二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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目安ボックス・・いやめだか箱
日時: 2012/02/04 15:48
名前: 栖樺 啼 (ID: ZEjsU2TR)


めだかボックスでいうところの
才能、つまりは 能力 スキル の究極でも探そうとか思って、
とりあえず試してみる、ぐらいの感じで書きたいなと・・。

勝手な内容にも程があり
創作の内容すら変ですが

確かなのは
話が荒唐無稽で支離滅裂の非散惨状となっています。
話に飽きてしまえば、不都合が悪く中味も中味も変わりますが

とりあえず、見ていただければ公営、いや光栄なのです。

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第46箱ー僕のターンー ( No.60 )
日時: 2012/09/30 23:08
名前: 栖樺 啼 (ID: j.vAWp8a)


「【始】める?【何】をだよ?あぁ、【体育】か。
 できればマット【運動】がいいんだけどなぁ。」
状況に全く合わない様子で、逆立ちから、片足立ち。
イライラしているらしく、鵆がナイフを利き手に持ち替えた。
安心院がそれを奪う。
いわゆる、人外的早さで。
「おいおい、殺気立ちすぎやしないかい?平和主義者ってわけじゃあ
 ないが、さすがの僕も止めるぜ。訃隙ちゃん。」
「『止める?』『安心院さん、何をしようっていうんだよ。』
 『この連中に何か思い入れでもあるのかな?』」
「キミも一応マイナスなら、わかるだろう。
 相手がスキルを言ってくれたんだ。何かしらの見返りが無い限り、
 または、僕レベルにスキルを所持していない限りは、スキルの
 公開なんてしないはずさ。−違うかい?箏葉間閑嚇。」
指をさす、というより、手で促すようにして、安心院は閑嚇を見る。
閑嚇は無言で微笑む。
「そうだね。スキルと【目的】は【繋】がることがある。
 さすが安心院さん。驚いたよ。」
別に、本当に驚いてはいないようだった。
拍手をする。
安心院は訃隙を振り返る。
「僕はこの二人にいくつか聞きたいことがあるんだ。
 今の君なら、数秒あれば、殺せるだろう?数分くらい待ってくれ。」
ボクに免じて、安心院がそういうと、訃隙は頷いた。
「『鵆も余計なことはしないようにね。』
 『安心院さんに敵う人間なんて、限られてるんだから。』」
「わかってますし、あなたは自分の殺気をしまってください。」
訃隙は螺子をスカートにしまった。
そして、安心院が腕を組む。
何かに、寄りかかっているように立ち、口を開く。

「ここからは、僕のターン。」


安心院なじみによる、口問答が行われた。
「まず、一つ。キミのスキルとキミの目的が繋がるというのなら、
 キミ、いや、キミ達は僕達のスキルを、見に来た。
 君たち風に言えば『見繕いに来た』ってことであってるかい?」
「うん。【当】たりだよ。ここには、たくさんの
 スキルホルダーがいる。だから、ここへ、【来】た。」
安心院は日本の指を突きたてる。
閑嚇の目の前に、
「じゃ、二つ、キミ達はどうして、こんな時期に?」
「・・・。」
芯掲を一度見る、芯掲は閑嚇を見て入るが、これといった
アイコンタクトはとらず、閑嚇は前を向いた。
「めだか、」
言いづらそうに、顔をやや背けて、閑嚇が言う。
「めだかちゃんが?」
安心院が促すと、閑嚇は声を小さくしつつ言う。

「黒神めだかが、生徒会長をやめたから。」

「「・・・・?」」
鵆と訃隙は首を傾げる。
「そうかい。で、それだけかい?」
頷かないまま、安心院を軽く睨む、
そして、また柔らかく微笑む。
「【他】には?」
指を増やす。
「三つ。キミのその喋り方さ。」
「っ!!!」
声を出しそうになったのは閑嚇では無く、芯掲。
当の本人は、俯く。
そして、
「【喋】り【方】はしかたないだろ。
 【生】まれつきなんだから。しょうがないんだよ。」
悔しげに言うと、安心院が笑顔で続ける。

「あぁ、無意識だったのかな? さっきから君は
 ちょいちょい素の話し方になってるんだよ?
 特にー、人への感想を語る時なんかは。」

「っ、細かいところまで、よく聞いてるね。むかつくよ。」
「そういう喋り方の方がわかりやすくて、いいんじゃないかな。」
「誰かに、接触するときは、自分を隠すのがモットー。
 誰かのスキルを見繕うときも、同じだよ。ま、雰囲気そのものは
 変わりはしないけれど、芯掲も、変えさせたのに、無駄だね。」
笑うと、肩をすくめる。
そして、安心院に言う。
「まぁ、一人称も不明のまま帰るのもなんだけど、
 『バレちゃあしょうがねぇー』ってやつだよ。
 まだ一京あるうちの100億くらいしか、見繕えなかったよ。
 球磨川、恋愛だか、訃隙ちゃんのスキルもできなかった。」
種明かし、とでも言うように手を上げる。
「じゃ、帰るよ。」

「『待てよ』」

「・・・・・。」
芯掲の手を引いて帰ろうとする、閑嚇の背中に螺子を向ける。
「あなたの目的なんて初めから知ってます。
 ≪私のこと≫をしっているんでしょう?」
鵆、芯掲が首を傾げるなか、安心院は下を向く。
閑嚇は振り返る。
「っ!私が、『何になるのかもっ!』」
螺子を、地面に突き刺し、
球磨川恋愛という名の球磨川訃隙と呼ばれる少女は泣いていた。
年相応の子供のように、泣いていた。
そして、球磨川の子の行動こそが、物語の終幕を開けたりする。
始まりから、終わりへ。


『最終章』
という名目で、これからは、進みます。
栖樺の都合により、しばらく、投稿できないので、
一度切り上げ、最終回を迎えたのちに、
また、【めだか箱 其の弐】とかで、再会します。
とりあえずは、最終回まで、お付き合い願います。
お気に入りのキャラが崩れていくのは残念です。 栖樺 啼

最終章 第2箱ー見事だぜー ( No.61 )
日時: 2012/10/14 12:04
名前: 栖樺 啼 (ID: j.vAWp8a)


「何に・・?」
安心院が鵆を見る、鵆は首を振る。
訃隙は螺子を拾いつつ、涙は止めない。いや、止まないだろう。
閑嚇と芯掲は黙っ互いを見合わせる。
「私、こと球磨川訃隙が、ではなく、球磨川恋愛そのものが、です。
 さっき、『この時期』にここに来た理由を安心院さんが聞いた時、
 あなたは『黒神めだかが、生徒会長をやめたから』といいました。
 その理由を聞いて確信しましたよ。閑嚇さん。」
球磨川恋愛が泣きながら言う。
泣いているのにも関わらず、透き通る声だった。
「核心?あぁ、確信ね。知ってるよ。これからの黒神めだかのことも
 『あれ』が開催されることも。そしてそのあと『彼女』が
 ここを去ることも。【里】に帰ろうとしていることも。」
訳のわからないことを続ける二人に安心院が口をだす。
「この話って、僕達が聞いてていいものなのかよ?」
恋愛が頷く。
「黙って聞いてください。ていうか、あなたは知ってるでしょう。
 変な演技をしないでください。私は≪あなたのせい≫でこうなったの
 ですから。」
安心院がそっぽを向く。
鵆も飽きたらしく体育座りで座って何かの本を読みだした。
「『不知火』さんのことはいいんです。このさい。」
恋愛が言うと閑嚇は笑った。
逆に芯掲は怪訝な顔をする。

「よくないだろうさ。だって、キミと【不知火】ちゃんは同じような
 もんじゃあないか。違うのは不知火ちゃんは≪仕事≫で、
 キミが《義務》ってことくらいだろうさ。」

「っ、そこまで知っててなんで、今・・・。」
恋愛がぼやく。
笑いをやめると、閑嚇は恋愛を指差す。
「だから、そろそろキミもいらなくなるころだと思ってさ。
 ≪回収≫の意味合いもあるよ。」
「私にはっ、まだ義務を果たしていないところが、あります。」
恋愛が地面を強く踏む。
悔しそうに、ただ、苛立っているように。
唇を噛み締める、といった感じで。
「そうかい。なら、確かめようか?」
閑嚇は鵆を見る。
鵆がポケットからケータイらしきものを出す。
そして、耳に寄せる。口を開き、

「あー、通じましたか、みなさん。そういう訳なので、全員グラウンド
 集合で、あぁ、球磨川さんだけは絶対連れて来てくださいねー。」

「っなにを!」
鵆のケータイをすぐさま壊す恋愛。
鵆は無表情のまま続けた。
「何って、みんなを読んだんですよ。安心院さんと閑嚇って人の
 命令で、恋愛さんの《義務》を負わすために。」
後半はからかいが混じる。
恋愛は鵆を一発殴る。
「鵆くんまで、なんですか・・。私のこと・・。」
「あいにく、キミの味方ってあんまりいないんだ。」
閑嚇はうなだれている恋愛に顔を上げるように促す。
恋愛が顔をあげると、そこには。

「恋愛ちゃん・・・。」「恋愛同級生・・?」
「球磨川妹・・・。」「妹ちゃん・・。」
「球磨川さん・・。」「恋愛さん・・。」

前生徒会執行部と不知火半袖、その後ろには名瀬夭歌、古賀いたみ。
黒神真黒、球磨川恋愛の慕う人間ほぼ全員がいた。
「鵆くんが、呼んだのって・・・。」
「ここらの、メンバーが一番あなたと仲がいいと思って。」
鵆が安心院もの肩をたたく。
安心院が振りかえる。

「御苦労さま、悪平等{ボク}。見事だぜ。
 ここまでのオールスターキャラを選ぶなんて。」

「いえ、僕も一応末端なんで。」
球磨川恋愛の驚愕を余所に、展開は進む。
安心院なじみが手をたたく。ポン、と軽く。
「さてと、始めるよーみんな。」
オールスターキャラを見渡すと、安心院なじみは満足気に微笑み、
どこから表したのか宴台の上に立つ。
そして、手にはマイク。
状況だけ見れば、候補生とやった《宝探し》と似ていた。
「この子みたいには、なっちゃいけねーぜ。」
ほとんど放心状態の恋愛を宴台に立たせ続ける。
「始めるって、何をだよ?」
名瀬が聞く。
「まぁ、聞いてくれよ。今から話すのはー、」
一旦言葉を切り、恋愛の肩に手を置くと、告げた。
恋愛にとって、一番恐れていた、否、【恐れ続けている】ことを。
恋愛は耳をふさぐ、しゃがみこむ。
安心院は恋愛の頭に手を置きながら、もう一度。
その場にいるオールキャラが疑問を抱かずにはいられないことを。

「この子、元≪笹海 舞愛≫こと現「球磨川恋愛≪訃隙≫」である
 彼女の【本来の姿】と【裏・フラスコ計画】の全貌を。」

「い、やだ。」
恋愛はまた、泣く、叫ぶ、悲痛に、苦痛に。

「やだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

それこそ、駄々っ子のように、鼓膜が破ける程度の叫びで。
安心院なじみは微笑んだまま。


どうしろって、いうんですか。
最終章で、こんなことしても、うけませんよ。
どうして、バラされなきゃいけないんですか?
私は、ただー、うぅ。・・・・。やだ。
どうしても、やだ。やだやだやだやだやだやだ。 球磨川恋愛。

最終章 第3箱 −今まで、今、今からー ( No.62 )
日時: 2012/10/16 18:38
名前: 栖樺 啼 (ID: j.vAWp8a)


【球磨川恋愛】それが、私の名前です。
【球磨川訃隙】それが、僕の名前だよ。
[笹海舞愛]  それが、私の、過去の名前です。

今回私、球磨川恋愛が語るのは、私と僕の昔話。
今までのこと、お話します。
今のことも、話しましょう。
今からから、私が何になるのかは、次回、安心院さんの出番です。
さぁ、て、私には私ができることを言いましょうか。

さて、今までのおさらいを軽くしましょう。
・身寄りが無い
・ほぼ天涯孤独
・球磨川訃隙となったのは4歳
・球磨川恋愛と名乗ったのは11歳
・現在高校一年生。
・在学、箱庭学園一年十三組
・スキルを所持、【過負荷】と【異常】を持ち合わせる
まぁ、こんなところです。
私は、スキルを好んでつかわない理由に関しては説明してあるので、
まずは、今までの話を、軽く、しましょう。

ー今までの私ー
禊お兄ちゃんをひたすら探しました、
探してからは毎日充実してました。それなりに。
何年か経って、お兄ちゃんが廃校百戦錬磨であることも知れました。
だから、私はちょうどお兄ちゃんが、かつての知人、
黒神めだかさんと対峙する時期に、転校生として、
ここへやってきました。ちなみに、これは、表向きの理由です。
本当の理由は安心院さんから聞いてください。

ー今までの僕ー
『禊お兄ちゃんを探してたよ』
『探すにあたって、何人かの人を殺したけれど』
『一向に警察沙汰になんてならなかった。』
『禊お兄ちゃんが廃校させていることを知ってからは』
『特に人を見るのが嫌になった。そして、僕はそれを知った。』
『お兄ちゃんとあってからは武器を螺子にした。』
『お兄ちゃんにあいたいのと、《義務》を果たすために、
 僕は、この学園にやってきた。不知火半袖のことは』
『学園に入って、一年十三組になってから、知った。』
『少し、遅すぎた見たいだったよ。』

ー今の私ー
《義務》を果たしながら、現状を見まもっています。
授業に専念しています。真黒さんからも名瀬さんからも古賀さんからも
いろんなことを教わっています。
家事が、できるようになりました。
お兄ちゃんに褒めてもらえるとうれしいです。
黒神さんから撫でてもらうと切ないです。
人吉さんから名前を呼ばれると胸が痛みます。
喜界島さんから優しくされると罪悪感が走ります。
阿久根さんから甘やかされると苦しくなります。
不知火さんからあいさつをされて、複雑です。
現生徒会のみなさんは、私のことを知っているのは
名瀬さんと人吉さんだけですから、問題ありません。

ー今の僕ー
『《義務》は日に日に軽くなって【計画】が重くなる。』
『人を殺す回数は減ってきた。』
『いろんな人と接して、いろんなことを思い知った。』
『螺子を、スキルを出すのが辛くなるときがある。』
『お兄ちゃんに笑顔を向けられただけで自分が死人のように感じる
 黒神めだかを見ただけで自分の《義務》を強く感じる
 人吉善吉が黒神めだかを見ているだけで申し訳なく思う
 喜界島もがなが僕と触れただけで自己嫌悪感が走る
 阿久根高貴が僕に話しかけるだけで自分を恥ずかしく思う
 不知火さんから無視をされると現状が伝わる。』
『正直いって辛いことこの上ない。』
『僕にとってここはものすごく綺麗だった。』
『不知火さんがココを嫌いだというのなら、
 僕はここを綺麗だと言おう。』
『僕らは、ココにいるにはつぶれてい過ぎた、修理ができないほどに』

ー私達と不知火さんー
同じような境遇です。
ただ、《仕事》か《義務》か、それだけで。
ただ、《役職》と《役所》が違うだけで、
ただ、《里》があるか、《家》もないか、
私達と不知火さんは似多様で、違いました。
もうすぐ、私は私でも、僕でも無くなります。
すごく、寂しいし嫌だけど、安心院さんの行いにより、
安心院さんの企てにより、安心院さんの思惑により、
安心院さんの正義により、安心院さんの心理により、
安心院さんの思考により、安心院さんの言動により、
そして、何よりも安心院さんの《計画》により。
【裏・フラスコ計画】いわゆる第弐弾とも言われるかもしれない、
その計画の発案者安心院なじみいわく、
「不知火半袖では表現できなかった、《裏と影》がある。」
もう、察しているかもしれないが、会えて言わせてもらいましょう。

ー私達の《義務》−
私と僕の、私達の義務は、《黒神めだかの裏側》
彼女の底知れぬ《完全なる正義》を
私達により、《慣全なる正義》を、見つけるための。
完全の陰には負完全があり、訃完全があるのだと。
そして、そこには複数の人格が必要になり、それを創るのが安心院、
『黒神めだかの《影》としてではなく《裏》として、
 彼女の成長をより促す材料となる人物を人材を育成する。』
それが、この《義務》だった。
その義務を私達が請け負ったのは、6歳のことでした。
私達にとって箱庭学園でのこの義務が最後の砦でした。
ものの5年で球磨川訃隙を超え、球磨川恋愛ができた。

そして、私達が今からどう《義務》を果たすのか
それは、安心院さんの言動次第。

この件が終わりを告げ、《漆黒宴》も終わるころ、
《彼女の仕事》も終わりとなる。


あーあ、話しちゃいました。
至らない箇所は安心院さんが説明してくださいます。
ご質問等はこちらへどうぞ。
では、最終章3箱目でした。 球磨川恋愛。

最終章 第4箱 −好きに、してくださいー ( No.63 )
日時: 2012/10/29 18:57
名前: 栖樺 啼 (ID: 16/cv9YI)


「僕が【裏・フラスコ計画】のために作った人格は四つ。」
「・・・球磨川恋愛、球磨川訃隙、笹海舞愛、球磨川訃李のことか?」
めだかが指を折って数えながら言う。
さすがにこの急すぎる展開に付いていけているのは、黒神家の人間
くらいだった。球磨川禊にも現状はつかめていない。
「はは、さっすがめだかちゃん。そんな名前まで覚えているなんて。
 みんなは忘れているだろうから。その名前はカウントしない。
 ていうか、そもそもそれは僕じゃなく、彼女が勝手に創った。」
恋愛は俯いたまま動かず。他のメンツも動かず。
「そりゃあ、みんな動けないよね。鼓膜が破れる程叫ぶから。
 みんな耳が上手く機能しないのさ。まったく。」
「・・・・。」
「本人も機能してないらしいね。」
1人で笑う安心院。球磨川、名瀬、真黒は黙ったまま、
めだかは、安心院に近づく。
「じゃあ、もうひとつはなんだ?まさか、これから創る予定、などでは
 あるまいな。どういうことだ。安心院さん。」
安心院はやれやれ、といった様子で再びマイクを握る。
全員が安心院に注目していることを確認して、語りだす。
「どうやら、みんなの耳が機能してきたらしいから、
 話しておこうか。これまでの経緯とこれからの計画をね。」
「・・・・・い。」
マイクの隣で震える恋愛が呟く。
「何か言ったかい?恋愛ちゃん。」
「・・・て、ください。」
「あぁ、やめないよ。みんなが説明して欲しいみたいだからね。」
恋愛は少しずつ顔を上げる。
当たりを見渡す。
「・・・。私の話しなんか、したって、どうにも、なりません。」
きれぎれ、なんとか、言った。
恋愛をばっさりと切る、安心院は堂々と言った。

「そうだね。キミが、ココにいられなくなるだけだ。」

「そ、そんなこと言ったら、ホントにいられなく、なる・・・。」
「・・・別に、僕がこだわるところはそこじゃないよ。」
恋愛がまた俯くと同時にマイクに向かう。
「さて、もうひとつの人格のことについては、クイズ形式だ。
 回答者は・・・そうだね。球磨川君にしようかな。」
「『僕で、いいのかい?』『捻くれたことを言うよ。』」
「あぁ。だからこそ、キミに頼むよ。
 ひねくれてくれ。存分に頼むよ。キミなら、できるから。」
「あ、安心院さん・・・・。」
「さぁ、キミはみんなから見てどうなるかな?」
顔を伏せ、ただ、壇上から降りる。
「好きに、してください。」


「よし、まず問題文は必要ないね。ヒントからいくよ。」
わかったら、みんなも挙手してくれ、安心院は続ける。
「まず、笹海舞愛。この名前だ。この名前は球磨川恋愛の過去だ。」
「『うん。でもそれって、訃隙ちゃんの過去でもあるでしょ。』」
球磨川のコメントに安心院は笑う。
「キミは屁理屈のつもりで言ったのかもしれないが、その通りだ。
 でも、惜しいね。そういう意味じゃないよ。」
安心院の回答にめだかが続けて問う。
「どういう意味だ?球磨川恋愛にとっての過去は訃隙の過去でも
 変わりはないだろう。それの何が・・。」
「だから、そこが違う。」
安心院はあっさり言いきる。
めだかが圧倒される程に。
そこに、名瀬が続く。
「つまり、恋愛と訃隙の過去は別物ってことか?」
「別々だよ。全くの全然とまでは言わないけどね。」
「いちいち要領がつかめねぇな。つまり、訃隙には訃隙なりの
 過去や記憶があるってことか?ありえねぇな。」
名瀬の呆れた一言に安心院は答える。

「そうだね。その通り。訃隙には訃隙なりの過去は、あった。」

「それが、本当って根拠は?」
「何より、僕が創った人格の一つこそが、訃隙の過去であり、今だ。
 どうしても疑うのなら本人に訊きなよ。」
名瀬が震えながらも必死に立っている恋愛の肩に触れる。
恋愛が顔を上げる。
泣いているような、怯えているような、壊れそうな。
そんな表情をした恋愛をみて、名瀬は言う。
「お前の過去に、俺はどうこう言うつもりはない。
 俺の過去だって褒められたようなものじゃねぇよ。」
ナイフを取り、包帯を取る。
回りからはざわざわと聞こえる声。
「な、名瀬ちゃんのお顔が・・・。」「師匠の素顔がっ・・。」
「新生徒会のときは基本素顔だったろーが。」
名瀬のツッコミに黙る二人。
「まぁ、どちらにせよ。 恋愛。正直に答えろ。
 訃隙の過去があるって話が本当なら、かなりまずい。
 【過負荷】の過去なら、なおさらだ。どうだったんだ。」

「本当、ですよ。」「『ボクの過去はあるよ。しっかりと。』」

「二人に肯定されたね。話を進めるよ。球磨川君。」
「『僕が答える前に安心院さんが答えをいったじゃないか。』」
球磨川禊は何もなかったかのように、振る舞い続ける。
恋愛は安心院を向く。
「安心院さん。」「『安心院なじみ』」
声が、重なって聞こえる。1人、のハズなのに。
「お兄ちゃんの考えを正してください。」
「そうだね。僕も思うよ。」
「『?』」
「球磨川君。」

「この話は、【なかったこと】にはできない。」

「・・・・。」
全員黙る。
「この子の過去は【生まれついての】ものだ。キミの過負荷じゃあ、
 この子の過去は【なかったこと】にはならない。」
「『うん、そうだね。』」
球磨川禊は頷く。
恋愛は俯く。

「『それでも、知らなきゃいけない。』『僕は恋愛ちゃんの兄だ。』」

「・・・・・。」
「おいおい、泣くなよ。ドラマチックだなぁ。」
うれし泣き、という言葉がある。
そのときの恋愛はまさにそれだった。
「まぁ、いいや。みんなも知りたいよねぇ。」
「えと・・・・。安心院さん・・。」
喜界島がおずおずと手を上げる。
「ん?なんだい。」
「できれば、恋愛ちゃんのためにも少人数の方がいいと思う。
 だから、禊ちゃんと不知火さんと黒神さんだけにして欲しいの。」
「・・・・いいよ。」
安心院はマイクを離す。

「さぁて、回答者は三人。
 正解を言おうか、そして、解説だ。」
「どうぞ、残さず召し上がれ。」「『僕の出番かな?』」
「「「・・・・。」」」
シュークリームを片手に不知火半袖。
腕を組み胸を張る黒神めだか。
用意されたパイプイスに座る球磨川禊。
禊の隣のパイプイスから参加する球磨川訃隙。
壇上からは絶対降りない安心院なじみ。
「名前から言おう。解説しやすい。」
「『あぁ、ボクが言うよ。』」
恋愛と違い、訃隙は自分の過去のことはどうでもいいらしい。

「『昔の僕の名前は[球磨川 訃音]−くまがわ ふいんー』
 『その頃の僕の【過負荷】は【殺人衝動】と似たようなものさ』」

球磨川訃隙による解説。
安心院によるこれからの説明。
「五人目の話は、今からしよう。なにせ、今から創るから。」


私の過去とボクの過去、訃音は私のことが嫌いでした。
ちなみに、一人称は[オレ]ですよ。区別します。
私は訃隙とあの子が怖いです。
あの子たちは平気で人を殺せるから。
訃隙には罪悪感があったけれど、訃音にはそれはない。
最終章 第4箱 終わりです。

最終章 第5箱ーあきらめさせることだー ( No.64 )
日時: 2012/10/30 18:40
名前: 栖樺 啼 (ID: 16/cv9YI)


「まぁ、【殺人衝動】なんて言えば大げさに聞こえるが、
 彼女は宗像くんとは違って人を見たら殺意が湧くわけじゃあない。」
「『うん。まぁ、大方その通りだよ。』『安心院なじみにしては』
 『まともなことを言うね。』『ボクの過去はとてつもなく残酷。』」
笑いながら言う。
先程まで震えて俯いていた人物と同じとは考えられない。
「ていうか、なんで訃隙ちゃんは僕を呼び捨てにするんだよ。」
安心院が不機嫌そうに言うと、訃隙は安心院を睨んだ。
「『安心院なじみが恋愛をいじめたからだよ。』
 『必要もないことじゃべってさぁ。』『本来ならば』
 『【漆黒宴】が終わるまで黙っとくはずだったのに。』」
「・・先程から思っていたが。何故【漆黒宴】の話が出ている?」
めだかが眉を寄せながら安心院に言う。
安心院はあぁしまった、とでも言うように口をあの字にする。
「いやぁ、しまったしまった。失言だよ。失態、失態。」
「『細かいことは気にしないでよ。』『話が進まないだろ。』」
どちらにせよ、と安心院は前置きする。
前置きが長いことはもはや愛橋となっている。
「『めだかちゃん僕からもお願い。』
 『話を続けてよ。訃隙ちゃん、安心院さん。』」
球磨川禊の言葉に訃隙の顔が若干歪む。
いくら、違う人格とはいえ、表情は球磨川恋愛そのものだった。

「『ようは、考えような訳さ。』」
球磨川訃隙はそういう。軽く、軽快に快活に。
「『あの頃のボクは人を殺すことしか考えてなかった。』
 『人を殺すことが快感であり、実感であり、痛感だった。』」
「どうして、【殺人】なんだ?私の【裏】だと言うのなら、
 殺人なんて、無縁だろうに。暴力ばかりの私の裏ならば、
 そんな世界とは無関係だと思っていたが。」
めだかの考えに安心院が一笑する。
なんともうざったい。
「はは、キミは案外バカだよねぇ。いいかい。
 彼女が演じてるのは、彼女達が義務付けられているのは、
 キミの【正反対】を創ることじゃないだろうに。」
訃隙が頷く。苦しそうな素振りは全くない。
めだかが唇をかむ。
わかっているようだが、あえて口にしなかったらしい。
不知火半袖は、ただ、落ちついて流れを見る。
さながら、何かに怯えているように。

「彼女はキミの【裏側】だ。つまりは、キミが【善人】ならば、
 【悪人】ではなく、【偽善者】になる。そこが違う。」

安心院の答えに不知火がやや、動揺する。
「・・・・。そんな。」
「不知火?」
「いや、あひゃ、ひゃひゃ、何でもないよ。シュークリームに
 飽きただけ。エクレア探すよ。気にしないでくださいよ。」
いつもの調子で笑うと、めだかに背を向ける。
その理由を、めだかは知らない。
「めだかちゃんは[正義]のためなら、[犠牲]はわりと問わない。
 だから、【正義】のために【人殺し】を行わせてみた。
 僕は笹海舞愛にまず埋め込んだ人格は【殺人者】だったのさ。」
「「「『・・・・・・・!!』」」」
三人の驚きをよそに、安心院は続ける。
「めだかちゃんの裏は非常に困難でね。
 君は常に成長を続ける子だ。そして困難に撃ち勝てる子だ。
 そんなキミに対応するには【殺人者】だけでは足りなくなった。
 だからこそ、今度は[球磨川訃隙]を創った。
 ま、名前を付けたのは球磨川君だけれどね。仕方ないさ。」
安心院の話に頷く訃隙。
先程から、ずいぶんと安心院に協力的だ。
「『じゃあ、僕と会った時の恋愛ちゃん・・舞愛ちゃんは?』
 『あのときはめだかちゃんだって10歳。』
 『もう、訃音だったってことなの?安心院さん。』」
「まぁね。性格に言えばどっちもだよ。今の訃隙ちゃんみたいに
 使い分けさせていたよ。戦闘シーンは全部彼女がやった。」
付け加えるように訃隙が続く、
めだかと不知火はよくわからないまま話を聞き続けた。
咳払い。
「『そうだよ、ボクと恋愛じゃあ、戦闘能力は違うし、スキルも
  実は少し違うんだ。その話は、今はしないけどね。』」
咳払いをしたわりに、大した話でもなかった。
「さて、他に質問は?」
「あるにきまっている。」
めだかが挙手する。
堂々と、勇ましく、凛々しく、まるで生徒会長時代のように。
めだかは黒神めだかのまま、そこにいた。
「なんだい?大方話終えたつもりだよ。」
意見を促す。
妙にわざとらしい。
「まだだ。」
「そうかい、なら、どうぞ。」
白々しくマイクを渡す。
めだかは深呼吸。不知火を一度見てから。

「安心院なじみ、貴様はこれから恋愛同級生をどうするつもりだ?
 まさか、計画ごと潰すのか?答えろ。できれば5秒以内に。」

「!!」
(乱神モードっ 久々だぜ・・。ちょっとからかいすぎたかな。)
生徒会長をやめたとはいえ、めだかの迫力は変わらなかった。
隣で不知火が食べていたエクレアが圧力でつぶれた。
「おじょーさま・・・・。」
「すまん。不知火。今度何かおごるから、許せ。」
「・・・・・(今度、か。) はいよ。」
空気を読まず、安心院は言い切る。
「そうだと言ったら?」
めだかが安心院に近づく、一歩出す。
離れる不知火と、しかづく球磨川禊。
「・・・・球磨川、離れろ。今の私は何をするかわからんぞ。」
乱神モードのまま、睨む。
球磨川禊は螺子を出す。
「『それは、僕も賛成だ。めだかちゃんこそ、僕から離れなよ。』
 『僕は何をしてもわからない奴だし』
 『僕みたいな負け犬といたら、キミも負けるぜ。』」
球磨川訃隙は驚く。
純粋に、まるで今から良い雰囲気のバトルでも始めそうな
プラスの頂点とマイナスの底辺が共闘しそうな感じだ。
「『何を勝手な、いや、身勝手な!』「やめてください!」
 『僕は別に何ともおもってない!』「私の義務ですからっ」
 「私はあなたの【裏】なんです!」『僕はこれでいいからっ!』」
訃隙と、恋愛の本音がこだまする。
なんども、なんども、繰り返し聞こえる。
二人の、声。そんな声は黒神めだかと球磨川禊には
ただ、少女が
      助けを求める声にしか聞こえなかった。

「負ける?上等だ。貴様こそいいのか?私といたら、
 貴様の【勝てない】設定が崩れ、勝ち馬になるかもしれんぞ。」
「『そりゃあ、いいね。』『やれるもんならやってみろ。』
 『僕の百戦錬磨見せてやるよ。めだかちゃん。』」

二人はいい顔で確認し合う。
安心院はいつのまにか、いつもの袴姿に戻っていた。
「おいおい、正気かよ。僕と戦うのかい?」
安心院の言葉に、恋愛と訃隙が続ける。
「『そうだよっ!』「嫌です、私はこのままでいいですから!」
 『どうせ、僕の過去の話をなかったことにはできないし。』
 「どうせ、私の義務もなかったことにはなりませんし!」
 『僕は、僕の義務を失ったら生きる権利がないし!』
 「私は、訃隙をけすことなんてできないですよ!」」
二人の本音が重なる。
それを聞いて安心した、安心院さんだけに、と安心院は言う。
「さて、どうする、ハンデとして、僕は左手と右足だけ使うけど?
 なんならスキルも制限するといいよ。」
「「『いらない。』」」
声をそろえて頷くふたり。
「ルールは?」
「穏便にすまそう。私と球磨川が安心院さんの四肢のうち、
 どこかひとつでも折れれば勝ち。」
「僕の勝ちは?」
二人が息を合わせる。

「「『私(僕)達をあきらめさせることだっ!』」」

今にも飛びかかりそうな二人に球磨川訃隙と恋愛は言う。
立っていることもできず、座りこんで、言う。
「・・どうして。」
声は大きくなっていく。

「私達には、生きる資格なんて無いのに!生きる意味なんて無いのに!
 生きる権利も無いのに!生きる覚悟も無いのに!
 生きる経過も無いのに!生きる勇気も無いのに!
 生きる価値も無いのに!生きるための義務しか無いのに!
『その義務を、・・・・背負わなくも生きれるの?』・・・。」

最後は二人の背中に問うものだった。
二人は振りかえらないまま格好よく、括弧つけずにいった。

「そんなもの僕がなかったことにしてあげるよ。
 今キミが流してる涙とか背負う義務とか足枷とか。
 そんなもの、スキルを使わなくてもできるよ。笑わせる。」
「資格だろうと価値だろうと、権利だろうと、私が全部
 創ってやるっ!義務としてではなく、『希望』として、
 貴様は私に尽くすがよい! 球磨川恋愛っ!」

「・・・・・。っはい!」

「さて、仕事か。めんどくさい、老体に疲労かけるんじゃないよ。」

「『僕は悪くない』」
「私達は正しい!」
「・・・・・・。」

「『何か言いなよっ!』」

めだかの決め台詞、不足中。
そんななか、合戦は始まる。
少女を賭けた、少年たちの戦い。
義務と生きる意味を無くし、果たせた彼女は、
球磨川恋愛としてでも、球磨川訃隙としてでもない、
新たな人格が出来上がる。
そこが、少女の最終地点となる。


私にも、私のために戦ってくれる仲間がいました。
お兄ちゃん1人から、2倍に増えました。
私達は多くの犠牲を出しました。それなのに、
私だけ、幸せになんかなっていいんでしょうかー?
最終章 第5箱終幕です。


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