ダーク・ファンタジー小説
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- 「血相契約」〜【小説大会銅賞&参照1000大感謝!】〜
- 日時: 2016/11/14 22:48
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: 7WYO6DME)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=bV4vcr8E4HU
【投稿板移動のお知らせ】>>65
…………———
Day of the opening…——2014-4-4——
————————
————
「わかってる。わかってるっつぅの……。」
どうあがいたって手遅れだったことも——。
——わかってる。わかってるさ——。
「×」をあいつの手から解放するためなら、僕はなんだってする。
たとえ…………————。
『×を犠牲にしても……』———。
※注意※
●安定の駄文
●駄文、駄文、駄文、
●面白くない
●ときにギャグまざるかもしれない
●っていうかギャグ4割 シリアス6割
●亀更新
●作者の趣味いっぱいつめてるからおかしい。
●戦闘・死亡シーン・血 あったりする。
●面白くない※2回目
●作者はキモイです。
↑の中でひとつでも嫌だと思うものがあったらプラウザバック。
※作者は気分屋です。ころころイメソン変えたりなんだりします。ふらふら変えんじゃねぇよと思っている方もいらっしゃると思いますがご了承お願いします。
まだまだオリキャラ募集中です!!
ご協力お願いします!
※いただいたオリキャラはキャラ・口調・性格すべてご希望通りになるとは限りません(要するに作者の実力不足)
募集用紙>>5
*「血相契約」ラジオ企画!*
*第一回>>58
お題・質問募集用紙>>50
【祝☆冬の小説大会・銅賞!】>>45
【お詫びとこれからの更新予定】>>34
【更新再開のお知らせ】>>53
いただいたオリキャラ様のまとめは→>>10
彼岸様!お待たせいたしました!碧ちゃん&景都くん登場です!>>31
六様!お待たせいたしました!空人くん&響くん登場です!>>36
Fressia様!お待たせいたしました!零慈君&穿くん登場です!>>38
登場人物>>4
細かな設定>>35
第一章「契約もどきという名の序章」
第1話>>1第2話>>2第3話>>3第4話>>9第5話>>19
第6話>>25第7話>>28第8話>>29第9話>>30第10話>>31
第11話>>36第12話>>37第13話>>38
第一章 Ending>>39
第二章「彼らの世界」
第13話>>40第14話>>46第15話>>55第16話>>57
第17話>>61第18話>>6219話>>63第20話>>64
第21話>>66
〜*きてくださったお客様*〜
*彼岸様*(初めてのお客様です!ありがとうございます!)
*六様*(彼岸様と同じくオリキャラを恵んでくださいました!)
*ヒント様*(私が『一番!』好きな作品の作者様です。憧れの方です←)
*黒猫だいすきひろにい様*(題名にひかれたといってくださいましたありがとうございます!)
*Freesia様*(作者がほしかったキャラを応募してくださいました!)
*雪菜様*(作者と同じ(は?)グロいのが好きといってくださった心優しい方です!)
*kkk様*(こんなクソ小説を面白いといってくださいました!ありがとうございます!)
*みーこ様*(小説大会のお祝い言葉を頂きました!ありがとうございます!)
*あずき@あんこ様*(初めてラジオのお題を頂きました!とってもうれしいです!)
*緋狼様*(こんな拙い小説をほめてくださいました!本当に嬉しいです!)
*嘘つきマコト様*(ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。)
PS:2014冬の小説大会・銅賞!本当にありがとうございます!!
- Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.27 )
- 日時: 2014/04/11 16:59
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)
>>Fressia様
いえいえ!全然縛ったりはしませんので大丈夫ですよ!
気に留めにならなくても全然大丈夫です!!
それに、契約エピソードはほとんど番外編的な感じに扱えたらいいな〜っていう感じですからストーリーにはあまり触れない予定です……^^
ただ、そういってくださるなら無理な強要などはしませんし(当たり前だks)
エピソード自体皆様の希望で書かせていただく予定ですので……
「書かなくてもいいわks」って場合は言ってくだされば結構ですので……^^
お気遣いありがとうございます!
- Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.28 )
- 日時: 2015/06/22 22:26
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)
第7話(美紀目線)
真っ黒なコートを羽織った青年、黒夜の爆弾発言から私はまたもや病室で暴れそうになったのでとりあえず冷静になるため、病院の屋上へと足を踏み入れた。普通の患者は入っていけないらしく屋上への扉には南京錠がかけられていたが黒夜がいとも簡単に南京錠を握りつぶしてしまい、難なく屋上へ入ることができた。コイツの握力や行動に突っ込みをいれないと誓った私はなにもいわずに屋上の扉を開けた。扉を開けると、そこは夏色の世界で。夏特有の真っ青な雲ひとつ無い空。床のコンクリートから感じる熱気などもあったが、何より今日はいい感じに風模様だったらしくとても快適だった。学校にも屋上はあったが入ったことも無かったから内心人生初の屋上は私の気分を変えてくれるには十分だった。
「で……もう一回話すけど、何も言わずに聞けよ。
今から話すことは冗談でもなく遊びでもなくすべて事実だ。
俺にはお前にそれを話す必要がある。お前はそれをすべて受け止めなくてはいけない。わかったか?」
黒夜は自分と同じくらいの背丈のフェンス(要するにかなり大きい)に寄りかかって私に真剣な顔つきで問う。ここまで真剣な顔をされるとさすがに嘘話をする人には見えなくなってきた。それほど彼の顔には真剣さがにじみ出ていたのだ。
「ん……。」
私は小さくうなずいた。
今から話すことはすべて事実なんだ。私が 受け止めるべき事実。
——夏風が強く吹いた。
————————……
(同時刻:樹目線)
幼馴染が道端で倒れ病院に運ばれたと聞いた。
その日の朝はいつも通り晴天で。
いつも通り学校が始まろうとしていた。始まるはずだった。しかし、いつも通りではなかった。アイツがいつも来ている時間にいなかったからだ。俺野田 樹は恥ずかしながらも幼馴染の蘭山 美紀に幼い頃から恋心を抱いている。美紀と俺は幼稚園からの腐れ縁でよく一緒にあそんでいた。そのときの美紀は優しくて笑顔一杯の人気者だったのだが、美紀の両親が殺害されてからまるで人形の様に中身が抜け落ちてしまった。幼い美紀にとってそれはつらすぎる現実だったのだろう。毎日、誰を見ていないところで泣いていた。その事に誰よりも早く気が付いた俺は毎日美紀の所へ行き美紀を慰め続けた。何時間も何時間も。日が暮れるまでずっと美紀のそばにいた。そんな俺の行動が功を成したのか美紀は以前ほどではないが人と接触するようになったし笑うようにもなった。そして俺に「ありがとう。」といって笑ってくれた。それがどうしようもなく嬉しくて嬉しくて。その日の夜は寝れなかったなんていう思い出もあった。
そんな俺にとって幼馴染でもあり想い人でもある美紀が倒れたと教師に聞いたとき、俺は教師にしがみついて美紀がいる病院はどこだと問いただした。教師は苦虫をつぶしたような顔をして美紀が入院する病院と病室の番号を教えてくれた。そして放課後、美紀の病室へと飛んでいった。
「おいっ!美紀……!大丈夫……か……。」
勢い良くドアを開け、窓際のベッドへと目を移す。しかしそこに美紀はいなかった。あきっぱなしにされた窓から明るい夏の日差しが差し込み、夏風でカーテンが揺ら揺らと揺れているだけだった。窓からベッドへ視線を戻す。美紀が寝ていたであろうベッドはまるで暴れた跡のようにシーツはくちゃくちゃ。布団は床にほっぽられている。明らかに大人しくしている病人のベッドではない。
「あれ?美紀……?」
(なんでいないんだ?)
もしかしたらどこか他の所へ行ったのかも知れない。俺はそう思い、病室のベッドを綺麗に直した後美紀の病室を後にした。あいつは放浪癖がというたちの悪い癖を持ち合わせている。まさか、こんな所でアイツのもち癖が場を面倒くさくさせるとは思いもしなかった。いや、昔から面倒くさいとは思っていたが。ここでそれが仇となるとは。めんどくせぇなぁーと心の中で舌打ちをし、これもすべて美紀のためだ。と一人納得し俺は病院を徘徊し始めた。
- Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.29 )
- 日時: 2014/04/08 16:19
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)
第8話(美紀目線)
黒夜の口から次々と出てきた言葉はあまりにも突飛すぎた。
どうやら黒夜は悪魔らしい。どうりであんないとも簡単に南京錠を破壊できたわけだ。いやそれだけで悪魔だとかは断定できないが。まぁそんな話は置いといて。黒夜達悪魔は契約者と契約して契約した時に自分の体内から生まれる魔力で生き続けるらしい。契約者と契約した悪魔はその契約者が死ぬまで契約者と共に生きていかなくてならない。契約者が死んだ瞬間悪魔は無契約悪魔となり、新たな契約者を見つける。それを繰り返し黒夜達は生き続けてきたそうだ。悪魔は契約者に自分が持つ魔力を注ぎ込み、契約者はその魔力で戦うという。つまり戦闘時?は悪魔は戦わず、契約者が悪魔の代わりとなって戦うらしい。契約方法は悪魔が契約者となるものの血をなめる。それだけで契約できるらしい。
「もしかして……」
私があの日の夜、意識を失う瞬間に傷口に当たった生暖かいものは……。やめよう。考えるのは止めよう。手首に変な紋章あるけど見なかったことにしておこう。黙って黒夜の話を聞こう。
黒夜はこの世界とは別の世界いわば異世界に住む悪魔でこの世界に下りてきたのはつい最近だという。異世界はこの地上とほぼ同じようでいろんな人が生活していたという。唯一違うのは悪魔と契約者が存在する。それだけなのだ。なぜ降りてきたのかと聞くと彼は
「契約者を探すため。」
と小さくつぶやいた。フードで顔が見えなかったが声が複雑そうだった。異世界には悪魔ともうひとつの人種「血約者」という限りなく人間に近い人々が住んでいた。血約者は悪魔と契約するために生まれてきたといっても過言ではないらしく血約者は悪魔と。悪魔は血約者と。契約してパートナーとなる。今までそうやってずっと血約者達と悪魔達は互いに支えあって生きてきたらしい。ならば……
「どうして、この世界に契約者を探しに来たの?
異世界にしか血約者はいないんでしょ?ここは人間しかいないよ?」
私はそういって黒夜を見つめる。その瞬間、黒夜は一瞬息を吸い込んだ。その瞬間、悟る。なにかあったんだと。どうしてもこの世界に下りて契約者を探す理由が。
すると黒夜は上を向き、へラッと投げ出したような笑みをこぼした。
そしてかすかに震えた声で私に言った。
「いねーんだ。あの世界にはもう血約者……いや『契約できる奴』が。」
(……?)
私は黙って彼の話を聞き続けた。
どうやらここ数年、異世界で血約者が急減したらしい。理由はとある研究機関が血約者達や他の数少ない人種を大量に誘拐し『実験台』としてさまざまな人間に改造し、血約力を持たない『人造人間』へと造り変えてしまったという。なぜ研究機関がそんなことをしたのか不明だが、街には様々な人造人間があふれかえり、ついに血約力を持つ血約者はほとんどいなくなってしまった。時と共に血約者は減りに減る一方、人造人間はありえないスピードで増えていった。ビル一個を持ち上げるほどの怪力をもつ人。身体に機械を埋め込まれた人。身体すべてを改造された人などが生まれていき、とうとう異世界は研究機関とそれに従う人造人間に支配されてしまった。
人造人間は契約できないので契約者がいないと生きていけない悪魔は契約することが出来ず、みんな死んでいってしまった。黒夜も同様、契約者が探せなかったようでこの世界に降り、契約者を探したのだという。
「そして、その契約者にお前が選ばれた。……っていうわけだ。」
「ひど、い。」
すべての話が終わった後、私は小さく言葉を漏らした。あまりにもつらすぎる話に立っていられなくなりその場にぺトンと座り込む。酷い。あまりにも酷すぎる。そんなこと許されるわけ無いのに……。頭の中が熱くなってきた。きっと夏の暑さのせいなんだろう。そうに決まってる。必死に自分に自己暗示をかけ震える足を動かそうとする。
「ひでぇ事だってことは俺だって知ってる。でもこれが現実なんだよ。
受け止め切れなくても、いつかは受け止めることが出来る。きっと……な。」
黒夜はニカッと笑ったが、その笑顔が無理矢理作った笑顔だってどの人がみてもわかるほど不器用な笑顔だった。そりゃそうだ。黒夜の気持ちは痛いほど良くわかる。自分の大切な故郷や仲間達が朽ち、死んで行くのただ指をくわえて見るだけしか出来ないなんて。座り込んだまま下を向く。コンクリートの灰色の床がえらく無機質に見えた。黒夜がこっちに歩み寄ってくる。夏の日差しから背を向ける黒夜の長い影が私に重なる。上を見上げるとそこには黒夜が立っていた。真っ黒で高身長な悪魔が。フードのせいで黒夜の顔はみえないがきっと悲しそうな顔をしているんだろうな、と頭の中で考える。私にはわからないけれども。黒夜の姿をボーッとみつめて思考をまわしていると黒夜は私に手を差し伸べてきた。
「で……契約者の美紀様?お願いがあるんですよ。」
「なに?」
黒夜の声は以外にもケロッとしていて口調にも違和感を覚えた。しかし、今の私にそんなことは考える暇もなく、黒夜が企んでいる事に馬鹿な私は気付きもしなかった。黒夜の気遣い。そう思っていた自分が今思えばアホらしい。こいつに気遣いなんていう優心なんぞ微塵もないのにもかかわらず言葉の裏の企みに私は気付かなかった。ゆっくりと思考を追いつかせ黒夜の手に手を伸ばす。黒夜が一瞬笑った気がした。
「じつはですね〜……」
私の指が黒夜の手のひらに付いた時だった。いきなり前からひっぱられビュウンと耳元で風を切る音がきこえる。なにをされたのか一瞬理解できなかった。黒夜は私の腕をがっしりと掴み、自分の身体を精一杯後ろに仰け反らせる。当然腕をつかまれた私も無理矢理立たされ(?)彼と同じ方向にまん前から倒れる。なにがおきたのかまったく理解できなかった。混乱状態に陥った脳内ではいろんなことが再生されていた。ようやく引っ張られているんだという現状を知り腕を払おうとするが黒夜の力は半端ないし、なにより今振り払ったって自分が怪我するだけだ。ならこのまま身体をまかせて黒夜をクッションにすれば問題ない。私は混乱する頭の中でそういう結論にたどり着き抵抗をしようとは思わなかった。それがいけなかった。
私の予想通りにこのまま二人一緒に倒れるのかと思いきや、黒夜の後ろになにか黒いもやのようなものが現れ、そのもやはどんどんと形・大きさを増していき、とうとう真っ黒いゲートのような穴が出来てしまった。そして私たちの身体はそこにめがけて倒れていく(あ。)と思ったときにはもう遅い。いろいろな試行錯誤は無駄だった。私はどうやってもコイツに陥れられる運命だったのだ。あいつに同情したばかりに。一瞬風が吹き黒夜コートのフードがバサッと布切れが風を切る音と共に取れ、やっと黒夜の顔を見ることが出来た。
私の視界に移った彼の顔は……
「一緒に異世界へ付いてきて欲しいんですよ〜。」
ありえないほど口角をあげニンマリと笑った『本当の彼』の顔だった。
- Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.30 )
- 日時: 2014/04/11 16:56
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)
第9話(樹目線)
周った。周った。周りつくした。走って歩いて。でもアイツ美紀はどこにも見当たらない。あいつの行きそうな所、行かなさそうな所。全部全部周ったのにアイツはどこにもいなかった。病院の人に言おうと思ったがあいつの事だし病院の人に許可もとらず抜け出したに違いない。だからこそ今あいつが行方不明だと言うことが病院の人の耳に入ったら病院は混乱に陥るだろう。そのこともわかっていたから俺は誰にもいわず病院を駆け回っていた。が、美紀はいない。
「あいつ……どこいったんだよ……。折角見舞いにきてやったのに。」
パタパタと靴の音を鳴らし俺はロビーへたどり着いた。グルッとロビーを見回すが美紀らしき姿はない。人が目の前を通ってはいなくなっていく。大きな病院だから人がいるのは当然だが。どうでもいいことに気をとられているとふとある考えが頭に浮かんだ。もしかしたら病院から脱走してしまったんだろうか。あいつのことだし。人の騒がしい声とアナウンスの音が自分を現実へと引きずり落とすように頭を貫通する。
(あいつの放浪癖……ここまで酷くなってたのか。なんとかしねぇとな。)
見つけたらまず説教からだが。
とりあえずロビーを横切ろうとしたらふと病院の地図が目に入った。そこには俺が時間をかけ周り尽くした場所達が記入されていた。病院の地図を見つめながらおれずっと走ってたんだな。ここを周ったんだなと呑気なことを考えていた。下から上まで、ボーっとそれを見ていると一番上に小さく記入されている文字が目に入った。
「屋……上……。」
俺は無意識のうちにその言葉を口にしてしまったのだろう。俺の後ろを通った人が俺のことをチラリと見た。その一秒の間、自分が何を考えていたのかあまりよく覚えていないが気付けば自分の身体は動き出し足は地面を力強く蹴り飛ばしていた。周りに人がいるのにも関わらず、ぶつかるのも気にもとめず、俺は走り出した。全部周ったつもりだったが俺は馬鹿なことにひとつだけ見落としていた。なぜこんな簡単な事にも気付くことが出来なかったのか。過ぎ去る風景の中俺は思い、唇を噛んだ。ひとつだけ行ってない場所。
屋上だけ行ってなかったのだ。
————————……
「はぁ……っ!はぁ……」
病院の中を駆け回ったときから足はダメージを負っていたのだろう。一階から五階まで一気に駆け上がった俺の足はもう動かないと訴えるようにズキズキと足の芯から痛みを主張させていた。痛い。痛い。足が痛い。下手したら捻ってしまうかもしれない。それほど俺の足は悲鳴を上げていたのだ。しかし今は自分の足を心配しているつもりなんかない。目の前は屋上へとつながる階段。上から微かに屋上から覗き込む夏の日差しが見える。数十段ほどだ。これを上ったらきっと……。息を吸い俺は最後の力を振り絞って階段を駆け上がり始めた。一段一段踏みしめるように上がっていく。足の痛みと反動が上へと上がってくる。静寂に包まれた廊下の中にドタドタと異端な音が聞こえる。光が差し込んでくる。暖かい。もうすぐだ。
「はぁ……っ!んがっ……!」
小さな声を漏らし身体に、足に力を入れる。足が限界を超え始め感覚が無くなって来ていた。美紀め俺をこんなに走らせやがって。すぎる視界と高くなる自分の位置、一歩一歩踏ん張りながらのぼっていく。頭の中ではこのあと美紀を捕まえてまず説教して……とこの後の事を頭の中に浮かばせていた。そうだ、ジュース奢って貰おう。呑気なことを考え階段を上っていく。息があがっていくのが自分でも恐ろしいほどよくわかった。胸が締め付けられるような圧迫されるような、そんな感覚に襲われた。しかし、それももう終わる。夏の日差しが目の前にまで迫ってきているからだ。
「もう……少し……!」
後数歩。その時、
「——……!!」
「……——!!——。」
何か聞こえた。何かが俺の頭の中に貫通した。何を話しているのかは良く聞こえなかったが男女の声だ。痴話喧嘩か何かだろうか。
「————……よ〜?——」
男の声が聞こえた。何の話をしているんだ?男がいるなら美紀はいないだろう。美紀は俺以外の男とはあまり一緒にいない。それ以前に美紀は近寄らない。だから男がここにいるなら美紀はいないことになる。美紀はいないのか?本当に?病院にいないのか?
(まさか本当に脱走したんじゃ……)
次の音というなの声が聞こえたのと俺の足がてっぺんに着いたのはまったく同じ瞬間だった。
「ちょ……ちょっと!!」
「はぁ……はぁ……。え?」
今の声は……!!
聞き間違える筈がなかった。他の奴が聞き間違えても俺が聞き間違えるはず無かった。なぜなら俺が一番知っている声だからだ。一番聞きなれている声。一番安心する声。紛れもなく、ずっとずっと探していたあいつの声で。頭の中でいろいろなことが混ざり合った。アイツが目の前にいることだけを認識して。他にはなにもいらなかった。
俺は切れた息を整えることもせず勢い良く屋上のドアを開けた。
目の前には……。
真っ黒なコートに身を包んだ長身男と、その男に腕をひっぱられ男の後ろの真っ黒いもやのようなものに引きずりこまれる美紀の姿があった。
「美紀……!!!!!」
掠れた声で美紀の名を呼ぶ。すると美紀は倒れながらこちらを見た。美紀は驚いた顔をし、俺の声を呼ぶ。
「えっ!?樹!?」
美紀が黒いもやの元へ倒れていく。男はこちらをみて笑っていた。限界を超えた足で美紀の元へ走り出し痛む身体に鞭打ち美紀へと手を伸ばす。美紀のまであと数センチ。すべてがスローモーションのように動いてるように見えた。もう少し。もう少し。あと……。あと…………。
「み……きっ!!!」
「いつ…………」
その瞬間美紀の身体と俺の身体は離れていった。美紀の驚いた顔が、美紀の身体が黒に消えていく。
美紀は真っ黒いもやの中に吸い込まれた。美紀の最後の言葉を遮って。美紀の姿が俺の目の前から消えた。俺は目を見開いた。美紀を吸い込んだ真っ黒いもやは瞬間フッ……と音も立てずに、俺も吸い込んでくれずに何事も無かったかのように消えてしまった。俺は全力疾走しそのうえ手を伸ばしていたので全体重が前へとかかっていた。何も無い地面へ俺の身体は吸い込まれていく。思考はすべてを遮断していた様だ。何がおきたかもわからず俺は地面へとたたき付けられる。身体が限界を超えしかも打撲というダメージを食らったのでありえないほどの痛みが波になったように俺を襲った。ドガッと痛苦しい音が沈黙の屋上に響く。
「っが……!!!いってぇ……!」
急いで顔を上げる。視界もぼやけていたが屋上を必死に見渡し美紀の姿を探す。しかし美紀の姿は無い。あの長身男も。美紀を吸い込んだ真っ黒いもやのようなものも。また目を見開く。そしてようやく働くようになった頭で俺は今何がおきたのか考えてみた。そしてすべてを理解した後、身体からすべての力が抜けた。決して安心感からではなく絶望等なのものに力のすべてを奪われてしまったのだ。唇を血が出るくらい噛んで下を向き「くっそ……!くっそぉ……!」と小さく呟く。握りこぶしをなにもない無の地面へとたたきつける。何度も何度も。目から何かがあふれ出した。生暖かい透明な液体。それは頬を伝って夏の暑いコンクリートの地面へと落ち染みを作っていく。一つ二つ。
「俺は……俺は……!!」
何もいえない。頭の中では言葉があふれ出てくるのに口は言うことを聞かなかった。あふれ出てくるいろんな言葉。それが音になってもれることは無い。息をすうだけ。息をはくだけ。なんて使えない身体なんだ。
みっともない——それだけだった。
- Re: 「血相契約」〜オリキャラ募集中です!〜 ( No.31 )
- 日時: 2014/04/15 19:05
- 名前: 黒hana ◆JEhW0nJ.FE (ID: CFE7lDA5)
(彼岸様!大変お待たせいたしました!碧ちゃんと景都くん登場です!変なキャラになってしまって申し訳ございません!)
第10話(碧目線)←いいのか。
「今日から俺が君を護る。」
悪魔の男が私に言った。
私の目の前に突如現れた男と契約というものをした。最初に聞いたときはさすがの私でもよくわからなかったけれど人には慣れという便利な言葉がある。それを使ってしまえばこんな状況も簡単に説明が付いてしまう。ざっと言えば目の前にたたずむ男、美影 景都は異世界にすむ悪魔で契約者を探すためにこの世界に降りてきたらしい。厨二とかいう今よく言われているフレーズが一瞬脳裏をよぎったが景都という悪魔の「属性」とかいう水の魔法を目の前で披露されたらもう頷くことしか出来ない。どうせ契約なんて軽いものだろうと考えていたが私はどうやらこの男の策略に嵌ってしまったらしい。景都は私を契約者にした直後私を異世界へと連れて行こうとした。さすがにそれにはうなずくことはできない。ちゃんと理由を説明してもらうよう説得した。一筋縄ではいかないと思っていたが意外にも簡単に吐いたことには意外だった。
色々と長々しい説明を受ける。そのときの景都の顔はとても真剣で。
「要するに、異世界が征服されたから助けてほしいってことか。」
まさか自分の口からこんな珍妙な言葉を出すなんてこと思ってもいなかったが小さくつぶやくと景都はフッと様になる笑みをこぼした。
「まぁそういうことになる。かまわないな?契約者。」
契約者という面倒くさい身分になってしまった以上、こいつの策略からは逃れることは不可能だろう。それをさとった私は小さく頷いた。しょうがない。面倒くさいが半分は自分のせいでもあるのだからここはコイツにすべてを任せることしか私に手段は残されていない。
「じゃあ、時間もないしさっそく向かうとするか。異世界へ。」
計画にズレが生じてしまうからな……。
次に目を開いた瞬間私は黒いなにかに吸い込まれていて、景都のその呟きは真っ黒な世界に私と共に吸い込まれ、消えていった。
——————……(契約エピソード、ご希望に添えたかわかりませんが……お許しを!)
『おいっ!アイツまた来てるぞ!』『うっわ!きもちわりぃ!!』『くんじゃねぇよ【バケモノ】が!!』
生まれつきのこの容姿にまさか後の自分が傷つけられるとは思ってもいなかった。
幼い頃から私の容姿は少し他の人とは違っていて。朝や昼はただの黒髪の長髪少女だったのだが、夜になると私の姿は化け物のように変わってしまったわけで。そのことが原因で私は昔から今までずっとずっと人間の心の闇に傷つけられていた。今までとは言っているが今現在もひとの冷ややかな視線は何一つ変わらない。むしろ冷たさが日に日にましていく。そんな些細な事でさえ私の心は蝕まれていた。
夜になると私は変わる。ではその変わる箇所とはどこか。「目」である。なぜか私は生まれつきかなにかの原因でこうなってしまったのかよくわからないが夜になると私の目の色は驚くほど変わってしまう。月夜の夜は紫色。しかしそれは月光にあたるからそういうふうになってしまうだけでまだよかった。それだけならどれだけよかったか。普通の何も無い月の光もないただ黒と黒が混ざり合う黒い夜の時、私の眼の色は左右違う色になるのだ。右は黒。左は赤。いわゆるオッドアイな訳で。どうしてこんなことになってしまったのか。自分でもわからない。知ったとしても今の私には過去に戻ることなどできないのだから人の闇の現実は変わらず私を殺していく。知ったとしても意味はないのだ、こうなる定めだったのだ、私は昔から弱い自分にそう言い聞かせていた。
人は「自分達とは違うもの」を避ける習性がある。そんなこと誰でも知っている。だから諦めるのだ。今までも、これからも、私に明るい未来など来る訳ないのだ。仕方が無い。ただそれだけ。それだけなのに。
どうしてこんなに心が痛いのか。成長してもそれが明かされることはなかった。
そんな時だ。あの男に出会ったのは。自分を悪魔だと言い張る輩が目の前に現れたのは。悪魔は私に小さく囁いた。
「契約してくれたらその痛みの秘密を教えてやろう。」
と。
そういって悪魔が私に笑いかけたのを私は目に焼き付けた。
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