ダーク・ファンタジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

異世界戦争~魔法と技術~ 第二章  
日時: 2025/01/17 23:08
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)

こんにちは
作者の味海みかいです。
この話はもともとコメディーライトのほうで投稿していたのですが、あまりにも明るい感じではないので、こちらで連載?することにしました。
初心者みたいな文章力なのでお気を付けください。



作者用事で投稿できずすいません…
小説☆カキコ大会2023・冬 銅賞 ありがとうございます。
小説☆カキコ大会2024・夏 金賞 ありがとうございます。
閲覧数100越えありがとうございます。(日時不明)
閲覧数200越えありがとうございます。(2023確認時4/26)
閲覧数300越えありがとうございます。(2023確認時5/28)
閲覧数400越えありがとうございます。(2023確認時7/13)
閲覧数500越えありがとうございます。(2023確認時7/26)
閲覧数600越えありがとうございます。(2023確認時8/6)
閲覧数700越えありがとうございます。(2023確認時9/4)
閲覧数800越えありがとうございます。(2023確認時10/15)
閲覧数900越えありがとうございます。(2024確認時1/17)
閲覧数1000越えありがとうございます。(2024確認時2/14)
閲覧数1100越えありがとうございます。(2024確認時2/28)
閲覧数1200越えありがとうございます。(2024確認時3/31)
閲覧数1300越えありがとうございます。(2024確認時4/20)
閲覧数1400越えありがとうございます。(2024確認時4/2? 日時不明)
閲覧数1500越えありがとうございます。(2024確認時4/28)
閲覧数1600越えありがとうございます。(2024確認時5/16)
閲覧数1700越えありがとうございます。(2024確認時5/22)
閲覧数1800越えありがとうございます。(2024確認時7/8)
閲覧数1900越えありがとうございます。(2024確認時9/6)

閲覧数が1000に達したので、なんかやります。


感想等を頂けると作者がもっと頑張れます
書いてくださる方は是非(いるかわかりませんが…)


目次
プロローグの一気見 >>1-4
第一話の一気見 >>5-9
第二話の一気見 >>10-12
第三話の一気見 >>13-15
第四話の一気見 >>16
第五話の一気見 >>17-18
第六話の一気見 >>19-21
第七話の一気見 >>22-24

全部一気見 >>1-

一章のみ見る>>1-16
二章のみ見る>>17-

プロローグ1 >>1
プロローグ2 >>2
プロローグ3 >>3
プロローグ4 >>4
第一話 (1) >>5
第一話 (2) >>6
第一話 (3) >>7
第一話 (4) >>8
第一話 (5) >>9
第二話 (1) >>10
第二話 (2) >>11
第二話 (3) >>12
第三話 (1) >>13
第三話 (2) >>14
第三話 (3) >>15
第四話 >>16
第五話 (1)>>17
第五話 (2)>>18
第六話 (1)>>19
第六話 (2)>>20
第六話 (3)>>21
第七話 (1)>>22
第七話 (2)>>23
第七話 (3)>>24
第八話 (1)>>25

第八話(その2) ( No.26 )
日時: 2024/03/06 20:31
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)










一歩を踏み出し、完全にドアの外に出たその瞬間
パタンッと音が鳴る。
どうやらドアが閉まってしまったようだった。
一面に広がるは、暗黒。
光も、重力さえもないのか、ふわふわと漂う感じがする。
そう、まるで……自分が液体になったかのような。
そんな不思議な感じだ。
「……一体……ここは……?」
ぽつりとつぶやいてみるが、応答はない。
ひたすらに誰かを呼んでみる、それでも返事は帰ってこない。
しばらくして、僕はあることに気づく。
足元にとても小さな穴が出来ているのだ。
しかももその穴はどこかに繋がっているかのように光を僕にもたらした。
僕はそれをまじまじと見つめ、その穴に指を入れ穴を無理やり大きくさせると穴の向こう側を覗く。
見えたのは二つの木だった。
一つは樹齢が何千もありそうな大きな樹、もう一つはまだまだ伸びそうな少し小さめの木。
「……めろ……」
どこか遠くから声が聞こえる。
それとともに足音も。
足を軽く引きずるような、それでいてそれがたくさんあるような。
僕はより穴に力を込める。
じわじわと広がっていき、周りの情報が分かってくる。
どうやらここは森のようだ。
「……壊す……鎮めろ……」
近くからそう聞こえる。
僕は頭からその穴に潜り込み、暗闇から抜け出す。
そして近くの木の陰から、そろりと声の方を見る。
「ッ!?」
そこにいたのは落ち武者のような姿をした大柄の男性たちだった。
そして、その落ち武者たちは皆、
こちらを凝視ぎょうししていた。



――――――――――――






「今回、とある報告があってみなを呼んだ……そうだな?」
机の上のランプで照らされた部屋の隅で声がする。
「……そうだね」
その声と共に、ぬらりと出っ歯の男が姿をあらわす。
「何があったの♪」
ランプの光を中心として周りに様々な人が集まり始めた。
ある人は殺人鬼、ある人は殺人鬼の妹、またある人は鎧を着て、またまたある人はオレンジのジャージを着て、椅子に座る。
「……皆も知っている通り、移動役として便利だったあのルソア零特等ゼロとくとうが死んだ、しかも僕らの組織の名前を言って」
その瞬間場が凍り付き、部屋の空気が重たくなる。
しかし
「ふざけるな!!」
それをかき消すかのように机をたたきながら鎧をまとった何かが立ち上がる。
「……ふざけてないけど?」
「いーやお前の言いたいことはもう部下から聞いてる、お前何を考えてるんだ」
「やめなよ♪」
「お前もか、イサ!」
「いやいや♪もしかしたら違うかもしれないでしょ♪」
「チッ」
舌打ちをしながら鎧をまとった何かは不満そうに座りこむ。
不思議と鎧の音は聞こえない。
「もし俺の考え通りだったら……覚えていろよ、イサ」
「あはは♪いいよ♪その時は殺してあげるから♪」
「……もういいかな?」
「「「「どうぞ」」」」
「……計画はそのままで行く」
「へぇ~……それまた何で?」
今度は白いシスターのような女が出っ歯に問いかける。
「それは……ソルタの部下がさっき言っていた事が関係してる」
ソルタと呼ばれた何鎧の何かはない足を机に乗せるかのような体勢でふんぞり返る。
「やっぱりそうじゃねぇか……」
「……とはいっても、それはあくまで後押しするほどの何かではないんだけどね」
「まぁでも一応関係することだからソルタ、話してくれ」
「……クソが」
先ほどまでふんぞり返っていたソルタは体勢を直し、不満げな声で話し始めた。
部下から聞いた話を。
「とまぁ、僕の父が彼の部下に勝手に言っちゃったんだよね」
「で?何で計画はそのままなんだ?オルさんよぉ」
不満げだったソルタは首を傾げ、相手を威圧するように出っ歯……いや、オルに話しかける。
「……彼がおそらく、いや確実にこの世界を壊すからだ」
「んなわけねぇだろ、聞いたところによるとボスはソイツを三等で捕まえるって言ってるんだぜ?そんなヤツが世界を壊す?聞いてあきれる、しかもボスの命令を完全に無視するようなもんだろこの作戦はよぉ」
「まぁ、これだけ言われたらそうなるか」
「あ?」
オルはズボンのポケットからぐしゃぐしゃに紙を取り出しそれを机の上に置く。
そして音を立てながらもそのしわを伸ばし広げた。
「これを見て」
「なんだこれ」
「僕の奇術で出た彼の行うことの占い結果」
「へぇ~♪」
その紙にはたった一文字だけ書かれていた。

と。

――――――――――――――――――――




「ふぅ……」
僕は黒い覆面マスクをした男の頭を踏んずけながら、一呼吸を置き、青空を眺める。
さっきまでここは普通の家だった。
が、コイツのせいで家が……
「だ、大丈夫ですか?ビットさん」
アルトモと……
「ちょっと待って」
そう言うと僕は男の握っていた赤いクリスタルを拳ごと踏み砕く。
男の呻くような悲鳴と、骨が砕け血と肉がさらけ出される。
それにクリスタルが混ざることで一種の芸術のようだ。
そんな事を考えながらも僕はすぐさま口を開いた。
「もう喋っていいよ!えーと……」
「ッ……!カ、カンナです!!」
駆け寄っていたアルトモとカンナは嬉しそうにお互いの顔を見合わせた。
「喋れます!!喋れるようになりました!!」
ぴょんぴょんと跳ねるその姿はまるで兎のようだ。
「で」
「君は一体なんなんだ?シルディアの追手か?それとも」
「アルハマス」
ビクッと男の体が跳ねる。
「あたりかい?」
そう言って飛び切りの笑顔を見せてやる。
男はまたもやヒッと小さい声を漏らし、ガタガタ震え始める。
「ち、違う……俺は……雇われて……シハル国に……」
男はたどたどしく、答えた。
その瞬間、男の顔面がゆがんだ。
目を見開きながら、泡を吹き、眉間にしわを寄せ、歯ぎしりをしながら。
呼吸が荒くなっていく。
そして
「?どうした?」
「あー、あー、あぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「おい!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
アルトモとカンナは思わず耳をふさぐ、しかしそれすらも貫通するほどの大声。
一体何が起きているんだ。
僕も耳をふさぎ、何とか頬を叩いて正気に戻そうとする。
がもう遅かった。
男の大きく開いた口が一瞬光ると―――――――――――――――――――――









第八話(その2) 死亡を志望

第八話(その3) ( No.27 )
日時: 2024/03/31 18:55
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)




「その程度か」
透き通るかのような女の声が耳に刺さる。
「ふぅ、ふぅ、はぁ……」
女は鎧をガシャガシャと鳴らしながら、こちらへ歩み始める。
「オシャッシ―の王が最強と言うからわざわざ遠征してまで来たのに……期待外れだ」
動悸が激しくなっていく。
おそらくあの女が俺の前に来た時、完全に俺は死ぬだろう。
一体何が起きているんだ、この世界は。
「じゃあね……どうした?」
俺はとっさに腹を抑えていた両手を挙げた。
「……死ぬ前にお前の名前を教えてくれ」
しばし沈黙が流れる。
その間も俺のないはずの腹からドクドクと溢れていく。
「……いいだろう、私の名前は」
「シルディア国、イルエス王の娘、マルク・イルエスだ」
「ふぅ、はぁ……そうか、ありがとよ、一緒に死んでくれて」
直後、オシャッシ―という国は地図からも歴史からも消え去ることとなる。









数時間前
オシャッシ―にキノコ雲が上がった。
まばゆい光に包まれ、そのすぐ後にはもう塵一つ残っていない。
黒い雲に光が遮られ、もはや街の跡地のような風にも見える。
突如城があったはずの場所から音がし、一メートル弱ほどの大きさの扉が現れる。
「う、嘘だろ、ワシの街が……」
その扉から出てきた、立派な髭を付けた男は思わずそう漏らす。
「これは……ひどいですね……」
男の後ろから大きな男が顔をのぞかせる。
「ルピフォ様の奇術がなければ皆死んでましたよ……」
「でも、街が……」
そう言いかけた時、空が白く染まる。
「伏せろ!!」
即座に臨戦態勢になると後ろのドアを足蹴りで閉じる。
何が起きてる?
大きな音と共にヘリコプターのようなものが降りてくる。
土煙でそのヘリコプターが見えなくなる。
すると、何者かの影がこちらへと歩み寄ってきた。
途端に奇術で先を見る。
しかし、その光景は真っ暗だった。
「は?」
言葉を発したその時、影は揺らぎ、俺は倒れていた。
脇腹が無性に痛い。
触ってみると右脇腹が丸々無くなっている。
「んー?この武器はいまいちかな~」
後ろの方で女の声が聞こえる。
どうやらこいつにやられたようだ。
「じゃあ、次は~」
何か武器を持った女が近づいてくる。
それとともに呼吸が浅く、視界が狭まっていく。
それでも何とか立ち上がった。
そして相手を見据える。
「おぉー!すごいね!そんな怪我してるのに立てるんだ!」
そこに立っていたのは金色の鎧を着たブロンズ色の髪をした美しい女性だった。
ノブレスの……だが。
女は片手で大剣を背中からヒョイと抜くとそれを構えた。
「コヒュー……ヒュー……」
女はそのままこちらへ突進すると、俺の顔面に切りかかった。
「っぐ……!」
間一髪で後ろにけるも、右目をやられる。
「……奇術level 2 視来手しらいしゅ
そう言うとそのまま俺は大剣に触れる。
すると大剣はすぐさまサビていく。
女はその大剣を捨てると腰に付けてあった拳銃を構え発砲。
俺は左目を失った。
即座に俺は印を結び詠唱の省略をすると 
    奇術level 3 予戯言よざれごと
「お前は――でしぬ……」
「君、つまらないんだよね」
俺が言い切った後女は俺の腹をつるぎで横一文字に断ち切った。
経験したこともないような痛みが上半身を巡り、それに比例するかのごとく血が体から抜けていく。







―――――――――――――――


落ち武者と目が合った僕は急いで木陰へ隠れた。
「そこに居るのは誰じゃけぇ!!」
男の太い声が木を揺らす。
どうやら僕の方はあまり見えていなかったらしい。
甲冑かっちゅうの音が近づいてくる。
そして落ち武者たちが木陰を覗いた瞬間、
「level 2 球バリア!!」
球バリアは体の心臓を中心とし、生物を弾きながら急速に広がっていくその特性を利用し、落ち武者たちをバリアで弾き飛ばすつもりなのだ。



しかし結果的にそれは失敗に終わる。






第八話(その3) 思い出は消えない。

第九話 破壊と想像その1 ( No.28 )
日時: 2024/04/30 07:40
名前: 味海 (ID: kdYqdI6v)


「ねぇ、なんで生きてるの?死ねよ」
うるさい。
「あなたはこの世界に必要ない人間なのよ?」
黙れよ。
「キモーい、さっさと消えれば?」
消えるのはてめぇだよ。






その日は特に日が登っていた。
テレビでは異常気象として大大的に取り上げられ、その日は熱中症の患者が何人も運ばれたそうだ。
そして、そんな異常気象の日は殺人が起きる。
いつもの日より、何倍も多く。
ハル、僕もそちらへ、
すぐに行くよ。





――――――――――――――



「は?」
落ち武者たちに襲われ、僕は気を失った。
そのはずだった。
しかしいま起きていることは紛れもない事実である。
僕の目の前には赤い池が広がっていた。
そしてあたりに散らばるのは腕や足などの肉塊。
その様子はさながら地獄そのものである。
「……まぁいいか」
僕は疲れ切っていた。
サリーの死からまだ二ヶ月も経っていない。
ルソアの死からもまだ一ヶ月も経っていない。
そして、ノブレスの拷問。
それが未だに僕の体をむしばむ。
バシャバシャと赤い池の液体を飛ばしながらなんとなく前を進む。
変わらず周りには肉塊と真っ暗な森が広がる。
それでも僕は前に進んだ、ただ、何も考えず。
突如、視界が開ける。
どうやら崖に来たようだ。
「……」
遠くの方にはボウッと光るような灯りが見える。
その雰囲気、大きさから察するに小さめの村といったところか。
「村、か」
閉鎖的な空間、村や学校ではとあることがよく起こる。
いじめである。
表面はなんともなくても、裏側はドス暗いそんなことは日常茶飯事だ。
でもそんな日常を
破壊してみたい。
「あぁ違うか」
破壊する。
そう思うことはなにもおかしいことではない。






「うぅ……」
盗人のうめき声とほとんど同時に近くで爆発音が聞こえた。
一体なにがあったのじゃろうか。
いや今はそんなことはどうでもいい、妾の宝玉のほうが大事じゃ。
「一つ問うても良いか、なぜ宝玉を盗む?」
「そん、なの、きまって、るだろ」
「高値で売れる、からだよ」
盗人は深くまで被った黒いマスクからもわかるほどの大きく歪んだ笑顔を妾に見せる。
正直な話こやつはもう駄目じゃと悟った。
「……それが、その宝玉が人の命だと知ってもなのか?」
「俺の、家族のためだ、そのために、必要な犠牲だよ」
その言葉を聞いた瞬間締めていた首をより一層強く締める。
「カハァッ……」
「ふぅ」
息を少し吐いた。
男の顔を影で覆う。
「さようなら」
ぐしゃっという音が森に鳴る。
妾の心はただただ虚しい、それだけじゃった。






背中を夕日が刺している。
「大丈夫かーい」
そんな中見渡す限りの地平線に向かって無謀にも声を投げかけてみる。
声は返ってもこず、反響もしない。
普通であればもう死んでいると考えるのが普通だろう、だが僕の『奇術』を使った、生きているはずなのだ少なくとも。
「アルトモー!!カンナー!!」
その瞬間僕の頭に雷が落ちた。
いや、正確に言うとそういう表現なのだが、本当に雷が落ちたような感覚に近い。
僕の真後ろから人ならざる影を感じたのだ。
とっさにしゃがみ足払いを食らわせる。
しかしその脚には何にも当たらなかった。
「気づいちまったか」
崩れた態勢を何とか立て直しながらも後ろへ飛び跳ねる。
そこに立っていたのは、下半身がなくなった茶色の鎧だった。
どういうわけか浮いている。
「まぁ、とりあえず落ち着いて聞いてくれよ鬼神、ビット、俺達一応知り合いだしよ」
「……僕の知り合いには下半身のない鎧なんていないけどな」
「まぁそうなるのが普通か、じゃあこう言えばわかるか?」
彼は一度咳払いをすると聞いたことのある声が耳を打つ。
「あなたを足止めするために来ました白島、と申します」




続く

第九話 破壊と想像 その2 ( No.29 )
日時: 2024/07/15 00:03
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)


 一面に広がる真っ白な世界、一体なにが起きている?僕は確か、僕は村を見つけて、幸せな家族を想像して、破壊、した……?ってことは、これは、自我を失い自分でもなにも出来ない状態ってことか……?

 突如人の叫び声が聞こえる、声の方を振り返ってみるとそこにはスクリーンのような物が映し出されている。真っ白な世界なのにスクリーンがある、なんとも変な気分だ。

「は?」

 そこに写っていたのは、半狂乱となった僕と戦うあの鬼のような人だった。山をも変形するほどの攻撃を影のみで防ぐ彼女の腕からは血がでているようだ。

 これは僕なのか、ビットさんもキヤもいない、あの人達に、皆に、迷惑をかけないように修行をしたかったのに、それがこのザマかよ。少しでも邪悪な心に飲まれた、そして人を殺した。殺人犯だ。もう良い、これを止めることができない、僕はただここで指をくわえて見ていることしか出来ない、気絶するまで、彼女に耐えてもらうしか無い。



「ハァ、ハァ、ハァ……」

 一体なにが起きているんじゃ、妾はさきのこともあり、あまり体力を使いたくないのじゃが、なぜあの子が、こんなことを。

 バシュッと鈍い音がしたとともに、全方向からの攻撃が襲い、彼の拳も飛んでくる。この手数の攻撃だと、影を使ういとまもない。そう一瞬思ったその瞬間、妾の右頬を透明ななにかがかする。思考すらさせてもらえないのはこまったものじゃな。

「おい!童!なにがあったんじゃ!答えてくれ!落ち着いてくれ!」

「ガァ毛ァァ毛ァァァァァァァ毛毛ァ!!コ毛ス」

 終わったとほぼ同時に攻撃をしながら彼は印を結び始める。非常にまずい、印を結ばれてしまうと一撃の攻撃がほぼ即死になるやもしれん。印を結んでいる今、決める。行方はわからんが、一か八かにかけるしか無い。

「level 4 影弔かげとむらい

「level 開放 想像ハカイ

 まずい、詠唱が同時に終わった。妾の攻撃は一瞬影を大きくするという溜めと動けないというデメリットが有る。これじゃあ実質自分で首をしめただけじゃあないか。

 妾の周りは影で周りが埋め尽くされ、それと反対に童の方はとてつもない程の透明なブロックに囲まれ埋め尽くされていく。その速さはもはや日が昇るかのごとし。

「シ毛ェェェェ毛ェ!!」

「ウボォォ……」

 ブロックを押し止めるかのように大きな手が出現する。少し遅かったか……さて、問題はここからじゃ。これはとても体力を消費する、あまり長くはだしていられん。しかし、このブロックを破壊することはできない。あまりにも勢いが激しすぎる。滝がぶつかってきているようじゃ。重、たい。

「グッ、なんのそのぉ!!」

 こういうときは気合で押し切るしか無い、妾の世界でが言っておった。瞬間的に力を爆発させ、バリアの根本を押し付けると同時に、ソレを包み込み。影の中へと引きずり込んだのを最後に、ちゃぽんという音がして、バリアのかたまりは消滅した。

「ふぅ、ふぅ、疲れた……」

 動悸、息切れ、胸の痛み、吐き気、めまい、ここまで来るとまるで市(いち)の様じゃ。しかし、いまだ油断はできん、この深淵の先は妾にも想像がつかぬ。

 いまだ戦闘の感触が残るこの場を取り囲むようにしてなにかがいることは彼女は気づいていなかった。それが敵意のないものだから気づかないのか、はたまた敵意を隠しているのか、もしくは......

「今のは凄かったねぇ〜♪」

 ダメだコイツは。出会った瞬間そう感じた。ナタのような形状をした大きな大きな刃を持ったナイフを持ちコイツは現れた。しかし問題はそれじゃない。問題は......

「お主、どうやって影に触れずここまで来た」
「そんなの簡単だよ♪こうさ♪」

 突如コイツは妾の前から消え、気がつくと妾の真後ろにいた。そして一言つぶやいたとほとんど同時に妾の視界は真っ暗になった。

「なーんだつまらないの」




ありがとうございます  ( No.30 )
日時: 2024/09/21 00:19
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)

なんか気がついたら金賞なってました。
ありがとうございます。
私は元気なので、心配はなさらずに。


Page:1 2 3 4 5 6



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。