ _)>

また更新しますので、お願いします>^_^<

Re: 王様とトモダチ〜キングの憂鬱〜 ( No.11 )
日時: 2012/04/01 11:36
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=18179

こんにちは、久蘭です。

向日葵さん、すっごく面白いです!!私のなんかよりぜーんぜんうまいですよ〜^^

これからも読ませていただきますね!!


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