ダーク・ファンタジー小説
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- Stories of Andalsia 頼まれ屋アリア
- 日時: 2017/09/30 15:51
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=590.png
※ 貼ってあるURLは世界地図です。
参考にでも、ご覧ください。
。。。☆
今か昔かそれとも未来か!? 時も場所もわからぬ世界に。不思議な不思議な「店」がある。
その名も「頼まれ屋アリア」と——。
『願い、叶えます! アリア&ヴェルゼ』
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依頼ノート
・一番目の依頼 王都までお使いを >>1-2
・Another Request 死霊術師は月に嗤う >>3
・二番目の依頼 『風の司』を探しています >>4-7
・三番目の依頼 暴動発生!? 冷やせよ頭 >>9-10
・四番目の依頼 働きますから私に居場所を >>11-13
・五番目の依頼 魔道具って知ってるかい? >>14-
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どーも、藍蓮です。前から構想だけあった話を、形にしてしまいました。
私がこれまでカキコで書いてきた作品は、完結作品、更新止まって久しい作品、複ファの短編集含め、合計で6つ。この作品で7つ目になります。藍蓮はいくつ作品を書いたら気が済むのか。しかも頭の中には、「カラミティ・ハーツ」の続編案までありますし……。うわあ!
今回は、特にこれといった目的の定まっていない、ある「店」の話です。「夜明けの演者」と世界観は一緒ですが、こちらの方が二年ほど時代をさかのぼっております。
この作品は、主人公たちが「店」に持ち込まれる様々な依頼を解決していく話です。ですので、皆さまからも「依頼」内容のリクエストを受け付けております。内容がそこそこ進んで話が理解できるようになりましたら、良かったらアイデアをくださいな。
ではでは。
メインメンバーが少なすぎるので、今回はキャラクター紹介をします。
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アリア・ティレイト(17)
リノールにある「店」、基本どんな依頼でも受け付けるなんでも屋、『頼まれ屋アリア』の若き女店主。全属性魔法使いだからこそ、そんな真似ができる。
明るく素直で直情傾向だが、しっかり者で面倒見が良い一面も。
炎のような赤い髪と、明るい赤の瞳が特徴。
弟に対しては過度な心配症。
家事も裁縫も得意な、家庭的な女の子。
『アリア』では主に、接客担当。
ヴェルゼ・ティレイト(15)
アリアの二つ下の弟。死霊術師兼血の魔導士。
クールでダークな皮肉屋さんで、ひねくれ者。基本的な能力は高く、万事そつなくこなす。
たいそうな強がりかつ自己犠牲的で、「自分なんてどうでもいい」とどこかで思っている節があり、よく大怪我をして帰ってくる。
死霊や血液を利用した「裏の依頼」も、姉に内緒で行っているらしい……。
笛の名手で、故郷から持って来た『エルナスの笛』を奏で、死者や怨念を鎮める。
髪も瞳も衣装も漆黒。マントを羽織っている。
武器は黒曜石でできた大鎌。死神みたいな印象を与える。
『アリア』では主に、会計を担当。
頭がいいし、頭の回転も速い。
ソーティア・レイ(15)
白い髪に赤い瞳と、通常は目に見えない魔法素(マナ)を読み取る力を持つ異種族、「イデュールの民」の少女。「頼まれ屋アリア」に居場所を探して流れついた。今は立派な店のメンバー。
物質に残った「魔法の記憶」を読み取り「直前に放たれた魔法」を完全再現できるが本人は魔力が少ないため、連発は不可能。そもそも魔導士ですらない。
内気なように見えて芯が強く、逆境にめげない力強さを持つ。口調はいつも敬語調。
故郷を異種族を嫌う人々に焼き払われ、今は帰る場所がこの「店」しかない。
『アリア』では接客も会計も担当。どれも平均的にできるので、アリア達から便利使いされている。
目立つ白い髪を隠すため、普段は「あの人からもらった」純白のフード付きローブを被っている。
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*注意事項
・荒らし、宣伝はお控えください。遠慮なく削除依頼出しますよ?
・一つの「依頼」が進行中の時は、完了するまでコメントをお控えいただけると嬉しいです。目次を作る関係上、そうして下さると非常に助かります。
・更新は不定期ですが、3〜5日に一話くらいは更新していきたいです。
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2017/9/1 本編開始
- 頼まれ屋アリア ( No.5 )
- 日時: 2017/09/08 03:00
- 名前: アンクルデス (ID: Uj7l3HCB)
お疲れ様ですw実は某企画にヴェルゼ君が出てから、こっそり読んでました!w
アリアとヴェルゼた対照的な性格なのがいいですよね!
(ちなみに、読む前はてっきりヴェルゼの方が主人公なのかと思ってました)
自分は社会人なので来る時間は限られますが、また来ますんでよろしくお願いします!!
- 頼まれ屋アリア 2-b 賊ども迫る船の上 ( No.6 )
- 日時: 2017/10/20 16:54
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
>>5
感想ありがとうございます!
返信遅れてすみませんね……。
よろしくお願いしまーす!
。。。☆
五日ぶりに再開です。次からはもっとペース早くなるはず……。
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b 賊ども迫る船の上
。。。☆
ハゲ商人に案内されて。アイルベリア川に停めてあった、やや大きめの船に乗る。
そこにはすでに、何人かの乗組員がいて、アリアたちを歓迎した。
「やったぁ! 風の司さま、感謝いたします! 今年は海が荒れに荒れてねぇ」
嬉しそうにそう言ったのは、まだ年若い少年のクリス。
「おい、錨を上げろ。海へ出るぞ」
どこまでも冷静なのが、年長のザック。
しかし、どうやらここは、若者が多いようである。
もっとごつい男ばかりなのを想像していたアリアは、ハゲ商人にその理由を聞いてみた。
すると。
「若手の船乗りの修行さぁ」
と、陽気に笑ってそう言った。
「うちは成功しているもんで。だから時々、こういったチビどもを連れて船出する。もちろん商売はするが、それはあっし一人でも出来まして。だから一種の慈善事業。あ、そうそう、まだ名乗っていませんでしたな? あっしはロブと言います。よろしくお願いしやす」
というわけがあるらしい。
しかし、川の旅はまだ本番ではない。川の流れが、何もしなくても、船を勝手に海へ連れて行ってくれるからだ。ここでは『風の司』の出番はない。
しかし、魔導士の出番は、あった。
「そこの商船、止まれ止まれぇ!」
この船は。ロブが貿易するために、それなりの物資を積んでいる。
アイルベリア川は大きな川で、それないに整備も進んでいて治安も悪くない、が。
場所によっては川幅が狭くなっているところがあり、そこに賊たちが出没するのだ。
川の両岸に。弓を構えた荒くれ者どもが見える。
そして生憎。この船には、戦えそうな者が一人もいない——。
——そう、ある二人を除いては。
「止まってなるものですか!」
「……切り抜ける。みんな、さがっていろ」
アリア&ヴェルゼ。「店」からやってきた二人が、それぞれの得物を構えた。
アリアは水晶の嵌めこまれた杖、ヴェルゼは漆黒の大鎌。
しかしヴェルゼは、どこか右腕を庇うようにしていて、動きがややぎこちなかった。
それを見逃すようなアリアではない。
「ヴェルゼ! どこか怪我したの!」
「話は後だ! 戦うぞ!」
叫び、彼は術を展開させていく。
「抵抗する気か!」
「仕方ねぇ、矢を放て! 人は皆殺しで物資を奪え!」
「させないわよ!」
矢が放たれた。
が。アリアが手を天に掲げれば。
呼び出された風が矢の進路を変え、矢はあらぬ方向に飛んでいく。
「くそっ、こいつ、魔導士か!」
「杖を持っている時点で気付きなさいよねっ!」
追撃とばかりに。
アリアは水を坂巻かせ、その水で賊の一人を川に叩き落とした。
そして次の瞬間、ヴェルゼの術が完成する。
「……デュナミス!」
彼の求めに応じて。
彼の衣から一体の霊が現れい出て、反対の岸の賊どもに絡みついた。
——デュナミスは、彼の親友だった。
彼が逃げだした悪霊を追って店を離れていた時。
偶然出会った、もう一人の死霊術師。
二人は意気投合してしばらく共に旅をしていたが、狙う死霊は強すぎて。
共闘した。が、戦いのさなかにデュナミスは死んだ。
しかし、その霊だけは残って。今も、呼べば彼に力を貸してくれる。
あの死霊を倒せたのも、ひとえに死してなお残る「彼」の存在があってこそだった。
ヴェルゼあはあまり、遠方攻撃の手段を持たない。
いや、あるにはあるが、それに払う代償が大きすぎるのだ。
だから時折。申し訳ないと思いつつも。デュナミスの力を借りる。
気がつけば。賊どもは皆、戦闘不能になっていた。
「すげぇ……」
感嘆の声を上げるロブを無視して。
ヴェルゼは鎌を背の鞘に収めて。そのまま先へ進もうと、船員の一人を見た。
「行くぞ」
「待って」
しかし。アリアが彼を呼びとめた。
彼女は、彼の服の右の袖をつかんでいた。
ばれたか、と彼は苦笑いする。
「見せて。怪我しているんでしょ」
「……姉貴の目はごまかせないな」
「当然でしょ!? あんたがぎこちなくしているの、あたしにはすぐわかったんだから!」
「はいはい」
ヴェルゼは左手だけで長い漆黒のマントを脱ぎ、右の袖をまくった。
応急処置は施されているらしいが。巻かれた包帯には、それなりの血がにじんでいる。
「見てもいい?」
「死霊関係の傷だからな? 姉貴には治療できんぞ」
「また何かやったんだ」
「オレの勝手だろう」
アリアは彼を心配するがゆえに睨みつけ、その包帯を解いていく。
そこにあったのは、皮膚をずたずたに引き裂かれた、醜い裂傷だった。
「……ッ! 痛くないの?」
「慣れてる。で、これはしばらく治らない。厄介な相手とぶつかったものだな」
「でも……ヴェルゼ」
「慣れていると言ったろう。で、まずは依頼を果たせ。文句はすべて終わってから受け付ける」
これで話は終わりだとばかりに。
彼は左手だけで、器用に包帯を巻きつけていった。
「戦闘には、そこまでの支障はないんだ。だから気にすることじゃない」
言って、彼はアリアから離れるように、船室へ消えて行った。
心配そうな顔をする彼女を。
「大丈夫ですよ。簡単に死にそうな人じゃないですし!」
見当違いのことを言って、クリスが励ました気持ちになっていた。
でも、アリアは知っているんだ。死霊術師は短命だって。
……でも、まあ、杞憂かもしれない。
気持ちを振り払って。アリアは叫んだ。
「出発進行!」
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- Re: Stories of Andalsia 頼まれ屋アリア ( No.7 )
- 日時: 2017/09/12 09:18
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
※ 1ルーヴは日本円にして20円です。
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c 嵐の海を越えて
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その後は特に何もなく。船はついに、海へ出た。
風の司の出番である。
予想通り、海は荒れに荒れていた。
アリアの額を汗が伝う。
「随分……厄介な……お仕事ねッ!」
帆を張った帆船を。正しい方向へ導くために風を送ろうとするが。
四方八方から絶えず吹きつける突風が、なかなかそれをさせない。
というか、こんな日になぜ船出するんだ……。
アリアの当然の疑問には、ロブが答えた。
「この時期のエルドキア周辺の海はいつも荒れていましてねぇ。でも、今あっしが積んでいるのは、時間が経つと悪くなるものなんでして。この季節風が止んだ後に届けに行っても、もう遅くなってしまうんで。そうすると大損なんでして」
「先に言ってよ! あたし、いくらなんでもこんな暴風の中を進むなんて、考えたこともなかったんだからさぁ! そもそも海とか、出たことなかったんだから!」
アリアたちの住む町リノールは川べりにあるし、故郷のエルナスは山の中だ。ヴェルゼは死霊を追いかけて、時々遠出するから海を知ってはいるが、基本は店から動かない、動いてもせいぜい王都までしか行かないアリアにとっては、海なんてまるで無関係の所なのだ。
で、話だけはよく聞くから、海に出てみたら……これだ。
暴風に叩きつけられ、散々な状態だ。
「あたし……海が嫌いになりそう……」
「姉貴、晴れているときは綺麗なものだぜ?」
「何でヴェルゼが知っているのよ……」
「伊達に外出しているわけではないからな」
吹きつける風。叩きつける雨。
アリアは風と水を操って、何とか何とか先へ進もうと船を動かす。
やがて、遠くにエルドキアらしい島影が目に映ったが、それがもう限界で。
「あたしだって万能じゃない……」
疲れ切ったように地にくずおれた。
アリアの魔法の制御を失った船は、風と雨に翻弄され、くるくる回る。
船員たちが悲鳴をあげた。
「ちょ、ちょっとアリアさぁん!」
「助けて! 神様ぁ!」
「……人使いが荒すぎなんだよ! それで前の風の司も倒れたのだろう!」
まるで世界の終わりみたいな船の惨状。
このままでは——沈没する!
ヴェルゼはカッと目を見開き、アリアの腕をつかんだ。
「ヴェ、ヴェル……ゼ……?」
「オレの魔力を譲渡するから」
漆黒の瞳が、炎を宿す。
「姉貴の魔力が駄目ならば。オレの魔力を使うがいい。今はまず、無事に到着することが先決だ。……違うか?」
言って。彼はつないだ手から、問答無用で己の魔力を流し込む。
アリアは、彼の暗黒の力が自分に流れ込んできたのを感じて、その闇の深さに思わずあえいだ。
「ヴェルゼ……そんなに……そんなに……深い闇を……!」
「知るか。姉貴、オレの力、使いこなせ。オレの闇を自分の内側で光に変えて、さっさとこの現状を抜け出すんだ!」
「……わかったわ」
つながれた手から流れ込む、深い深い暗黒の力。
アリアはそれを受け取り、呑み下し。扱いやすい、光の力へと変える。
——渡された力は、膨大だった。
まず何よりも、密度が濃い。少しの量に、沢山の力が圧縮されている。
アリアは確信した。
——乗り切れる!
ヴェルゼからもらった力を。風と水に変えて。
解き放つ。
「動けッ!」
唱えれば。きりきり舞いしていた船は無事、舵を取り戻し。
アリアの呼んだ風で、正しい方角へと向かう。
ついに、目前に迫った島影!
港が見える。アリアはそこへ船を誘導し、なんとか停泊することに成功した。
疲労がどっと押し寄せた。
「着いたぁ……」
久方ぶりの重労働だ。嵐の中。初めての海で。
きりきり舞いする船を導けだって? ヴェルゼがいなければ、確実にみんな、海の藻屑になっていたことだろう。
「ありがとあんした」
船の上で。くたびれきって座り込む姉弟を見て。
ロブがそんなことを言った。
「助かった。おかげで無事、到着することができまして。で、お代は幾らで?」
「6000ルーヴだ」
「……はぁ?」
お代を聞かれ、ヴェルゼは問答無用でぶった切った。
6000ルーヴともなれば、そこそこの借家の家賃一カ月分に相当する。
ロブは困ったような顔をした。
「は、払えないことはないんですがね、ちぃと高すぎやしませんかね」
「なぜそんなに吊りあがったか教えてやろうか?」
ヴェルゼはまるで容赦がない。
彼は一つ一つ指を折りながらも説明する。
「一つ。まあ、これは風の司の平均的なお代として、そしてこの店の平均的なお代としての3000ルーヴ。二つ、これはそっちに非はないが。オレは怪我をした。その治療費として500ルーヴいただくぜ。三つ、貴様の注意不足により、こちらが甚大な被害を被りそうになったこと。これで2500ルーヴ。危険があるなら最初からそう言え。何も知らないオレたちは危うく死にかけた。……以上で6000ルーヴだ。特に最後のは大きい。文句はないな?」
……彼の理論は完璧で、まるで隙がなかった。
彼が『頼まれ屋アリア』の会計係になっている由縁である。
ロブは参ったような顔をして、彼に小銀貨を六枚渡した。
「……悪かったですよぉ」
「そして。前置きする。図々しくないぞ? 当然の権利だ。あんたがオレたちに一晩の宿を恵むってことくらいな?」
それだけの働きはしたと、彼は暗に言っていた。
一種の脅迫である。
ロブは参ったような顔をして、アリアたちを案内して、そのまま宿を恵んだそうな。
宿でアリアははっきり、こう言った。
「頼まれ屋アリア、依頼、完了しました!」
帰りは安全な道で行くことにして。その船代も出してもらって。
こうして彼らは、帰路に着いたのだった。
〈二番目の依頼、達成!〉
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- Re: Stories of Andalsia 頼まれ屋アリア ( No.8 )
- 日時: 2017/09/16 20:02
- 名前: アンクルデス (ID: q8mdXrcq)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=615.jpg
お疲れ様です(^ ^)
アリアさんって全属性の魔法を使えたんですか!?
見た目も可愛いですし、良いキャラですね!
これからも頑張ってください!
- 頼まれ屋アリア 3-a 絶叫紳士はお城の人間 ( No.9 )
- 日時: 2017/09/20 23:36
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=590.png
>>8
全属性魔法使いなんです♪
だから『頼まれ屋』なんて、なんでも屋になれるんです。
全属性なら対応できることが多いですし……。
アリア、見た目の描写、あまりないですけどね(汗)
応援ありがとうございます!(^^♪
八日ぶりです。
更新遅くて済みませんですハイ。
4番目の依頼に大きなの入れようとしているので、つなぎの3番目考えるのに苦労した……。
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今か昔かそれとも未来か!? 時も場所もわからぬ世界に。不思議な不思議な「店」がある。
その名も「頼まれ屋アリア」と——。
『願い、叶えます! アリア&ヴェルゼ』
その木造の「店」には。「開店」の板の横に、上のようなことが書かれていた。
。。。☆
3番目の依頼 暴動発生!? 冷やせよ頭
a 絶叫紳士はお城の人間
。。。☆
カランコロン。ドアベルが鳴る。今日も頼まれ屋アリアの一日が始まる。
「はいはーい、何の御用かしら?」
「——お願いしますッ!」
やってくるなりその客は。
土下座せんばかりの勢いでお辞儀した。
アリアは一瞬あっけに取られ、客——紳士然とした服を着ている——に、若干引きつつも声をかけた。後ろではヴェルゼが内心で溜め息をついているだろうことがわかる。
客は、言うのだ。
「ファイの町って、ご存知ですか!」
ファイ。確か、この町リノールを少し南下したところにある、闘技場で栄えている町だ。そこそこ規模が大きい。アリアも何回か行ったことがある。確か、年に二回、闘技大会があったはず……。
アリアはうなずいた。
「知ってるわよ。闘技場の町でしょ。そこがどうかしたの?」
すると。
今度こそ、紳士は土下座した。
いや、確かに床は毎日清掃してはいるが、あまり綺麗なものでもないぞ?
それでも構わず、紳士は膝をついて。
絶叫した。
「——暴動を、鎮めてくださぁぁぁあああああいッ!」
「……はぁ?」
暴動? いや、わかったけど。
アリアはさらなる状況説明を望んで、紳士を見た。
紳士はその視線に気づいて咳払いし、膝の埃を払って立ち上がる。
正直言って、無様である。
奥で盛大な溜め息が聞こえてきた。
アリアは笑みを顔に張り付けたまま、紳士に提案した。
「……とりあえず、座って話しましょうか」
カウンターから出てきて、カウンター前にあるテーブルと椅子に紳士を案内して、自分も座った。
少し待てば。奥から無言でヴェルゼが出てきて、ティーポットとティーカップを置いてくれた。
彼がこんなことをするということは、彼自身が半ば諦めの境地に入ったか、この依頼に少し興味があるかの二択である。
どちらにせよ、悪い状況ではない。
アリアは紳士を落ち着かせるため、とりあえずは紅茶を勧めた。
「まずは落ち着いて。お茶でも飲んで」
「かたじけない。……あの少年は、どちらさまで?」
「弟よ。普段はあまり人前に出ないから、知名度が低くって困るのよね〜」
彼が人嫌いなのは、ずっと昔にあった裏切りの記憶のせいだと、アリアは知っているけれど。
それ以降、他者をあまり信用できなくなったと。知っているけれど。
(あたしも同じ過去を背負ってる。でも、あたしは乗り越えたんだから)
ヴェルゼにも乗り越えてもらいたいと思うのは。高望みが過ぎるのだろうか?
……それは置いておいて。
『アリア』として、本題に取りかからねば。
「状況説明を要求するわ。ファイの町で暴動? 理解したわ。なら、具体的な状況と、わかるなら暴動の理由を」
「了解しました」
お茶を飲んで、ようやく落ち着いたらしい紳士は、語り始める。
「皆さんご存知ファイの町は、闘技場の町。毎年、年に二回繰り広げられる闘技大会でかなりの収入を上げ、町の設備も整っており、住みやすい町なのです」
「行ったわ。確かにあそこ、すごいわよね〜。何で暴動なんて起こるのかしら?」
しかしある日、誰かがデマを流したのです、と彼は暗い顔で言った。
「いえね、確かにファイは他の町に比べりゃ税金が高いですよ。あれだけの町を維持するには当然、費用がかさむわけで。でも、もちろんみんな満足していたんですがね……。
しかし、ある日やってきた余所者が、
『ここの税金は他の町に比べるとかなり高い。理不尽だと思わないか』
なんて言いだしまして、それで」
……要は。
その余所者が町人たちの間に不和の種をばらまき、それが膨らみに膨らんで暴動となった、と。そういうことらしい。
……アリアには、そんなことをする相手に。ひどく心当たりがあった。
本当は嫌だけれど。これを起こしたのがもし『あいつ』なら。
それを何とかするのは、アリアたち姉弟の使命だ。
だから、訊いた。
「……あのー、参考だけど。よかったらその『余所者』の外見的特徴、教えてくれないかしら? 知っている人かもしれないの」
遠い昔。
ある余所者の策略に嵌められて。
姉弟は罪を被せられ、故郷を追われた。
一番の親友とも引き離されて。
紳士は少し首をかしげると、言った。
「確か、白い髪と赤い瞳の異種族だった気がしま……」
ガタン、と音がした。
その言葉を聞いて。
見ると、ヴェルゼが立ち上がっていた。
彼は、低く押し殺した声で紳士に問う。
その恐ろしい瞳に睨まれて、紳士は思わず身を縮こまらせた。
「……名を、名乗っていたか」
「はい。確か、シドラと……」
「……行くぞ姉貴ッ!」
その言葉を。その名前を。聞いて。
ヴェルゼはその瞳に憎しみを宿らせて、さっさと身支度をして店を出ようとする。
当然だ。その、シドラという少年が。
姉弟の運命を狂わせた、張本人なのだから。
しかし、アリアはその手をつかんだ。
いつになく厳しい口調で、勝手に動こうとする弟を呼びとめる。
「待ちなさい」
「何故止めるッ!」
「まだ依頼さえ受けていないわ。独断行動は禁止する」
「奴がいると聞いたんだ。今度こそ、奴に」
「今は駄目ッ!」
尚もアリアの手を振り払おうとするヴェルゼに。
アリアは容赦なく、魔導の杖を向けた。
「……姉貴……?」
「これはあたしの問題でもある。外に出たら、雷を放つわよ」
その言葉が、掛け値なしの本気だと知って。
ヴェルゼは独断行動を諦めた。
しかしその目には、焦りと憎しみがある。
アリアは弟から目をそむけ、紳士に言った。
「その依頼、引き受けたわ。あなたの言う『余所者』は、私たちを陥れた張本人である可能性が非常に高いの。私たちにとってもいい機会よ。だから、受けるわね」
紳士は若干気圧されたようだったが、うなずいて。
「じゃあ、その暴動を鎮めてくださいお願いします!」
「頼まれ屋アリア、依頼、承りました!」
紳士の依頼を受けて。アリアは力強く笑った。
さあ、依頼の始まりだ。
甘言に惑わされたファイの人々。その頭を冷やさなくては!
「……あ、では、先に行きますね」
「あなたはどんな立場の人?」
「ファイの領主さまのお城の者でして」
「そうなの。ならば領主さまに伝えておいてくれるかしら」
「何なりと」
その言葉に、アリアは笑みで答える。
「——余所者には、気をつけなさいって、ね!」
「……お伝えします」
言って、紳士はいなくなった。
ファイは領主の町だ。町人から選ばれた者が領主になり、町を治めている。
その領主というのがひどく有能で、ファイが闘技場の町になったのも、ひとえに彼の有能さのおかげである。
そのお城から、人が来た。事態はかなり、切迫しているようだ。
ならば好都合! こっちも早く駆けつけたかったところだし!
「行くわよヴェルゼ! 置いてかれないでね!」
「姉貴こそ! 減らず口叩く暇あるならさっさと用意しろ!」
慌ただしいやり取りをして、外に出たアリアは。
『開店』の札を引っくり返して。『仕事中』の面を外に向ける。
ヴェルゼは懐にそれなりのお金を忍ばせて、アリアに問うた。
「姉貴! 馬には乗れるか!」
「の、乗れないことはないけど、へたくそよ?」
「ならばオレにつかまれ。二人で同じ馬に乗る!」
「馬なんて買うお金……」
「借りればいいだろ馬鹿!」
彼は走る。その後ろを、アリアがついて行く。
——目指すは、厩(うまや)。
どこでもいいからお金払って借りて。早急にファイへとたどり着く!
今回の依頼は、過去の因縁の人物が関わるだけに。
通常とは、多少違ったものになりそうである。
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