二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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人柱アリス‐Distorted sleep
日時: 2011/06/01 18:29
名前: j ◆Uww.V3pkVM (ID: R3DK0PgD)

あるところに、小さな夢がありました。だれが見たのかわからない、
      それは本当に小さな夢でした。小さな夢は思いました。
      このまま消えていくのはいやだ。
      どうすれば、人に僕を見てもらえるだろう。
      小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。
      人間を自分の中に迷い込ませて、世界を作らせればいいと

一番目アリスは 閉じ込められて
     彼女のせいを知る術は無し

二番目アリスは うちころされて
     みんなに愛でられ枯れてゆく

三番目アリスは トリツカレテ
     国の頂点に君臨する

四番目アリスは 一番アリスに近かったけど
     二人の夢は覚めないまま

        (絵本・人柱アリスより)

とりあえずの前口上。

結構加筆しました。
牢屋のシーンとか。すみません。

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Re: 人柱アリス‐Distorted sleep ( No.21 )
日時: 2011/06/01 18:23
名前: j ◆Uww.V3pkVM (ID: R3DK0PgD)

04 Invitation ‐誘い-
 
 ……駄目だ、全く眠れない。横になっても、眠れない。
 こんなに眠たいのに、なんで?
 眠りたいんだよぅ……!
 ぎゅっと、義姉からもらった大切な短剣を握りしめる。お守り。
——助けて!——
 そうだ!助けてほしい!
 助けてほしいんだ、眠れるように!
——助けて……アリス——
 助けて!……アリス?
 アリス……って?
 昔絵本で読んだことのあるような気がする。不思議の国に女の子が迷い込んで……女王をやっつけた。とっても悪い女王様をやっつけた。
 それとも、誰かの人の名前?
——アリス、アリス——
 私の声ではないことがもうすでにわかると私は、懸命に耳を傾けた。とても苦しそうな声だったから、聞かないわけにはいかないからだ。
「私はアリスじゃないわ。ここはさみしい牢屋だよ。苦しい牢屋。きっとここにアリスはいない。私ひとりなんだから。」
 やさしい声で答えてあげよう。やさしい声で……かつて、姉がそうしてくれたように。
——アリス……アリス、女王をやっつけて!——
 女王をやっつけて?
 こっちの?戦争を起こした女王様?あの……
 あの、馬鹿?
 いやまて?絵本のアリスのほうにも女王はいた。
 ——絵本のほうのアリスか?
「アリス、って?」 
——アリス、君のこと!——

 え

「アリス、……私?」
 そんなはずはない!
 私はメイコ!私はメイコよ!
「嘘だっ!貴様……何者っ……!さては女王の手下か!」
 短剣はっ?——あった!
——剣……スペードアリス!——
「貴様……。」
——こっちだよぅ!——
 駄目だ。相手の姿が見えない。どこにいるんだろう?いるのはただ、私ひとり。でも、相手は確かにいるのだ。
——視点——
 視点?
「視点を変えるの?」
——視点……変える……——
 どういうことだろう……?
 360度すべて見渡したのに!

——367度!——

 はぁ?
——キィィィイ———
「うわあああ!やめろ!頭に響くだろう!」
 ——……あ。
 頭に響く?
 つまり——
「私の頭の中に、いるの?私の、想像?」
——助けて、アリス!——
「ねえ、どうなのよ!どうなの!貴方はなんなのよぉ——!」

——お願いだ、アリス!——

 カタン…… 
 私は剣の構えを崩して、床に座り込んだ。
 これはしょせん、私の頭の中。
 気にすることはないの……。
 目を瞑る。
 さあ、眠りましょう。
 あの馬鹿女王を倒してほしいのかな?
 それとも絵本の女王のほう?
 どちらにしろ——
 無理。
——あ——
 くらっ。
 意識が……奥へ。
 奥へと——

——アリス——

Re: 人柱アリス‐Distorted sleep ( No.22 )
日時: 2011/06/01 18:29
名前: j ◆Uww.V3pkVM (ID: R3DK0PgD)

05 Arrival -到着-

——起きて、メイコ。
 はっ。
 今、義姉の声が聞こえたような気がして、心地よく眠っていた私は目覚めてしまった。幻聴かもしれないが、義姉の声が聞けたのは嬉しかった。
「メイコ、メイコ。」
 まだ幻聴は続いて、だんだん声は大きくなってきた。いつになったら、——途切れてほしくないのだけれど——途切れてしまうのだろう。
「メイコっ。」
 はっ。
 幻聴の次は、幻覚である。優しく姉がほほ笑むという——
「メイコ。」
 義父の幻。紫の長い髪をなびかせて、微笑んでいた。
 怖いな。なんで幻ばかり見てしまうんだろう。
 私はさっきまで——あれ。
 私はさっきまでどこにいたんだろう。
 というか——ここはどこだろう。
 整理しよう——ダメ、できない。
 私、いったいどうしてしまったんだっ。
 手に持っている短剣——ああ、これは義姉からもらった、大切な剣。牢屋で大切に握っていた——
——ああ。
 さっきまで、わたしは、牢屋にいたんだ。
 じゃあ、なんで。
 どうしてここにわたしはいるの?
 ああ、思い出そうとすればするほど、苦しくなってくる。立っているのがつらい。
 ふらっ。
 
 どんっ。

 誰かに当たる。
「義姉、義父。」
 幻覚じゃなかった。
 本当の人だった。

Re: 人柱アリス‐Distorted sleep ( No.23 )
日時: 2011/06/05 10:37
名前: レイコ (ID: 0LEStScZ)

がよーん!jおねーさんやっぱおじょーず!
(゜o゜)ワオ
どうなっちゃうのかな?!?!

Re: 人柱アリス‐Distorted sleep ( No.24 )
日時: 2011/06/06 18:15
名前: j ◆Uww.V3pkVM (ID: 96w7BTqj)

>>23 レイコ
 えー?jおねーさん下手だよ?
 一度、目医者さんに行った方がい((……目医者に行かなきゃいけないのは自分だった……目薬切れたんだ……。
 フフフフフフフフフフフ、どうなるか。
 それは神とおねーさんのみぞしる!

Re: 人柱アリス‐Distorted sleep ( No.25 )
日時: 2011/06/24 06:59
名前: j ◆Uww.V3pkVM (ID: SyV4.Cvk)

06 flower-花-

「何でっ……いるの?」
 
——会ってしょっぱなにそれかよっ
 義父が苦笑いする。
 ああ……ああ……。
 汽車に乗って、戦場に行って、義父のことを考える時間なんて……無かった。ごめん。ごめんなさい……。
「別に構わん。俺が先に天国に逝ったのが、悪いんだからな。」
「——うっ……。」
「でも、義父っていうのはやめて、父さんって読んでくれねぇ?」
「……え?」
 義姉のほうを見る。義姉も、微笑んでいた。
 ああ……あ……。

——お父さん、お姉ちゃんッ!

「——メイコ、ここは何処なんだ?」
 義父が尋ねる。しかし誰も答えられる人はいない——だって、ここ、真っ白の空間だし、いるのは義——お父さん、お姉ちゃん、私の三人だけ。未経験。答えられるわけがない。
「広いわねー、まるで、果てしない空間……。」
「——えっ。」
 そこに——

——キシュゥゥゥ!

「ええっ、なにぃぃいっ?」
 化け物の、叫び声が、きこえ、た。


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