二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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秘蜜〜黒の誓い〜 記念短編小説執筆中☆
日時: 2011/11/30 18:14
名前: 夏茱萸 (ID: lkF9UhzL)

≪プロローグ≫


貴女は『人間』

      僕は『天使』


決して出逢ってはいけなかったのに…
          
           あの時あの場所で 僕と貴女は出会ってしまった。


決して恋なんて 許されないのに…

           出会った瞬間 恋に落ちる音がした。


決して貴女は 汚れてはならぬ存在なのに…

           僕のこの手で 汚してしまった。



神に背いた罪として

     僕の一生を 貴女へ捧げましょう。




   それが僕の  『運命』と信じて…


  ずっと 貴女だけを 愛しているから……————

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Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.37 )
日時: 2011/04/01 20:26
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

*猫科の犬☆様

コメありがとうございます。

はい、何となくですが分かったような気がします!((
行ってみますね♪

でゎ☆
ありがとうございました♪

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.38 )
日時: 2011/04/01 22:07
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

第六章〜禁断の姿〜

ミリアムは、リアンと離れてから五日経った今も、まだ部屋に篭りっぱなしだった。
式は明後日だというのに…と、ルミカもすっかり呆れてしまっている。

ガノムは店に来てはオロオロし、ルミカに怒られて帰っていくという日々を送っていた。

「ミリアム…本当にもう式まで時間がないのよ?いつまでそうしてるつもりなの?」

「…ごめんなさい、ルミカ…でも、リアンのことを考えると、式なんて挙げていいのかって、どうしても思ってしまうの…」

「そう…とりあえず式場の下見だけでもしてきたらどう?気分転換くらいにはなると思うわよ」

ルミカがいつもと違う優しい声でそう言うと、ミリアムは部屋の扉をそっと開けた。そして少しだけ痩せてしまった顔で微笑んでみせると、ルミカに言った。

「ありがとう、ルミカ。行ったらまたリアンに会えるかもしれないわ。私、式場に行ってみる」

「その気になってくれて良かったわ」

ルミカも微笑み返すと告げた。

「今日はガノムは来られないらしいわよ。急な仕事が入ったんですって」

「そう…構わないわ」

困ったように笑うルミカにそう言うとミリアムは、自室のクローゼットから漆黒の美しいドレスを取り出した。
それはガノムがミリアムのためにと持ってきてくれた、式用のウェディングドレスだった。

「それを着ていくの?」

「慣らすのに丁度いいと思って。それに式場まで一本道だから、誰にも会わないでしょ?」

「そうね、いい機会かもしれないわ。手伝いましょうか?」

「お願いするわ」

背中の紐をうまく処理できずにいるミリアムに、ルミカはいたずらっぽく笑いながら声をかけた。案の定苦笑しながらミリアムはルミカの手を借りることにした。

「さ、出来たわよ。鏡を見てみなさいな、すごく綺麗だから」

「フフ、お世辞は結構よ」

そう微笑みながら言うとミリアムは鏡に映る自分の姿を眺めた。
その瞬間、目を見開いて絶句してしまった。

「ミリアム?どうかしたの?」

「…悪魔…」

「え?」

「私…まるで悪魔みたい…心まで全部、黒色に染まってしまったみたい…っ」

頭を抱えながらしゃがみ込むミリアムの様子を見て、ルミカは背中をそっとさすってやる。

「大丈夫よ、あなたは美しいまま。黒に染まってなんていないわ」

「嘘…ッ」

「私が一回でもミリアムに嘘をついたことがあった?」

ミリアムは涙に濡れた顔を上げながらルミカに聞く。

「…本当に?私、大丈夫…?」

「当たり前じゃない。さ、式場に行ってきなさい」

「うん…!」

ルミカに急かされながら玄関に行くと、とてもきれいな青い空が広がっている。
久しぶりに見上げる空に、ミリアムはふっと顔を綻ばせた。

「それじゃあ、行ってくるね!」

「いってらっしゃい、気をつけてね」

「うん!」

お店の外まで送ってくれたルミカに、太陽の様な綺麗な笑顔を向けると、ミリアムは少し小走りで森の奥に消えていった。

「あんなに焦らなくてもいいのに…ねぇ、ガノム?」

「い゛!?」

木陰から覗いていた紫の髪を思いっきり引っ張ると、ルミカの思っていた通りの人物が半泣きになりながら顔を覗かせた。

「痛いたいたいたい!!ルミカ!痛いってば!」

「覗きなんて最低よ?いつからいたのかしら、ん?」

「分かった!話すから髪を離して!!」

「ふん!」

乱暴にガノムの髪を離してやると、ルミカはさらに問い詰めた。

「いつからいたの?」

「…さっき仕事が終わって…で、来てみたら二人が玄関で青春中みたいな感じになっていたから…出て行きにくかったというか…」

「へぇ〜?ま、その選択は正しかったわね。出てきたら半殺しにしてやるところだったわ」

ルミカの言葉を聞いて、ガノムは息を呑む。元々白い顔が更に青白くなってしまった。

「とりあえず帰りなさい」

「えぇ!?そんな〜…」

「ミリアムがいないのに、ここにいる意味なんてないでしょう?」

「…ミリアムはいないけど、ルミカはいるぞ?」

「私なんかといても青痣が増えるだけよ。それでもいいの?」

「いい、ルミカなら許す」

「変な奴」

いきなり真顔になり、不思議なことを言い出すガノムにルミカは訳の分からないといった顔をした。
ガノムはそんなルミカをよそに一人、顔をポッと赤らめてみたり、困ったような表情になってみたりと百面相を繰り返している。

「気持ち悪いわよ、ガノム」

「へへっ」


こんなほんわかしたあったかいルミカたちとは反対に、ミリアムの方は最悪の状況に陥っていた。



ルミカたちがそれを知るのは



まだ、もう少し先。



そして



そう遠い日でも、ない……—————

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.39 )
日時: 2011/04/05 18:46
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

第七章〜禁断の賭け〜


ミリアムは着慣れないドレスに何度か躓きながらも、小走りで教会へ向かった。

「こんなに走りにくい物だとは思わなかった…」

そして、教会の大きな鐘が見えてきた頃、近くにあった木造りのベンチに腰掛ける。普段着ではそんなに疲れないのだが、多少重くも感じられるこのドレスでは教会までの道のりも長く思えてくる。

ミリアムはフゥっと溜息をつくと、大きな青空を見上げた。

「まるで、絵の具をこぼしてしまったよう…」

静かな森の中の空間は、ミリアムを安心させ、そして不安にもさせた。


いつかミリアムがまだほんの幼子の頃、ルミカが言っていた。


『ミリアム、あなたはこの森を見て、なにかを感じたことはある?』

『う〜ん、まだ分かんないけど…とってもきれいだな〜って思った。はじめてここに来たときに』

『そうね、とっても綺麗…でもね?この森も、昔は本当に恐ろしいところだったのよ』

『どうして?』

『…私は生まれていなかったんだけど、大昔この森では天界の者たちと下界の者たちとで戦争があったらしいの。まぁ、天使と悪魔っていったほうが分かりやすいかしら?…古い言い伝えだけどね。で、それを見ていた神様が、あまりの醜さに嘆き悲しみ 下界の者は地上よりもずーっと下へ、天界の者は空の遥か彼方へと分けられたの。それ以来戦争はこの森では起きなかったけれど、近いうちにまた最悪なことが起きるでしょうね…』

『難しいからよくわかんないよぉ、ルミカ〜』

『そう?ま、要するにあなたさえ気をつけて生きていけばこの森は平和が続くのよ』

『どうして私なの?』

『私の勘よ』

『変なの〜』

『フフ、そうかしら?』



あの時はまだ、ルミカの言っていた意味がよく分からないでいた。けれど、今ならなんとなく分かる気がする。私があの子と出会ってしまったから…

ミリアムはそこまで考えて、首を軽く左右に振った。
まさか、ね…

ドレスに躓かないように気をつけてベンチから立つと、また小走りで教会に向かった。
といっても教会はすぐそこなのだから急ぐことはないのだが。

教会の門を門番に開けてもらい、式を挙げる予定のメイン会場へとミリアムは歩いていった。

「…変わってない…何もかも…」

リアンとの最後の日から、なんにも…————


途端に暗い気持ちになるミリアム。メイン会場に入ろうと、大きな扉に手を掛けたが、そんな気になれずに会場の裏へとまわった。

そこは木々に囲まれただけの小さな空間であったが、ミリアムの先程までの気持ちを落ち着かせてくれる、神秘的な場所だった。

「綺麗なところ…」

「でしょ?僕のお気に入りなんだ」

「!?」

突然どこからか男の子の声が響き、ミリアムは身を硬くする。
少年の姿はどこにも見当たらない。

「誰なの!?出てきて頂戴!」

昼間から幻聴か?とも思ったが、そうではなさそうだ。
木の陰から美しい金色の髪をした少年が顔を出した。

「安心して、僕悪い人じゃないから」

「あなたは…誰?」

一瞬ミリアムは彼のことをリアンと勘違いした。あまりにも顔が似ていたので…だがリアンは女性だ。(ミリアムから見て)そして目の前にいる彼は自身やリアンとは異なる性別だった。

少年がミリアムとの距離を縮めて、ふっと哀しげな笑みをして言った。

「僕の名はレオン。よろしくね」

「私の名は、ミリアムよ」

「知ってる。ミリアム・ハーロイドさん…貴女の事は、色々知っているんだ」

レオンは先程からミリアムと目を合わせようとしないでいた。
それは、きっと…

「どうして私を知ってるの?」

「…見ていたから。貴女だけを…」

そう言ってレオンは静かに顔を上げた。ミリアムの目をじっと見つめて、儚い、今にも消えそうなような笑みを浮かべた。

ミリアムはレオンのその瞳から、目を逸らせないでいた。そして、初めての感情に戸惑っていた。

たしかこれは…この感情は…いつかルミカが言っていたものに近い気がする…そうだ!



これは、きっと…『恋』というもの。



ドキドキして、心臓がどんどん早くなってゆく。
心なしか顔も少し熱い。

「覚えておいて、ミリアム。僕はキミのことがずっと好きだった。初めて貴女を見たときから、ずっと…」

「…私もきっと、レオンのこと 好きだと思う」

「ッ!本当に?」

「えぇ、レオンを見ていると、なんだかドキドキして…これが恋ってものだって、私のお姉さんが言っていたの」

「お姉さん?ミリアムにはお姉さんがいるの?」

「正確に言えば本当のお姉さんじゃないわ。存在的に、ね」

いたずらっぽく微笑むミリアムに、レオンは少々見とれてしまった。

「…そうなんだ…その人の名前って、ルミカ?」

「ええそうよ。どうして…」

驚いた表情の彼女に、今度はレオンがいたずらっぽく微笑み、言った。

「言ったでしょ?貴女の事は、色々知っているって」

しばらく二人で色々な会話に花を咲かせ、笑い合っていた。すると突然レオンが笑うのを止め、真剣な顔つきでミリアムに話し出した。

「ねぇミリアム。僕のこと、好き?」

「へ、変なこと聞かないでよぉ…すき…よ」

「じゃあ、僕と逃げよう。どこか遠く、キミの婚約者の目の届かないところへと」

いきなりのことで、ミリアムは驚きを隠せないでいた。その顔に、そっと手を当て、レオンは呟いた。

「お願い…キミのことが…ミリアムのことが好きなんだ。どうしても他の人のとこへは行かせたくない…ッ」

そう言って顔を苦しそうに歪めるレオンの瞳には、今にも零れ落ちそうに涙がたまっていた。
ミリアムはその様子を見ているのがとても辛い。好きになってしまった。彼のことを苦しませたくはない。

ミリアムは悩んだ末に、答えをレオンに告げた。




「…いいわ、一緒に遠くへ逃げましょう」




そう、これがミリアムに与えられた、


人生最大の選択。


苦しみから逃れたいふたりが


選んでしまった 最悪の答え…————

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 ≪ボカロ曲小説化≫ ( No.40 )
日時: 2011/04/05 22:20
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

はい☆

今回は〜また×2やっちゃいますっ♪参照200特別企画!〜
毎度すいません><;

感謝企画みたいなものです♪
そして内容も前回と同じです;

今日のゲストはミクちゃんとルカ姉です。


Q1.あなたの名前は?

ミ「初音ミクです♪」
ル「巡音ルカよ」

Q2・あなたの性格は?

ミ「う〜ん、前回リンちゃんとレンくん答えなかったから…」
ル「ノーコメントにしちゃう?」
ミ「そうしよう!」

Q3.好きな食べ物は?

ミ「ネギ!断然ネギ!!」
ル「いやいや、そこはやっぱりマグロでしょ?大間産の…(以下略)」

Q4.小説の中で一番頑張ったシーンは?

ミ「ドレスで走ると疲れるよ><;みんなも一回お試しあれ♪」
ル「アイツとの共演だけは避けて欲しいわ」
ミ「アイツって〜?(にやにや)」
ル「ッ////」

Q5.動物は好き?

ミ「大好きだよ!」
ル「まぁ…たこくらいなら…」
ミ「たこくらい!?」

Q6.天使はいると思う?

ミ「分かんないけど…ミクはいるって信じるよっ」
ル「私もいると思うわ」

Q7.将来の夢は?

ミ「世界的に超有名になること。ネギに埋まりたいな〜」
ル「とくに決めてないわね。」

Q8.お互いをどう思ってる?

ミ「優しいお姉さんみたいな存在!」
ル「ありがとう、ミク。私は自分の家族と思ってるわ」

Q9.お互いの長所は?

ミ「優しい。ツンデレ。スタイルいい。歌うまい。かっこいい」
ル「たくさん言ってくれて嬉しいわ。…歌が上手くて人気者で活発で…最高の妹よ」
ミ「えへへ〜(照」

Q10.最後に意気込みを!

ミ「最後まで頑張る!」
ル「その意気よ!ぼちぼち私も頑張るわ」
ミ「ぼちぼちじゃだめだよ?しっかり頑張らなきゃ☆」
ル「そうね、じゃあしっかり頑張ろうかしら」
ミ「そうだね♪」

お二方、どうもありがとうございました!!


————————————————————————————————————

期待していてくださいと言った割には低クオリティなものになってしまって…
ごめんなさい><

ここまでクリックしてくださった皆様、本当にありがとうございました♪

Re: 秘蜜〜黒の誓い〜 参照200突破記念企画♪ ( No.41 )
日時: 2011/04/11 21:45
名前: 夏茱萸 (ID: wJNgr93.)

第八章〜禁断の物語〜


「見つけた。とうとう、見つけた。リアン」

そう暗い森で呟いたのは黄緑色の天使、ラグミナだった。
ラグミナはカイナと共に天界から地上へリアンを探しに来ていたのだ。
一緒に探すのは要領が悪いとのラグミナの提案で、一旦この森で二人は単独行動をはじめた。

『ラグミナ、リアンを見つけたらすぐに僕に知らせてね?』

『私、リアンすぐ見つける。絶対に、お前より先に、見つける。』

『…任務で敵対心燃やさないでよ。そしてその無感情な話し方怖いよ;』

『無感情で、悪かった』

『…えっと…ごめん、色々…』


ラグミナはカイナに宣言したとおり、単独行動をはじめてほんの数分でリアンを見つけた。
その場ですぐに声をかけようとしたが、どうにもリアンともう一人誰かがいるらしい。

(カイナ?…違う。女性の、声。人間の、声…)

リアンの小さな話し声と、それに答える女性の声が夜の森に響く。
様子を探るためにラグミナは、木の陰から二人を覗いてジッとすることにした。

暫くリアンたちの会話を聞いていたラグミナはあることに目を見開いた。

「…どうして、リアン。天使のこと、どうして、人間にバラした?」

自身が天使であることを話すリアンに、ラグミナは聞こえないようにそっと囁いた。無感情にしか話せないラグミナだったが、この時だけは悲しみの含まれた声を出していた。

女性の方はきっと、リアンが天使であるということをばらすつもりはないのだろう。彼女の様子を見て、そのようなことに鋭いラグミナはすぐに分かった。

ラグミナにとってバラされることが問題なのではなく、リアンが人間に存在を教えたということの方が重要だった。
天使たち、いや、天界に暮らす全ての者にとって、それは裏切り行為と同じものなのだ。

たとえリアンが他の者を裏切ったとしても、私やカイナを裏切ることはありえないと思っていたのに…

心で呟いた後、ラグミナは彼女が帰り、リアンも消えたのを確認して囁いた。


カイナにだけ聞こえるように、特殊な音波を出しながら。


「見つけた。とうとう、見つけた。リアン」


カイナからの返事はすぐに返ってきた。
焦りきった声が音波となり、ラグミナの耳へ届く。

「本当か!?捕まえた?これでやっとメイサさんの怒りも収まるし、リアンにも会える!待ち遠しいよ♪」

「…カイナ、すぐ、来て。森の教会の広場、鐘の下。すぐ、来い」

「どうしたんだ?」

「いいから、さっさと来い」

「はい、喜んで」

遠くにいるカイナと少しの会話を交わした後に、ラグミナは木の上にさっと飛び乗った。
足と腕を組んで、普段なんの感情も見せない顔に怒りを浮かべ、カイナを待つ。

「ラグミナ?木の上かい?」

「そう、さっさと登れ」

「珍しいな、ラグミナが怒ってるのを表に出すなんて…なにかあった?」

数分で教会に着いたカイナは、いつもと様子の違うラグミナを見て肩を竦めるフリをする。そして木の上に一気に飛び乗ると、ラグミナの隣へ腰をおろした。

「リアンが、裏切った。私たち、裏切られた」

「…どういうこと?」

「…リアンには、もう二度と、一生、会うことできない…ッ」

苦しそうに顔を歪め、頬を濡らすラグミナを見てカイナは目を見開いた。
あのラグミナが、泣いていたのだ。

数十年間一緒だったが、ラグミナが泣いたのを見た者は、カイナはおろか今まで誰一人としていない。
実際、ラグミナ自身が今日初めて涙を流したのだから。

「ラグミナ…落ち着いて、ね?」

「…リアン…ッどうしてぇ!ふぇ…ッぅあ゛ぁああ゛!!」

「…ラグミナ、大丈夫。どういう経緯なのかは分かんないけど、多分また会える。いや、絶対に会えるって!リアンに会えないんなら僕もう死ぬっ」

うまく対応できずに戸惑いながらもカイナは必死でラグミナを泣き止ませようとする。
けれどなかなか収まらなかった。

カイナはもう何も分からなくなりそうで、咄嗟にラグミナの肩を自分の方へと引き寄せた。
そしてラグミナの頭を撫でながら、幼い子をあやすように言った。

「大丈夫だよ。ほら、リアンって悪戯好きだろ?僕らを驚かせようとしているだけだって…だから、もう…泣くな…」

「…カイナは、優しい。昔からそうだ…いつも泣き虫で。…だからもう…カイナも、泣かないで」

ラグミナの肩を抱きながらカイナ自身も涙を流していた。

「…誰が、リアンを奪ったの?」

「女性。人間の、女性。緑の髪の、ツインテール。綺麗な、人」

「…そう。そうなんだ…」

「カイナ?」

「なんでもないよ」


濡れた頬を拭きながら、カイナはラグミナに微笑んでみせた。
ラグミナはそのとき、自分のことで精一杯で カイナの黒く濁った瞳に気づくことができないでいた。



仲間の裏切りを知ってしまった


ある晩の天使二人の物語。


一人の天使は 幾多の者を


傷つけてしまい


愛する人たちを


次々と悲しませていった…————


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