二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ひぐらしのなく頃に輝—第二期—
- 日時: 2010/03/02 17:25
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
新しい仲間が増えた時
それは新たな惨劇を意味する
新たなカケラが増えた時
それは戦いのループを意味する
それでも私は戦える
たとえ貴方が信じないとしても、私は絶対信じてる———
これが運命だとしても、奇跡は必ず起きるから———ッ!
☆*☆*☆*☆
お初の人も、前作を見てくれた方も、どうもです☆
これで立て直すのは、実は15回目です(汗
まあ、頑張っていこうと思います♪
此方は前作「ひぐらしのなく頃に 歩」の続編です!
・・・それだけです!(オイオイ
しかし、前作とか1話とか全てパーなので、初めから書こうと思います!
てかコピーですが;
♪小説♪
ドラクエ小説
h☆tp://gran4.s75.xrea.com/patio-s/read.cgi?no=3347
♪ひぐらしソング&ひぐらし動画♪
「澪尽し編OP」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=hj0HAaK0kfU&feature=related
「その先にある誰かの笑顔のために」
h★tp://www.youtube.com/watch?v=XdvOUCeYYZo&feature=related
神画質 「Super scription of data」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=hILGMmFHPnY&feature=related
アニメ「ひぐらしのなく頃に解」厄醒し編〜祭囃し編
h★tp://www.youtube.com/watch?v=GRvlA9TSY6Y&feature=related
「why,or why not」
h☆tp://www.youtube.com/watch?v=2Y169Ca5sxE
「最終巻絆、PV」
h★tp://www.youtube.com/watch?v=EVUI67P9Es8&feature=related
〜*♪此処に来てくれた仲間達♪*〜
ゆずき
うっさー
ユメさん
m,kさん
藍羽さん
瑠留
月乃さん
皆!ありがトゥーッス☆
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
では楽しんで読んでもらえたら光栄です♪
- Re: ひぐらしのなく頃に輝—第二期— ( No.19 )
- 日時: 2010/03/02 17:39
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
14、接近
—宏人side—
魅音達と別れ、俺は徐に足を進めながら、ある疑問を抱いていた。
「どうして、あんなに仲良くしようと・・・」
俺を陥れようとしているのか?
どうして何だ・・・?
「どうして、あんなに・・・」
「優しいのか」そう呟こうとした直後、服を引っ張られる。
「知りたい・・・?」
「え?」
後ろから気配がして、思わず振り返る。
青いワンピ—スを着た、女の子。
梨花と似てる雰囲気だ。
「お兄ちゃん、知りたくない?」
「この雛見沢の過去を・・・」
嫌に冷たい風が吹き、思わず身震いする。
そこから、彼女は淡々と話し始めた。
ダム戦争、祟り、その犠牲者、綿流し、部活メンバーのことを・・・。
「・・・・凄いでしょ」
「ッ・・・」
彼女に心境をを言い当てられ、ようやく時の存在を知る。
彼女はそれだけ言うと、其の儘去ろうとする。
俺は少女の手首を掴む。
「何でそんなことを知っている!」
肩を掴み、問い質す。
すると、少女は目を鋭くさせる。
少し怯む俺を見ながら、少女は徐に口を開いた。
「だって、貴方が次の標的かも知れないから・・・」
「標的・・・?」
少女は頷く。
「綿流しの時に捧げられなかった、生贄として・・・ね?」
背筋がゾクリとする感覚を覚え、それを撫でるように生温かい風が吹く。
俺が・・・生贄・・・・・?
全ての思考が停止する。
「嘘・・だろ・・・?」
小さく尋ねた。
すると彼女は悪戯っぽく笑って、惚ける。
「知ぃ〜らない♪」
無垢な少女の笑み。
それは無残にも、真実だと思わせるほど綺麗すぎる。
少女は走り出すと、何処かに消え去る。
生温かい風は、擽ったい程気持ちの悪いものだった。
- Re: ひぐらしのなく頃に輝—第二期— ( No.20 )
- 日時: 2010/03/02 17:40
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
15、隠し事
—宏人side—
一睡もしなかったとは嘘になるが、殆ど眠れなかった。
俺は生贄じゃない。俺は、俺は・・・。
そう何度呟いていただろうか。
もしかしたらデマかもしれないと、1%に期待を掛ける。
今日、魅音や圭一に訊いてみよう・・・。
そう思いながら、学校へ向かった。
「でさー!」
教室の中は、相変わらず騒がしい。
バラエティの話や、ゲームの話など。
廊下にいるだけで聞こえてくる。
歩くのを止め、俺は教室の扉に手を掛けた・・・。
ガコーンッ!!!
激しく騒がしい音を立てながら、金盥は俺に激突する。
そして、沙都子の高笑いが聞こえてきた。
「おーほほほ!・・・て、あっ!」
沙都子は気付くのが遅かった。
ぶつかったのは圭一じゃない、俺だ。
「おはよー・・・。宏人ッ?!」
タイミング良く、圭一が教室に入ってくる。
其処から圭一と沙都子の、口喧嘩が始まった。
俺はそれを無視して、机に向かう。
「あうあう!大丈夫なのですか?!」
羽入が訊いてくるが、俺は「あぁ・・・」と、素っ気なく返事をした。
それよりも、俺には「生贄」の二文字が離れなかった。
「さっ!今日も遊ぶよ、宏人!」
「俺、女と遊ぶ趣味はねぇんだけど・・・」
「そんなこと言わずに!ねっ☆」
そう言って、俺の腕を引っ張る。
他のメンバーは、「行ってらっしゃい」とばかりに手を振った。
夕日もそろそろ出る時刻。
俺は女3人と、静かな道を歩いていた。
本当に静かすぎて、俺達の足音しか聞こえない。
おれは、俯きながら考えていた。
綿流しの生贄の疑問———。
今しかチャンスはないかもしれない・・・。
知りたいんだろ、宏人。
なら訊くんだ。口を開け。
そう決意を胸に、口を開いた。
「なぁ・・・」
俺の小さい言葉を聞き取り、全員の足音が止まる。
「何かな?何かな?」
「宏人が質問なんて、珍しーな!」
麻由が俺を茶化してくる。
皆は俺の言葉を待つように、黙って此方を見つめている。
「お前らさ、何か知らないか・・・・?」
「・・何かって?」
不思議そうに此方をじっと見つめる魅音達。
「ほら、何ていうか。綿流しの由来・・・とか・・。後は・・・」
言葉を選びながら俺が尋ねる。
しかし、3人は一つの質問の言い終わりを待たずにして、
「「知らない」」
そうぴしゃりと言い切った。
でもその返し方から、不可思議なことがあった。
何故、そんな拒絶のような答え方を?
俺の足元に、ひぐらしの死骸が見つかる。
もう10月なのに?
そんな疑問を持たずにはいられなかった。
2つの疑問は交差して、俺の頭を狂わせていく。
それが、次の惨劇の始まり。
悲劇の合図に違いなかった・・・・。
- Re: ひぐらしのなく頃に輝—第二期— ( No.21 )
- 日時: 2010/03/02 17:40
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
16、実像と虚像
—宏人side—
「と・・・。宏人!」
はっきりと名を呼ばれ、俺は我に帰る。
目の前にいるのは、困惑している麻由だった。
言い難そうに、言葉を選びながら口を動かす。
「えーと・・・。ウチ等2人で、今度のパーティーの企画考えることになったから・・・」
「は・・・?」
動き出したばかりの思考で、理解するのは難しい。
俺は訳も分からず、その場に立ち尽くす。
「よろしくお願いします!」
知恵先生に頼まれ、俺達は招致する他なかった。
放課後——。
「いいねぇ!2人きり♪」
「魅音、明日覚えとけよ・・・!」
茶化しながら教室を出ていく魅音達を見送る。
教室に戻ると、気まずい雰囲気しか残らなかった。
俺達の声しか聞こえない、静寂の教室。
これが夏だったなら、と思いたくなる。
「いやぁ、大変大変!」
「んー!」と伸びをする麻由に、「そうだな」と、適当に相槌を打つ。
「なぁ——」
「ん?」
黄色の輝いた瞳が、俺に向けられる。
生き生きとした、空のように澄んだ瞳。
幼くて、あどけない程の彼女は、俺に笑顔を振舞う。
「ッ・・・何でもない」
そんな彼女を前にして、思いつく言葉がなくて、目を落とす。
何故か、蟠りが残っていた。
俺の気持ちを抉るように・・・。
「ねぇ・・・」
声を掛けられるが、俺は一旦無視する。
「ねぇ・・・」
再び麻由に声を掛けられ、俺は仕方なく振り返った・・・。
「昨日のあの質問・・・・何?」
「・・・ッ!」
そこにあったのは、冷酷に俺を見下す麻由。
悪寒を感じ、ブルブル震える身体。
そこに先程までの瞳は無く、恐怖しか感じない瞳。
真っ黒の漆黒で、光などありもしない。
その瞳には、しっかりと俺が映されていた・・・。
「な・・・別に・・・ッ」
必死に言葉を濁す他なかった。
「別にって!だからぁ、昨日の質問・・・・」
生気を全く感じない、死者の瞳。
クスクス笑う麻由。
まるで怯える俺を嘲笑うように、仕舞いには高笑いを始める。
「あははッ!嘘吐きはお仕置きだよ?魅音に言って罰ゲームをしてもらわなきゃ!」
まるで、俺の心を見透かすように、それは笑みを零した・・・。
違う、こいつは麻由じゃない。
こいつは誰なんだ?一体何者なんだ!?
「・・誰・・・だよ・・・」
途切れ途切れ、尋ねる。
麻由は一旦驚いたようにキョトンとすると、再度、奇声でも上げるように笑った。
「あははははははははははッ!!!」
狂ったように笑う麻由。
ようやく奇声を終えると、笑みを消し、再び問い掛けた。
「本当に———?」
「ほ、本当に・・・・ッ」
必死に口を濁す他なかった。
「そう———」
麻由が冷酷な表情で返事をすると、立ち上がる。
解放された・・・。
そんな安著の気持ちしか、俺には残っていなかった。
「宏人・・・・」
俺を呼ぶ麻由。
麻由は俺の横をすり抜ける時、耳元で囁いた。
「嘘吐いたから、お仕置きね?」
教室から廊下へと、麻由の足音は徐々に聞こえなくなる。
ガクリと、膝から崩れ落ちる。
これは、実像か虚像か・・・。
俺にはもう、分からなくなっていた・・・。
- Re: ひぐらしのなく頃に輝—第二期— ( No.22 )
- 日時: 2010/03/02 17:40
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
17、凶行
—宏人side—
次の日。
俺は麻由とは関わらないように、少し距離を置いた。
麻由も、その様子を見て、俺には近づかなかった。
放課後の帰り際、俺は教室を出ようと歩く。
「あ!宏人!今日遊びに行くからね!」
そう後ろで声が聞こえたが、無視して教室を出た。
家に真っ直ぐ帰り、俺は部屋に向かう。
「あぁ・・・。鍵・・・」
そして、鍵を掛けようと玄関口まで行った直後。
ガチャリと扉が開く・・・。
「はろー宏人!鍵はちゃんと掛けないと!」
其処にいたのは、魅音だった。
「魅音、お前・・・何しに」
「ん?遊びに来るっていったでしょ!」
そんなこと認めた覚えはない。
そう言い返そうとしたが、止めた。
「おい、早く帰れ・・・「あぁそうだ!それと・・・」
魅音が俺の言葉をさえぎり、バッグから取り出した物。
それは、ギラギラ光っているそれは、一体何なのだろう・・・。
それは誰が見ても、拳銃にしか見えなかった。
「な・・・・」
挙動不審となる俺とは違い、魅音は笑う。
俺は怯えながらも、強気で叫ぶ。
「な、何のつもりだよ・・・ッ!」
「麻由から聞いたでしょ?お仕置きのこと!」
魅音はいやに落ち着きながら、俺に銃を突き出す。
そして魅音を見て、ようやく気付いた。
魅音の瞳は、昨日の麻由のように変わっていると・・・。
魅音が、俺に近づいてくる。
右手に拳銃を構えながら。
「嘘吐いたんだから、罰ゲームだよ!」
何で拳銃を持っているのか。どうして俺に会いたがるのか。
その疑問が、埋め尽くされていく。
決死の覚悟で、魅音に最後の疑問を問う。
「俺を、生贄にするのかッ?俺の腹を裂くのかッ?!」
魅音は何も答えてはくれず、ケタケタ笑った。
「んじゃね・・・」
そう言って、俺に向かって引き金を引こうとした。
その突如。
俺は何とか抗い、魅音は驚き動きを止めた。
俺は、その一瞬のすきを逃さなかった。
魅音の腕から拳銃を奪い、魅音から遠い場所へ放り投げる。
魅音を突き飛ばし、壁に直撃した。
「ぐ・・・!」
丁度傍にあった斧で、魅音を攻撃する。
振り上げ、振り落とし、何度も何度もそれを繰り返す。
次第に周りは赤に染まり、血生臭くなる。
それでも構わず、その動作だけを繰り返した。
グチャッ・・・グチャッ・・・ニチャッ・・・。
気味の悪い音しかしなかった。
ようやく手が止まり、疲労で立つことも辛くなる。
血の臭いが部屋一杯に充満し、鼻に突く。
その臭いを消すため、部屋の扉を開けた。
眩しいほどの電気が、俺と血だまりの部屋を照らす。
真っ赤な魅音も照らされ、俺は悟る。
俺は、魅音に勝った———。
そう喜びを満たす半面、同情の気持ちもあった。
もう冷たくなった魅音を触りながら、俺は呟く。
「これは仕方のないことなんだ、魅音が余計なことをするから・・・」
ここまで自分が冷たい奴だと、初めて知った。
その時、俺はようやく大事なことに気付く。
「そうだ・・・!証拠を隠滅しなくてどうする!」
俺は大慌てで思考と身体を酷使し、次の動きを進める。
魅音の生きていた痕跡、まだ生温かい血は、水道水で流した。
死体は、庭に埋めることにする。
血と入り混じった赤い汗を拭いながら、俺は外へ出た。
案外、楽な作業ではなかった。
早く早くと、身体が急かし、言うことを聞かない。
シャベルを持ち続け、肉刺ができ、疲労が増す。
それでも、やり続ける他ない。
数時間かけ、ようやく魅音の死体を地面に埋める。
そして、シャベルで最後の土を被せ終えた。
「終わった・・・」
手を止めると、疲労がどっと増し、その場に座り込む。
安心感が、俺の力を抜いてくれた。
いや、魅音を殺して終わった訳じゃない。
まだあいつ等が残ってる。
そう、圭一達が・・・・。
此処から、俺は頑張らなきゃないけないんだ。
たとえ、地獄の底まで落ちようとも・・・。
- Re: ひぐらしのなく頃に輝—第二期— ( No.23 )
- 日時: 2010/03/02 17:41
- 名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: WIggsYMd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
18、惨劇の予兆
—梨花side—
翌日、学校へ行くと、魅音の消息のことで持ち切りだった。
「魅ぃちゃん、どうしたんだろう・・・」
レナ達が心配そうにしている。
その時、ガラガラと窓の開く音がした。
窓に足を掛け、「よっ」と身軽に教室に入ってくる。
「はろろ〜ん☆」
それはタイミング悪く、詩音だった・・・。
「み、魅音ッ?!」
宏人の尋常じゃない驚きに、みんなが一斉に窓に注目する。
優羽や幸弥も、顔をギョッとさせる。
魅音と瓜二つの顔を見れば、驚き戸惑うのも当たり前だろう。
「詩音!どったの?!」
「し、詩音・・・?」
私達が「詩音」と言うと、優羽達は「違うの?」と詩音を見つめる。
「あら?新しい転校生ですか?」
「そうなのですよ」
詩音が話すと、優羽は驚いて詩音を見る。
「あれ・・・?なんか口調が・・・」
「あ、やっぱり分かります?」
詩音が笑って教室に躊躇なく入ってくる。
「私はあんなにガサツじゃないし、騒がしくないので!」
そう悪戯笑みを浮かべ、持物を圭一の机に置く。
そこで、ようやく自己紹介を始めた。
「初めまして。魅音の双子の妹、詩音です」
そう自己紹介を終えると、優羽達もすかさず自己紹介をする。
「あ、はい・・・。初めまして・・・。宮口優羽です・・・」
「神田宏人だ。宜しく・・・」
「ふ、藤川幸弥・・・。宜しく・・・」
あの騒がしい幸弥でさえ、こんなに驚いているんだから、ある意味最強だ。
「それより、お姉は何処ですか?」
この様子からすると、魅音失踪の件は、まだ詩音の耳に入っていないらしい。
その言葉に、詩音を除いた全員が目を落とす。
いつも自分に絡むはずの姉、魅音の存在がないことに、驚きを隠せない詩音。
周りにキョロキョロ目を配るが、魅音は何処にもいない。
「あの、お姉は?」
「そ、それが・・・。えーと・・・」
皆はしどろもどろに口を動かす。
詩音は笑顔の儘、返答を待っている。
それがあまりに残酷で、周りはただ目を伏せた。
その様子を見て、笑顔の詩音の顔が強張った。
「まさか、お姉に何かあったんですか・・・?」
図星と言わんばかりに、一斉に口を閉ざす。
すると、詩音はレナに問い質した。
「今日はいないのです・・・」
レナの代わりに、羽入が目を伏せながら詩音に伝える。
「いない・・・?」
詩音は、あり得ないとでも言うように、顔を強張らせた。
「昨日、あんなに楽しそうに笑ってたのに?」
「詩ぃ・・・。魅ぃは、いないのです・・・」
「それは今、羽入さんから聞きました。・・・魅音は何処?」
詩音も、魅音の居場所を訊くのを一瞬躊躇う。
そして、詩音の切り返しに、皆が戸惑った。
「詩音、落ち着いて聞いて。・・魅音は・・・」
そこで言葉を溜める。
「魅音は・・・、失踪したの・・・」
伝えてはならない言葉を、伝えてしまった。
「何・・それ・・・・」
詩音の顔から笑みが消え、目を見開いた。
ガコンッ!!!
突如、激しいプラスチック音が聞こえ、小学生達は震え上がる。
詩音が、傍のゴミ箱を蹴り飛ばしたのだ。
詩音は息を切らしながら、周りを睨みつけた。
「そんなはずないッ!!」
詩音の怒声が、教室中に響き渡る。
「魅音は私と約束したんだ!『来世も双子がいいね』って、私と言ったんだッ!」
「詩音・・・・」
「魅音は、私達のことを誰よりも気遣ってくれたッ!なのに、失踪なんて信じないッ!!」
詩音の気持ちは、メンバー全員が分かっていることだった。
詩音の言った「信じない」は、周りの全員が思っていることだった。
詩音の持ってきた荷物は、床に無造作に転がっていた。
沙都子のために作ってきたであろう弁当。
蓋を開けると、その中身の南瓜は、グチャグチャになっていた。
「詩音さん、大丈夫ですわよ」
「沙都子・・・」
沙都子が詩音に声をかける。
「魅音さんは遊びに行ってるだけなんですわ!ですから、待てば帰ってきますわよ!」
「・・・・ッ」
沙都子の言葉が、詩音の傷ついた心を癒す。
沙都子には、詩音の気持ちが一番に分かっていた。
突然失踪した、生死も分からぬ兄を、只管待ち続ける勇気と恐怖。
だからこそ、沙都子も詩音の気持ちを理解できた。
その沙都子の気持ちを理解し、詩音は落ち着きを取り戻す。
「沙都子・・・。・・そうですよね。そうなんですよね!」
沙都子に励まされ、詩音は微笑む。
「よし!お姉が来るまで、私も暴れさせてもらいます!」
詩音はそう言うと、私の手にあった弁当を受け取り、沙都子に突き出した。
「さ!南瓜弁当を食べましょう!」
「ふああん!南瓜は嫌ですと、何度も申し上げてますのにー!」
いつもの光景、いつもの日常。
それはもう、仲間の手により、壊されつつあった———。
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