ダーク・ファンタジー小説
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- 魔法学校は絶対的階級社会
- 日時: 2020/12/11 16:31
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
この世界は絶対的階級社会だ。
属性・能力・役職などで人間の価値が全て決まってしまう。
いくら性格の良い人だって、能力がなければ屑扱いされる。
そんな厳しい世界は“エリートの育成”に励んでいる。
“エリート育成国際プロジェクト”である有名魔学者が
「エリート育成には高度な魔法を教える学校が必要です。」と言った。
世界は動いた。
高度な魔法を使える人を世界規模で集め、審査して教師を専攻した。
第1級魔学者たちは最高難易度の魔法教書を作成した。
こうして、アリエート魔法学校が完成したのだった。
アリエート魔法学校へは、アリエート魔法学校特別初等部の成績優秀者たちと
厳しい試験を突破してきたものたちが入学する。
アリエート魔法学校は“伸びしろ”を大切にする。
いくら優秀でも“伸びしろ”がなければ入学することはできない。
これは、伸びしろがあると判断されてアリエート魔法学校に入学した
大器晩成型少女の話である。
第一章 ー恋雪という呑気な少女ー
1話 >>01 2話 >>02 3話 >>03 4話 >>04 5話 >>05
6話 >>06 7話 >>07 8話 >>08
第二章 ー天才少女ー
1話 >>09 2話 >>010 3話 >>011 4話 >>012 5話 >>013
- Re: 魔法学校は絶対的階級社会 ( No.9 )
- 日時: 2020/12/09 21:54
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
実技テストがあった日の午後は、大抵休みになる。今日も例外では無かった。
帰り道、恋雪は初級ワープホールを創ってみた。できた。
今日はホントにすごい日。色々なことができるようになった日。
恋雪は思った。もしかしたら自分に魔法の才能があるんじゃないかって。
ろくに練習もせずにS評価をもらった。絶対才能ある。
恋雪は魔法教書を開いた。恋雪は魔法教書の中身をたくさん勉強した。
恋雪は天才だった。普通の人が一年で覚えるところを1日でマスターした。
恋雪はぐんぐん吸収した。
たったの1日で魔法教書の中身の三分の一をマスターした。
恋雪は上機嫌だった。夜遅くまで勉強していた。
彼女はふと思った。
私は何属性なんだろうって。花属性も光属性も使える。水も火もなんとか。
花や光があっているのは分かるけど、今ひとつ。
普通に見たら、どちらもかなり高度なところまでいっているのだが。
恋雪は数時間のうちに感覚が完全にマヒった。
恋雪は、とうとう眠くなった。
ピンク色のベットの中に飛び込むようにして、寝てしまった。
明日のお弁当の中身を考えながら。
- Re: 魔法学校は絶対的階級社会 ( No.10 )
- 日時: 2020/12/09 22:07
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
恋雪の上機嫌は続いていた。朝起きた瞬間から鼻歌を歌っていた。
お弁当の中身、どうしようかな。炒り卵は昨日作った。
私は天才になったから、お祝いでちょっと豪華にしよう。
お高めの食パンを三角に切って、レアチーズと野菜を挟む。
卵焼きを挟んだり、フルーツを挟んだり。
サンドイッチを四個作った。
もう少し食べたいと思ったから、彼女はケチャップがらめグラタンを作って、
それを少し弁当に入れた。
残りは弟の陽翠の弁当にぶっ込んだ。
恋雪は初級ワープホールを創って学校に行く。
教室に行くと、成績掲示板のところでみんなが騒いでいた。
「どうしたの?慧漣。」
「恋雪……あなたってホント特別。」
「びっくり!!」
なんなの。わたしは人の波をかき分けて成績掲示板のところまで行った。
- Re: 魔法学校は絶対的階級社会 ( No.11 )
- 日時: 2020/12/10 16:38
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
恋雪は成績掲示板を見た。ええっ!
恋雪はLクラスのナンバー2に昇級していた。ものすごい飛び級だ。
ユウがナンバー4だから、私はユウよりも上。
あり得ないぐらいの嬉しさと、複雑な気持ちが頭を駆け抜けた。ビュンって。
慧漣は、さっきから「すごいね、すごいね」って褒めてくれている。
私が素直に喜べないわけが分かった。ユウを越しちゃったからだ。
私は悪くない、それは分かっている。
でも、心の中でマワッテイルンダ。ユウと仲良くしたいって、
ユウに嫌われたくないって気持ちが。
コーンコーン
チャイムが鳴った。ユウはまだ登校していない。心配。
私はエレリッパ先生からLクラスのバッチをもらった。
Lクラスの特別講義が今日の午後二時半からあるから
忘れずに来てって言われた。
私は特別講義に行きたかった。
でも、行けば、自分が好きな人の魔力を越したことを認めることになるんだ。
恋雪はそれがイヤだった。
恋雪は、恋をしていた。
- Re: 魔法学校は絶対的階級社会 ( No.12 )
- 日時: 2020/12/10 16:48
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
恋雪はぼーっとしていた。授業を全く聞いていない。
慧漣の心配した声が聞こえるけど、今日はおせっかいって思っちゃう。
食事タイムになっても、ユウは来なかった。
恋雪はサンドイッチやグラタンの味を感じなかった。
ただ、時計が二時半を指すのを待っていた。
ただいま、二時十五分。あと十五分で特別講義が始まる。
初級ワープホールを創って第二講義室に行く。
生徒が2人と先生が1人いた。まだこれだけ。
生徒の1人が近づいてきた。
「今日は。私の名前は御琳。
ここは第二講義室。居残り部屋じゃないよ。」
何言ってるの。この子。
私は部屋を間違えるほどバカじゃないよ。
「聞いてるの。疲れてるのかな。
先生ー!この子を医務室に連れて行ってください!」
イラッときた。私は花属性の魔法を放つ。
「医務室に行きたいって私は言ってないけど、
ナンデセンセイヲヨブノ。」
- Re: 魔法学校は絶対的階級社会 ( No.13 )
- 日時: 2020/12/11 16:29
- 名前: リリ (ID: OYJCn7rx)
私が頼んでもいないのに、医務室に連れて行こうとするって、
ホントに身勝手。
私はLクラスのナンバー2。ナンバー1は男の子だから、(御琳は女の子)
御琳っ子より私は上の階級なのよ。天罰を喰らわせてやらなくっちゃ。
恋雪は手から大きな光を絞り出す。
光を丸めて、もっと輝かせて、御琳に向かって飛ばす。
御琳は恋雪のつくった魔法をもろに受けて吹っ飛んでいった。
この世界が階級社会でホントに助かった。
階級社会は、上のものが下のものをいじめることなんて普通だもの。
みんなそれを普通だと思ってる。
だから、いじめられても苦しくない。
それが“日常”だから。それが“当たり前”だから。
御琳の取り巻きらしい娘たちが飛行魔法を使って御琳を探しに行く。
彼女たちも私を睨まなかった。
ダッテ、ワタシノホウガカイキュウウエダモノ。
時計が二時半をサシタ。