二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊
- 日時: 2009/12/05 18:39
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: 3Sm8JE22)
- こんにちはぁ! クリックしたら、戻らずに小説を覗いてみて下さい! それでおもしろくなかったら、「戻る」を押してもらって構いません^^ 
 ちなみに、ポケモンを知らない方でもポケモンを人間と思ってくれれば読めると思います。これば、ポケモンの話というより感動系な話なので。ポケモンを知らなくても、「戻る」を押さずに少しは覗いてくださいね^^
 元霜歌です。あまりにも小説が消えるので、名前を変えました^^;
 改めまして、亜璃歌(ありか)です。
 何度消えても、頑張ってコピーするので皆さん応援よろしくお願いします♪
 本題に入りますが、ポケモンダンジョンは主人公とパートナーの友情が命!! そこらへんをうまく表現できたらいいなーと思います。あらかじめ言っておきますが、これはポケダン(探検隊)沿いの話ですvすべて沿ってるわけではありません。
 ミーシャ&ミニリュウ「みなさん、ぜひドキドキしたりしんみりしたり、感動したり、心をたくさん働かせてください!」
 ポケモンダンジョンは、私が騙されたり泣かされたりしたりしたすっごくいいゲームなので、皆さんが感動できるような小説にできるように頑張ります!
 ミーシャ&ミニリュウ「応援よろしくお願いします♪」
 小説がいくら消されても、この小説は地の底から這い上がって復活するんだから! コンピュータよ、かかってきなさい!
 〜ポケモン不思議のダンジョン 探検隊のテーマ曲〜
 http://www.youtube.com/watch?v=Neila0J3L0E
 Memory1 必然の出会い Memory2 ギルドの丘
 >>1-3 >>7-12
 
 Memory3 キセキの探検隊 Memory4 光のささやき
 >>13-17 >>23-26 >>32 >>40-41 >>45 >>46
 ☆作者の心のささやき☆
 名前を変えてから結局3回消えましたよ;もう、どうしちゃったんでしょう。疲れるなあ。もう笑うしかないですね。あはは。あはははははははは。あはははは。あははは・・・はは・・・。
 ☆大事な大事なお客様☆
 ・ミニモネさん ・レッドさん ・サジタリアスさん ・美弥さん ・大庭さん ・黒魔ちゃん
 ・べっかさん ・ツナいちさん ・ルビーさん ・キョウさん ・瑠留さん
 —いつもコメントありがとうございます^^そして、これからもよろしくお願いしますb
 コメントはしていないけど、クリックしてくれている人もありがとうございます^^
 ※↑に自分の名前が載ってない! っていう人は言って下さい^^;ただちに載せます。
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.11 )
- 日時: 2009/12/05 18:55
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: 3Sm8JE22)
- しばらくすると、ギルド全員のメンバーを連れて、ぺラップが戻ってきた。なぜかみんな、うかない顔をしている。もしかしいて、私たちが弟子入りするのが嫌なの……かな。 
 「じゃあ、みんな自己紹介。ぺラップとぼくはさっきしたから、もうしないよ。まずは、ミニリュウたちから」
 プクリンは、楽しそうに踊りながら言った。
 ミニリュウが緊張しながらぺこりとお辞儀をする。
 「私、ミニリュウです。えっと、ずっと前から探検隊にあこがれていました。よろしくお願いします」
 言い終えると、私の方をチラッと見る。私も、ゴクリと喉を鳴らす。こういう自己紹介って苦手だ。ポケモンたちの目線が怖いというか、緊張するというか。
 「えっと、私はミーシャ。この世界に来たばかり……じゃなくて、この世界のことはあんまり詳しくないから色々と教えて下さい。お願いします」
 余計な事は話さないように気をつけて言った。私たちの自己紹介が終わると、まずドゴームが私たちの前に出る。
 「ドゴームだ。朝、ギルドのメンバーを起こしに来る。よく覚えておくんだな」
 普通にしゃべったのだと思うが、ものすごく馬鹿でかい声だ。普通に話しても怒鳴っているような声なのに、本当に怒鳴ったらどうなるんだろう。
 次にヘイガ二があいさつする。
 「ヘイヘイへーイ! おいらはヘイガニ! 別に覚えてもらわなくてもいいぜー。以上!」
 ……と、やけにかっこつけた声で言うと、キマワリと入れ替わる。キマワリは、コホンと咳払いした。
 「わたくしはキマワリですわー。自己紹介なんて、照れますわー、キャー。弟子入りの祝福として、花をどうぞ」
 言うと、黄色い顔を薔薇色に染めて舞を舞いだした。キマワリの周囲から桃色の花びらと粉が溢れ出る。<はなびらのまい>の技だ。キマワリは舞を終えると、
 礼儀正しいチリーンと入れ替わった。
 「私はチリーンです。食事の支度を毎日させていただきます」
 そして、頭のベルを一回鳴らしてから、ディグダとダグトリオと入れ替わった。二匹同時に私たちの前に出て、ダグトリオがあいさつする。
 「私たちは親子だ。息子のディグダは、ギルドの入り口の網に乗ったポケモンを見極める、見張り番を、私は掲示板の情報の更新をしている」
 次に、やけにニヤニヤ笑うグレッグルがあいさつした。何が面白いのか、くくっと笑い声を上げるのをこらえている。
 「わしはグレッグル。ま、特に目立ったことはやっていないな」
 最後に、少しおどおどした様子でビッパが挨拶した。出っ歯が可愛らしい。
 「えっと、あっしはビッパでゲス。君たちが来るまでは、あっしが一番後輩だったんでゲスが、あっしにも弟子ができて嬉しいでゲス」
 ビッパが戻ると、ぺラップが冷や汗を流してうつむきながら言った。
 「えー、では、新しくギルドの仲間に入ったこの者たちの祝福に、お、親方様の<ハイパーボイス>を一人一人受けてもらいます。ではまず、ドゴームから」
 ここは空気を読んで、何も言わずにドゴームがプクリンの前へ出た。ドゴームは、きゅっと縮こまる。
 プクリンが、大きく息を吸った。
 「いくよ♪ 祝福、祝福、タアアア—————!」
 「わ—————ッ!」
 一瞬、部屋の中に雷が二回落ちたような感覚がし、プクリンの口から、光の輪が風といっしょにいくつも出てきた。ものすごいパワーで、見ているこっちまで頭がクラクラしてきた。
 祝福が終わると、ドゴームはフラフラした足取りで「うー、強烈」と言って戻る。
 「な、何か、私たちギルドに入ってよかったのかな……」
 全員が<ハイパーボイス>を受けた後にミニリュウがぼそりと言った。プクリンがにっこりする。
 「心配いらないよ。こうすることによって、みんなの頭にはしっかりと君たちの事が刻まれたから♪ おめでとう。君たちもこれから探検隊だよ」
 そう言って、私たちにバッグと、二つのバッジ、古ぼけた地図を差し出した。
 「これはトレジャーバッグ。君たちが活躍すればするほど大きくなる、不思議なバッグだよ。この二つのバッジは、探検隊バッジ。そして、この地図は不思議な地図。この世界のすべてが載っているよ」
 「ワアアア! ありがとう!」
 ミニリュウは言うと、遠慮せずにそれらを受け取った。そしてバッグの中に地図を入れて、肩からバッグをかける。バッジも胸につけた。
 私もなんとなくバッジをつけてみる。結構、ポケモンにしてはよく作られたバッジだった。卵のような形に、小さな羽根が付いている。
 「じゃあ、後はよろしくね、ぺラップ」
 プクリンは言うと、クルリと後ろを向き、山のように詰まれたセカイイチに夢中になってしまった。ドゴームたちの弟子たちも、ゾロゾロとプクリンの部屋を出て行く。
 「お前たち、私についてきな。初仕事だよ」
 何をしていいかわからなくて、私たちがウロウロしているとぺラップが声をかけた。私たちは、初仕事と聞いて期待をしながらぺラップに歩み寄る。
 〜つづく〜
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.12 )
- 日時: 2009/12/05 18:55
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: 3Sm8JE22)
- 「ねえ、ぺラップ。初仕事ってどういうのなの? もしかして、もう探検とかするのかな!」 
 ミニリュウが期待と興奮で瞳をキラキラさせて言った。期待するのはいいけれど、もしハズレだったらショックが大きいからなー。多分、初仕事だから探検なんてやらせてくれないだろう。私はあまりハードな仕事でないことを願おう。
 ぺラップは、ミニリュウの質問には答えずに地下二階から地下一階へ上がった。
 そして、二つの掲示板のうち、やたらと字が多い紙は張ってある掲示板の前に来る。掲示板には、いくつもの紙が張ってあった。依頼書のようだ。
 「うーんと、新米のおまえたちにはこれがいいかな。ほれ、見てみ」
 掲示板から一枚の紙をはがすと、ぺラップは私たちに差し出した。ミニリュウが、その紙を興味津々に受け取る。紙には、ナゾノクサからのお願いが書いてあった。
 《こんにちは。私、ナゾノクサです。ある日、私が森を散歩していたら、大事な大事なオレンの実を風にさらわれてしまったのです。病気がちな妹に食べさせてあげようと思っていたオレンの実。どうしても探し出したいのですが、森のどこにあるかわかりません。しかも、その森の奥は不思議のダンジョン。怖いポケモンや森の主もいるって噂だし、そんな所へは探しに行けません! どうか探検隊のみなさん、オレンの実を取って来て下さい。その森は、剣のような冷たい風が吹くことから、“剣風の森”と呼ばれています。よろしくお願いします》
 読み終えると、私はほっと胸をなでおろした。いきなりハードな依頼だったらどうしようかと思っていたが、大丈夫そうだ。私はポケモンになったばかりだから、技の出し方とかよくわからないから、なおさらよかったと思う。
 しかし、ミニリュウは依頼を読み終えると、不満そうに顔を上げる。やっぱり期待していた分、ショックが大きいらしい。
 「これって、ただ落し物を拾ってくるだけじゃないの! もっと探検隊らしい事がしたいよ」
 「おだまり!」
 ぺラップが声を張り上げた。ミニリュウが「ひっ」と声をあげる。
 「いいかい、よく聞くんだよ。新米のおまえたちには、大事な財宝がかかっている探検なんてさせられるわけがない。地道に努力して、探検が出来るくらい上達するんだな」
 そして、コホンと場の空気を切り替えるように咳をすると、話を変えた。
 「で、オレンの実をナゾノクサが落としたという森は“剣風の森”と呼ばれている、不思議のダンジョンだ」
 「不思議のダンジョン?」
 あまりに変な名前が出てきたので、私は問い返した。
 すると、ミニリュウが説明する。
 「うん。不思議のダンジョンっていうのは、もともとはちゃんとした森や川だったものが、昼と夜が狂い始めてきた影響で迷路のようになった場所を言うんだ。しかも不思議のダンジョンは、入るたびに地形も変わるし、そこで倒れると道具も半分くらい減少して、入り口に戻されるっていうとっても不思議な場所。おまけに、暴走したポケモンが襲ってくるしね。だけど、そういう不思議な場所だから、お宝みたいな新しい発見が見つかるんだよ」
 「なんだ、よくわかっているじゃないか♪」
 ぺラップは、自分の説明する手間がはぶけて喜んでいる。けれど、不意に脅かすような顔で言った。
 「でも、剣風の森には恐ろしい森の主がいるって噂だ。新米のおまえたちには厳しい。だから、ヘイガニをいっしょに連れて行かせるからな。心配はいらない」
 やっぱりこういう展開になるんだ、と思った。しかも、ヘイガニって……あの「ヘイヘイヘーイ!」とか言ってるやつの事? 頼りないな。
 私がうんざりしていても、ミニリュウははりきる。
 「わかったよ。私たち、ちゃんと行ってくるからね! キセキーズ出動だよ、ミーシャ!」
 そう言うと、ミニリュウはバッジを高く掲げた。
 〜Memory2終了〜
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.13 )
- 日時: 2009/12/02 17:30
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: xhJ6l4BS)
- Memory3 キセキの探検隊 
 「ヘイヘイへーイ! おめえら、おいらの邪魔するんじゃねーぞ」
 剣風の森の入り口付近で、ヘイガニがはさみをカチカチ鳴らしながら言った。ミニリュウがむっとして言い返す。
 「邪魔はしないよっ。それに、この仕事はヘイガニのじゃなくて、私たちの仕事なんだからね」
 そうしている間にも、切れるような冷たい風が過ぎていく。私は、モコモコした綿飴のような体だから風がいくら打ち付けてきても大して寒くない。メリープになって、やっと長所が見つかったような気がする。
 でも、まだ技の出し方は曖昧だ。ちょっと体に力をいれると、<でんきショック>を繰り出してしまう。いっしょにいるのが水タイプのヘイガニだから、なおさら気をつけなくては。しかも、ヘイガニのこの性格……。ちょっとでも足を引っ張るようなことをしたら、本気で怒ってきそうだ。
 「ヘイヘイ、落し物探しなんて、さっさと終わらして帰ろうぜ」
 ヘイガニは言うと、ズカズカと進みだした。私たちも、ヘイガニの後をちょこまかとついて行く。
 森はザワザワと騒がしかった。抹茶色や黄緑色、深緑色のクリスマスツリーに似た針葉樹がずーっと続いている。その針葉樹の枝にとまっている鳥ポケモンたちが、私たちをじっと見つめていて何だか居心地が悪い。
 ザアアアアアア————ッ…………。
 風が木々を強く揺らし葉がつねに空を舞っている。地面の砂も風が舞い上げ、空は何色かわからないくらいだ。また、不思議のダンジョンと言われるだけあって、分かれ道が多かった。
 それでもダンジョンに慣れているヘイガニは迷うことなく進む。
 「あっ、これ、オレンの実じゃない?」
 ミニリュウがはっとして小さな草の茂みのそばに置いてあったオレンの実を拾ってきた。もしかして、もう依頼完了?
 ヘイガニがほっと息を吐く。
 「簡単な仕事だったな、ヘイヘイ」
 誰もが安心したその瞬間……!
 「スピ———!! それは、おいらたちの物だー!」
 木々の間から大量のスピアーが、羽をブンブン鳴らしてミニリュウに技で襲ってきた。スピアーたちのトゲの先のような手から、ロケットのように尖った光が幾つも放射される。<ダブルニードル>の技だ。
 「スピスピー! オレンの実を返せ!」
 スピアーは怒りに任せて、ミニリュウを襲う。スピアーたちの攻撃を避けながら、ミニリュウはきゃっきゃっと叫んだ。
 「ヘイヘーイ!! <バブルこうせん>をくらえっ!」
 ヘイガニの<バブルこうせん>が、宙を舞っているスピアーたちに向かっていった。しかし、大量の泡の<バブルこうせん>は、あっけなくスピアーたちのトゲに弾かれてパチンッという音と共に跡形もなく消える。
 「ヘイヘイ? おいらの技がきかねー!」
 ヘイガニが騒ぎながら<バブルこうせん>をスピアーたちに連発したので、スピアーたちの攻撃が私まであたった。あまりの痛さに私は全身に力を入れる。
 バチバチバチ———————ッッ!!
 私は体に熱い何かがこみ上げてきて、思わずグッと体を丸めた。すると、私を中心に電気が輪のように放たれて、スピアーたちが次々に逃げていく。
 「スピ———ッ!」
 電気が消えた頃には、スピアーたちは一匹もいなくなっていた。
 私は、荒い息を吐きながら縮こまっていたミニリュウに駆け寄る。
 「ミニリュウ、大丈夫?」
 私が声をかけると、ミニリュウは軽く笑いながら立ち上がった。どこにも怪我らしきものはないらしい。よかった。
 「大丈夫だよ、ミーシャ。助けてくれてありがとう。ミーシャの<でんきショック>、すごかったね」
 <でんきショック>……?あれが、技を出す時のコツなんだって思った。何かを助けたいって思うと、全身に力が入って技が繰り出される。
 そういえば、ヘイガニは……?
 「へ、ヘイヘーイ!! ミーシャ。おめぇ、技の向きを考えろよ! スピアーだけじゃなくて、おいらにまで電気が飛んできたじゃないか」
 ヘイガニは痺れる体をさすりながら、私たちのそばにいた。私は安心して息をはくと、はっとする。
 「ミニリュウ! オレンの実は?」
 「スピアーに持って行かれちゃった。でも、仕方が無いよ、あのオレンの実はスピアーたちの物だったみたいだもん」
 「そっかあ。じゃあ、もっと森の奥にいかないとだね」
 少しがっかりしながら私は森の奥を見る。あんまり奥に行くと、ナゾノクサやぺラップが言っていた森の主に会うかもしれないから出来るだけ行きたくなかったが、仕方が無い。
 「ヘイヘイ、暗くなってきたぜ。早く行こう」
 ヘイガニの声に誘われるようにして、私たちは歩き出した。
 確かに、私とミニリュウが会ったのが夕日がきれいな海……つまり夕方だったから、夜はいつ来てもおかしくない。暗くなれば、オレンの実は見つけにくくなる。空は、燃えるような赤が薄くなり紫が濃くなってきている。急がなくては。
 ビ———ンビ———ン……
 森の奥のほうで、淡い緑色の光が外に溢れるように広がった。かすかな音も聞こえる。
 その後、森全体がその光に共鳴するように薄く光りだした。雑草も、針葉樹も、地面も。すべてのものが波動を発しているかのように光っている。暗くなりかけていた森は、一瞬で明るくなった。
 「森の奥で、何かが起こっているよ! ミーシャ、ヘイガニ、行こう!」
 ミニリュウは言うと、足早に森の奥へと進んだ。私はミニリュウを追いかけながら空を見上げる。すでに星が瞬き始めていた。
 〜つづく〜
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.14 )
- 日時: 2009/12/02 17:31
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: xhJ6l4BS)
- 「ねえ、ヘイガニ。この剣風の森では、よくこんな風に周囲が光るの?」 
 私は、緑に光る森全体を見渡しながら言った。光はさっきより強くなっていて、私は目をかすかに細める。ミニリュウも眩しそうだ。
 ヘイガニも目を細め、怒ったように首を振る。
 「ヘイヘイ! そんなわけねぇだろ。森がこんな風に光るなんて、尋常じゃないって。もしかしたら森の奥にあるお宝が光っているのかもしれないぜ! 急ぐぞ、ヘイヘーイ!」
 「もうっ、お宝探しに来たんじゃなくて、オレンの実を探しに来たんでしょ」
 私はため息をつきながら言った。まったく、ヘイガニって何なの? まったく、こんなやつといっしょに初の依頼なんて……。初めての依頼は良い思い出になりそうに無い。
 そんな事を言っている間に光は薄くなっていって、しまいには元どうりになる。
 「へ、ヘイ!?」
 先頭を走っていたヘイガニが急に立ち止まった。急に止まられたので、私とミニリュウは止まれなくてヘイガニに突っ込む。突進してしまったからヘイガニはすぐに怒るかと思ったら、ヘイガニは呆然と前を見ている。
 「ヘイガニ、急に止まらないでよ! って……」
 言いながら、私はヘイガニの見ている先を見つめて言葉を失った。ヘイガニが止まった理由。それは、前に進めなくなったからだ。
 どうして進めなくなったのか?
 その理由は私が見ている物が邪魔しているからだ。地面から突き出た、太くて大きないばら。どす黒い緑色をしていて、いかにも怪しい。それが雑草のようにあちこちに生えていて通行止めをしてしまっている。
 「こ、こんな大きないばら……。よほど力のあるポケモンの技なのかな……森の主とか……」
 ミニリュウは、地面から突き出たいばらを見上げながら口をあんぐりと開けて言う。
 いばらの高さは背の高い木と同じくらい。それが、みっしりと隙間一つなく地面から生えている。最初は危険だがいばらといばらの隙間を通ろうとしたが、隙間そのものがないので難しそうだ。
 「へ、ヘイガニ。こういうときは先輩として何かいい案を出してよ」
 ミニリュウが苦笑いを浮かべた。ヘイガニははさみをカチカチ鳴らしながら汗をかく。
 「こんなに大きないばらじゃあ、おいらのはさみでも切れないぜ、ヘイヘイ……」
 本当に、頼りない先輩だ。
 「こんな事だろうと思ってましたわ。来て正解でしたわね」
 聞き覚えのある声がした。
 私たちがはっとして振り向くと、そこには赤いバンダナを首に巻いたキマワリがいる。キマワリは、あきれた顔で私たちのそばまでやってきて、ヘイガニを厳しい目で見た。
 「親方様が新米のキセキーズとヘイガニじゃあ心配だからって、わたくしをついて行かせたんですわ。ヘイガニの事だから何も準備せずに出かけたんじゃないかと思ってたら、やっぱり。こういうときは、これが一番! <はっぱカッター>ですわー!」
 キマワリは大きく葉のような手を広げると、刃物のように尖った葉をいくつもいばらに飛ばした。尖った葉はいばらを粉々に切り裂く。
 「わー! キマワリはすごいや!」
 ミニリュウが瞳を輝かせた。ヘイガニがチェっと舌打ちをする。キマワリはすべてのいばらを切り裂くと、私たちに青いスカーフを差し出した。
 「わたくしの技がパワフルだったのは、この“パワーバンダナ”のおかげで攻撃力が上がったからですわ。さ、皆さんもどうぞ」
 そう言って、ミニリュウと私に青い“ぼうぎょスカーフ”をつけてくれた。これは、防御力を上げるためのものらしい。
 ヘイガニも悔しそうに、キマワリから乱暴にスカーフを受け取った。
 「さあ、さっき森の奥が光ったのを私も見ていましたわ。早くオレンの実を見つけましょう。いばらが地面に転がっているから、足元に気をつけてね」
 こういうポケモンが先輩なんだ、と私は思った。
 キマワリは言うと、切り裂かれたいばらが散らばっている道を歩き出した。
 〜つづく〜
- Re: ポケモン不思議のダンジョン 昼*夜の探検隊 ( No.15 )
- 日時: 2009/12/02 17:31
- 名前: 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M (ID: xhJ6l4BS)
- 「ヘイヘイ、おいらがキセキーズといっしょについて行くように親方様に命令されたのによ。キマワリがついて来るなんて……」 
 歩きながら、ヘイガニが詰まらなそうに文句を言った。キマワリは、自信満々に胸をドーンと張る。
 「ヘイガニがきちんと準備をしていかないのがいけないんですわ。それより、今はもめている場合ではないみたいですわよ。ほら、ここが森の一番奥……」
 しばらく針葉樹の並木道を歩いていると森の広場のような所へついた。そこだけ木がなく、丸い円状の広場だ。木がない代わりに雑草がボウボウで、中央に苔むした祠がある。祠は、元の色が隠れるほど抹茶色の苔で覆われていた。
 空を見ると、木々の隙間から星がチラチラと輝いていた。星は、燃えているオパールで出来ていると思った。
 「おっ、雑草だらけじゃねーか。四葉のクローバーあるかな、ヘイヘイ?」
 ヘイガニがかがんで雑草をむしりだした。確かに、四葉のクローバーに似た雑草があちこちに生えている。歩くたびに、足元が雑草のためにサクッサクッと気持ちのよい音がした。
 私はそんなヘイガニを見、呆れて言葉も出ない。
 「あっ! 今度こそオレンの実だ!」
 ミニリュウが祠のそばに転がっているオレンの実を拾い上げて、ニッコリ笑った。さきほどのようにオレンの実に別の持ち主がいて、その持ち主が襲ってくるようなことはない。どうやら依頼主の落とした、本当のオレンの実のようだ。
 今度こそ、依頼完了だ。ふーっ、疲れた。
 「やったね、ミーシャ! 依頼成功だよ!」
 「うん。ギルドへ戻ろう」
 嬉しそうにオレンの実を掲げるミニリュウを見て、私もつられて微笑んだ。よかった。森の主とやらに会うこともなく、無事にオレンの実を見つけることができて。とにかく、無事が一番! よかったよかった!
 そう思って、私たちが帰ろうとしたその時——。
 ビ——————ンビ——————ン……!!!!
 先ほどと同じように、森全体が淡く緑色に輝きだした。祠まで白く燃えているかのように光っている。きっと上空から見れば、山火事に見えるだろう。祠は光の渦の中心らしく、強く何かを訴えるように光っている。どうやら、光の原点はこの広場だったらしい。
 私たちは、眩しい光の中で目をギュッと瞑っているしかなかった。しかし、目を開けていなくても瞼に光の衝撃がくる。
 「もうっ、だあれ? 私の邪魔をしたのは!」
 どこからともなく声が聞こえてきた。透き通ったよく響く声だ。少し機嫌が悪いらしい。
 声と共に、光っている針葉樹がザワザワと揺れた。鳥ポケモンたちも集まってくる。もう夜に近いので、ホーホーやヨルノズクの夜行性のポケモンたちが鳴き声をあげた。
 澄んだ声は、怒鳴り声に変わる。
 「誰だか知らないけど、私の邪魔をした罪は大きいわよ! それっ、<マジカルリーフ>!」
 広場の中心近くにいる私たちに、周囲から尖ったカッターのような葉が襲ってきた。
 「ちょっと待ってよ! 私たち、何も邪魔なんかしていないよ!」
 私が必死に叫んでも、七色の尖った葉は容赦なく飛んでくる。本当に剣のように尖った葉だ。これでは剣風の森ではなくて、剣葉の森になってしまう。おまけに太くて大きい、あのいばらまで地面から突き出てきた。
 「キャー! このいばらはさっきのですわー」
 キマワリが地面から突き出てくるいばらを見て叫んだ。気に入らないことがあるとすぐに怒るヘイガニが、はさみを構える。
 「ヘイヘイヘイへーイ! おまえさんが誰だか知ったこっちゃねえけど、いきなり攻撃はないぜ。そっちがその気ならおいらだって! <バブルこうせん>!」
 「待って!」
 短気なヘイガニが技を繰り出そうとした時、ミニリュウが大声で止めた。ヘイガニは、はっと構えていたはさみをおろす。ミニリュウは勇気を振り絞って聞く。
 「教えてよ。私たちが何の邪魔をしたの?」
 「したじゃないの! 私の“ときわたり”の邪魔を!」
 「ときわたり……? でも、違うよ。私たちは邪魔をしに来たんじゃなくて、オレンの実を捜しに来たの。もし、邪魔をしちゃったんだったら謝るから、お願い。攻撃をやめて」
 ミニリュウが言った後、攻撃が止まった。そして、沈黙が続く。聞こえるのは、風の音と木がザワザワと揺れる音、鳥ポケモンの声だけ。月は私たちを静かに青白く照らしている。
 「わかったわ」
 ようやく沈黙が破られた。どうやら、相手は納得してくれたみたい。すると、祠の前に光が突如現れた。最初米粒ほどだった光は徐々に大きくなり、ポケモンの形を作っていく。ゆっくりと光はポケモンの形を作っていき光が粉のようになって散っていくと、可愛らしい妖精のようなポケモンがいた。
 薄い緑色の体に、青い透き通った瞳と羽。その羽はゆっくりと上下に動き、そのポケモンを宙に浮かばせている。
 「私はセレビィ。まっ、この森の主って言われているのは私の事みたいね」
 セレビィは言うと、緑色の小さな手であちこちに生えたいばらに触れた。いばらは静かに光りながら溶けるように消えていく。
 「あんたたち、何なのよ。私のときわたりを邪魔したりして。私が優しいから攻撃をやめてあげたけど、本当に怖いポケモンならただではすまなかったわよ」
 「だから、邪魔をしに来たんじゃないってば。ところで、ときわたりって何なの?」
 私はむうっとして言いながら、ときわたりという謎の言葉の意味を聞いてみた。セレビィは飛びながら足を組む。
 「ま、言ってみれば時を越えることね。過去に行ったり未来に行ったりする事をときわたりって言うの。さっき、森が光っていたでしょ? あれは、私が5分後にときわたりをしようとしてたのよ。あんたたちがスピアーと大騒ぎして森を荒らすから、失敗しちゃったけどね」
 「未来!? 未来へ行けるの? じゃあさ、一年後に私を連れて行ってよ。私たちがどのくらいすごい探検隊になっているか見たい!」
 好奇心旺盛なミニリュウが首を突っ込んできた。やれやれ、とセレビィは祠を見る。
 「無理よ。私だけの力では、一年後とか大きく時を越えることはできない。せいぜい、15分後が限界ね。時の回廊に入っていけば、一年後やずっと先の未来へ行けるわ」
 「時の回廊?」
 「そうよ。この祠が時の回廊。2回目に森が光っていた時は、この祠が光っていたでしょ。私が今度は時の回廊を通って未来へ行こうとしていたの。未来がどうなっているか、見に行くためにね……」
 セレビィは言うと目を瞑り、祠に触れた。祠が強く光り、森もさきほどと同じように輝く。鳥ポケモンたちの声が大きくなった。
 「セレビィ、何をするの?」
 眩しくて目を覆いながらミニリュウが聞く。セレビィはゆっくりと目を開くと、答えた。
 「この祠……時の回廊を使って未来へ行くの。未来には、ピンク色の私のお姉ちゃんもいるし。それに、未来がどうなっているかを見に行くために……」
 祠の真上の空をセレビィは飛ぶ。やがて、セレビィも祠といっしょに輝きだした。光が花火のように、飛び散っては消える。
 ビ————ンビ————ン……
 「じゃあね、私は未来へ行くわ。未来で私に会ったらよろしくね」
 最後にそう言うと、セレビィは光の中に消える。激しく輝く光の渦を前に、私たちは何も出来ない。その後、光をすべて祠が丸ごと飲み込み、跡形もなくなってしまった。
 〜つづく〜
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