二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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囚人・紙飛行機(完結しました!! サンクス!!)
日時: 2010/04/28 22:27
名前: 梨恋 (ID: ty0KknfA)

こんにちわ、初投稿します!!

梨恋といいます。


今回は、VOCALOID「鏡音リン・レン」による、
「囚人」と「紙飛行機」という曲の小説を
書こうと思っています^^




@登場人物@

・レン
ワケあって投獄されている、14歳の男の子。
リンに恋をする。

・リン
かなり重い病気にかかっている同じく14歳の女の子。
父親が牢屋の看守をしており、よく仕事場に遊びに行く。






※注意※
・初心者なので、おかしなことをしてしまうかも
知れませんが、ご了承くださいませ;;
・曲の解釈は、梨恋によるものです。
おかしくてもお見逃し下さい;;






4/28 完結しました!!

   何かリクエストあれば書きます!!←

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Re: 囚人・紙飛行機 ( No.23 )
日時: 2010/04/02 08:37
名前: 梨恋 (ID: ty0KknfA)



9.



ついに僕の番がきた。
「出ろ」
看守が、牢屋の扉の鍵を開け、僕を中から出るように言った。
看守が僕に手錠をかけ、腕をつかみながら歩き始めた。

僕は、もうすぐ死ぬ。

彼女のいなくなった今、
この世に未練はない。
ないはずなのだけれど———


なぜだかココロが叫んでる。
僕のココロが。


今になって思った。
———もう少しだけ生きたい。
もう決意したのに。
死ぬ、ということは、こんなに辛く、悲しいものなのか・・・
でも、今はただ、そういう難しい気持ちじゃなくて、

最後に君に

———アイタイ———



僕が連れて行かれた部屋に、毒ガスが充満してくる。
他の死刑囚たちは、首に手をあて、もがいている。
でも僕は、僕だけは、
ずっと彼女のことを思っていた。


君と、文通しあった日々。

その思い出は戻らずに、走馬灯のように甦る。

一つ一つ君がくれたものが、僕の生きる糧になっていた。


たとえるなら、
闇が渦巻いている雑草のそばに咲く綺麗な一輪華。

君はそんな存在だった。

君と僕は、生きていく世界が違った。

でも———必死に手を伸ばしていたんだ。





「お願いします、神様。

 もしこれが最後なら・・・

 僕をあの子と話をさせてください」


せまく、暗く閉じたその部屋に、切なくただその声は響く。





胸も息も苦しくなってきた。

呼吸が途切れてきているのが、自分でも分かる。

息が途絶えてしまった死刑囚たちも、もう何人もいる。

僕ももうすぐ、あの人たちの逝った世界へ逝くんだな———






その前に。




最後に。




せめて。





君の名前だけでも。






知りたかッタ・・・












—第一章「囚人」(レン目線) END—


Re: 囚人・紙飛行機 ( No.24 )
日時: 2010/04/02 09:25
名前: *莉緒* ◆t2Fwfd0vJs (ID: L1jL6eOs)

文章上手ですね!!
すっごく面白かったです。
つづき楽しみにしてます!

Re: 囚人・紙飛行機 ( No.25 )
日時: 2010/04/02 13:17
名前: 梨恋 (ID: ty0KknfA)


≫*莉緒*様

いつもコメントありがとうございます!!
期待に応えられるよう頑張ります!

Re: 囚人・紙飛行機 ( No.26 )
日時: 2010/04/02 13:22
名前: 梨恋 (ID: ty0KknfA)



第二章「紙飛行機」(リン目線)



1.


ある時代、ある場所。
二人のツタナイ世界をつなぐ、一つの紙飛行機。


その紙飛行機が、青空に向かって飛んだ瞬間から、

私は君に、恋をした———

Re: 囚人・紙飛行機 ( No.27 )
日時: 2010/04/02 13:44
名前: 梨恋 (ID: ty0KknfA)




2.



「リン、調子はどうだ?」
ベッドに横たわり、窓を眺めている私に向けて、ついさっき病室に入ってきたパパが尋ねた。
「うん。変わらないよ」
私は言った。
パパは小さく頷き、ベッドの横にある小さな椅子に座った。
「パパ・・・。何か、楽しいこと、ない?」

もう、どれくらい前かも分からない。
そのくらい前に、私はこの病院に入院した。
パパやママは、私の病気を隠していたけど、私は分かっていた。

自分が、不治の病に侵されていることを。



「楽しいこと、か・・・」
パパは私の言葉を反芻する。
返答は分かっていた。
『もう少しで退院できるから、それまでの我慢だ』
私は、毎日同じことを言わせてはさすがに悪いと思い、質問を撤回しようとした。
「あ、やっぱいいよ。もう少しで退院できるんだもんね?」
なるべく、笑顔でそう言う。
無邪気に退院を待つ、一少女を演じて。

本当は、退院できないことは知っている。
そして、ここが私の死ぬ場所ということも。

そう考えると、涙がこぼれそうになるけど、ぐっと堪える。

パパはまだ思案顔を浮かべている。
「・・・パパ?」
私がパパに声をかけると、パパは我に返ったように私の方を見た。
「あぁ、ゴメン。
 それで、楽しいこと、なんだが・・・」
パパの顔にはまだ少し、不安の色があった。
「どうしたの?」
私はパパの顔を覗き込む。
「パパの仕事場の近くにだな、綺麗な野原があるんだ。
 空気もきれいだから、リンの退院に支障が出るほど
 病気が悪化することもないだろう。
 そこに行ってみないか?」
と、パパが言った。そして、
「ずっと建物の中にいるんじゃ、堅苦しいしな」
と、付け足した。
「いいの?」
私がわくわくしながらパパに問う。
パパは頷いた。
「やった!」
私は満面の笑みを浮かべ、久々の外出に胸を躍らせた。


思えば、これが、
君との出会いのきっかけだったんだね———






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