ダーク・ファンタジー小説
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- survive -5日間のデスゲーム-
- 日時: 2018/12/12 20:28
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
目が覚めると、そこは廃校だった。
南高校の三年二組の23名は、この悪意と殺意に満ちた学校で、5日間生き残ることができるのか?
その先に待つものは、果たして、
希望か。
絶望か。
〜〜〜
四年ほど前に書いていた作品のリメイクです。
若干グロ表現を含みます。ご注意下さい。
人物名簿
>>1
一日目
【7:30】>>2
【7:50】>>3 >>4
【7:55】>>5
【8:00】>>10
【11:20】>>11
【12:00】>>16
【12:50】>>17 >>18
【13:00】>>19
【13:30】>>21
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.17 )
- 日時: 2018/08/15 22:42
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【一日目〜12:50〜】
昼食は食パンとベーコンエッグ、それとトマトサラダというシンプルな物だった。
食事を作った料理部所属の篠宮蘭いわく、食料は全て調理室にあったらしい。
「量的には、節約していけば何とか5日間持ちそうなくらいだよ。けど、全員分の食料を計算して作るのは大変だったかなー」
麻衣がいたら、少しは楽だったかな、と蘭は寂しそうに笑っていた。
21人全員で昼食をとった後、洗い物をする蘭と、それを手伝う彼女の親友、星見月を待った後、信一はシャープペンシルとメモ帳を取り出した。
「…とりあえず、発見したことをまとめていこう。まずは、何階に何の部屋があったか、から」
さっきまで落ち込んでいたが、別人のように元気になりみんなをまとめだす信一の姿に、まひるや涼介は安堵する。
が、一番安心していたのは、意外なことに彼を励ました本人である美々だった。
__ひょっとしたら、あたしの不器用な励まし方のせいで余計に塞ぎこんじまうかもしれねーと思ったが…。やっぱり、委員長だな。
美々はひっそりとそう思った。
まとめた結果、
一階…昇降口、職員室、校長室、職員用トイレ、保健室、更衣室、シャワー室、宿直室、体育館へ続く外廊下
二階…通常教室×4、調理室、被服室、美術室、生徒用トイレ
三階…通常教室×2、図書室、理科室、視聴覚室、放送室、音楽室、生徒用トイレ、屋上へ続く階段
があることがわかった。
「…見た感じ、中学校っぽいよな。小学校にしては机が大きいし、高校にしては校舎が狭い」
信一が即興で描いた見取り図を眺め、亮が呟く。
「…あ、でもね、いくつか開かなかった所もあるんだ」
由美子が見取り図を指しながら言う。
「私の班が担当した二階にひとつと、美紀ちゃん達の班の担当した三階にふたつ…」
「…後、俺と七瀬が調べたんだが、別館へ通じているらしい扉があった。多分職員室にでも鍵があるんじゃないかと思うんだが…」
信一は頷きながら見取り図に書き込んでいく。
「三山くん。ちなみに、屋上への扉は開いたの?」
書きながら、顔を動かさずに恵悟に尋ねる。
「…いや、わり、確かめてねえんだ。あの“声”が、『外に出たら死ぬ』って言ってたしさ…。一応校舎内だろうとは思うけど…」
恵悟が茶色に染めた頭を掻きながら答えると、彼の腕に抱きついている美紀もうんうんと頷いた。
「ううん、いいんだよ。…誰だって死ぬのは怖いよ」
信一は呟くように言う。
「なあ、ちょっと良いか?」
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.18 )
- 日時: 2018/08/15 23:18
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
声のした方に一同が顔を向けると、井上海斗が睨み付けるような視線を送っていた。
「三山、お前、『ウラギリモノ』じゃねえだろうな?」
「は…?何言ってんだよ海斗…?」
困惑する恵悟を海斗は鼻で笑う。
「校舎内だろ?何で屋上をそんなに警戒するんだ?」
「はあ?それは万が一の可能性を考えてだな…!」
「いいや、違うね。お前がウラギリモノだから、屋上に出たら死ぬと知っているんだろ?」
クラスメイト達は皆顔を見合わせる。
元から井上海斗には人間不信の気配はあった。
けれど、まさかこんなところでそれを発揮するなんて…。
「お前がウラギリモノだろ、三山恵悟。…そうだ、お前が九条と別行動をとって笠原達を殺したんだろ?九条は彼女だからな、口裏を合わせることだって出来るはずさ…」
「お前いい加減に…!」
「それとも逆か?九条がウラギリモノで、三山は可哀想なことに利用されてんのか?」
「やめなよ、井上くん…」
思わず立ち上がり、なだめようとした信一に向かい、海斗は叫ぶ。
「そうか!委員長がウラギリモノだったのかぁ!!それでこんな班分けにして、あの二人を殺したんだな!!」
「違うっ…!」
反論しようとした信一に、海斗はニヤニヤと笑いながら近付く。
「違うのか?違うとしてもな、笠原と小川が死んだのは、班分けをしたお前のせいだぞ?」
「っ…!!」
「お前が殺したんだよ、呂畑信一」
「てめええっ!!!」
美々が海斗につかみかかろうとした瞬間だった。
『もりあがってますねー、みなさん』
「!!」
また、体育館で聞こえたのと同じ“声”が響いた。
『ここでひとつ、教えておかなきゃいけないことを思いだしました!』
海斗も美々も、その場にいる全員が止まり、放送に耳を傾ける。
ゲームマスターの発する言葉を、一言一句聞き逃さないように。
『この学校には、ウラギリモノのほかに【サツジンキ】がハイカイしていまーす!その人数、なんと四人!』
「っ…!!」
まひるはあげてしまいそうになった悲鳴を必死に堪える。
『もうひとつつたえることは、このゲームのおわりかた!6日目になるか、【ウラギリモノ】をコロした瞬間に放送が流れて、『以上でゲームをおわりまーす』とつたえます!それと、おわりかたじゃなくて、いわゆるボーナスポイントみたいなものなんだけど、【サツジンキ】をコロしたら放送が流れて、なんと“ウラギリモノが誰なのかのヒント”をおしえちゃいまーす!』
「ヒント……?」
堪えきれず、涼介が呟く。
『ですのでみなさん、ぜひぜひコロしちゃってくださいねー!まあ、コロされるのがオチでしょうけど。ハハハッ!』
それだけ伝えて、放送は切れた。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.19 )
- 日時: 2018/09/23 00:52
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【1日目〜13:00〜】
【新しい班分け】
一班:一馬・由美子・清真・蘭
二班:海斗・小町・真幸・静流
三班:宗佑・天満・翼・未来
四班:涼介・まひる・正・月
五班:恵悟・美紀・信一・美々・亮
「…午後からはこの四人一組で行こうと思う」
信一が調理室の黒板に書きながら説明する。
「探索場所は自由だけど、なるべく被らないように。それと…放送で言ってた殺人鬼を見かけたらすぐに逃げて。戦おうなんて思っちゃダメだ」
「わかった…」
まひるは真剣に頷くが、海斗はつまらなさそうにため息を吐いた。
「有益な情報が手に入るかもしんねーのに…」
「情報よりも、今大事なのは命だ。…僕は、もう誰にも死んでほしくない。このまま5日間、何事もなく生きて、みんなで帰ろう」
信一の言葉に、みんなが頷く。
そんな中、ボソッと月が言った。
「まいっちとしょーちゃんをこ…こ、ろ…したのも、サツ、ジンキ…って奴なのかな…?」
「…みんな二人一組で行動してたんなら、その可能性が高いと思うよ」
月の問いに蘭が答える。
「……次の集合時間は15時。ここに集合してね。…それと、情報の共有はしっかりしておいた方がいい」
信一はそう言って、チョークを置いた。
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.20 )
- 日時: 2018/12/12 16:04
- 名前: かめのて (ID: AxfLwmKD)
リアルが忙しくてなかなか更新できなくてすみません
生きてますよー
今日の夜くらいに続きのせます
- Re: survive -5日間のデスゲーム- ( No.21 )
- 日時: 2018/12/12 20:27
- 名前: かめのて (ID: zKALihrN)
【1日目〜13:40〜】
まひる達は担当することになった二階を歩いていた。
先頭の涼介に、まひると月が続き、女子二人の背後を守るように正が最後尾に付いた。
「…戸沢くん、気をつけてね」
まひるの言葉に、涼介は少しだけ振り向き、頷いた。
「…………呂畑はああ言ってたけど、仮に殺人鬼に会ったとしても、逃げ切れるのかよ?」
正の問いかけに、涼介はわからない、と答えることしかできなかった。
「………あの、さ」
と、急に月が発言した。
その声に三人の視線が一気に集まり、月は少し赤くなる。
「どうしたの、星見さん?」
まひるに聞かれ、月はおずおずと言い出す。
「…と…トイレ、行きたいんだけど…」
「…………はあー」
正はため息をつき、言う。
「何だ、そんなことかよー」
「そんなことって何よー!男子二人の前で言うの結構恥ずかしかったんだからねー!!」
「星見、声でかい」
「あ、ご、ごめんりょーちゃん…」
慌てて口を押さえる月に、まひるはクスリと笑う。
「星見さん、気付かなくてごめん。一緒にいこう」
「おーい、俺らは?」
「檜村くん達はちょっと離れた所で待ってて」
さ、いこ、と、まひるは月の手を引いた。
約四分後、トイレの近くの曲がり角で涼介と正は二人を待っていた。
「女子ってめんどくせーな。男はどこでも構わず出せるのにな」
「…ちょっとは構え」
二人は無駄話をしていたが、急に正は黙りこんだ。
「………檜村、どうした?」
「…………………あのさ、戸沢」
一拍置いて、正は聞いた。
「戸沢は、誰が【ウラギリモノ】だと思う?」
「……………………………俺は」
頭の中で、一番差し当たりない答えを弾き出し、言う。
「…実はウラギリモノなんて俺達を争わす為の嘘で、最初から、脱出方法は5日間待つしかないんだ、と思ってる」
「…………そっか。それなら、いいな」
「わざわざ聞いてくるってことは、お前は違うのか?」
「…ああ……怒らないで聞いてほしいんだけど」
正は、涼介を見つめ、言う。
「ウラギリモノは、呂畑だと思ってる」
「え?」
「ごめんな。でも、だって、こんな状況であんなに冷静なの、おかしくないか?」
「…別に、あいつだって冷静な訳じゃ…」
「………そう、だよな。みんな混乱してるよな。ごめん、本当にごめん。友達疑うなんて、最低だよな、俺…」
「…いや、いいんだ。井上の発言に引っ張られたところもあるだろうし。…こんな状況じゃ仕方ない」
その時、トイレのある方の廊下から足音が聞こえた。
「…七瀬さん達かな?」
言って、二人は顔を出してトイレ方面の廊下を見る。
二人が見たのは、
こちらに向かって歩いてくる、手に血だらけのマチェットを持った、狐の面を着けた男だった。