ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

宇宙人二世 マリア 
日時: 2020/06/14 15:56
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

第一章 飛行物体 1

 二千二十二年七月七日の事だ。東野佐希子とうのさきこ二十七才は十日間の休暇を取り一人で旅をしていた。現在、佐希子は東京の奥多摩に住んで居る。そこから愛車ランドクルーザーに乗って首都高から東関東道を抜け潮来から鹿島灘を右に茨城の大洗港に到着。大洗からフエリーで十八時間掛けて苫小牧港へ、そこから室蘭にある地球岬を訪れていた。今から一千万年前の火山活動で出来た高さ百メートル前後の断崖絶壁が十四キロも続く観光名所でもある。
 空は夕焼けからやがて日が沈み、もう上空は星が見え始めていた。天の川を撮ろうと佐希子は高感度カメラをセットし星空を眺めていた。その時だった。上空で見た事もない強い光を放ち、飛行物体が飛んで来た。流れ星かいやそれにしてはおかしい。その飛行物体が近づいて来る。しかも佐希子に狙いを定めたように飛来してくる。そのまま地面に衝突かと思ったら急激にスピードを落とし、そのままフワリと浮かび制止した。UFOか? 良く分からないが謎の飛行物体だ。佐希子の目の前に音もなく着地した。大きさは大型トラック程の大きさで長方形だ。まさか宇宙船? UFOなら円盤型と思ったら細長い。驚いた佐希子はカメラと三脚を持って逃げようとしたが腰が抜けて動けなくなった。


『宇宙人が地球の人間を誘拐しに来たのか? 私が一番先に狙われたのだろうか。それなら北朝鮮の拉致より質が悪い。宇宙の彼方に連れて行かれ解剖されるかも冗談じゃない。私を誘拐したら国際問題だぞと訴えても相手が宇宙人では国際法も関係ないのか』
 佐希子は意味もなくほざく。暫くすると長方形の飛行物体の横扉が開き、誰かが一人だけ出て来た。宇宙人? 佐希子が思わず口に出した。
「あっ私を捕まえに来たのね。きっと私が美し過ぎるから狙ったね。私だって負けてないわよ。学生時代柔道やっていたんだから投げ飛ばすぞ。寄るな! 蛸! 私は蛸が嫌いだ」

 宇宙人なら蛸のような生き物が出てくるかと勝手に思っていたが、それは人間の姿をしていた。何故かフラフラと出て来た。大きな旅行カバンのような物を引き摺っている。
「蛸じゃない。宇宙人でもない? では宇宙飛行士? まさかこんな場所に着陸する筈がない。とにかくそれ以上そばに来ないで。本当は柔道、……そう空手もやっていたのよ」
本当に空手はやっていないが多い方が良いと思った。
 佐希子はパニックになっていた。宇宙人に柔道が通用すると思いないし言葉通じるはずもない。 その謎の人間みたい宇宙人に、子犬が吠えるように佐希子は吠え捲くったが怖くて動けず倒れこんだ。だが佐希子の前で勝手に相手が倒れた。柔道技で投げ飛ばしても居ないのに? 襲ってくるのじゃなく相手が勝手に倒れた。弱っている者を見過ごし訳にも行かない。しかしどう見ても人間のようだ。年齢は三十歳くらいか。人間と分かった以上安心すると、佐希子はやっと起き上がる事が出来た。

「もしもし大丈夫ですか? 私の美貌に目まいがしたの? ……そんな訳ないか」
 どう見ても東洋人には見えない。西洋人なのか分からない。しかし男である事は間違いない。男はキャリアバックのようなケースを開け金属製の注射器のような物を取り出し、それを首に当てると赤い光を放った。暫くするとフーと溜め息を漏らした。なんと! しっかりした日本語でこう話した。 
「驚かせてすまん。君に危害を加えるものではない。安心してくれ」
「…………」
 安心しろと言われても得体の知れない人物、そして奇妙な形をした飛行物体から出て来た者に警戒せざるを得なかった。
「貴方は地球の人……それとも宇宙から来た人? 他の人も居るでしょう何故出て来ないの」
「訳は言えないが地球を調査に来た。私はアルタイル星から来た。アルタイル星は日本では彦星と呼ばれ、ベガ星は織姫星と言われているようだが。その調査船の乗組員だ。どうやら地球の細菌にやられたようだ。幸い他の乗組員は感染していなく無事だが、自分だけが地球の細菌に感染したようだ。このままで一緒に乗れば全員が感染する。仕方なく私だけが船から降りる事になった。他の者は、まもなく地球を離れ離陸する。私は細菌に感染し仲間ともう一緒に帰る事は出来ない。だから一人地球に残るように指令を受けた。助けて欲しい」

つづく

Re: 宇宙人二世 マリア  ( No.10 )
日時: 2020/06/24 17:54
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

宇宙人二世 マリア 11

「あっそれどうしたの」
「やっぱり見覚えあるか。マリアも同じ物を持っているだろう。これはお父さんの物だ」
「どうして知っているの。まさか私がアルタイル星人と交信していた事を知って居るの」
 すると母の佐希子が言った。
「やっぱり気づいたのね。私は貴女の母よ。どうも最近様子が変だと思っていたの。とうとう貴女は父の秘密を知ったようね。隠しても仕方ないわね。父が宇宙人だとしても今更驚きもしないでしょうね。アルタイル星人が貴方に接触しているようね。本当は普通の女の子に育って欲しかった。でもいつの間にか貴女は少しずつ変わって来ている。父のドリューンの代わりにアルタイル星人が連れて行こうとしているのではないかと心配なの。正直にこれまでの事を話しなさい」
 全てがお見通しのようだった。丁度いいこれで私の悩みが少しは解放されるかも知れない。これまでの経過をありのままに述べた。父のドリューンが納得したように語りかける。

「そうかマリアの血液をねぇ。マリアの血液を宇宙人に渡し気味が悪いと思うだろうが心配しなくていい。アルタイル星人は本当に地球と交流を望んでいる。それは友好関係を結びたいからであり、その点は心配ない。それとその鉱石だが私は詳しい事を知らないが多分その通りの効力があるだろう。マリアが心配するように何処から手に入れたという問題がある。だからそれは世間に知られないようにすればいい」
「でも地球にとって必要な物よ。世界のエネルギー不足が解消され、医学界にいいえ人類の一番の悩みである癌を死滅出来るのに私達の都合で隠し通しなんて出来ない」
「確かに地球、いや人類にとって貴重な宝となるだろう。それを私達の都合で隠しとか知らんふりも出来ないかもしれないな」
「でも私がアルタイル星人と交信を始めたのをどうして知ったの」
「貴女の様子が変だから父のドリューンと相談したの。そこで貴女の事を知るには、あの機械しかないと二十年ぶりに出して来て父に渡したの。本当は処分するつもりだった。でも困った時にきっと役に立ちと捨てきれなかったのよ」

「ああそれで知ったのね。お父さんは今でもアルタイル星人と交信しているの」
「それはない。今の私は完全に人間でありアルタイル星人もそれを認めている。だから交信は一切ない。彼等も私を置いて行った負い目があるだろう。その為に娘の君に贈り物したつもりだろうが。だがアルタイル星人は人の心理が分かって居ない。説明しても彼等には人間の心を何処まで理解しているか」
「分ったわ。私もこれでホッとした。やっぱお父さんとお母さんは頼りになるし尊敬出来る。ではあの石をどう公表するか考えてみましょう」
「あら、褒めているの。でもこれからは一人で悩まないで相談するのよ」
「ハイ分かったわ。ねぇこう言うのはどう」
「何か良い方法でもあるのかい」
「うんアルタイル星人に今の私の心情を打ち明け、日本政府にアルタイル星人からメッセージを送るのよ。それを私に託したと」
「それも一つの方法だが彼等が動いてくれると良いのだが」

 それから数日後、マリアから連絡を取ろうとしていたらアルタイル星人の方からメッセージが送られて来た。もちろん例の機械へ。ただの機械では面倒なのでマリアは機械の名前をコミュニケーションとテレポート(瞬間移動)をミックスしてコミポートと名付けた。このコミポートはアルタイル星人とメール交換みたい感じだが、地球にはないあらゆる機能を持っている。ある意味スーパーコンピューター以上かも知れない。だが父は人間の姿をしているがアルタイル星人は粒子の集合体だと言って居たから形そのものがないのかも知れない。逆にどんな形にでもなれるのだろうか。蛸みたいだったら幻滅してしまう。マリアも見たいとも思わない。
 「やあマリア、私はドレーンだ。先日はありがとう。予定にない海水など送ってくれて大いに役立ちそうだ。我が星にないバリテリアが多く含まれていて、よい研究材料になりそうだ。どうかねあの石は地球に発展に繋がりそうだが」

「それがね、あの鉱石がアルタイル星の贈物としても私が頂いたと言えば、どう言う理由で手に入れたのかと追及されるの。私が貴方達と交信して友好関係を結びお礼に貰ったとしても信じないと思うの、私がアルタイル星人二世と言えば父がアルタイル星人と分かり私の家族は大変な事になるの。だから迂闊に鉱石を公表出来ないの」
「ふ〜ん人間って複雑なようだな。分かった安心してくれ。こちらから日本政府にメッセージを送ろう。そこで君を紹介しょう。我がアルタイル星人が地球に降り立った時にバクテリアにやられて重症となったところを、たまたま山に登っていた君に命を救われた。そのお礼に石と機械をプレゼントしたとね」
「ちょっと無理があるけど上手くやってくれる。父と私の素性を明かさない事が絶対条件よ」
「大丈夫だ。まかせなさい。その内に日本政府が君に会いたいと行って来るはずだ」

つづく

Re: 宇宙人二世 マリア  ( No.11 )
日時: 2020/06/25 19:35
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

宇宙人二世 マリア 12

 ここは防衛省国際監視課兼宇宙監視課兼危機管理室。なんと長ったらしい課であるがここには五百人前後の係員が二十四時間体制で大型コンピューターを母体とした端末パソコンで世界中の情報を管理している。もちろん宇宙にも電波を発信しまた傍受もする宇宙監視センターも国際監視課の中にある。その時だ、係員が驚きの声を上げる。
「主任! 妙な信号をキャッチしました。先ほどから我々と接触を図りたいようですが」
「また新手のウイルスじゃないのか」
「おっ今度は完全に日本語で語り掛けています」
「いったい何処の国だ。日本政府の用があるなら外交ルートを使うだろう。失礼な奴だ」
「いや地球外から送られているようです」
「なんだって? 宇宙からの交信か。しかも日本語で語り掛けているとは信じられん。宇宙国際監視課に廻せ。何処から送られているかキャッチさせる」
「はい、こちら宇宙国際監視課、既に電波の発信元が分かりました。アルタイル星からのようです」
「それは本当ですか。宇宙人からの交信とは凄いことじゃないですか。いや驚いている場合じゃない防衛大臣に報告しなければ」

「しかし本当に地球外生命体なのか、これまで数多くのUFOが飛来したと騒がれてきたが未だに未確認情報で終わっている。それがいきなり宇宙人からの交信と大臣が信じてくれるかな。しかもアルタイル星まで十六光年もあるんだぞ。今届いたって何年も前に送ったものかも知れない。因みに月まで光では一秒。太陽なら八分十八秒だ。いかに途方もなく遠い星だよ」
 宇宙から我が日本国に交信しているという情報の知らせに防衛大臣は驚いた。これまでUFOとか世界各地で噂は絶えないが、どれも宇宙人の存在が謎とされている。
 それが日本語のメッセーシが送られて来たと報告が入った。防衛大臣はまたデマだろうと宇宙監視センターに向かった。監視センターではたった今、日本文でメッセージが届けられた。宇宙から交信と言うことで全モニター画面に流した。それを全員が見ている。

『ようこそ地球の諸君。我々はアルタイル星から発信している。諸君は光の速さで届く時間を計算しているようだが我々は時間という物はない。ないが十六万光年は余りにも遠い。それでも八日間で地球に行く事が出来、物資も遅れる。物資以外なら時間の空洞を使えば瞬時に届く。つまり諸君が読んでいる文章はほとんど時間差がない。またそちらの情報を送れば我々は時間の空洞に入れ、やはり瞬時に届く計算だ。だからその時間の空間を提供しよう、それで瞬時に交信出来るはずだ』
 スタッフ全員と防衛大臣が一斉に溜め息をつく。だが本当に宇宙からのメッセージなのか信じられない。何処かの国の誰かが悪戯をしているんじゃないかと。試しに返信を送った。
「我々は俄かに信じがたい。未だに宇宙人の存在は謎とされいる。それが本当にアルタイル星からなのか証拠を示して欲しい」

『なるほど本物かどう確認したいのだね。実はある若い日本人女性に我々の仲間を助けて貰った。そのお礼に鉱石と機械をプレゼントした。彼女はその機械をコミポートと名付けたそうだ。彼女が我々の使者だと思って良い。なお彼女は特殊能力の持ち主だ。それも彼女のプレゼントだ。つまりお礼でもあるが。彼女は我々の友人一号だから我々は彼女を守る義務がある。こちらから彼女が直接、防衛省に出向くよう連絡しておく。なお我々は友好を望んでいる。友好の印に彼女に鉱石を託した。ただ彼女と彼女の家族の安全の為に彼女の公表は一切しないでほしい』
「ではその彼女は貴方達に既に接触したというのか」
「その通り、だが彼女はそれを誰にも言えなかった。君たちを我々を疑うように、彼女も宇宙人と交信したと言っても信じないだろう。だがこの交信で少しは信じるだろう。では彼女を丁重に出迎えてやってくれ」
 やはり地球以外から送られたものだと分析の結果わかった。政府も我々も友好を望むと、それでは早速彼女を出迎える準備をしておくと送信し交信は終了した。


 つづく

Re: 宇宙人二世 マリア  ( No.12 )
日時: 2020/06/26 08:40
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

お知らせ 掲載ページの紹介

 Page:

1  1と8-12 に掲載

2  1と3-7 に掲載

3  1と2  に掲載

尚、ページ数が増えるにつれ変更されるようです。
ただその仕組みが分からりませんがご了承下さい。
6月25日現在

Re: 宇宙人二世 マリア  ( No.13 )
日時: 2020/06/26 21:26
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

宇宙人二世 マリア 13

第五章 会議室での出来事

 二日後アリアは事情を家族に話した。アルタイル星人が日本政府にコンタクトを取ったが未だに政府は信じられないようだ。彼女が直接出向くと伝えた為、何処の誰かさえも分からない。いや宇宙人なのかも知れない。ともかく今日来る予定だと聞き政府関係者は不安と期待が入り交じっているようだ。万が一の為に防衛省周辺に機動隊が待機している。但し目立たないように近くのビルに潜んでいるようだ。マリアは会社の面接に行くようなスーツを着込んで来た。ラフな格好では失礼と思ったのだろう。マリアは市ヶ谷にある防衛省に向かった。マリアはタクシーを降り受付に向かった。住所氏名と身分証明書、行き先、要件を記入して申請する。その手続きが面倒だ。マリアは受付嬢に言った。

「あの防衛大臣にお会いしたいのですが、お取次ぎ願いますか。そう言えば分かると思います」
「ハァ〜取り敢えず其処に記入し身分証明を示しものを提示して下さい。それと防衛大臣など簡単に会えませんよ」
 受付嬢は呆れた顔で睨みつけた。どうやら受付嬢は知らされていないようだ。
「とにかく、そう伝えて下さい。呼んだのはそちらですよ。でないと帰ります」
 温厚なマリアも全く受け入れ態勢が出来て居ないとムッとした。
 なんか揉めていると見たのか警備員が寄って来た。其処に慌てて誰かが走り寄って来た。どうやら待機していた危機管理室の人間のようだ。
「大変失礼致しました。もしかして貴女が例の方でしょうか」
「あっはいそうです。私もこういう場所は馴れないもので」
「申し訳ありません。どうぞ。大臣がお待ちしております」
 これには受付嬢も警備員も口をアングリ開けて驚いている。若い娘が直接防衛大臣に会うなんて前代未聞だ。マリアは丁重に案内され七階にある立派な会議室に通された。既に防衛大臣の中曽根幸三とお偉方五人にスタッフ十数名が待っていた。其処に入って来たのがマリアだ。なんと何処かの女優かモデルのような容姿をしている。しかしあまりにも若いので周りは驚いた。しかも日本人にしては髪の色も眼も違う。イギリスかイタリア系の二世かもしれない。こんな小娘に宇宙人は使者として送ったのか。特殊能力の持ち主と言うが一体何者? とは言え大事なお客様である。全員笑顔で出迎えた。

「よくいらしてくれました。私が防衛大臣の中曽根幸三です。どうぞお座り下さい」
 この部屋の全員がマリアを宇宙人の化身なのか、そんな目で見ている。マリアも疑われていると感じた。まずそれを取り除く必要がある。挨拶代わりにそこから始めた。
「初めまして東野真理亜です。早速ですが疑問から説明しましょう。ある日、私は八ヶ岳連峰の蓼科で宇宙人と遭遇しまして、しかし見た目は人間でした。かなり弱っていて宇宙人と疑わず解放というか薬を飲ませたのです。それで簡単に治ってしまいました」

「あの貴女は宇宙人と遭遇して驚かなかったのですか」
「実は一年ほど前から私に誰かが呼びかけて居ました。私の脳に呼び掛けるのです。多分テレパシーみたいなものかも知れませんね。まさか宇宙人が呼び掛けているとは思っていませんでした。もしかしたら私がコントロールされていたのかも知れませ。驚くより興味が優先しました」
 「それから宇宙人と遭遇したのですか」

「その時は人間だと思ってたんですが。まさか宇宙人だったとは後で驚きましたよ。その宇宙人は地球の細菌にやられてたようです。その細菌は風邪の菌でした。笑うかも知れませんが人間には軽い病気でも宇宙人には免疫がなく瀕死の重傷だったのでしょう。暫く休ませておくと夕方になり、流れ星かと思ったら宇宙船だったのです。ただ母船ではなく母船から放出した小型宇宙船が下りて来てその宇宙船に乗って帰って行きました。その時に渡されたのがこの機械です。多分私との交信用に渡したのだと思います。だからそれ以外の宇宙人と接触していません。それからこの機械を通して私はアルタイル星と交信出来るようになり、それだけじゃなく彼らは私を通して地球と接触を図りたいようです。それから暫くしてアルタイル星人が私を蓼科へ登るように連絡が来ました。すると上空から小型宇宙船のような物からカプセルが放出されて来て御礼の贈り物だというのです。それがこれです」
 マリアは母佐希子と父ドリューンが初めて会った時の話を、母から自分に置き換えて説明した。 まさか宇宙人地球に残ったなんていえない。これでドリューンが疑われずに済む。

つづく




Re: 宇宙人二世 マリア  ( No.14 )
日時: 2020/06/27 18:03
名前: ドリーム (ID: Oj0c8uMa)

宇宙人二世 マリア 14

 マリアは金属の箱から二個の石を取り出した。見た目はなんの変哲がないようだ。
「この赤みがかった鉱石はエネルギーを半永久的に産み出すそうです。因みにこれ一個で原子力発電所と同等のエネルギーがあるそうです。次に青みがかった鉱石はバクテリアを破壊する強烈な光が一点を攻撃し死滅されるものだそうです。もちろん癌も破壊出来るそうです」
「なっなんだって原子力発電同等のエネルギーしかも永久にとは? 私は素人なので分からないが科学者に見て貰おう。そしてこの青みがかった石が癌を死滅させるというのかね。信じられん。これも医学博士に見て貰う必要がある」

「そうしてください。この石が日本の為、世界いや人類に役立ちものである事を祈ります。さてこんな若い娘がアルタイル星人の使者と信じがたいでしょうが私は何故かアルタイル星人に気に入られたようです。特殊能力かどうか分かりませんが私はアルタイル星人と接触してから自分で気が付かぬうちに何らかの能力が備わったようです。この小さなパソコンのような物をご覧ください。まずこれは私しか操作出来ない構造になっており、如何にアルタイル星人の知能が高いか、これを見ると分かります。因みに私はこの機械をコミポートと名付けました」

 マリアはそのコミポートを取り出した。確かにパソコンに似ている。十インチほどの画面はあるがキーボードもマウスもない。更に電源コードもない。全員が中央のテーブルに置かれたコミポートを喰い入るように見つめた。マリアはその画面に手を宛がう。すると画面が放射線の輪が浮かび文字が空中に浮かび上がった。会議室は騒然となりオーと驚きの声を上げた。
『我々はアルタイル星人である。地球の諸君、例の石を受け取って頂いただろうか。きっと地球に役立ちと信じている。友好を結ぶと言っても我々は地球に降り立ち事が出来ない。その理由はご存じだろう。また人類もまた我々の星まで到達する技術もない。よって当面はこのような通信のみで友好を保ちたい。いずれ我々が地球の細菌に耐えられる体力を得たら、また人類がアルタイル星まで来られる技術が出来る事を祈る。当面はマリア嬢を通して良き関係を結びたい』
 全員が読み終えるとマリアは画面の手を払った。するとみんなが溜め息をついた。

「まさしくこの機械も我々にない技術だ。だが不思議なのはなぜアルタイル星人は姿を見せないか」
「それはアルタイル星人に本来形はないのです。一言で云えば微粒子の集合体だと彼らは言っています。人間の姿一人を作りあげるにしても大変な数の微粒子が必要なのです。では何故物体のないのに人間の姿や色んな物体に形を変える事が出来るのか、また宇宙船を作る事が出来るのかという疑問が浮かぶと思います。そこでベガ星の存在があります。ベガは織姫、アルタイルは彦星。七夕での物語のような関係にありベガは物を作る体力を持っているが知力がない。そこでアルタイル星人はベガ星人に物を作らせ、その代わりアルタイル星人は知識を与える。二つの星が協力する事により発展しているのです」
「ほうでは七夕の物語はただのお伽噺ではなく既にそんな関係があったのか」

 一応、マリアの説明が一通り終わった。二つの石は防衛省の関係者に渡された。
「これで私の役目は終わりです。あとは皆さんがあの鉱石をどのように役立てるか期待しております」
 すると一人のスタッフがマリアに質問した。というより興味本位なのかも知れない。何故か疑わしい眼つきだ。こんな小娘が宇宙人の使者というのが気に入らないのだろう。
「あの〜東野さんと申しましたか。特殊能力の持ち主だと伺いましたがどのような能力をお持ちなのでしょう。出来れば披露して頂けますでしょうか」

つづく


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。