二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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TALES OF SYMPHONIA
日時: 2010/05/26 14:13
名前: 行進曲 (ID: leJCucM4)

どうも初めまして!
行進曲 と言います。

今回はテイルズオブシンフォニア(PS2・GCのゲームです。)を元に小説を書きたいと思っています。
下手くそなのですがどうぞ宜しくお願いします!


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Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.10 )
日時: 2010/05/31 19:49
名前: 行進曲 (ID: K.LxVVE2)

同刻、真っ暗な空の下、少年は走り続けていた。
彼はある手がかりを掴んだ。
ミトスとマーテルの住んでいた場所から。
そこには二人の男の名が書きしるされていた。

クラトス・アウリオン

ユアン

クラトス・アウリオン……先ほど剣を交えた男の名だ。
アイツがユアンに関して何か知っているに違いない。



夜になってもクラトスは眠らなかった。
彼は外に出て広場から星空を眺めている。
デリス・カーラーンから降りてから初めて見る地上の星だ。

「ロイド……またいつか私はお前と会えるのか……?」

クラトスが呟く。
夜風が心地よい。やはり、地上の方が自分には向いているようだ。

「ん……? 何の音だ……?」

クラトスが振り返る。
何かが風を切ってこちらに近づいてきている。

「! これは……!」

クラトスは剣を鞘から抜く。
それとほぼ同時に雷の槍がこちらに高速で接近しているのを確認する。
クラトスはそれをタイミングよく剣で切り捨てる。

「そこにいるのは誰だ!? 出て来い!」

クラトスがそう言うと、木の上から少年が降りて来た。

「お前は……確かイセリアの森で……。」

「クラトス・アウリオン。
 ミトス・ユグドラシルの戦友、ユアン・カーフェイ の居場所を教えてもらおうか!」

「ユアンか……。
 私も彼の元へ行こうとしていた。
 どうだ?我々と共に……」

「行く気はない。」

「何故だ?お前も私と同じ天使。
 それに、私もお前もまだ優しかったころのミトスと接触したことがある。
 互いに話し合えば何か分かるかも知れないとは思わないか?」

少年が腕を組む。
考え事をしているようだ。

「それか、この私を力でねじ伏せるか?
 言っておくが私はミトスに剣を教えた身。もうお前の素早さには十分反応できる。」

「……分かった。
 ……今回だけだ。」

「成立だな。
 私はここで朝まで待っている。またここに来ると良い。」

「寝ないのか?」

「今日は疲れを感じないのでな。」

「分かった。それじゃあ、また明日だな。」

空に雲がかかる。
月が隠れ、辺りは真っ暗になる。

「そう言えば名前、名乗ってなかったな。
 オレはグレイだ。」

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.11 )
日時: 2010/05/31 23:43
名前: 行進曲 (ID: oYpakyoC)

翌日。空には雲がかかっており、太陽が見えない。
今この瞬間にも雨が降り出しそうだ。
クラトスは広場のベンチに座っていた。

「おーい! クラトスー!」

遠くでジーニアスがこちらに手を振っている。それを確認したクラトスも手を上げた。

「せっかくの旅立ちの日なのに、生憎な天気ね。」

リフィルが空を見上げて呟く。

「雨が降る前に出発しようよ。」

「待て、まだ一人足りない。」

「え? ボクと姉さんとクラトスと……。
 あと誰かいたっけ?」

「アイツだ。」

ジーニアスとリフィルが後ろを向く。
昨日出会った少年がこちらに向かって歩いてきている。

「え……あれって……?」

「グレイと言うらしい。」

「あれがアナタが昨日話してくれた天使の子ね。」

グレイがクラトス達と合流すると、クラトスはすぐさま出発しようと言う。

「よろしく、グレイ。」

「お前……よく見たらハーフエルフだな……。
 ミトスとは同族なわけか。」

「な、何で分かったの!?」

ジーニアスが驚いて訊ねる。

「ミトスの時と同じものを感じ取った。
 まあ、勘、みたいなものだな。
 さ、無駄口を叩いてないでさっさと行こうか。」

そう言ってグレイは戦闘のクラトスに続いてとっとと歩いていってしまう。
そんな彼をジーニアスは急ぎ足で追う。

「ね、ねえ? 昔のミトスってどんな感じだった?」

「……優しい奴だったよ。とにかく。
 自分の事なんかよりオレ達天使の事を優先して手伝ってくれた。
 アイツにはそんな余裕なんてなかったくせにさ……。」

「昔から優しかったんだ……。」

その後は話が続かず、後ろを歩くリフィルに歩調を合わせる。
歩いてどれくらいたっただろうか?
雨が降ってきた。
運よく近くには宿やがあり、そこで休ませてもらうことにした。

「さて、とりあえず、今ミトスとマーテルに関して分かることを述べていくとするか。」

一行はクラトスの部屋に集まっていた。

「ミトスとマーテルは本当に仲が良かったのを覚えている。
 だいたい一緒にいたな。」

「差別で苦しんだ身だからな。同じ苦しみを分かち合った姉だからこそだろう。」

「ボクもその気持はよくわかるよ。」

ジーニアスも同族の姉とともにいかなる差別も乗り越えてきていた。

「しかしその支えとなったマーテルは何者かによって暗殺された。
 しかし、そいつは人間ではなかった。」

「それに関してはオレは分からないな。」

全員黙って考え込む。
そんな中で一人、グレイが顔を上げる。

「なあ、さっきから雨の音、大きすぎやしないか?」

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.12 )
日時: 2010/07/15 21:11
名前: 行進曲 (ID: htYXwhzX)

窓に雨の滴が流れる。しかし、音が大きすぎる。
屋根の上で誰かが拳を打ちつけているかのように。

「ねえ、あれ……何!?」

窓から外を見つめていたジーニアスが驚きの声を上げる。

「あれは……クレイヴァ!」

「クレイヴァだと? あれが天界に生息すると言われている伝説の生き物か。」

何が目的なのかは分からないが、クレイヴァはゆっくりとこちらへ向かってきている。

「天ノ神の仕業か……。」

そう呟いてグレイは急いで外へ出て行った。

「グレイ!? 何をするつもりなの!?」



雨は予想以上に強かった。
肌に打ち付けられる滴で痛みを感じる。
クレイヴァはナメクジのような容姿をしている。つまり、素早くは移動できない。
伝説の生き物とはいえ、所詮は魔物。倒せない敵ではないはず。

「裁きの光、愚者を天へと導け!
 ジャッジメント!!」

ジャッジメントの詠唱終了後、天から無数の光の柱が降りてくる。
神々しいその見た目とは裏腹に、触れた物体を全て消滅させる。

「へん! どうよ!?」

光に包まれたクレイヴァだったが、ほぼ無傷の状態で光の中から現れた。

「な……。」

クレイヴァはもうグレイのすぐ近くにまでやってきていた。と、その時、突然クレイヴァの動きは止まった。

「何だ?」

グレイは鞘に手を乗せる。

「アンタだね、天界の書物を盗んだってやつは!?」

クレイヴァの影から青い髪の少女が現れる。

「グレイ! 一人じゃだめだ! ボクも戦う!」

ジーニアスを先頭にクラトスとリフィルもやってくる。

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.13 )
日時: 2010/06/03 22:03
名前: 行進曲 (ID: M6A02lhT)

「へん! 天ノ書の事だろう!?
 誰が渡すかよ!!」

ジーニアス達の事は無視して青髪の少女に怒鳴る。
すると、少女は冷たい笑みを浮かべてクレイヴァの体を軽く叩く。すると、今まで静止していたクレイヴァが突然動き出す。

「だったら、力づくでも持ってかえるよ。
 行きな! クレイヴァ!」

動き出したクレイヴァを見てグレイがジーニアス達に駆け寄る。

「クレイヴァの狙いはオレ一人。
 お前らは遠くに逃げてろ。」

「何でさ!? ボクだって戦えるよ!?」

「黙れチビ! いいから今は言うことを聞け!」

「チビだって!? バカにするな!」

ジーニアスとグレイの間で火花が散っているように見える。
クラトスはため息をついて剣を鞘から抜く。

「私も参加しよう。
 どちらにしろこのままでは周りに被害が出てしまう。」

「ち……勝手にしやがれ!」

そう言ってグレイはクレイヴァに向かって走り出す。

「魔法が効かねえんなら物理攻撃でどうだ!」

クレイヴァの口から無数の泡が発射される。
泡の軌道を見極め、クレイヴァの頭上まで飛び上がったグレイの背中には天使の羽が生えていた。

「襲双雷斬!!」

雷を帯びた二本の剣をクレイヴァの脳天に叩きつける。
雨によって濡れていたクレイヴァの体中に電撃が伝わり、クレイヴァはじたばたとし始める。

「へ、どうよ!?」

「まだだ! 気を抜くな!」

クラトスの言った通り、今度はクレイヴァの長く鋭利な尻尾がこちらに向かってとんでくる。
グレイはその攻撃をしっかりと回避したが、尻尾の突き刺さった地面には大きな穴が開いていた。

「あれくらったら体に穴が開くくらいじゃ済みそうにないな……。」

「グレイ! クラトス! ボクに考えがあるんだけど……。」

「何だ? 言ってみろ。」

何かをひらめいたジーニアスはグレイとクラトスの耳元で何かを呟く。

「なるほどな。オレに任せとけ!」

そう言うとグレイはクレイヴァの前に立って挑発し始める。

「おいこのデカ物!! オレはここだぞ!!」

クレイヴァは咆哮を上げてグレイに向かって尻尾を向ける。
しかし、もうそこにはグレイの姿はなかった。
再び尻尾は地面に突き刺さった。

「よし! 特大アイシクル!!」

尻尾を抜く隙を与えず、ジーニアスの魔法によってグレイヴァの尻尾は凍りついた。
すると、その尻尾の上をクラトスが登っていく。

「インディグネイション!」

今度はジーニアスが雷を呼び出す呪文を唱える。しかし、対象はクレイヴァではない。
巨大な雷はまっすぐグレイの二本の剣に落ちる。

「雷神剣!」

雷を帯びたその剣も、クレイヴァの堅い体には通用しなかった。しかし、雷の方はしっかりとダメージを与えている。
苦しむクレイヴァが再び咆哮を漏らす。

「今だ!」

クラトスとジーニアスが同時に言う。

「くらえ!! インディグネイトソード!」

巨大な雷の剣はクレイヴァの口の中に突き刺さる。
それと同時にクレイヴァの体中に凄まじい電流が流れる。そして、ついにクレイヴァは消え去った。

「よし! クレイヴァを倒した!」

ジーニアスが飛び上がって喜ぶ。

「こっちの作戦勝ちか……。
 後はお前だけだな!」

「く……まさかクレイヴァがやられちゃうとはね……。
 仕方ない、今度は私の番よ!!」

Re: TALES OF SYMPHONIA ( No.14 )
日時: 2010/06/05 22:00
名前: 行進曲 (ID: L3NdAWya)

少女は腰の短剣を引き抜き、グレイに向かって投げつける。

「おっと……。」

この程度の攻撃を見きれないグレイではない。短剣が投げられた瞬間、軌道を予想し、回避する。
が、しかし、短剣はグレイの予想していた方向とは全く別の方へと飛んだ。
短剣はグレイのすぐ横にできていた水たまりに突き刺さった。

「水牙!」

少女が素早く印を結ぶ。すると、水たまりの中から無数のナイフが飛び出す。
ナイフは雨のようにグレイやジーニアス達にも降りかかる。

「バリア!」

リフィルが咄嗟に杖を振る。すると、リフィル達の頭上に光の壁が出現する。
壁はナイフを全て弾き飛ばした。

「水影……。」

ナイフを防ぎきった後だった、突然リフィルの背後に少女が現れた。それと同時にリフィルは蹴り飛ばされた。

「くう……。」

「姉さん!!」

「忍びか……。何処流かは知らないが強敵だな。」

「だがな……遅いぜ!」

少女の頭上にはグレイの二本の剣がまっすぐと振り下ろされようとしていた。

「早い……!」

少女が気がついた時にはもう彼女の体は真っ二つだった。

「な……。」

グレイは彼女を切るつもりはなかった。みね打ちをした。だが、少女は真っ二つ。

「なんてね……こんな攻撃じゃ私は倒せないよ……。」

少女の体は無数の滴となって地面に落ちる。
そのすぐ後に彼らの目の前に彼女が現れた。

「驚いたでしょう?これが水の神官、アクエリア様の力よ!」

「アクエリア……!? 水の神官って……。
 ……お前らも世界を滅ぼすつもりなのかよ!?」

「滅ぼす!?」

リフィルの元に駆け寄っていたジーニアスが驚きの声を上げる。

「滅ぼすんじゃないわよ。再生するの。
 この世界には差別が多すぎる。だから、世界中の生き物を一種類に統一するの。
 それが、神が目指す世界!」

「人類を一種に統一……!? まさか……!?」

「ミトスの……目指した世界……。」

ジーニアスが呟く。
ミトスの目指した世界。それは、差別のない世界。
全ての生き物を無機生命体にする。
今彼女、アクエリアが言ったのはそれと全く同じ世界。

「まさか……お前ら……!!」

グレイが睨む。その先には涼しい表情で彼らを嘲笑う少女の姿があった。


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