二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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学園アリス—君がいない日々—
日時: 2010/12/19 17:54
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

※死ネタ注意!!※


君のいない日々なんて、想像もつかない。

いつも笑っていた君がいないだなんて。

その、明るい笑顔が見れないだなんて。


—神様は、俺たちの大切なものを

いつも奪ってゆく—


—何を失ったっていい。
           君を取り戻したい—


そんな想いが交差する。


……俺たちは今でも

君の面影を、探し続けている。



—蜜柑—

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Re: 学園アリス—君がいない日々— ( No.7 )
日時: 2010/12/20 15:57
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

*第二話*〜謎多き少女〜


『ふーっ、危なかったかしら。』


すいすいと彼女の周りで飛び続ける物体。


『何よクラリス。今更後には引けないじゃない』

“でも、でもね……”

『ああんもう、かしら!!その話を持ちかけてきたのはほかならぬ金鳳花なのよ?』

“だからって、石楠花(しゃくなげ)…貴方がやることないわよ”


脳に響く声はクラリスのもの。
彼女は少女に仕えている。

『…ぷぅ、分かったかしら。今度はなすわよ。
だから石楠花って呼ばないで』

“分かったわ”


それからその声は響かなくなった。
少女は木陰におり、眠ってしまった。


—それを見つめる、赤い瞳の男の子がいた。


「蜜柑……。」


違うとは分かっていても、そっくりな彼女に湧き上がる切なさを抑えきれない。

すくいあげると髪はさらりと滑り落ちた。



『……けて…。

な、つ…めぇ…』


校長室で、目を虚ろにした少女がいた。
そう、彼女こそ本物なのだ。


『……なつ、め…。


どう…て…助けに来て…、くれな…。』



—運命のカウントダウンは始まった。—



『早く来てよ。助けに来てよ……


うちはここだよ…』



蜜柑の声は、かき消された———。

Re: 学園アリス—君がいない日々— ( No.8 )
日時: 2010/12/20 16:30
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

—初等部 校長室


「蜜柑。」

校長の声が部屋にこだまする。
蜜柑は振り向かず、外を眺めていた。


『……棗…。』


繰り返し口にするのは棗の名前。
それほど彼が愛しいのだ。

「蜜柑」


ようやく聞こえた声に、蜜柑はくるりと振り向いた。
妖しげに微笑む校長。


『……な、ん…ですか?』


途切れ途切れ言葉をつむぎ、やっとその言葉を出した蜜柑。
校長は驚きの言葉を出す。


「今から危険能力がこの部屋に集まる……。」

『…はい』

「日向棗はそろそろ命尽きる……。そして、


もう君はいらない」


『えっ……?』



校長は怪しげな呪文を唱え、蜜柑はぱたりと倒れこんでしまった。
だが0・5秒後に復活した。


『…貴方、誰?』

「僕?僕は校長だ」


『…………………………』


蜜柑は突然無言になる。
そして闇に溶け込んで消えた。


—ついたのはZだった。


「待っていたよ、蜜柑。
お前の仲間となる、愛紀と愛輝だ。」

「よろしくね蜜柑」

「…可愛い子」


美人の二人に蜜柑は緩く笑う。
そして胸に突っかかるものを感じる。


『…あ、よろしくお願いします。』

「蜜柑!!初任務よ、今すぐ学園に行きましょう」


ぐわし、と手を掴まれてしまった。
とても強引な少女だ。


『え、あ……ちょっ!?』


もう一度学園の全貌を見ると、先ほど消されたここでの記憶がもどる。
—だけど今更後には引けないと感じ取る。


「蜜柑……」


愛しくて仕方がない人の声が聞こえた。
自分を呼んでくれているのに。


『呼んだ?』


全員が振り向く。
容姿からして間違いなく蜜柑だ。

「蜜柑!!」


窓際に座っていた棗が駆け寄る。


—パァアアンッ


銃声が響き、鳥がバサバサと逃げ出す。
今はそんなのどうでもいい。


「……!?」


自分なりの“逃げて”という合図だった。
毒入りの銃弾は徐々に皮膚を溶かし、体を蝕んでいくものだ。


『……早く逃げなきゃ死んじゃうよ?』


彼は笑っていなかった。
…あれほど、“笑って”と言ったのに。


「…くそっ」


棗は悔しそうに、肩を押さえ出て行った。


蜜柑たちは再度、Zに戻って行った。

Re: 学園アリス—君がいない日々— ( No.9 )
日時: 2010/12/20 16:49
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

—パチンッ

『かはっ!!』


蜜柑は地下牢で、電流を流されボロボロになってしまっている。


「蜜柑ダメでしょぉー?あの時、わざとうちらから黒猫を逃がすために撃ったくせにぃ」

『…ぁ、はぁっ。…別に、死んじゃえば…いいと、おもっ…。』


「ふぅーん。ならいーよね?」


『え?』

「黒猫を、殺しちゃっても。」


『————ッ!?』


殺す?棗を?


「いいよね、きーまり!!」

『まっ…』


ドサッ


「貴方はお休みだよ、蜜柑。」


『…や、まって…』



ビーッビーッビーッ。
警報が鳴り響く。この音は学園からの侵入者だ。


「「あたしらの出番だねッ。」」


—大ホール


「あちゃー、蜜柑ちゃんを探しに来たけど…。
翼君分かる?」

「分かるわけねーだろ鳴海のドアホ!」


翼と鳴海が侵入者だったのだ。
蜜柑は力を出して駆けだした。


「痴話げんかはやめてよー」


愛紀の声がクスクスと響く。


「敵だね」

「さっきの音かよ…。」


翼はすぐに影を踏む。

鳴海はフェロモンを放出した。


「俺らは蜜柑を連れて帰る。」

「ふぅーん……。



それじゃあさ。」




チャキッ




翼の頭に、銃口が突き付けられた。





「蜜柑!?」




「本人に殺されちゃえば?」

Re: 学園アリス—君がいない日々— ( No.10 )
日時: 2010/12/20 17:10
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

—本人に殺されちゃえば?—


ドクン、ドクン。
翼の心臓が大きく跳ねている。


「……ば…、て…さ…い…」


途切れ途切れ蜜柑が耳元で発した言葉。

そ れ は———



“翼先輩、逃げてください”。


「…わりぃな蜜柑」

『えっ…。

かはっ』


ドサッ


「蜜柑!!」


腹部を殴られ気絶した蜜柑を、翼はそっと抱き抱えZを後にした。


「……蜜柑、平気か。」

『うっ…くっ…。』


蜜柑は翼におぶられて、うめき声をあげている。
よほど痛むのだろう。


『今更…がく、え…戻っても…。』


「……蜜柑。お前の知ってる皆はそんな奴か?」


『———ッ。』


蜜柑はがくっと力を抜く。
そして眠りについた。




—学園 医務室


『ん……』


目をあげたその先にいたのは、B組の皆だった。
蜜柑は予想外の出来事に驚き、そして笑う。


—そう、とても妖しげに。


『皆……。』

「佐倉さん、まったく…聞いたわよ。棗君を逃がすためだったって。

死んじゃいなかったって……」


『あっ…。』

懐かしのパーマだ。
しかし今はもう9時、夜の。
皆は帰らされた。


—残ったのは蜜柑と蛍だ。


『ほ、蛍……久しぶりやな…。』

「えぇ、そうね。」


蛍からは冷たい言葉を返される。
…覚悟はしていたつもりだ。


『……なぁ蛍。』

「何。」



シュルルルッ


蛍の足は白いバラに飲み込まれる。
それは徐々に深くなる。


『馬鹿で助かっちゃったよ。

…味方になったフリも捨てたものじゃないね』


ズッ

人食い薔薇が蛍を徐々におとしていく。


『………めん、ごめんなさい。


蛍…』


最後に見たのは


演技とは思えない蜜柑の涙。


「あっ!!」


そして深い、深い闇。

Re: 学園アリス—君がいない日々— ( No.11 )
日時: 2010/12/20 17:25
名前: 萌依 ◆3pEg2dVo4A (ID: quLGBrBH)

ゴクン—

人食い薔薇が蛍を飲みこんだ。
蛍は自室に戻らせただけだ。


『さぁーてと……。』


月明かりに照らされ、蜜柑は歩き始めた。
そして盗んだアリスストーンを使う。

“予知のアリスストーン”だ。


『……え?』


棗が……、棗が危ない。

蜜柑は駆けだした。


『ルカぴょん、棗はどこ!?』

「えっ……あ、湖の…。」


皆まで聞かず、蜜柑は再度駆けだした。


—たどり着いた。


『…ぁ、はぁ…。棗!!』


棗———。
なんでうちは走ってる?


—そっか。


大切な人を、守るため。



やっと見つけた。撃たれる直前みたいだ。


「さよならだな」


タンッ。


地面をひたすら強く蹴って


棗の前に飛び出す。



—パァアアアン!!!


「—!?」


レオはすぐ逃げるように消えた。


血が出たのは棗の体からじゃない。
……蜜柑だ。


『……ッ!!!』


蜜柑は痛みに顔をゆがめる。
そして、自分が棗に与えた痛みを想い知り涙を流してしまう。


「蜜柑!!蜜柑!?」


『ご…め…。

ごめん…なさ…。』


スッ


蜜柑が手を棗の頬にあてた。


『……棗…。いたかっ、た…よね…』


そして優しく肩に触れた。


「蜜柑!!何でおれをかばった!?」

『……って。だって……


大好きだもん…。』



「—————!!」



カクンッ


腕が力なく落ちる。


蜜柑は夢の中へと、落ちて行ったのだ———。




始まるのは。


—死へのカウント・ダウンか—


—幸せへのカウント・ダウンか—



さぁ……ドッチ?


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