ダーク・ファンタジー小説
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- 帝国幻想
- 日時: 2021/12/10 20:18
- 名前: 朧月 (ID: fpEl6qfM)
初めまして、朧月と申します。
グダグダとクソ長い小説を投稿させていただきます、よろしくお願いいたします。
これは、一応二次創作ではありませんが、あちらこちらの小説を参考にさせていただいてるので、似たようなシーンや、被り等があるかもしれません。ご了承ください。
追記:雑談掲示板にこの小説の感想スレ立てました。良かったら是非。
- Re: 帝国幻想 ( No.9 )
- 日時: 2021/11/26 18:44
- 名前: 朧月 (ID: fpEl6qfM)
第2章 135話~出町~ sid.ソロ
期末終わったhuuuuuuuuuuuu!!!(歓喜)
―――――――――――――――
「レオンさん、行くよー!」
「早く行こうぜー!!」
「前にもあったな、こんなこと。」
なんていう、昔の思い出に思考を委ねつつ、相変わらず滑らかだが硬質なクロムの背に、ひょいと乗る。
事件から一夜明けた早朝、それが今だ。前に一度、旅の計画を担当しているガートに「何故、いつも早朝に出発するのか。」と尋ねたら、「朝の空気が好きだから。」と返答が返って来た。
そんな彼に合わせ、日の出よりも少し早くに町を出る。
博美たちとは前日の内に別れを済ませ、彼らが呼び寄せた王国兵たちも、報告のためにと一足先に帰っていった。
「そういや、レオンさんの本名ってソロだよね?」
「あァ。」
荷物をリンガルの背に積むガートが尋ねた。
「由来って、あるの?」
「由来か……。」
考えたことは無かったな。
元はといえば、私はヴェルガノーツ伯爵邸の前に捨てられ、運良く拾われただけの孤児だ。この名前はどうやらその時の私が必死に叫んでいたものらしいが、そのルーツも名付け親も、知らない。
ならば、1つ。ここは、自分で名付けてみるのも良いかもしれない。
私は祖国で、「何この名前。」と言いながらお互いに意味を考え合っていた桃髪の姉弟を思い出した。
「そうだな、由来は……」
「由来は?」
「お、レオンの名前の話か?」
向こうで宿代を払っていたアラも、興味津々な様子で
やって来る。
「とある昔の言葉で、ヒスイって意味だ。」
「ヒスイ?……ってあの、宝石の?」
「あァ。」
「確か、ジェイドの東国での呼び名だよな。」
予想外の言葉に、彼らはあれやこれやと思慮を巡らせる。とても、微笑ましい光景だ。
――――ソロ。綴りは、〝ℑ∌℘∌〟。
古代神聖語で、〝翡翠色の瞳を持つ孤児〟という意味だ。
―――――――――――――――
久々の更新。
最近マジでリアルが忙しい。完全にあいつらのせいだけど。
期末終わったんでのんびりとアナログの方も更新していきます。
いい加減どうにかしようと思ってた事を消化するだけの謎回になってしまった、すまん。
ちなみに、ソロの古代神聖語表記は便利な数学記号さんから持ってきた。楽だぜhuuuuuuuuuuuu!!!(歓喜)
次回「帰って来た、王都。任務の【報告】。」
- Re: 帝国幻想 ( No.10 )
- 日時: 2021/12/10 20:16
- 名前: 朧月 (ID: fpEl6qfM)
第2章 136話~報告~ sid.ソロ
ひっさびさの更新。
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「久々だな。」
「約一週間ぶりか?」
「たぶん、そう。」
約一週間ぶりの王都は、相も変わらず活気に溢れていた。
あちこちで黄金の旗が翻り、バタバタと風にはためいている。心なしか、その輝きは以前より少し、眩しいように感じた。
門番の許可を得て王宮に入り、あの時と同じように、謁見の間で跪く。
「王妃。」
「まずは面をお上げになって。娘の病の旅、本当に御苦労様でした。」
「いえ、とんでも御座いません。私の方こそ、長い間戻らなかった上、他人事に首を突っ込んでしまい、申し訳ありませんでした。」
「いいえ。結果は良いのですから、構いませんわ。」
一言、二言。言葉を交わすと、王妃は打ち解けた口調でそう言った。顔には、大輪の花がほころぶような笑みが、美しく咲いている。
彼女を花に例えるのなら、クリスマスローズだろうか。
儚く、可憐なようでいて、その実厳しい寒さにも耐えられるような強さを兼ね備えている。王妃や皇后といった正しく人の上に立つ者というのは、こうも皆憂いのない生命力やカリスマなどといったものを持っているものなのだろうか。
「それで、どうでした?病の方は。」
「私の知り合いのとある商人によると、王女の病の原因となっていたのは、不甲斐なくも我が国の亡命者の企みだったようで……王女の生命の源となる月の泉の中に、魔物が放り込まれていました。」
「あらまあ、なんと!」
「人身売買の件についてもカプチアーノ商会は祖国の者でして……誠に面目御座いません……」
私は申し訳無さから、王妃に頭を下げる。すると、王妃は慌てたように私の視線を地面から上げさせ、笑顔で言った。
「いいえ、貴方のせいではないわ。だって、貴方は祖国の代表としてこの国に来ているわけではないでしょう?
――――だから、大丈夫よ。」
そう、王妃は優しく私に手を差し伸べた。
あァ、私らしくない。柄にもなく、泣いてしまいそうだ。誰かにこんなに優しくされたことなんて、一体何年ぶりだろうか。
きっと、この方が選んだ王は、この方が育てた子供たちは、この方の周りに居る方々は。多くの愛情を受け、支え合い、協力し合い、たくさんの人々を導く方になるのだろう。
そう思わせる何かを、この美しく逞しき王妃は持っていた。
―――――――――――――――
はい、王妃様カッコいい回。
まァ、この小説に出て来てるキャラ(特に女子)はみんなカッコよく書いてあるんですけどネ!あたしの性癖。
今回は、自分でも満足の出来です。
やっぱ、一度書いたものは書き直した方がいいね。より、良くなる。
あ、あと、雑談掲示板に帝国幻想感想スレぶっ立てるんで良かったら是非。
さて、次回予告。
次回「ルナの病の【回復】。」
- Re: 帝国幻想 ( No.11 )
- 日時: 2021/12/22 16:23
- 名前: 朧月 (ID: DYIx383H)
第2章 137話~回復~ sid.ソロ
ひっさびさの更新。
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「ルナ。」
「だぁれ?」
「ソロだ。」
「本当!?」
豪華な装飾の施された扉の先に居たのは、天真爛漫な様子のルナだった。
彼女は私を見るなり、一目散に飛んでくる。先ほどまで遊んであろう熊のぬいぐるみは、一瞬のうちに宙に放り出され、そしてポスっと音を立ててふかふかな毛布の上に落下した。
こんなに元気が溢れているが、まだ本調子ではないらしい。彼女は少し体温が高く、熱っぽいようであった。
しかし、おおもとの原因は綺麗さっぱり排除したことだし、しばらくすれば自ずと体調も戻って来るだろう。
「元気になったか?」
「うん、もうすっかり。衛兵さんから聞いたよ。ソロ、ありがとう。今はいないけど、ソルもありがとうだって。」
ソル……確か、広場で助けた少女だったか。
そんなことを思い出しながら、キラキラと目を輝かせたルナに向かって言う。
「無理はいけない。知り合いからよく効く薬草を預かって来たから、煎じてもらうんだよ。」
「はあい。」
何となく、熱さと薬草の匂いにびくつきながらも少しずつチロチロと舐めるように煎じてもらったお茶を飲むルナの姿が、頭に思い浮かんだ。その隣では、ソルが見栄を張って一気飲みをしようとしてあまりの苦さにむせてしまっているのも、想像できた。
そんな微笑ましい光景が一瞬頭を過り、私は少し心の内が温かくなる。ここしばらくは人身売買や魔物化を目撃していために、稀にこういう幸せなことが訪れると、安堵してしまう。
「ソロは、いつ、また旅に出るの?」
「明日の早朝、だな。」
「そっか……。私、朝は苦手だからお見送りはできないかもしれないけど、行けたら行くね。」
「ありがとう。」
我ながら、良い友人を持った。
彼女は一輪のダリアの花のように、可愛らしい笑顔を綻ばせた。
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ごめんなさい、今回短いです。
では、次回予告。
次回「ついに第二章完結!新たなる、【首途】。」
- Re: 帝国幻想 ( No.12 )
- 日時: 2022/02/18 13:11
- 名前: 朧月 (ID: DYIx383H)
第2章 138話~首途~ sid.ソロ
ひっさびさの更新。
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「本当に、行っちゃうんだね……」
「あァ。」
「また、会おうね。」
「もちろんだ。」
旅立つのは、相も変わらず夜明け前の早朝だ。冷たい風が時折吹き抜けるここに、寝間着姿のルナがぎゅっとぬいぐるみを抱きしめながらやって来ていた。その横には、少し早めの起床で眠いのかあくびをしているソルと、数名のメイドたちが居る。
今日でこの国も最後だ。友人がいたこともあって思い出深いが、見聞のためには他国へも行く必要がある。
友人と別れてしまう少しの寂しさを胸に、私はルナのそばから離れ、クロムの背に乗り込む。アラやガートは、「どうせ暇だから。」という理由でこの旅に同行することになった。
「またな、ルナ。いつか、手紙を書くよ。」
「うん、待ってる。」
「ルナ、そろそろ夜明けだよ。」
ソルが、空を見上げながら言う。暁が、その輝く瞳を開こうとしていた。
ほんのりと、王都が。
そして、ルナやソル、ガートたちが。
ゆっくりと、朝日に照らされていく。淡紅色のベールが、世界を包む瞬間。
「ルナ。君に、この言葉を送ろう。
不安なときは、いつでも唱えておいで。君を励ましてくれるはずだから。
――――〝I love you.(月が、綺麗ですね。)〟」
ルナは、きょとんとした顔で言う。
「何?それ。」
「いずれ分かるさ。もし、いつかその時が来たなら、是非とも手紙にこの言葉を添えてくれ。
〝I know.(知っているわ。)〟」
「う、うーん?分かった。」
「ありがとう。」
私はルナたちに手を振り、ガートたちと共に歩き出す。
乗用犬程の大きさのクロムに並ぶようにして、けれどそれよりも高い所から、彼は私に声を掛けてきた。
「よかったの?返答を〝I'll owe you.(死んでもいいわ)〟にしなくて。」
「まさか。まだ齢10の子供に、そんなことを言うわけがないだろう。」
「そうなんだ。」
ガートはそれだけ言って、少し後ろの方へ下がっていった。
―――――――――――――――
さて、此度の「愛してる」は、友人としての「愛してる」です。お間違いなきよう。
では、予告。
次回「第二章完結!続くは第三章、ついに開幕。
不思議と迷宮の国、ログナルク連邦国編【連邦】。」
- Re: 帝国幻想 ( No.13 )
- 日時: 2022/03/19 20:48
- 名前: 朧月 (ID: fpEl6qfM)
第3章『不思議と迷宮の国』編
139話~連邦~ sid.ソロ
念願の第三章っ……!!!
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「次の方-。」
「はい!」
マジェスティナの王都から、数イデア。程遠いログナルク連邦国の首都に、我々はやってきていた。
周りがぐるりと城壁に囲まれていて、街はその中にある。にもかかわらず、市民に閉塞感を感じさせないためと思われる沢山の窓や、活力に溢れた蔦が、壁のあちこちに見られた。
入国する人々の列に並び、門番の検閲を受けて中へ。
背の高い城壁の先には、清潔な街並みができている。行き交う人々は皆、カジュアルな普段着を着用し、治安の良さがうかがえた。遠目に見える連邦国議会堂も、その美しい灰色が、際立つような青空の中にうまく収まっている。
この市街の設計士は、一体誰なのだろうか。思わず見とれてしまう程の風景を作り上げた人間に、是非とも会いたいと思った。
「設計士、誰だって?」
「だからあの、この国を纏め上げるリーダーさんだよ。」
道端で、そんな話し声がした。
なんと、ログナルク連邦国のリーダー自ら街を創造するとは。道理で、優雅に整っているわけだ。
通常、いくら小国の集まりとはいえ、そのリーダーたる人物が都市開発の設計を行うなど、ほとんどあり得ない。大抵は、専門の「設計士」と呼ばれる職業の者に丸投げしてしまうのだ。理由は簡単、忙しいからである。
それにもかかわらず、この街ではリーダーが指揮を取って開発の計画を進めているようだ。時間のかかる都市設計のための時間を空けれる人物だ、どれほど優秀なのだろう。
と、そんなことを思案していた私に、ガートが声をかける。
「レオンさん、ここでもフードしてるの?」
「あァ、一応な。」
「こんな、平和と正義を唱える国で、刺し殺されたりなんかしないだろ。」
静かにフードの縁を抑える私に向かって、アラが、のんきにそう言った。
その時。
ふわりと、風が吹く。油断していた私の手から、フードがめくり上げられた。一瞬、通行人の視線がこちらを向く。
そして。
「アオイ様!?」
「本当だ、首領様ソックリだわ!」
「首領様!首領様!首領様!」
こちらに目を向けた人々が、歓喜の様子で喚き立つ。
……どうやら私は、この国のリーダーと間違えられてしまったらしい。
―――――――――――――――
初日からハプニング!!
久々の更新だった(いつもそれしか言ってないな by夜桜)
次回「【首領】に間違えられたソロと、本物。」