ダーク・ファンタジー小説

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庭園の主
日時: 2021/05/01 17:23
名前: 望女 (ID: Ryt8vfyf)

私、レイアジーラ ナイングは、宮廷の庭園の主人をしている。
いきなりで全く申し訳ないけれど、今から始まるのは、私のささやかな仕事の物語だ。

《ご挨拶》こんにちは。あるいははじめまして。
望女です。のぞめと読みます。
読んでいただきありがとうございます!
あなたが楽しんで読めるよう、頑張りま
す。
舞台:とある王国の宮廷の庭園
主人公:レイアジーラ ナイング
名目上は庭の世話係の侍女だが、庭の管
理全般を行っている

「レター、周りをしっかり見張っているのよ」
あの方は確か王の妃の一人だったはず…。あ、カリシア様か。そんな彼女がどうして侍女のレターだけ連れて庭園へ?植物の観賞が趣味とは聞いていない。
私はそっと木の陰に隠れた。
カリシア様は、えらくこそこそと歩く。
…絶対ろくなことじゃない。
私は息をひそめた。

Re: 庭園の主 ( No.8 )
日時: 2021/06/13 18:33
名前: 望女 (ID: hjVvZ87o)

「あっ…!あっ…!あっ……!レ、レレレ、レイアちゃん……!」
私に飛び付いてきたのはコレッド グラスウィンド。マージュン王妃の侍女だ。かなりの名家だし、彼女自身も侍女頭の次に偉いらしい。彼女とも王宮に来てから知り合った。一目惚れしたとか言っているが、冗談だと思っている。思えば、出会って二年だ。
「ああ、今日も愛してる……!もお、メロメロ!」
「はいはい。今日はね、ちょっと聞きたいことがあって来たのよ」
「なあに?結婚の打診?すぐOKしたげる!」
胸の前で手を組んで目を潤ませるコレッドちゃん。
「違うわよ。ちょっと落ち着いてコレッドちゃん。ほら、カリシア王妃様っているじゃない。今、あの方の事調べてて…」
「はあ!?はあああ~!?何レイアちゃん!こんなにも一途な私を差し置いて、王妃なんかに懸想してんの!?何よ!略奪愛もそれはそれで燃えるけど!」
声がでかいよ、もう。話が進まないから。
「違う違う。コレッドちゃんが一番(の友達)だから」
「告白!?」
もう無視して進めよう。
「カリシア様の宮周辺で、きな臭い話とかあったりしない?」
「あー……。有るには有るよ。ただ、噂程度なんだけどね…。ほら、侍女にレターさんっているじゃない?あの人の実家が、不正とかしてるらしいよ」

Re: 庭園の主 ( No.9 )
日時: 2021/07/08 11:58
名前: 望女 (ID: hjVvZ87o)

「またね、レイアちゃん!いつでも会いに来て!いつも待ってる!」
ぶんぶん手を振るコレッドちゃんに見送られ、私はマージュン王妃の宮をあとにした。
しかしなあ。不正と呪い…。関係…あるんだろうか?そりゃ理屈と膏薬はどこにだってつくんだけど。
よし、次はリシューレの所へゴー!
「侍女のレターの実家の…不正?はあ……そんなことありましたっけ……あ、あるわ。あります」
休憩中だった。ほんと助かるなあ。
「ほら、レター ヘルセーの実家って、そこそこでかい商家じゃないですか。あそこの金回りがきな臭いらしくて。何か癒着してるとか何とか」
「ふむふむ……。もうちょい詳しく」
「えっとですね、まあ内部も荒れてて若干崩壊寸前ですし、官僚が口利きする見返りに金を出したり……みたいなとこですかね」
「びっくりするほど典型的な癒着じゃないですか……。なるほど。他はないですかね?」
「あ、あと、それがばれちゃって、規模を縮小させられるらしいです。完全な取り潰しにはならないのが権力を物語ってますねえ」
ティーカップを持ち上げて紅茶を飲む。
「ふうん……。いつもありがとうございます。じゃあまた」
ううん……。ああもう……。全くもって決定打に欠ける……。どうする?レターの所に、行っちゃおうか?あんまり庭園もほっとけないし、……行っちゃおうか。

Re: 庭園の主 ( No.10 )
日時: 2021/09/22 23:30
名前: 望女 (ID: F1jZpOj6)

レター ヘルセー。彼女について調べた。協力は、お馴染みリシューレ。
都の商家の娘で、寡黙だが、仕事はできる。20歳。カリシア様からの信頼は厚い。ただ、同僚とはあまりうまくいっていない様子。お団子ヘアー。つり目が魅力。
さすがに、いきなり突撃するのはバカの所業なので、一応計画は立てる。
「ねえ、あなた。チャーミングなつり目ね。私とお茶しない?」
ナンパしてみた。壁ドンもしてみた。
お嬢様だから、慣れていないはずと思い、やってみたけど……どう出るか。
「……あ、あうっ。どっ、どなたですかっ……!」
「!?」
えええええ!唖然。クールだと思ってたけど……あっれえ?初心うぶな感じだ……演技かもしれないけども。顔真っ赤だ……。
「ん?かわいくて気になっちゃったんだ。ごめんね?いきなり声かけて」
笑顔で言う。うう……キャラが暴走し出した……。でももう、止められない。
「今って、時間ある?ちょっと話したいなあ」
「あうっ、い、今は、ちょ、ちょうど、あの、交代に、なったとこでっ」
カリシア様の宮には、交代制度があるのだ。
「そっか、よかったー。一緒に食堂まで行こっか」
私は彼女の手を握って歩き出した。
……今更ながら、これ、大丈夫……?

Re: 庭園の主 ( No.11 )
日時: 2021/12/28 18:41
名前: 望女 (ID: 7uqXWVar)

「ねえ、このお茶美味しいわねえ~。あ、お菓子もどうぞ!」
庭園の小屋にてルンルンティータイム♪レターの向かいに座って、お茶を勧める。
「あ、はい……」
ずいぶんと顔色が悪くない?……これは……。
「私はね、レイアジーラって言うの。実は、レター、あなたに用があって」
「は、い……」
んー、あやしーなー……。まあもし犯人でも、こんな可愛い子をいじめる趣味はないから、さくっとやるか。
「あなた、まじないってご存知?」
「…………はい」
「この庭園で、近頃そういうのがあってねぇ。あなた?」
つっこみすぎたか?レターの様子を伺う。
「……ごめんな、さ……い……」
おおう……めっちゃ涙目やん……、これ、何か大丈夫?笑顔は心掛けたんだけど。
「ごめんね、泣かないで?んー、ちょっと別のとこで話そっか。いろいろ教えてくれる?」
「……はい……」
二人立ち上がってドアへ向かう。
紳士な私がドアを開けてあげようとした時。
レターは、腕を大きく振りかぶった。
金属が、きらめく。

Re: 庭園の主 ( No.12 )
日時: 2022/01/09 00:09
名前: 望女 (ID: frKstor9)

私は彼女の右手のナイフを避けつつ一歩で懐に入り、レターのみぞおちに固めた拳を叩き込んだ。
「ぁっ……!う……」
床に崩れ落ち、少しあと気を失ってしまったレター。力加減はしたけどなー。こんなキュートな箱入り娘に負けるほどの私じゃない。
とりあえず手を縛って、横抱き(お姫さま抱っこ)で城に連れていくことにした。
歩きつつ考える。
私を刺そうとしたのはパニクった末の証拠隠滅だろうな。
ただ。すっかり忘れていた。実際に庭園に扇子だのを仕込んだのはカリシア様であったことを!
やだも~……。ややこしいやん~。
もう一度カリシア様に接触するか?……いや、それは最終手段にしたいかな。
んー、レターの自白に期待して、聴取だねえ。私別に警備の人じゃねーんだけどなあ。職掌の範囲外じゃないの?
ただ、もう少し私の中でいくつか推理を考えておこうかな。
1。やっぱレターとカリシア様グル。
2。レターがカリシア様を騙していた。
3。レターはカリシア様を庇っている。
4。二人の後ろには黒幕がいる。
5。ホントはあの日私が見たのは偽カリシア様だった。
こんなもんか……?


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