ダーク・ファンタジー小説
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- 赤色の瞳
- 日時: 2018/11/10 20:57
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
——傷だらけの服を身にまとった老人は剣を両手に持って漆黒の竜とにらみ合っている
人の死体がたくさん転がり、その老人以外に人の姿は見えない。空はなぜか紫色に染まっており、遠くの方では雷の音が聞こえる。
にらみ合っている光景はゾウとアリが並んでいるようなもので、体の大きさはもちろん力のほうでも老人が勝っているとは思えない。
その老人は目を閉じ、心を落ち着けた。
目を開けた刹那、老人は勢いよく一歩を踏み出し漆黒の竜に向かって走っていく。風のように走る。声をあげ、老人とは思えないほどのスピードで竜に突っ込んでいく。老人は剣を構え竜を切る——はずだった。
老人の体はいとも簡単に弾き飛ばされる。
何が起きたのかわからない。竜は微動だにせずそこにいるだけだが、老人は不可視の攻撃に圧倒される。
傷だらけの服がさらに汚れ、破れ、千切れる。
勢いよく体中を擦りながら、後ろの方へ転がっていく。だが吹き飛ばされてもまだ老人は立ち上がった。
竜は格の違いを見せつけ、老人を見下している。しかし竜の表情が少し乱れた。
老人は覚悟を決める。
剣を地面に置き、注射針と漆黒の液体を取り出した。注射針を自分の腕に刺し、黒い液体を自分の体の中に注入する。すると老人は苦しい表情になり、頭を抱えてわめきだす。目を見開き、体中に力を入れ何かと必死に戦う。そして落ち着いたかと思うと、今度は勢いよく地面に倒れる。
しばらくしてゆくっりと起き上がる。
竜はその顔を見た時、目を見開く。
——その老人の瞳は赤色に染まっていた
- Re: 赤色の瞳 ( No.9 )
- 日時: 2017/12/27 15:31
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
呼吸が荒くなり、足はもう悲鳴をあげていた。
太陽は俺に容赦なく熱を放ち、汗がじわじわと出てくる。服が汗でべたべたになり少し気持ち悪い。
周りには誰もおらず、俺一人が懸命に走っている——。
「はい、あと一周!」
監督のおじさんはストップウォッチを片手にそんな言葉を俺に投げかけてくる。
その周りにはたくさんの人がいて疲れ切った人や平気な顔をしている人もいる。
みんなは走り終えているのにどうして俺はまだ走っているのか。きっと俺以外の人はあまりのキツさにギブアップしてしまったんだろう。俺だけがこの試練を乗り越え英雄になる——。
「ユウリ君頑張って!」
ミサキは手を振りながらそういう。
ミサキの言う通り俺は頑張らないといけない。俺ただ一人だけが壁を突破しみんなのスターになる——。
「ユウリ君、あと一周だよ。ファイト!」
ヤマトまでも俺の応援をしてくれる。
ヤマトでさえ超えられない壁を俺が————。——。
残りの力を振り絞り、一気にスピードをあげる。
足は重く、言うことを聞かない。誰かがおもりでもつけたのだろうか。
——苦しい。辛い。止めてしまいたい。諦めたい。投げ出したい。
そう思いながらも俺は走り続ける。ひたすらゴールを目指して——。
みんな(ミサキとヤマト)の声援がだんだん聞こえてくる。その声が力に変わりさらにスピードをあげる。
ゴールを一気に走り抜ける。
力が抜けその場に仰向けに寝転ぶ。
寝転んだ俺にタイムを計っていた監督のおじさんが近づいてくる。
「おい大丈夫か。でもあまりに遅いとお前ひとりで休みの日にトレーニングだから、俺も付き添うの面倒くさいしちゃんと体力つけとけよ」
監督のおじさんはそう言い去っていった。
俺の妄想は現実によって打ち砕かれ、訓練所の外周五周のタイムがダントツでドベだという新たなる課題に直面する。しかもその中には女子も含まれている。
気づけば、あと一周と言われたときにいた大勢の人はいなくなっていた。
「お疲れユウリ君。お茶でも飲む?」
ミサキが優しく話しかけてくる。
俺はまだ呼吸が落ち着いてなくて頷くことしかできなかった。
肩を誰かにたたかれ後ろを振り向く。
「ユウリ君お疲れ……って言ってもまだ午後から授業あるけどさ。でもとりあえずご飯食べようか」
そうなのだ。ここの訓練所では午前は決められた体づくりのメニューを行い、午後はいつくつかの種目の中から選んで行う選択式になっている。午後の授業の種目はユウリとヤマトはサッカー、ミサキは水泳、レイナとアキラは不明。
「ヤマト……後で俺と男同士の相談に付き合ってくれるか?」
俺は今にも死にそうな声でそう言った。
「うんいいよ。ちょっと何を話すのか少し予想がつく気がするけど」
察しのいいヤマトは何となくわかってもらえたらしい。
「大丈夫ユウリ君? 私もよければ話聞こうか?」
「いや、ごめん。男にしか話せないことなんだ。気持ちだけもらっておくよ」
そう言い俺たちは食堂に向かい午後の授業に備える。
- Re: 赤色の瞳 ( No.10 )
- 日時: 2017/12/31 19:45
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
食事を食べ終え急いでグランドに向かう。
体力のない俺にとってはハードなメニューで食べるのにも時間がかかり、食べ終わるまで待っていてくれたヤマトと走ってグラウンドに向かう。
「遅いぞ! そこの二人!」
サッカー担当の男性が大きな声でそう言ってくる。
サッカーはさっきの外周の時にいた人とは違う人が担当している。帽子をかぶっていてよく見えないが若そうな男性に見える。
学校の体育の授業に似ていて懐かしい光景だった。
俺とヤマトは謝りながら列に並んだ。
列に並ぶと嫌なうわさが聞こえてくる。
もともとは余り者の寄せ集めのグループだということを忘れていた。だがそのことを忘れてしまうほど俺たちのグループは団結しつつあり、この一週間でだいぶ良くなってきたと思う。
少し気まずい空気になる。
だがそんな空気を壊してくれたのは——、
「はい! 初めまして若々しい皆さん。俺のことは学校みたいに先生って呼んでもらって結構です。じゃあ今日から数週間サッカーをやっていこう。じゃあまずは二人組を作ってパスの練習をしようか。じゃあそこの坊主の野球部の子。あっちからボール取ってきて。あ、野球ボールじゃなくてサッカーボール持って来いよ」
指をさしながら坊主の少年にそう言う。
「俺水泳部っすよ」
みんなが笑いだし俺もつられて笑ってしまう。
「そうか水泳部か、じゃあボールをあそこの倉庫から取って持ってきてくれ」
指を指した方には確かに倉庫らしきものが見えるが——、
「えっ、遠くないっすか?」
「これも走る練習だ。一分以内に帰ってきたらご褒美をやろう。じゃあ行くぞ……」
「え、もう!? ちょっと待って——」
「よーいドンっ!!」
容赦なく合図を出し坊主の少年は慌てて全速力で走りだす。
そんなやり取りを見て、もしこの少年の立場が俺だったらと思うとみんなから笑われそうで不安が残る。
少年が行く道は片道二百メートルくらいはあり本当に遠くに倉庫がある。
生徒にボールを取ってこさせ、どのボールを持ってくるのかも言わないその先生の大雑把な性格は俺は好きだった。俺自身も適当なとこがあるので細かいことを気にする人とは合わないと思う。
少年は一分以内には帰ってくることができず悔しそうな顔をしていた。
俺たちはパス、ドリブル、リフティングの練習をし最後に試合を行いサッカーの授業は終わった。
部屋に戻り俺はヤマトの部屋にノックして入る。
「ヤマト。俺の心と体はもう傷だらけだ。この傷を治してくれ」
ヤマトの清潔で整っているベットに飛び込みながらそう言う。
「残念だけど僕では治せないよ」
「男としてのプライドがズタボロだぁ……」
客観的な視点から俺の姿を想像すると自分でも笑ってしまうそうだった。
「もしかして長距離が女子よりも遅くてドベ2と一周遅れでゴールしたこと?」
「言わないでーっ!!」
俺の心の声が部屋中に響き渡った。
- Re: 赤色の瞳 ( No.11 )
- 日時: 2018/01/05 20:01
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
初めての訓練を終えいつの間にかもう朝を迎えていた。起き上がろうにも体中が筋肉痛で少し時間がかかってしまった。
なんとか服を着替え部屋を出る。
「おはよう。ユウリ君」
笑顔でヤマトが出迎えてくれた。
「おはようヤマト」
「もう心と体は大丈夫かな?」
「大丈夫じゃないよ。これからまた心身ともに痛みつけられるしさ」
「そっか、でもしばらくは同じメニューらしいからそのうち慣れるんじゃないかな」
「慣れるねえ」
微笑しながらそう言う。
正直このメニューに慣れる気はしないが続ければ多少は楽になるのだろうか。
「じゃあご飯食べに行こうか」
「あれ、ミサキは?」
「今日はレイナとご飯食べに行くらしいから一緒には行けないって」
「そっか、二人は仲良くなってきてるんだね。俺たちはアキラの方を攻略するとか言っちゃったけど何も進展がないよな」
「そうだね。姿すら見たことないし話しかける機会もないからね」
俺以外は未だにアキラの姿を見たことがないらしい。ここまで神出鬼没となるとアキラの方が意図的に避けているとしか思えない。そしてアキラはどこに行っているのかも少し気になる。外周の時、姿が確認できなかったことから俺と比べると長距離が速いんだろう。
ヤマトと食堂へ向かい朝食を食べる。
食堂には毎朝大勢の人がいてものすごくにぎやかだ。ふざけあっている男子や無駄に盛り上がっているガールズトークなどさまざまな話が聞こえる。
学校に通っていた頃を思い出す。中学校の続きを経験できて俺は少し嬉しかった。
朝食を食べ終え外に向かう。
午前中のメニューは全員で腕立て、腹筋、背筋、スクワットを百回してその後に外周五周をする。外周が終われば午後の授業までは自由なので長距離が得意な人は数分で終わらせて遊んでいることだろう。俺には無縁なことだが。
靴を履き外に飛び出す——、
地獄が待っていることはわかっている。でも俺は立ち向かう。いずれ戦うことになるメガソフィア。俺の家族を崩壊させた元凶。そいつに復讐するために——。
訓練という名のトレーニング二日目。筋肉痛が残り非常に体が動かしずらい。隣で何気ない顔で筋トレをしているミサキを見ると少しは気合で頑張れた。
そんなこんなで苦しみながらも試練を乗り越え今日もあっけなく終わろうとしている頃、
部屋に戻りベットに寝転んでいると、
「ユウリ君、入ってもいい?」
「いいよ」
ミサキが俺の部屋に入ってきた。
「明日は土曜日だよね。明日乗り越えればやっと休みが来るよ」
「でも休みって一日しかないんだよね?」
「うん、一日じゃ物足りないよね」
「俺にとっては物足りないどころじゃないんだよな。中学時代によく部活サボったのがここでひびいてきたか」
「中学校は何部に入ってたの?」
「俺はバレー部の幽霊部員だった。一年生の時以外はほとんど行かずに友達と遊んでたなあ。ミサキは吹奏楽部っぽいけど何部だったん?」
「ぶっぶーハズレ。私水泳部だったんだ。部活休んだことなかったから今でもそこそこ体力もあるよ」
「耳が痛いのは気のせいかな」
そう俺が言うとミサキは笑い出した。
「でもなんか筋トレとかでも部活みたいで楽しいけどね。ほんの少しだけ」
「そうだね。また学生に戻れた気分だよね」
俺もミサキの言う通りだと思う。
学生は人生のほんと数割しか経験できないわずかな時間だ。その時間をまた経験できることはほんとに貴重だろう。
「じゃあ私部屋に戻るね。おやすみ」
「おう、おやすみ」
ミサキは部屋を出る。
そして俺はベットに横たわる。
次第に意識が薄れていき夢の世界に招かれる。
- Re: 赤色の瞳 ( No.12 )
- 日時: 2018/02/20 15:51
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
後ろから女性の必死の叫び声が聞こえる。
命の危機が迫っているのが声を聞くと伝わってくる。
何かが勢いよく吹き出し液体が地面に落ちる音がする。さっきの女性のものだろうか。
「このやろおおおっ!!」
今度は男性の声が聞こえた。
女性が倒れ意識を失ったことに対して怒っているんだろう。それもそうだろう。俺だって大切な人が傷つけられたら怒り狂って自分をコントロールできなくなると思う。だたただ復讐心に支配され自分そのものが壊れていってしまう。そうなったら欲望に耐えきれずにしたいことをしてしたくないことはしない人間としてダメになってしまう。
動物の鳴き声とともに何かが殴り飛ばされる音がする。
自然の力強さのようなものが伝わってくる。野生動物の本能というか厳しい環境の中を生き抜いてきた王者のような威厳が漂っている。圧倒的な力の差を見せつけ雄たけびをあげる。
後ろを振り向く。
血が飛び散り二つの死体が転がって——はいなかった。
一面真っ白な世界。何もない空白の世界。何色にも染まっていない世界がそこにはある。いや世界はないといった方がいいのだろうか。
白い世界の先に黒い影のようなものが浮かんでいる。
目と口らしきものは確認できたがそれがいは黒い塊としか言いようがない。その目は赤く光っていて牙のようなものがある。
黒い塊が勢いよく俺に迫ってくる。
俺は後ろを向き全速力で走る。
後ろを振り向くことはできなかった。逃げなければ俺が死ぬ。前だけを見て走り続ける。
——奴が来る。奴がすぐそこまで来ている。ヤバい。逃げろ。ヤバい。ヤバい。ヤバい…………。……。
肩を強い力で掴まれ俺は死を覚悟し振り返る、
口を開け俺の頭に噛みつき、頭に強烈な痛みを感じて頭が砕け散る————。
夢から覚める。
心臓がバクバクしており、久しぶりにこの感じを味わう。小さい頃は悪夢を見たあとこんなことをたまに味わった記憶があるが高校生にもなると同じようなことが起こった記憶がなかった。
あの出来事を思い出す。
あの出来事が訪れて数か月の間はこんなようなことはしょっちゅうあったが最近は皆無だった。何か嫌なことが起こるのだろうか。
少し不安が残るがあくまで夢の話だ。未来予知をできるわけでもないしアニメの世界でもない。まあ大丈夫だろう。
時刻は午前五時。朝の支度をするには少し早い。まだ太陽も出ておらず涼しげな朝だ。
少し自由時間ができたので俺はマジックの練習、研究をし始めた。
- Re: 赤色の瞳 ( No.13 )
- 日時: 2018/03/10 10:44
- 名前: 青りんご (ID: o4cexdZf)
同じように訓練に向けて準備をし、部屋を出ようとした時だった。
部屋に設置されている固定電話が鳴りだした。鳴り出すまではその存在すら知らなかった。部屋のインテリアと一体化していて全く目につかなかった。
多分この電話はここの訓練所の本部に繋がっているんだろう。何か嫌な予感がする。
少し緊張しながらも受話器を取り耳に受話器をあてる。
時間は進み、昼休みを終え午後の授業が始まろうとしている頃。
「どうしたのユウリ君? 元気がないみたいだけど」
そうミサキが声をかけてくる。
「え、いや大したことではないからさ。大丈夫だよ」
「でもさっきからずっとぼーっとしてるよ」
「ちょっと考えごとをしてただけ」
そんな言葉を言いなんとか誤魔化そうとするが——、
「——朝、先生と電話で話してたよね?」
そうヤマトが口を挟む。
俺は図星を突かれ動揺する。
「え、い、……いや、べ、……別に先生に長距離が遅すぎるからって日曜日にもトレーニングするから職員室に来いなんてい、言われてないですよん??」
「嘘が下手だねユウリ君。でもそれだけ人がいいってことなのかな」
「ユウリ君わかりやすすぎるよ。本当のこと全部話しちゃうんだもん」
二人は笑いながら俺のことを見てくる。
——しまった……。
そう心の中で呟く。
結局電話で話したことを詳しく話し、俺の心境もすべて打ち明けてしまった。
「なるほど。それで先生から電話があったのか」
「そうなんだよ。でも職員室に行くのが怖くて仕方ないんだ。職員室に入ったら先生に拘束されて「今から外を一日中走ってこい。さもないと殺すぞ」って言われて俺は強引に「はい」と言わされて地獄の24時間完走が始まるかもしれない」
「そんな乱暴なことして走らせないと私は思うけど」
「24時間走ることに対してのツッコミもほしかったよ」
まあそんなことは置いといて、
「でもやっと日曜日休みだーって思ってたのにさ。休みがないじゃん。俺もう倒れるかも。この先長くはないかも」
「でも日曜日って半日だよね? 長距離が終わりさえすれば休みだから午後にしっかり休めばいいんじゃない」
「でも毎日長距離走るのはきつくね?」
「まあ僕もそう言われたらだいぶ落ち込むかも。訓練が週6.5日みたいな感じだもんね」
「私もそう言われたら嬉しくはないな。私も長距離嫌いなんだよね。中学校の時は1番ばっかだったから楽しかったけど、ここは長距離速い人が多いから5位以内にすら入れないし」
聞き捨てならないセリフに気づかずにスルーするほど俺は鈍感ではなかった。
「えっ!! ちょっと待て……。ミサキってそんな長距離速かったの!?」
「え、ユウリ君って知らなかったっけ……。ごめんね、言うの遅れちゃって」
「そこまで速い人に共感されてもなんか落ち込むわ」
「えっ、別にそんなつもりで言ったわけじゃ……!!」
ミサキは励まそうとしてそう言ったのかもしれないがまったくの逆効果だった。でもそのことを訂正しそうと焦っている姿を見るのもなんか面白かった。
「ミサキは僕よりはるかに速いからね。僕がゴールに着いた時にはもう呼吸も整って平気そうな顔しているよ」
落ち込んでいた気持ちが一気に消え失せ、俺の心の中の何かが燃え上がる。
「マジかよ。うちの男子は女子に劣っていると言うのか!! これはもうやってやるしかない!! 男として生まれたからには!! な、ヤマト」
肩を強引に組みながらヤマトにそう言う。
「な、何をやるのかな?」
「男としてここは派手にお見舞いしてやるんだ」
熱く燃え上がる一人と炎の勢いに圧倒される一人。その二人を前にミサキは苦笑いをして反応に困っているようだった。