二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入
- 日時: 2012/01/24 13:15
- 名前: 黒猫参謀 ◆1rAeLb3yOw (ID: Y8BZzrzX)
どうも、皆様初めして!黒猫参謀っつーもんでございます。
昨日、友達からここのサイト教えてもらってきたら何か一杯小説あるぜ!ということで、俺も一筆書かせてもらおうかな、なんて思っちゃったりしちゃいました。
二次創作OK!?ならば大好きなインデックスを書くのもありなんでねえか!?と友達に言ったらいいんじゃねえの?といわれたので作ることに。
えーと、完全オリジナルです。原作の登場人物の日常系に登場するキャラは友達として登場します。上条くんとかインデックスとか御坂さんとか。
んで、オリジナルならとことんやってしまえ!ということでオリジナル主人公まさかのレベル5!(原作でも序列6位いまだに不明なのでそこに入ります)
ああ、あとついでに主人公は一切闇の機関等には関係ありません。たんなる一般人です。魔術sideもあまり関係ありません。いいのかそんなんで…。でもよく事件には巻き込まれる…。更に黒猫、実は原作をあまり読んでない!アニメだけ!しかも中途半端!それでも読んでくれる方、貴方は神様です。
沢山のオリジナル、ありがとうございました!
おかげで何とか戦えます!コメントは引き続き募集中。
ようやく戻ってこれました。作者、実は夏から病気して今年頭まで入院しておりました。長い間更新できず申し訳ございません。まだ全快ではないのでゆっくり更新になりますが、引き続き書いていきたいと思います。
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- Re: とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入 ( No.177 )
- 日時: 2012/02/12 10:37
- 名前: 黒猫参謀 ◆HbpyZQvaMk (ID: Y8BZzrzX)
28話 特別
「うあぁっ!!」
「……」
綾野の亜音速の蹴りを正面から受け止め、地面に叩きつける。
後頭部から叩きつけられ、悲鳴を上げる綾野。流石に高レベル能力者だけあり、常人が死んでいるレベルでは死ななかった。
ずっと、綾野は泣いている。
悠一が何を言っても聞いてくれない。
何を言っても近寄らせてくれない。
綾野にとって、悠一は全て。悠一が世界の中心。
悠一が死ねというなら綾野は簡単に死ぬ。
そんな捩れた愛情を抱く綾野にとって、この2週間は地獄そのものだった。自分の信じていた神様が偽物だと言われてしまった信者のような喪失感。今までずっとあると思っていたものが消えて、綾野は怖かった。
悠一が、自分の唯一の信じれる者がもう、二度と現れてくれないと思った。もう、死んでしまおうと思った。悠一のいない世界など、意味は無い。悠一に拒絶されてしまったらもう綾野にとってこの世界は色褪せる。ネガの世界で生きられるほど綾野は強くないし、無理して生きる価値も無い。
やっぱり、悠一は唯一の生きる意味だ。綾野の人生そのもの。
だから綾野は無理にでも縋り付こうとする。
悠一はそれを感じていた。
だから攻撃をやめて綾野に問う。
「……綾野、俺がいない間そんなに悲しかったか?」
「悲しいなんてもんじゃないよっ!!寂しかったよ、怖かったよ、寒かったよ!!だって、だって悠一は私の全てなんだよ!?悠一、半端ことなんてしないでよ!!邪魔なら私に死ねって言ってよっ!!言ってくれないと私何時までも見えない希望に縋って生きていかなきゃいけないんだよっ!!そんなの耐えられないよっ!!そこまで私強くないんだからっ!!強能力者だろうが、人間なんだよっ!?心までは強くないんだよ!?それは悠一は分かってるでしょ!!私には悠一しかいないのっ!!それしかないの!!もういいでしょ!?この場で言ってよ、邪魔だから死ねって!!そしたら私ここで自殺でも何でもするっ!!悠一の邪魔なんてしたくないし、悠一の傍にいられないなら死にたいよ!!」
癇癪のように泣き叫び、最後には泣き崩れてしまった。悠一は今、決心や覚悟が少し揺らいだ。そして、己の中のもう一人の自分が悠一に語りかける。
(……主よ)
(魔獣?)
(主は最悪の選択をしたな)
(分かってるよ)
(この小娘の涙の意味は分かるな?)
(ああ。俺は綾野の人生そのものを否定してる)
(この小娘も壊れた恋慕も恐ろしいが……我がもっと恐れているものは違うのだよ、主)
(お前にも恐れるものがあるのか?)
(あるとも。そしてそれは主の心よ)
(俺の心?)
(同化したことで主の感情が我には分かる。主の心はここまでしてようやく揺らいだ。我が語りかけたのもそのせいだ)
(……)
(主はある意味で、我以上の魔獣だ。感情というものそのものが壊れ始めている。いや、元々基盤が壊れていたのか)
(……魔獣。俺は壊れているのか?)
(自覚がないだけ手に負えない。表面上は至ってマトモな人間故尚更な)
(……心が壊れてでもしてないと、超能力者なんてやってらんないよ)
(それは言い訳か?)
(まぁ。逃げてるのは分かるな)
(己の弱さを己の正義で覆い隠す嘘吐き……だがその正義は本物であり、正義のためなら矛盾ですら正当化する偽善者)
(おいおい酷い言われようだな)
(事実であろう?)
(……)
(この小娘は主に尽くすと言うておる。……道中、一人くらいは連れがいた方が良いのではないか?)
(連れてけってか、綾野を?)
(この小娘は従順ゆえ、主の言うことは何でも信ずるだろう。それに、主も死なれたくはないだろう?)
(……そうだな)
悠一はもう一人の自分との会話を止め、口を開く。
「分かったよ。綾野」
「……ふえぇっ?」
泣きじゃくる綾野に、彼は告げた。
「俺を信じろって言ったら、お前は信じるか?」
「信じるよ……悠一が、傍にいていいっていうなら。……私には、それしかないから」
「じゃあ、言うぞ。俺に黙ってついて来い。それだけでいい」
「……ついて行って、いいの?」
「来い。死なれたら目覚めが悪いし、お前もその方が良いんだろ?詳しいことは言わねえけど、それでもお前はいいんだろ?」
「……」
突然の言葉に、呆ける綾野。悠一は言った。
「細かいことを聞かなくて、俺のやる事に口出ししない、俺の居場所をばらさない、その他諸々守れるならついてきて良いぞ。一個でも守れなかったらその場でお前を見捨てるけどな」
あえてきついことをいい、綾野の気持ちを図る。綾野はしばらく黙り、こう元気に答えた。泣き笑いの顔で。
「しない!悠一について行きたい!!だから傍にいさせて、悠一!!」
と。
- Re: とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入 ( No.178 )
- 日時: 2012/02/12 13:04
- 名前: 黒猫参謀 ◆HbpyZQvaMk (ID: Y8BZzrzX)
29話 風紀委員VS綾野
「……私があいつらのが足止めする」
「……いいのですか?綾野、風紀委員を敵に回して」
「任せて悠一!!私、頑張るからっ!!」
「今はゆうほ、ですわ」
「あ……うん。ごめん、ゆうほ」
結局、悠一は女の子の姿に戻り、その場から逃げ出した。野次馬は綾野と悠一が大暴れしてる間に散っていった。多分、風紀委員に通報しただろう。誰もいない細道で、悠一は女の子の姿に戻り、綾野はボロボロの制服から埃を払い、そして生気の取り戻した瞳で彼女に擦り寄る。
彼女は頭をかきながら綾野の金髪を撫でた。女の子同士のスキンシップは過激だな……などと思いながら。
綾野は悠一が移動するまでの足止めをすると言い出した。
そんなことをしなくても悠一は変身していてばれやしないが、何分大暴れしてしまったので、念のためだと言う。
仕方ないので悠一は許可した。
「綾野、わたくしとは夜9時、駅前で待ち合わせしてくださいな。わたくしが迎えに行きますゆえ」
「うん。了解したよ」
「あと、有り金はそこそこにするように。学校サボって遊びに行くと偽装してください。そうしないと尻尾をつかまれますわ」
「うん」
「更には、戦う場合は頃合を見て、逃げるように」
「分かったよ」
綾野は元気に答えると大通りの方に飛び出していった。
悠一はその場から空間移動していなくなった。
「……兄さんに会ったの、綾野?」
「……あったよ」
「どうして引き止めなかったの!?」
「引き止めたよっ!!それでも、私の言葉になんか悠一が聞くと思ってるの!!」
ヒステリックに喚く綾野。事情聴取に来た雪がうんざりした顔をする。その隣には金鳥の姿も。綾野は悠一に会う前からこの2週間、ずっとヒステリックに過ごしていた部分もある。だから更にそれがわざとらしいレベルまで加速していても疑う余地なんて持たなかった。
「私は……私に……どうしろって言うの雪!!ねえ、どうすればよかったの!?」
「はなっ、ちょ」
雪の胸倉を掴んでがくがくと揺らす。全ては演技だ。だが綾野の態度は極端なのでばれることはなかった。金鳥の鋭い声が飛ぶ。
「綾野先輩。いい加減にしてください」
「うるさいうるさい私の気持ちがみんなに分かるかっ!!もうほっといて!学校なんてもうどうでもいい!!」
雪を突き飛ばし、綾野は己の能力を使用して脱兎の如くその場から逃げ出した。金鳥と雪は呆れたようにその方向を見ていた。
「綾野?」
「あ、ゆうい……じゃなくてゆうほ」
その夜。綾野は言われたとおり、軽めの荷物にある程度の金銭、そして軽めの服で駅前で呆然と夜空を見つめていた。そして悠一が来た。相変わらずの女の子の姿に、男物のジャンパー。鮮やかな紅がとても綺麗だった。
「お待たせしましたわ。さぁ、行きましょう」
「うん」
隣に歩く。昼間叩きのめしたときとは打って変わり、上品な仕草。一つ一つが令嬢のような品があった。素直に綾野は感心した。そしてまた惚れ直した。すごい努力。
「すごいね、その猫かぶり」
「猫かぶりにもそれなりの努力をしましたから」
「なるほど。これなら誰にもわかんないよね」
「そうですわね」
「言葉遣いも気持ち悪いし」
「湾内に沈めてあげましょうか?」
「……なんかホントに気持ち悪い。何でそんなのになってるの?」
「これなら誰にも分からないから、ですわ」
「うっわ〜……何する気かは聞かないけど、相当の覚悟があったんだね、ゆう……ほ」
「外にいる限りあの名前を口にしたら即刻置いていきますかね」
「わ、分かってるよ」
悠一(女)と綾野は夜の街を歩く。彼の家を目指して。
- Re: とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入 ( No.179 )
- 日時: 2012/02/12 13:41
- 名前: 黒猫参謀 ◆HbpyZQvaMk (ID: Y8BZzrzX)
30話 上条家の不幸
「てなわけで、こいつも居候よろしく」
「よろしくね、上条」
「……マジかよ芙蓉。また増えたけど……まぁいっか」
「むー?ゆういち、このひとゆういちの恋人?」
「そうだよ!」
「ちがうっ」
事情を説明し、当麻はうんざりしながらも了承してくれた。インデックスも綾野と仲良くしている。綾野は元来悠一に好意を持たない女の子には優しい。というかノリがいい。
ちなみに綾野と当麻も知り合い。スキルアウトから当麻を助け出したのは綾野と悠一だったりする。この辺のスキルアウトは悠一と綾野を恐れて最近は当麻に手を出さなくなっているらしい。
「……でだ」
「何だ?」
「芙蓉、お前本当に何しようとしてるんだ?」
「……戦いさ。お前がやってる、みたいな」
聞いてきた当麻に悠一はこう言う。
「譲れない戦い。それが今俺のやりたいこと。倒すべき奴がいる。俺は一人になってでも、倒さなきゃいけない相手。上条、お前にもいるんだろ」
「……あぁ」
「それだけだ。互いのため、詮索はやめようぜ。これ以上入り込まれたら、俺も」
「悪かったもう聞かないよ」
当麻は手を上げて降参した。その顔に真剣になり、悠一は驚く。
当麻は何故かこんな事を言い出す。
「お前、本当に大変だったら言えよ。俺でよければ、何時でもチカラ貸すから。っていっても、学園都市最強に手なんて貸せるかわかんねえけどさ」
「……一つ、訂正しておくぞ?」
「え?」
苦笑しながらやめる当麻に、悠一は言った。
「俺は自分の力だけで今の場所にいるわけじゃない。俺はみんなの力のおかげ。だから、そういうな。俺は一人じゃ、壊したり殺したりとかしか出来ない。上条、お前はその右手で何人救えた?
俺はお前が羨ましいよ。俺の力は単なるチカラ。お前の力は人のために使えるチカラ。俺なんて、どうせ他の人を怯えさせるだけのもん。
だけど上条、お前は違うよな。誰かのために、利害なんて考えずに突っ込んでいける、その度胸が俺はすごく羨ましい。俺は……突っ込んでったら、みんな見境無く、壊しちまう……この手で。
どうしてこうなったって言ったらさ、全部俺のせいなんだよ。自業自得。俺が我武者羅に強い能力、強いものを求めすぎて、気付いたら孤独だった。誰も守れなかった。何のために強くなったのかわかんない。
なぁ……上条。俺の幻想を、お前の右手で殺して欲しいっていったら……怒るか?」
「……」
悠一の言葉に、当麻は黙ってしまった。
- Re: とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入 ( No.180 )
- 日時: 2012/02/12 14:21
- 名前: 黒猫参謀 ◆HbpyZQvaMk (ID: Y8BZzrzX)
31話 目覚める魔獣
「……」
その日の深夜。悠一は眠る当麻たちを置いて、学園都市の中央部に着ていた。周りには、暗部の人間たち。何処かの組織だとか。細かいことはどうでもいい。問題はこいつらをどうするか。
「芙蓉悠一。お前をここで殺す」
誰かが感情のない声で言った。みな、顔を特殊マスクで隠して、手には対能力者のさまざまな武器。それを悠一は黙ってみつけている。
さっき、街を意味もなく歩き、気付いたら誘導されていた。
いや、あえて無視していた。それだけだ。気付かないわけは無い。
人数は10人。大したことじゃない。そう。
——襲い来る相手に、ようしゃなどひつようナイ。
悠一は契約して、初めてチカラを使うことにした。
頭がもやもやとする。囲まれて絶体絶命、それすら瑣末なこと。
俺の爪は何処だろう?
「覚悟してもらおうか」
俺の牙は何処だろう?
「何か言い残すことはあるか、化け物?」
俺の炎は何処行った?
「……動かないか。まぁいい、覚悟——」
悠一は黙って動く。空間移動、喋っていた男の背後に回り首に手をかける。
「!?」
「シネ」
首の骨を無理やり圧し折る。ごきっ、という音が響いた。声を上げる暇もなく殺した。
他の相手はすぐに反応。各々の武器を手に制圧を開始——
がしっ、と悠一の手がマスクを正面から掴んだ。そのまま持ち上げる。
空間移動ですぐ前に移動されたことを男はすぐに悟る。暴れず手にあったブレードを悠一の体に突き刺す。位置は心臓。深々と刺さったブレード、だが悠一の体は止まらない。ギチギチと握力を強くしている。
「なっ!?」
「シネ」
グシャ、と男の頭を握り潰した。返り血が悠一の体にかかるがそんなことはどうでもいい。心臓が貫通?それがどうした。
死体を投げ捨てると次の獲物を探す。あと8人。
「馬鹿なっ!?心臓が貫通している筈!」
「————」
だからどうした?
空間移動。今度も目の前。喋った奴から殺す。
移動し、動けない男の心臓目掛けて手刀を突き出す。
鈍い音がして悠一の腕が男の体を突き通す。即死だ。凄まじい紅と匂いをぶちまけてゴミを捨てた。いい匂いだ。
己の腕についた肉片を見て悠一は笑う。この感覚だ。
そう、求めていたチカラはこれだ。
「ひぃ!?」
「ば、化け物がっ!!」
「殺せ、殺せえええええええ!!!!」
数人が半狂乱して発砲。悠一の頭、腕、胴体、足に着弾するが痛みはない。むしろ丁度いい。悠一はまた消える。
次、まずはアサルト野郎だ。
真横に現れる。
男が反応する前に力任せに首を掴み振り回す。
駒のように回転し、首が遠心力に耐えられず千切れてしまった。体がとんでもない方向に吹っ飛んで暗闇に消えた。手元にあるのは生首だけ。
悠一は大量の鮮血を頭から被りながら、笑いながら首を捨てた。邪魔だゴミが。
消える。
次はお前だ拳銃野郎。死ね。
狩りは始まったばかりだ。
「————」
(主よ……完全に覚醒したか)
「————」
(今の主は我の本能のみで動く——それは魔獣の名に相応しい)
「————」
(知性の欠片もない主は歩く災厄……人の皮を被った怪物よな)
「————」
(おかげで我は知性を受けることが出来たが……哀れよな、主)
「————」
(我の声も届かぬか……)
血の海。その中に悠一は立っていた。全身紅。頭から服、顔、腕、足、胴体まで。撃たれ斬られ刺され吹っ飛ばされた筈なのに、悠一は笑っている。周りには元、人間が。今は物言わぬ単なる肉片や肉塊。それは残骸といえる乱雑さで捨てられていた。全て悠一の手によって行われた虐殺。
悠一は満足そうに視界が真っ赤に染まった状態で夜空を見上げる。
嗚呼、満月が綺麗だ。空気が澄んでいるから、綺麗な真紅に染まってる。それに大地の池に反射する月光がまた綺麗だ。
(それは主、主の目にだけ写る光景よな)
「————」
(気付かぬか、もう遅いのか)
「————」
(敵を求めて彷徨う獣、それが主だ)
「……」
(歪みが酷すぎてもう修正など効かぬ)
「……ころすのもわるかぁねぇな」
(人の感情……快楽だけが目覚めたか。……何処までも堕ちるのだな、主)
「はははは……どうしたってんだよ魔獣。俺こんなに強かったんだぁ。すげえ、お前すげえよ。最高だなぁ!!すげえよ、これが学園都市最強……あははははははははは!!!!!」
(……もう、主には何もあるまい。壊れた主はもう直らぬ)
笑う悠一。その姿は異常者だった。
- Re: とある科学の超電磁砲 学園黙示録 第二章突入 ( No.181 )
- 日時: 2012/02/14 15:34
- 名前: 黒猫参謀 ◆HbpyZQvaMk (ID: Y8BZzrzX)
32話 見えた
翌朝。学園都市にセンセーショナルな報道が走った。
大量猟奇殺人。
それは昨晩悠一がやったものであり、茜は芙蓉家でその一報を朝のニュースで見て、愕然としていた。
朝は雪、静香、雅の4人で朝食を食べていた。
テレビを見て雅が呟いた。
「酷い……身元不明の男性10人をバラバラに引き千切って殺すなんて……誰がこんなむごい事を」
「悠一……」
「え?」
呟きに返答があり、雅は茜を見た。真っ青な顔でテレビを睨んでいた。
「あれは悠一が犯人だ。絶対そう」
「……茜、どういう意味?」
雪が茜に聞いた。最近は茜のこういう突拍子もないことでも彼女は嘘は言わないので、雪は至極冷静に彼女に聞くことが出来た。それが兄の殺人実行だとしても。
「悠一は……襲われて、戦って……それで……意識をなくしてる状態で……ううん、あんまりわかんない……悠一の映像が、断片的に入ってきてるだけで……見えない……これは……血?それに……鉄臭い……生暖かい液体……紅い月?なに、これ……これが悠一のみえていた映像?どうして……こんな風になってるの」
茜は混乱しながらみんなに説明した。皆は茜と悠一が何かで繋がっていていることを知っており、彼女の説明を重い衝撃と共に受け止めた。
「お兄ちゃんが……人、殺しちゃったの?」
「そう。正当防衛ともいえる。相手は10人、しかも能力者を殺す道具を持ってて、尚且つ戦闘経験のある人間。つまり」
「暗部の人間だね」
「そう」
茜の一言に頷く雅。雪は悲痛そうな顔で黙り、静香だけ混乱していた。
「お兄ちゃん、犯罪者なの?」
「違う。悠一のいる場所は戦場。殺される前に殺してしまった、それだけ。だから悠一は罪には問われない。元々悠一に関しては治外法権。そういうもの。ね、雅」
「そうだね。私達上位序列にはある程度の暴走は許されている。例えば、襲われて殺してしまっても、罪には問われないとか。雪ちゃんはそうはいかないけどね。風紀委員だし」
「元々私はそんな風に能力を使うつもりはない。でも兄さんは違う。兄さんは襲われれば普通に使うし、躊躇いなんてないし。兄さんはそういう人でしょ、静香」
「……分かってるよ。でも、お兄ちゃん……あんなに優しいのに」
「兄さんの優しさは殺される相手には向かないわ。だって、兄さんは戦いには無情だから」
「情けや迷いが入るのは私達が相手のときだけ」
みな、重い溜め息を吐いた。遂に、人を殺してしまったと。静香だけはオロオロとしている。元々暗部には一番遠い一般人だ。当然の反応だろう。静香はこう言った。それは誰にも予想できない言葉。
「わたし、お兄ちゃん、探す」
「え?」
「わたし、お兄ちゃんがこんなことするなんてダメだと思う。
わたし、やっぱりみんなに頼ってばっかりじゃダメだと思う。
わたしは、お兄ちゃんの家族だから。お兄ちゃんの妹だから。
だから、わたしがお兄ちゃんを怒るの。お兄ちゃんは頑張り過ぎだって。雅お姉ちゃん。わたしはわたしでお兄ちゃんを探すよ。だから、雅お姉ちゃんは雪ちゃんとお願いします」
「……静香ちゃん」
「静香!あんたね、単なる異能力者程度で兄さんに敵うなんて思ってるの!?」
雪が立ち上がり怒鳴った。雪は雪なりに彼女を心配している。だが静香も怒鳴り返した。それは意外であり、雪の意思を壊すには十分過ぎる迫力。
「雪ちゃん!!敵うとか敵わないとか、そんなことを言ってる場合じゃないんだよ!!わたしたちの家族が壊れちゃうかもしれないんだよ!!一々そんなこと言ってたらお兄ちゃん帰ってこないよ!!雪ちゃんは慎重すぎるの!!もう守ってたらお兄ちゃんは行っちゃう!!わたしはお兄ちゃんの妹だもん!!分かるよ、何年も一緒もいるから!!
これ以上お兄ちゃんが帰ってこないなら、わたしがお兄ちゃんについて行く!!もう、待ってるだけなんて嫌なの!!綾野お姉ちゃんだってお兄ちゃんに会えてる!!だったらわたしだって会える!!わたしの能能力を使ってでも逢う!!」
それだけ言うと彼女は自分の部屋に戻り、ばたんっ!!と扉を閉めてしまった。雪は呆けた顔で扉を見つめる。
「……」
「静香ちゃん、本気で怒ってたね」
「ええ。まぁ、今回は雪がいけない。ただでさえ静香は暴走寸前なのに」
呆れ顔で二人は食事を再開した。
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