二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼×緋色の欠片
- 日時: 2012/09/26 13:48
- 名前: さくら (ID: cPNADBfY)
はい。
初めましてな方もそいうでない方もこんにちは。
またさくらが何か始めたで。と思っている方もいると思いますが
薄桜鬼、緋色の欠片好きの方には読んで頂きたいです
二つの有名な乙女ゲームですね
遊び感覚で書いていくので「なんやねん、これ」な心構えで読んでもらえると嬉しいです←ここ重要
二つの時代がコラボする感じです
あたたかい目で見守ってやって下さい
それではのんびり屋のさくらがお送りします^^
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- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.127 )
- 日時: 2013/08/03 21:28
- 名前: さくら (ID: lDRmYQrD)
ふっと瞼を上げると見知った天井が広がっていた。ここが自分の部屋だと気付いたとき、千鶴は勢いよく上体を起こした。視線を落とせば布団の上に横になっていることがわかる。一体いつ眠ったのだろうか。
視線を上げて障子の隙間から見える空を見て、千鶴は驚いた。
もう昼を過ぎている。太陽は真上よりも少し傾いていた。千鶴は跳ね起きるようにして布団から出た。
そして布団を仕舞おうとしてふと手を止めた。朝餉をとった後の記憶がすっぽりと抜け落ちている。いくら首をひねって思い出そうとしても靄がかかったように思い出せない。
千鶴は不審に思いながら部屋を出る。冷たい風に身を震わせたときだ。
体に違和感を覚えた。それはほんの些細な違和感。胸の奥が少し重い。これは何だろう。
胸に手をあてて考える。痛みがあるわけではないが、不快な感覚が胸に渦巻いているのだ。この胸騒ぎにも似た感覚は何だ。
「…っ」
急に気分が悪くなる。部屋の前、廊下で蹲っているとひとつの足音が近づいて来た。
「おい、どうしたっ」
駆け寄ってきた人物が土方だとわかると、千鶴は顔を上げて笑った。
「おかえりなさい、土方さん」
「あぁ。それよりお前どうしたんだ、こんなところで…顔色も真っ青じゃねぇか…」
廊下に座り込んでいた千鶴の前に膝をつくと土方は彼女の顔を覗きこんだ。
「すみません…まだご飯召し上がってないですよね…今から作ります」
「そんなふらふらで何言ってやがんだ。俺達は気にすんな。お前は横になれ」
「で、でも…」
「どこか痛むところがあるのか」
千鶴の顔色を見て、土方は異常だと判断した。千鶴は元々色白だが、それを通り越して青い顔をしている。土方はとても料理を作ってくれとは言えなかった。
「いえ…ちょっと胸が変なんです…でも、すぐによくなると思うので大丈夫です」
「そんな顔で言われても説得力ねぇがな。いいから部屋に戻れ」
なおも抗議しようとする千鶴を無視して土方は彼女を抱き上げた。有無を言わさないその所作に千鶴は目を丸くする。
「土方さんっ…」
千鶴を片手で抱き上げ障子を開けると押入れへとその腕を伸ばす。少し乱暴だが千鶴が先ほどしまった布団を引きずり出すとそこに彼女を寝かせてやった。
「胸が気持ち悪いってお前、それ二日酔いじゃねぇだろうな」
「ち、違います。昨日はお酒なんて飲んでませんし…」
「だよな。お前は下戸だ。それに二日酔いでそこまで顔色は悪くならねぇ」
土方は掛け布団を千鶴の上にかけてやる。青い顔の彼女はやはり無理をして起き上がろうとする。
「大丈夫ですよ、土方さん」
「いいから寝ろ。そんな青い顔して倒られちゃかなわねぇ。大人しくしてろ」
土方の強い語調に押し負かされて、千鶴は渋々布団に戻った。
「すみません…」
「何で謝る」
土方は千鶴の枕元で胡坐をかいて座る。申し訳なさそうに謝罪する千鶴を見つめて土方は首を傾げた。
「今日はきっとお忙しかったのに…昨日から一睡もされてないんですよね」
「…一日寝なくても倒れたりしねぇよ」
「でもお疲れなのに…私…」
「ごちゃごちゃ言ってねぇで、寝ろ。お前が倒れちゃうるさい奴等がいるんだよ」
乱暴だがそれでいて優しい言葉に千鶴は微笑する。そしてそのまま目を閉じた。睡魔は思っていたより早く訪れて、あっという間に眠りの淵に落ちた。
規則正しい寝息を確認して土方はふっと息をつく。
その穏やかな顔を見つめて土方の顔も自然と緩んだ。疲れがなくなるわけではないが、癒しを感じる。土方は千鶴の寝顔を見て苦笑するとすぐにその表情を引き締めた。
「…俺は…迷っちゃいけねぇんだ…」
低い語調で呟いた言葉は誰にも聞こえない。ただ空に虚しく霧散して静寂が返ってくる。
土方は立ち上がると最後に千鶴の寝顔を見て静かにその部屋を後にした。
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.128 )
- 日時: 2013/08/05 00:41
- 名前: アゲハ (ID: db3Hcctt)
お久しぶりです♪───O(≧∇≦)O────♪
来てない間の話、今読ました^ ^
とても、面白かったです(≧∇≦)
千鶴ちゃんお大事に...
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.129 )
- 日時: 2013/08/05 07:54
- 名前: 美蓮 (ID: NSUxBWjR)
初めまして!美蓮といいます。
小説とても面白かったです!これからどうなっていくのか楽しみです。慎司くんのことや平助くんと真弘先輩のことが今とても気になります!
これからも返信頑張って下さい。応援してます♪
珠紀ちゃんと拓磨<んが早く元気になってほしいです。そして、千鶴ちゃんの呪い早く解けてほしいです!
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.130 )
- 日時: 2013/08/05 13:34
- 名前: さくら (ID: lDRmYQrD)
アゲハさん
こんにちは
読んでいただきありがとうございます^^
千鶴もこの騒動に巻き込んでいきたいと思いますので見守ってあげてください笑
美蓮さん
はじめまして^^
読んでいただきありがとうございます
そうなんですよ!
今回のこの騒動で忘れられそうですが、慎司君のこともあるんです
なぜ角屋に慎司がいたのか、なぜ女の姿をしていたのか
また後で語るので温かい目で見守ってあげて下さい
皆さんに心配されてますが、拓磨はいつ回復するのか?
千鶴は大丈夫なのか
これからはまた説明ばっかりで難しい文面が続くと思いますがまた読んでやって下さい^^
- Re: 薄桜鬼×緋色の欠片 ( No.131 )
- 日時: 2013/08/05 13:40
- 名前: さくら (ID: lDRmYQrD)
翌日。いつの間にか深い眠りについていた珠紀は、ふっと目を覚ました。
古い木造の天井を見つめた後、障子から漏れる光を確認して朝であることを知る。次に横に視線を投じると穏やかな表情で眠っている拓磨がいた。
昨日よりかはだいぶ顔色も良くなったように思えて、珠紀は安堵する。
そして負傷した腕を庇いながら上体を起こした。昨日のようにふらふらとしない。傷の痛みはあるものの、耐えられないほどではなかった。
起き上がって拓磨を見つめた後部屋を出る。冬の到来を告げるかのように風は冷たく、廊下の冷たさに凍えながら庭を横切って広間に向かった。
「珠紀さんっ」
声をかけられて振り返ると洗濯物を洗っていた大蛇が駆け寄ってきた。
そして珠紀が答えるより早くその腕をとって傷の具合を確認する。
「傷口は塞がったようですね。後で薬を塗りましょう。あぁ、単姿では寒いですよ。これを…」
大蛇は自分が着ていた羽織を珠紀に着せてやる。優しい温もりに珠紀は微笑した。
「ありがとうございます。大蛇さん。あの…」
「鴉取君と狐邑君は今朝食をとっているはずですよ。ここは松本先生のお宅です。鬼崎君が回復するまでお邪魔させてもらってるんですよ」
「…私、夢を見ていたんでしょうか」
「え?」
腕の傷を見つめて珠紀はぽつりと呟いた。大蛇は首を傾げて彼女の言葉の先を待つ。
「白い髪の男の人たちに襲われて…凄く怖かったんです…あれは夢…?」
他人事のように呟く珠紀の肩に大蛇は手を置いた。
「珠紀さん。それはこれからお話しましょう。残念ですが夢ではありません。これから酷な話をしますが…それでもこの先の我々の行動について考えなくては…」
不安げに顔を曇らせる珠紀に大蛇は微笑みかけた。
「それよりも、朝食にしましょう。今用意しますので先に居間に行って下さい。その後で松本先生に傷の具合を診てもらいましょうね」
そこで大蛇と別れると珠紀は居間に向かった。そっと障子を開けるとちょうど朝食を食べ終えた真弘と祐一が出迎えてくれた。
「珠紀!回復したのかっ」
「顔色も良いようだ…良かった」
「はい。心配かけました。先輩達が助けてくれたんですよね。ありがとうございました」
あの夜のことはどうもうろ覚えで記憶がはっきりしない。ただ自分が気を失ったことだけはわかる。現に倒れたのだ。そのとき近くにいた二人に助けてもらったのは間違いない。
祐一の傍で眠っていたオサキ狐が起き上がって珠紀に駆け寄る。
「おーちゃん!心配かけてごめんね?」
「にー!にー!」
二人の前に腰掛けた珠紀は膝の上で飛び跳ねるオサキ狐を優しい手つきで撫でる。
「拓磨はまだ眠っていたか」
「はい。昨日よりは顔色も良くなってました」
「さすがに腹を刺されちゃ回復もまだ先だろうなぁ」
ぼやく真弘に祐一は鋭い視線を送った。祐一に睨まれた真弘はそこで初めて失言に気付く。
「腹を…刺された?」
「あー!その、何だ!ちょっと刃物でだな…っ」
「刃物…?」
言い繕う真弘だったが、どれも失言で終わってしまった。みるみる不安そうに顔色を曇らせる珠紀に祐一は落ち着いた語調で話しかける。
「松本先生のおかげで助かった。大丈夫だ。後は拓磨の回復を待つだけだ」
「そうですか…良かった」
余計なことを口走った真弘は気まずそうに茶を啜った。口を開けば珠紀を不安にさせてしまう。
ちょうどそこへ珠紀の朝食を持ってきた大蛇が入ってきた。
「お待たせしました。ゆっくり召し上がってくださいね」
「ありがとうございます、大蛇さん」
白い湯気が立つ白飯と味噌汁に食欲が湧く。珠紀は箸を手にとると温かい朝食に舌鼓を打った。
他愛ない世間話をしながら箸を進めていく。皆いつも通りであの夜が何だったのかわからなくなってきた。朝食も取り終えた珠紀が箸を戻すと、そこへ松本がやって来た。
「やぁ、おはよう。気分はどうだね?」
「大丈夫です」
「どれ…」
持っていた薬箱を脇に置いて、松本は珠紀の前に腰掛ける。そして彼女の腕を取ると巻いていた包帯を解き始めた。
そこで珠紀は一人戦慄した。自分の腕を裂くように縦に伸びる生々しい傷口が目に飛び込んでくる。赤く傷口は腫れ、瘡蓋ができてはいても傷口付近は赤くなっていた。そして手首には強い圧力がかかった痕、鬱血ができている。それを目にした途端、あの夜のことが鮮明に思い出された。
「うむ…傷口は塞がっているようだね。傷薬を塗っておくから痛みがひくまであまり無理をしないように…どうかしたかね?」
「…いえ……」
「珠紀さん?」
傍で珠紀を見守っていた男三人は小首を傾げた。肩を震わせ急に気色が悪い珠紀に松本も眉を顰める。
「…あの夜…私…」
珠紀の瞳が大きく見開かれ、そのときのことを思い出す。
血を、吸われそうになった。腕を掴まれたかと思った刹那、男が刃を抜いた。腕に傷を負ったかと思うと視界が回って地面に叩きつけられる。そのときに手首を尋常ならざる握力で握られ、鬱血ができた。
そして動けない珠紀の腕に流れる血を啜ろうと群がる男達の姿を思い出して、珠紀の頬には涙が伝っていた。
「怖かった…私…あの時どうすることもできなくて…」
血を吸われるなど経験したことがなかった。その恐怖で体は金縛りにあったかのように動けなくなり、声も出なかった。あそこで祐一が駆けつけてくれなければ今頃自分がどうなっていたかなどと考えることもおぞましい。
珠紀は自分の肩を抱いて涙を零す。
「あれは…あの人達は一体…」
「珠紀さん」
大蛇の大きな手が珠紀の頬に触れる。優しくそっとその涙を拭ってやると大蛇は真剣な表情で続けた。
「これからお話します。少し混乱するかもしれませんが、落ち着いて聞いてほしいんです」
大蛇の言葉に珠紀は目を瞬いたが、気を取り直して涙を拭った。
泣いてはいけない。泣いてばかりでは前に進めない。恐怖に立ち向かわなければ真実はわからないのだ。
松本は場を読んで静かに退出した。
居住まいを正すと珠紀は大蛇に向き直った。
「すみません、取り乱してしまって…」
「いいえ。ではゆっくりお話しましょう。あの晩一体何が起こったのか…」
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