ダーク・ファンタジー小説

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Change the world 番外編
日時: 2018/03/20 21:41
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=5043

本編の方で予告しておきました、設定集です。(番外編となりました)

本編をお読みでない方も上のURLから本編へと行けます。

また、本編では語られないショートストーリーも載せておきます。

合わせてお読みください。

本編を出したらこちらも出すはずです。

世界>>1
魔石と幻獣と召喚士>>2
帝国>>3
フー>>4
守一族>>6
Pマン>>5

【番外編】

〜記憶の館編〜
1.変化>>7
2.出会い>>8
3.前へ>>9  

『想いを受け止めて、前へ進め』
YCの人さんの考えた【ファルナ・レインスター】を中心とした、記憶の館での短い物語。

〜昔話編〜
1.帝国の昔話>>10

『力が全てではない』
コッコさんの考えた【ラファルム帝国】を中心とした、帝国に伝わる昔話。




〜旅立つ前編〜
1.レオンの旅立つ前>>11-12

硯箱さんの考えた【リベロ】に助けられたレオン。
反乱軍に入った目的とは…


『再会を夢見て』
離れ離れになった少年少女たちのその後の『旅立つ前』の物語。




Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.7 )
日時: 2017/11/04 13:57
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

【番外編】〜記憶の館編〜 1話

ーーーこの世界では、受け止めなきゃいけないことだってある。
       でも受け止めた時、人は前に進もうとするんだ。

新世界の東側には黒き森がある。
日夜関係なく日が当たりにくく、訪れる者はめったにいない。
『館』に導かれた者以外は。

そんな黒き森の中央部には『廃墟 ヘゥリティヂュ』がある。
石レンガには苔やひびが入り、家は崩れたりしている。
畑は荒れ川の水がわずかに流れているくらいで、教会と『館』しかもう残っていない。

その『館』こそ『記憶の館』なのである。
何のために建てられたのか不明なこの館には、人々の記憶や想いが本となって眠っている。
いつか、想いが伝わるのを待ちながら…

これは、『記憶の館』での物語。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日もいつもと変わらない日々がやってきた。
誰もいない、景色も変わらない…… 変化のない日々が。

日の光がわずかに当たって目が覚めた少女……ナキナ・エテルはこの館の持ち主。
いつからいて、いつからこうなったのかはナキナもわからない。
記憶にないのだ。

寝間着からベージュ色のワンピースに白いエプロンを身につけ、厨房で朝ごはんを作ることからナキナの1日は始まる。
無限と言ってもいいように入っている食材を取り出し調理し、ベーコンエッグトーストを作る。

「あ、焦げちゃった…」

厨房に自分の声だけが響く。
ナキナは、『廃墟 ヘゥリティヂュ』に1人で住んでいる。
今も昔も。きっと未来も。こんな変わらない日々なのだから。

でもそれが、今日で変わる。
そんな気がする。教会の方から。

ナキナは焦げたベーコンエッグトーストを我慢して食べ終わり、教会の方へ向かった。

Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.8 )
日時: 2017/11/04 15:15
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

〜記憶の館編〜 2話

教会の木製の扉をあける。
そこには誰もいないはずなのに、1人の少女が中央に立っていた。

するとこちらに気づいた。
姿は髪と四肢が黒く、指が尖っていてカーディガンに青いミニスカート。

「あなたは誰なの?」

ナキナは生まれて初めて出会った自分以外の人間に近づきながら問いかける。
どんな反応をされるか楽しみだ。

「私はファルナ。ファルナ・レインスター。魔物と人間が融合された成れの果てよ。」

少し表情が暗い。

「どうしてあなたはここにいるの?」
「研究所から逃げてきたの。気づいたら、ここにいた…」
「なるほど、館に導かれたのね」
「え?」
「ここには言い伝えがあるの。『受け入れなき者、館に導かれる』ってね。
だから、こっちへおいで」

言い伝えが本当なら、この子は何かを受け入れ……受け止めていないということになる。
それを手伝うのが、私の役目だった気がする。

「ここは?」

案内したのは、たくさんの本がある部屋。
円となっていて、天井までびっしりと本が敷き詰められている。
ナキナは1つの本を取り出した。

「記憶や想いが宿る本の眠る場所。この本を開いてみて。きっとここに導かれた理由がわかるから」
「う、うん」

ファルナは本を開く。すると本から光が放たれ、あたりを包む。あまりの眩しさに目を閉じた。

Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.9 )
日時: 2017/11/06 18:27
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

〜記憶の館編〜 3話

「ここは…?」

目を開くと見知らぬ部屋にいた。
木造で辺りには本が散らばっている。ここに住む者は片付けが苦手なのだろう。

「お目覚めかな?」

声のした方を向くと、水属性の魔法使いであろう女性が立っていた。
ファルナはその女を知っていた。なぜなら……

「昔の私の体… の人ですよね?」
「そうよ。今は君の物だけど。」

女はファルナと融合された者だった。

「恨んでますか…?」

ファルナが融合されてからずっと不安に思っていた事が口から出た。

正義感の強いファルナは生前、泥棒をよく影だけの存在にしていた。
理由は、いけない事をしたとちゃんとわかってほしかったから。

でも、わかるどころではないと今は実感する。
本当の自分じゃなくなっても精神は自分。
今まで仲良くしていた者にも、家族にもわかってもらえない。
そんな者になってしまった者はとても辛いであろう。
今の自分がそうなのだから。
受け止められないけれど、受け止めなければいけない。
目の前の人をみて、思ったのだから。

恨まれているならそれでいい。どんなに言われたっていい。
それでも知りたかった。

「別に、恨んでなんかいないわよ。だって君は悪くないもの。」
「え?」

意外な答えにファルナは戸惑った。

「こうなったのは自分のせい。だけど君も受け入れたでしょ。その体を手に入れて。だから、恨んでない。
でも、1つだけお願いがあるわ」

そして女は、大切な事を言うように優しく言った。

「自分のせいで相手が不幸になるかもしれないけど、それをこえるくらいで、君の持つ正義の心で人のためになってあげて。そうすればきっと大丈夫。」

女は最後に微笑んだ。

それと同時に光が辺りを包み始める。最初の光とは違い、ぬくもりのある光が。
ここで別れのようだ。

「ありがとう! 私、頑張るから…!」

再び女が微笑んだのを見てファルナは目を閉じた。



目を開くとたくさん本のある部屋に戻っていた。

「あらファルナさん! 戻ってきたのですね。」

ナキナが奥から走ってくる。
そしてファルナの顔をジロジロと見る。

「何か変ですか? 私」
「どこも変じゃないよ。でも変わったな〜っと思って」
「どこらへんが?」
「表情。さっきまでは雨の日みたいに暗かったけど、今は太陽みたいに明るいよ。スッキリしたんだね」
「はい。今日はありがとう。私、旅に出るわ。」
「うん、また来てね」

ファルナの新しい人生が始まった。
これからは本当に人のためになってやる。もう1人の私と離れていたって、心は通じ合っているから。



ナキナはファルナの事を見送った後、自身の部屋へ戻った。

『この世界では受け止めなきゃいけないことだってある。でも受け止めた時、人は前に進もうとするんだ』

誰に言われたのか思い出せない。
でも、記憶に残ってる。

だから私も進もう。
この、館と共に。

ーENDー

Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.10 )
日時: 2018/01/22 18:41
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

【番外編】〜昔話編〜

1.帝国の昔話

むかしむかし、あるところに大きな国があった。
その国は周りの街や国を征服し、どんどん大きくなっていった。
しかし…


これは、国… ラファルム帝国の若き皇帝のラークス皇帝のお話。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
むかしむかし、あるところに大きな国がありました。
鉄鉱石が取れたりなどと豊かでしたが、広い雪原にあったためその国に来る人はあまりいませんでした。

ですが、今日、遠いところからお客さんが来ました。

次期皇帝のラークス=エル=ラファルム皇子は、初めて見るこの国以外の人に興味しんしんでした。
皇子のように華やかな貴族の服装で顔つきはどこか、母に似ていました。

「お兄さんお母さんに似てるね。どこから来たの?」
「君のお母さんとは遠い親戚なんだ。今まで隣の国に住んでいたんだよ。でも今日から君の側近になるね」
「そっきん? なにそれ」
「トモダチみたいなものだよ。まぁ、よろしくね」

ラークス皇子とその側近は毎日のように遊んだりしていました。
それを見たお母さんの表情は明るくなりました。
お父さんが光となって消えてからつまらなかった日々が、変わったのです。

そして数年が経ち、ラークス皇子は18歳になりました。
側近のおかげで頭もよくかっこいい人になりました。

朝食の時間のことでした。
いつもの時間に側近とお母さんだけこないのです。
ラークス皇子は気になってお母さんの部屋に行きました。

すると、側近とお母さんが喧嘩をしていました。

「あの子の側近にしたのは争いを静めるためよ。そうすればあなた達の思うような、私達の思うような皇帝になったからよ。なのに、どうして!」
「それではダメなのです。我らの皇子がならなければ」

どうやら、権力争いについての話し合いでした。
昔から側近の故郷の国とラファルム帝国は合体すると決まっていました。
ですが、合体したらどちらを王とするか争っていたのです。

ラークス皇子は隠れて見ていました。
すると側近の手から鋭く輝く物が見えました。そしてそれでお母さんの心臓の辺りを刺しました。

「え…」

お母さんはその場で倒れてしまいました。
ラークス皇子は隠れてなんかいないですぐに飛び出しました。

「お母さん! なんで… なんで!」
「もう終わりにしましょう。この様な事をやっていても意味がない。」

ラークス皇子は言葉にできない様な気持ちでした。
お母さんの胸に刺さっている鋭い物を手に取り、側近にもお母さんと同じ様な事をしました。

「なぜです…」
「お母さんの痛みを知れ! 」

側近もその場に倒れました。
ラークス皇子には、もう信じることができる人も、頼れる人もいません。
ですから、ラークス皇子はこう思いました。

「いないなら作ればいい。どんな手を使ってでも」


それからというものラークス皇子は皇帝となり、周りの街などを征服していきました。
そして、信じ合える兵をつくる事が出来ました。

「次はここだ。いいな」
「はい。」

自分に従うものこそ、仲間と言える。
皇帝はそう思っていました。
だから、逆らうものは切り捨てていきました。

ですが、ある日。
信じ合える兵達が皇帝を襲いに来ました。

「陛下。もうやめましょう。」
「逆らうつもりか」
「いいえ、もう陛下は… 昔の陛下はではない。陛下の味方はもういません。ですから、降伏してください」

皇帝は、兵に言われ気づきました。
今までやっていた事は、理想と違っていた事に。

そして皇帝は降伏しました。
それから皇帝を見た人物はいませんでした。
天へ行ったのか、どこかに身を潜めているのか。
誰もわかりません。

でも、誰にでもわかる事は…
『力が全てではない』という事でした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これは、メンダ帝国に伝わる昔話。
書いた人物はわからない。しかし、後世に伝えたいと思われる事は、
最後に出てきた『力が全てではない』という事だろう。

しかし、歴史は繰り返される。
それを止めるのも後世に伝えるのも、今を生きる者なんだとジェシィは本を閉じて思う。

「力だけじゃなくても、大丈夫だよね…」

反乱軍の活動が本当に正しいのかわからない。
だけど、変えなければいけないとジェシィは改めて思うのだった。

そう、この世界を。

ーENDー

Re: チェンジ・ザ・ワールド 番外編 ( No.11 )
日時: 2017/12/10 21:04
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

【番外編】〜旅立つ前編〜

孤児院や緑の国が帝国に襲撃され、離れ離れになってしまった少年少女たち。
少年少女たちはその後どのように生活していたのか…

1.レオンの旅立つ前
1−1 リベロという男

「ここは…?」

見たことのない部屋。
そして、食欲を増進させるいい香り。

確か、孤児院が襲われて、逃げ出して…?
そこからは思い出せない。

助かったのか。

だから俺はここにいるのか。

「目ぇ覚めたのか」

横に視線を移すと、いつも眠っていそうな顔の男が椅子に座っていた。
細身で古着のような服を着た男が。

「あんたが助けてくれたのか?」
「んな訳ねぇだろ、そういう男に俺は見えるか? 助けたのは俺じゃねぇ。きっと妖精だ」

妖精だと?
そんなのがこの世にいると信じているのか。

「お前、名前は?」
「レオン・ハイレゾ。あんたこそ名前は?」
「俺はリベロ。ここの『フー吉亭』の店主だ。腹減ってるだろ?下に来い。試作品を食わせてやる」

リベロに言われた通りに下の階へ行った。
木製のテーブルがあちこちに並んでメニューらしきものが置いてあるが、誰もいない。

「今日は定休日なんだ。ここにいるのは俺とフー吉だけだ。おーいフー吉」

名前を呼んだら、料理人の格好をしたフーがやってきた。

「こいつがここの看板フー。フー吉だ。どっかの席に座ってこいつと待ってろ」

リベロは厨房の方へ「ヤベっ」と言って走って行った。
ここは飲食店のようだった。

ならば、出てくる料理は安心して食べれるものだろう。
オリガの作った試作品のものみたいにはならないだろう。
アレは、酷かった…

数分してリベロがやってきた。
持ってきたのは塩焼きそば。
野菜とベーコンが彩りよく入っている。

「試作品だからまぁ、まずかったらしょうがねぇ。感想よろしくな」
「わかった。いただきます」

人参が少し硬い。おまけに塩よりも胡椒が強い。
もう少し長く炒めたらきっと美味しいだろう。

…と、リベロに伝えた。

「お前、味覚がいいな。どうだ、料理やってみねぇか? その才能をさらに俺が開花してやる。」

料理か。
今の俺には剣を扱えること以外何も残ってはいない。
生きていくためにもやってみるか。

「わかった。やってみる。」
「そうこなくっちゃな!」

こうして、俺はリベロと共に料理を作り、客へ提供するという日々が始まった。
リベロには、俺には剣の才能もあるとわかっていたらしいが、そちらにはぜんぜん話さなかった。なぜなら…


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