ダーク・ファンタジー小説

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ラストシャンバラ〔B〕 最後の楽園 11/24 更新
日時: 2013/11/24 12:43
名前: 風猫  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=13737

 プロローグ

 船の外を見回すと、周りは漆黒と静寂に包まれている。今、私が居るのは、大宇宙ど真ん中。
 とまぁ、船外を目視しただけでは、見渡す限りの大海原に投げ出された感じになるが、一応区分があってな。
 今居る場所は、ガルガアース宇宙区という区分けをされている。
 私はとあるパトロン(支援者)から情報を得てここに来たのだが。ガルガアースにある天体のどこか、か。
 確かに、言葉としては間違っていないが。困ったな。
 渡された探知機の反応からすると、ここで間違いないんようだ。
 はぁ、ここだけは勘弁だったんだが。そんな心の声が、思わず不意をついて口からこぼれる。 
 
 「まさか、こんな所にあるとはなノヴァ……」
 
 この区画周辺は、比較的気候が安定している惑星が多い。
 だから高価で嵩張る防御シールドを装着せずに来たのだが。
 どうやらそれが仇になったらしい。よりによって、一番ヤバイフレイム居住区にいやがるとは。
 ブルーな気分になりうつむいていると、見事なバリトンボイスが、私の耳に届く。

 「お嬢」

 後ろを見ると、低い声に違わぬ立派な体躯の禿頭が目立つ男が目に入る。名をジギンド。
 今年五十路(いそじ)を迎えた我がクルーの最年長だ。
 年こそ取っているが、仲間に加わった時期はメンバー中一番最後だったりする。
 だからなのか、空気が読めない。

 「しかし、どうしますお嬢? 俺達の船じゃ、フレイア居住区に着艦なんて、とてもできませんぜ?」

 ジギンドの言葉など聞かずとも、シールド無しの我が艦が、あそこに降りることなど不可能なのは、分かりきった話だ。
 私は唇に手を当て、どうにかあそこに侵入し、ノヴァを手に入れる方法を思索する。正直、余り良い手は浮かばない。
 律儀に空間跳躍しホームに戻り、燃料補給及びシールド装着を済ませ、ここに戻るというのは余りに非効率的だし。
 フレイムへの観光船や物資輸送船を襲撃し略奪するというのも、やはり時間が掛かりすぎて、現実的ではない。
 残るは最もやりたくない手だが、一番現実的な手段だ。
 自分で言うのもなんだが。お嬢だのとクルーから親しまれる私は、名の売れた賞金首でもある。
 クリミア・カルバートと言う名は、辺境の一般市民でも聞き覚えくらいはあるものだろう。
 勿論、情報が流布されている地球軍連邦自治領内であれば、の話だがね。余り自慢できることでもないが、凄いことなのだよ。つまり自首したふりをして、居住区に入るのだ。実にスリリングではないか。

 私が頭を垂れ、もう疲れたから投獄したい、とでも言えば尻尾の部下達など無視し、相手は私だけを連行するだろう。
 何せ、私のクルー達をまともに相手るなど、愚の骨頂だと相手側も知っているはずだからな。
 無論、私を連衡途中で殺すなどということも無いだろう。
 いかに犯罪者と言えど、何の審判もなしに斬首では、国民から反感を買うことになる。
 自治軍が宇宙船を飛ばすなどという行為、ばれないはずも無いから、隠すこともできない。
 連邦の上様方は異常なほどに、国民のクーデターを恐れているのだ。
 あれほどの力を占有していて、何を恐れることがあるんだと思うのだがな。
 全く、肥大化しすぎた組織という物は、見ていて悲しいよ。幾つもの足枷があって、動きが鈍重だ。
 
 私は周りを見回し、頭を掻きながら船橋内にいる部下達に言う。 

 「さてと、仕方ないな。自首するか」

 とても捕まりに行くとは思えない、気軽な口調で。それに対して、異を唱える者はいなかった。
 この連帯感は好きだ。私達は強い結束の鎖で繋がっているのだと、実感させてくれる。 

 「お嬢、帰りはどうなされるんで?」

 流石に短い付き合いとはいえ、私の実力は認めているようで、ジギンドも噛み付いてはこない。
 だが、どうにも自分のことを、少し子供扱いする癖が彼にはあるようで。
 後先を考えないガキの心配でもするように、私に問いかける。

 「どうとでもなるさ。ロートルはソファーにでも座ってふんぞり返ってな」

  帰り道か。容易いことだよ。私達は海賊なのだから、政府の高級戦艦でも強奪すれば良いのさ。
 私はジギンドにはにかみながらそう言う。そして、フレイア自治軍に打電するよう、クルーの一員に命じる。

 「ノヴァ……待っていろ、我がラストシャンバラへの扉よ!」

 

END



___________________________



※上の参照URLは、ファジーで掲載している本作の別キャラクタ視点の物語です。
宜しかったら覗いてみてください^^

初めましての方は、初めまして! お久し振りの方はお久し振り!
何時も着て下さっている方は何時も有難うございます!
風猫と申します。
此度は、SF異能ファンタジー、ラストシャンバラを書かせてもらいます!
いつまで続くか分らないですが宜しくお願いします♪

<注意>
1.宣伝や雑談、中傷、荒しといった行為は行わないでください。
2.恐らく物凄く更新頻度は低いです。ご了承を。場合によっては一ヶ月以上あくこともあるかと。
3.突然、更新をやめる可能性があります。そこもご了承を。
更新を打ち切るときは宣伝し、ロックします。
4.感想や指摘、誤字脱字の報告などは大歓迎です^^
5.グロ描写が入ると思われます。

<お客様>

萌姫様
日向様
かの様

只今、3名様

<更新話>

ラストシャンバラ〔B〕 ——宇宙の楽園—— 第1章 楽園への鍵
第1話「ヴォルト・ジルという男に出会う」 
Part1 >>6 Part2>>12 Part3 >>25 Part4 >>26 Part5 >>32 Part6 >>33 Part7 >>34 Part8 >>37 Part9 >>42

第2話「ゾディアーク・ディ・プリンセスナンバーズフイブルズ(ゾディアーク序列女性5位)」
Part1 >>44 part2 >>48



更新ごとに掲載

<その他>

>>27 モッチリ画伯絵 アルテミス・クルルシェルナ
>>29 モッチリ画伯絵 グロリアス・アックア
>>35 モッチリ画伯絵 ヘルシング・ラストヴォイド

貰い物や番外編、企画など



10/17 更新開始 

Re: コスモエデン〔B〕 —宇宙の楽園— ( No.4 )
日時: 2012/11/15 20:15
名前: 萌姫 ◆6BbCqVbQrw (ID: PrIJf00M)

こんにちわ!ってかこんばんわ?
萌姫(もえぎ)といいます!
楽園に目がない私です!
凄い好きで、タイトルが楽園だったので「わお」みたいなww
風猫さん、タメおっけーですか?
あと、風猫さん読み何ですか?
返信お願いします!

Re: ラストシャンバラ〔B〕 —最後の楽園— ( No.6 )
日時: 2013/11/30 16:29
名前: 風猫  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

 ラストシャンバラ〔B〕 ——最後の楽園—— 第1章 楽園への鍵
 第1話「ヴォルト・ジルという男に出会う」 Part1
 
 「カタカタカタカタァっと。通電完了しましたクリミア姉さん!」

 ボサボサした赤髪を、無造作に結った男が答える。タイピング時に出る音を擬音語で口にするのは、昔から続く彼の癖だ。
 彼の名はハル・マルブローサ。燃え盛る炎のような紅の頭髪と、深い紫色の瞳が特徴的な、中性系美男子だ。
 ジギンドとは逆で、クルー内では古株の部類に入る。
 12歳で我が艦の乗員になり、今年で10年目になるな。長い付き合いだ。 
 高めながら、マイルドで心地よい声で発されるハルの報告を聞き、私は短い言葉で問う。
 相手がどれ位で来るか、確認しておきたいからだ。

 「相手方の返答は?」

 ハルは無駄口をたたかず、相手側の返信を待つ。そして、程なくして送られてきた来た情報を、声に出して読む。

 「うぅー、30分ほどでこちらに到着するそうですよぉ? 船の数は一隻らしいっすわ」
 「了承と受け取って良いな?」
 
 宇宙船1つで来るということは、単純に私を連行することだけが目的だろう。
 排除目的で大艦隊なんぞつれて来られたら、面倒なので嬉しいことだ。
 しかし、30分で来るとか、早急だって。おめかしし急がないとな。
 露出度の高いドレスでも着てみるか。いや、さすがに自治軍の反感を買われるだろうし……止めておこう。
 十分すぎるほど、敵視されているが、今後の行動にも支障が出るだろうしな。
 だが、どうせ囚人のふりをするのは、居住区に入るまでの短い間だし、それなり良い服を着ていたいものだな。
 正直、貧乏になって、悪事も行えなくなったから、自首したなんて思われたら嫌だし。
 仕方ない。少し仲間に意見を仰ぐとしよう。男衆の返答は下らないものになりそうだし。
 あぁ、アルテミスとカロリーナは休眠中か。仕方ない。余り良い返答が機体できるとは思えないが。 
 
 「なぁ、クロノス! クロノス・ドルキホーテ。自首する人間ってのは、普通どんな服装をしているんだろうな?」
 「うー、そうですねぇ。少なくとも、ドレスとかタキシードみたいなのは着てないんじゃないですか?」

 そうだよなぁ。まぁ、期待したような答えが返ってこないのは分ってた。
 だって、猫耳きぐるみにネズミ髭とか、センスの一切感じられない格好をいつもしてる女から、深慮に満ちた回答が来るとか……私は、何を期待しているんだって。
 あぁ、クロノス。お前中々に綺麗な体つきと顔なんだから、もう少し服装とか装飾品に気配れよぉ。
 頭を抱える私に、何で溜息をついているのか本気で分らないというような、クロノスが疑問に満ちた視線を向けてくる。

 「ねぇ、何でクリミア様うつむいてるの?」 

 恐らく、頭一杯に嵐の如く疑問符が渦巻いているのだろう。やはり、ずれた女だ。
 胡乱な眼差しを向けていたのも一瞬。彼女はすぐに趣味である読書にいそしむ。
 できればガールズラブとかは見ないでほしいものだ……
 しばらくすると、私の憂鬱な雰囲気を察したのか、ハルが私のほうに顔を向け、声をかけてきた。

 「いやぁ、クリミア姉さんなら、囚人服でもやばいほど似合いますので、大丈夫っすよぉ! ねぇ、ジギンドさぁん」 
 「ハルの言うとおりだな。お嬢に囚人服とか、相当にエロいぜ」

 どうやら私を慰めているつもりらしいが。ジギンド、ハル。お前ら両方死刑だ。
 っていうか、年功序列が適用されているわけでもないのに、ジギンドに敬称付けとか、お前なめてるとしか思えん。
 盛大に、今日何度目かの嘆息をしたあとだった。
 地球軍所属の宇宙船が近づいてきたときに発される、警戒音が響き渡ったのは。 
 まだ、15分も経っていないはずだが。私は訝しがり思案気な表情を浮かべる。
 2秒程度経って、ソナーを確認したハルの声が響く。

 「クリミア姉さん。どうやら、相手さん相当調子乗っちゃってるみたいっすねぇ」
 「結局、何の準備もできなかったか……ってか、馬鹿か。大馬鹿なんだな。戦艦20台でメフェルゾメアに挑むだと!?」

 もともと、信じきっていたわけじゃないが、1隻で来るとか言っておきながら、艦隊を組んでくるとはな。
 しかも全てが戦闘艦。どうやってこの短時間で用意したのか分らないが、交戦の意思があるのは明確だ。
 なるべく、ことを荒立てずに進めたかったのだが。やれやれだな。
 私達メフェルゾメアは、全員一騎当千と呼ぶにふさわしいハイアドント(高位異能者)。
 余り良い装備を与えられない、辺境部の戦艦20隻など、敵ではない。
 どうやら実戦経験が少ないガルガアース宇宙区の軍隊は、彼我の戦力差など理解できていないようだ。
 こうなったら派手にドンパチやって、船を奪い取るほうが良さそうだな。
 分り易い。実に好みだよ。力を持ったからには、振るえる時に振るえってな。
 後悔しろ自治軍共。セオリー通りにしておけば良かった物を……
 そう、私が戦意を固めている時だった。敵側が私達の船に、直接アクセスしてきたのは。
 
 「やぁ、諸君。我々は、君達の殲滅をすることを決めたよ。世間ではずいぶんと名が通ってるようだが、どうせ、小悪党と見逃されてきた口だろう? 本気で殲滅しにかかれば、君達程度何の障害でもないはずだ。我らが栄誉のために、宇宙の残骸となってもらおう。メフェルゾメア諸君!」 

 自信に満ち溢れたねちっこい男声。自治軍のリーダー格らしい。
 稚拙な宣戦布告。あぁ、下らない。言いたいことはそれだけか雑魚が。勘違いもはなはだしいだろう。
 そんな逃げ足だけの小悪党なら、10年以上も活動なんてできてねぇんだよ。分った。
 そんなに功を焦って死ぬのが望みなら、その通りにしてやる。最早、何も言う必要はない。
 私たちは無法者だ。怒気の篭った声で、私は部下達に命令を飛ばす。
 
 「ハル、オデッサ、ジギンド! 私とクロノスが宇宙外戦闘の準備を終了させるまで、時間稼ぎを頼む!」
 「イエッサー!」
 
 私の声に呼応するように、男衆三人が、了解の声を上げる。
 普段は眠ったように、何もしゃべらないオデッサだが、戦時となると饒舌だ。
 基本的に恥ずかしがりやで、いつも全身を衣服で覆っている男だが、彼には戦闘狂で有名なアルスカ星人の血が流れている。
 戦時においての判断力は凄まじく、はっきり言って饒舌だけが取柄の男衆で一番頼りにできる男だ。
 決して上背があるわけではないが、筋骨隆々とした彼の背中を見やりながら、私はクロノスを引きずり更衣室へと向かった。

 「ちょっちぃー、クリミア様あぁー! 今良い所なのにぃ」
 「すぐ終わるから、薄い本は後でな。デザートだデザート……」

 クロノスは基本的に戦闘が嫌いだ。いや、正確には死んでも趣味を優先したいという、狂気の持ち主なのだが。
 そんな面倒なやつは放っておいて、休憩中の違うメンバーを使えば良いのでは、と思うだろうがそうもいかない。
 我が艦のベッドは欠陥品で、対象が眠りにつくと決まった時間まで、どうしても起こせないようになっているのだ。
 残念ながら、近いうちに目を覚ます予定の者はいない。一番早い奴で、あと30分は眠り続けている状態だ。
 彼女とて弱くはない。むしろ、戦線に出れば化け物に等しい女だ。 
 正直、旧型20など、今いる面子が本気になれば10分程度で殲滅できるだろう。
 すぐに終わるという旨を私は、クロノスに筋道立てて伝える。彼女は納得したようにうなずき、本をポケットにしまう。
 そして、笑顔を作り言った。

 「今日のデザートは、クリミア様かなぁ? それともアルテミスさん?」

 あぁ、だからやっぱりガールズラブとか読んで欲しくないんだ……
 全く緊張感のないやり取りをしながら、私たちは宇宙服に着替え、船外へと出る。
 周りを見渡すと、目視できる距離に10数隻程度、船の残骸が見えた。

 「思った以上に容易く済みそうだな。ははっ」

 思わず冷笑が漏れる。
 幾らなんでも、少し弱すぎないかお前ら——



 End

 ___________________________


第1話 Part2へ

 

Re: コスモエデン〔B〕 —宇宙の楽園— ( No.7 )
日時: 2012/11/17 20:09
名前: 萌姫 (ID: YrsbvNhI)  

ハルさん、いいねww
ってか何の感想言ってんだ 笑

続きとっても楽しみ!!
更新待ってる〜〜♪

Re: コスモエデン〔B〕 宇宙の楽園 11/17更新 ( No.8 )
日時: 2012/11/17 21:03
名前: 風猫  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

コメント有難うございます!
私の場合はこんばんわ♪
楽園は良いですね。求める楽園が皆違いますがきっと、良いところでしょう。
地球じゃなくて、楽園に僕も住みたいよ。
私は、風猫でフォンマオと呼びますvv えっと、此処で雑談はなるべく避けたいので先に言っておきますね?
勿論呼びタメはOKです^^

何の感想って小説の感想では(汗
読まないで、名前だけ言うというのもorzですが。

更新は亀ですがヨロですvv


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